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2011年12月 5日 (月)

萩原麻未さん-ピアノ・リサイタル

 今年は、春からストレス続きですが、お役目でもあり仕方ありません。そのような日常でも、定期的に高い精神(?)に触れたいと思っております。

 さて、昨年(2010年)11月に、「ジュネーブ国際音楽コンクール」ピアノ部門で日本人が優勝したというニュースを偶然見て、それから暫く後に、コンクールで演奏されたラヴェルのピアノ協奏曲の一部を観た(聴いた)ように記憶しているのですが、その演奏が非常に面白く、そのピアニストについて気になっていました。夏頃でしたか、その優勝者である萩原麻未さんのリサイタルがあるということに気が付いてチケットを買い、先日そのリサイタルに行ってきました。
 ちなみに、ラヴェルのピアノ協奏曲は結構好きな曲で、たまにですが、バーンスタインが弾き振りをしたライブ盤のCDが面白くて聴いたりします。この演奏では、ウィーン・フィルの特にトランペットがジャズ風の曲調に手こずっているのが、別の意味で面白かったりします(少々悪趣味?)。

 話を戻しますと、当日のプログラムは、前半はハイドンのピアノ・ソナタで始まり全3曲、後半はシューマンの「アラベスク」と「謝肉祭」、アンコールがショパンの2曲でした。繊細な弱音から畳みかけるような迫力ある強音まで、引き込まれる演奏でした。また聴いてみたいと思いました。
 書いても全く意味がないのですが、私の好きなシューマンですと、「ピアノ・ソナタ第1番」や「ウィーンの謝肉祭の道化」、あるいは「ピアノ協奏曲」を聴いてみたいですし、シューベルトも弾いていただけると、どういう心性の方かがハッキリするような気がします(独断と偏見です)。

 思い返すと、おそらく売れ始めた頃の中森明菜さんをテレビで偶然見たときや、ベルリン・フィルの音楽監督に選出される5年ほど前にサイモン・ラトルを市川市文化会館に(実はクレーメル目当てで)聴きに行ったときに感じた「大器の片鱗」のようなものを今回も感じますので、このまま順調に成長し大成していただきたいと願うものです。

2011年9月29日 (木)

合格者祝賀会(2011)

 今月2回目の3連休の中日である24日(土)に、今年の新司法試験に合格した修了生を祝う会がありました。毎年出席しているのですが、やはり、皆でまとまって成長してきたということが強く印象に残る、ほのぼのとした会でありました。今年もまた、人にドラマあり、ということを強く感じさせられるエピソードもありました。
 在校生も数名来ていましたが、それぞれ自分の来年、再来年の姿をイメージしながら、気持ちを新たにしていたようでした。

 サバティカル中に助けていただいた先生が来てくださったので、国際私法組で二次会をしてはどうかと考え、(大番頭(?)の小野さんは既にお帰りで残念でしたが、)合格者のお一人にその提案をしたところ、法曹会の会長さん・副会長さんを始めとする国際私法組の数名のほか、全部で20名ほどの教員・修了生などがぞろぞろと某居酒屋さんに移動することとなりました。

 国際私法を選択していない学生とはなかなか話す機会がなく、初めてお話しした修了生もいて、楽しく過ごすことができ、ありがたく思いました。その際、ブログの更新をせよ、とのありがたいご指示もありましたので、ちょっと更新しておこうかと思った次第です(ただ、今月の半ば頃に体調を崩してまだ完治していないということもあり、今日になってしまいました)。
 3期の修了生とは、在校生にお話しいただいて打ち上げをして以来ということで、あれから3年、早いものです。お年頃なので、話題がそのような内容にも及ぶところが、微笑ましいというか、我が身を振り返って気恥ずかしいところがあり、といったところでした。

 もう後期授業の開始が目の前で、気合いを入れ直して年末までもたせないといけないということで、簡単ながら、このへんで失礼します。

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 先日、出題趣旨が公表されましたが、「国際関係法(私法系)」については、従来の実務の取扱いをひっくり返してしまうようなことが書かれていました。試験の採点でそのような前提を置けるはずがなく、重大な問題だと思いますので、時間をつくって近いうちに書いておきたいと思っております。

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 福島第一原発の1~3号機の原子炉周辺の温度が 100度を切ったとかの、ほとんど無意味なニュースをNHKが流していると思っていたら、また福島で震度5強の地震が起こり、懲りない面々に、呆れを通り越すこと何十回という感じで、疲労が増すばかりです。

 小出裕章(聞き手 MBSラジオ「たね蒔きジャーナル」)『知りたくないけれど、知っておかねばならない原発の真実』(幻冬舎・2011年)181-200頁に、小出氏が同番組に初登場された3月14日(月)と、15日(火)の緊迫したやりとりが活字化されており、家族を守るためにどう行動すべきかと頭をフル回転させていた当時が、動悸とともに思い出されます。

2011年9月10日 (土)

第6回新司法試験合格発表

 さる8日(木)、6回目の新司法試験の合格発表がありまして、残念ながら他の道に転進される方もいますが、何とか目標を達成された方もおり、いろいろあって今年もまた特別な年になります(来年は、また深みのない問題に戻ってしまうのですかね?)。
 国際私法組については、以下のとおりです。

 1期(7名) : 06年4名合格、07年3名合格
 2期(9名) : 07年6名合格
 3期(15名) : 08年7名合格、09年2名合格、10年1名合格、11年1名合格
 4期(13名) : 09年7名合格、10年2名合格、11年1名合格
 5期(7名) : 10年2名合格、11年1名合格
 (6期(9名) : 11年3名合格)

 合格者については24日(土)に祝賀会がありますし、そうでなくても修了生の皆さんとは機会を得ていろいろとお話しをしたいと思っています。(が、数も多くなってしまいましたので、どうしたらよいことやら。。。)

2011年9月 4日 (日)

授業評価(10後・11前)

 今年度は、周囲との日常を可能な限り平穏に過ごしていけるように自分なりに相当気を遣っており、(近未来の東電を被告とする渉外訴訟のことを考えなければ)国際私法の分野で特に採り上げるべき問題もなく、私的な事情ですがブログを更新する気も相当に薄れております。修了生たちは、元気にしていますかね? 夏休み中に、方向転換して(ご結婚され)中学校の英語の先生になられた修了生から綺麗な暑中見舞いをいただいて、ホッとしたりもしておりました。

 昨年度の後期から授業に復帰してほぼ1年経ち、今期もまた授業評価アンケートに対する自己点検のコメントを書く時期がやってきましたので、以前と同じように、前年度後期の分と合わせて記録に残しておきます。

 評価項目が24個あって細かいので、6つある大項目ごとにまとめて示します。なお,大項目の後の青字の数値は私の担当科目に対する評価の平均値,その後の( )内の数値は同じ期間に開講された全科目の平均値です(5段階評価)。

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 「国際私法基礎」(2010年度後期)  アンケート回収数17

 ・授業の設計・実施(質問4~6:計画の事前説明・一致,休講等) 4.92 (4.60)
 ・教育内容(質問7~9:知的刺激,法適用能力,法曹教育) 4.71 (4.64)
 ・教材等(質問10~12:内容,分量,参考文献等) 4.78 (4.58)
 ・教員の教育技術等(質問13~19:話し方,説明,発問,予復習指導等) 4.77 (4.52)
 ・教員の教育態度(質問20~25:情熱,授業準備,対応,公平,親和的等) 4.88 (4.66)
 ・総合評価(質問26・27) 4.88 (4.69)

 1年ぶりの授業だったこともあり、受講者の反応もよかったので、快調に授業ができたように記憶しています(今年は、春からいろいろありましたので、もう何年も前のことのような気もします。単なる老化か?)。それでも、11月から年末にかけて断続的に入試業務等が入りますので、年明け頃には結構疲れてきていたようにも思います(記憶が定かではありません。これも、単なる老化?)。
 それにしても、全科目平均が高いのには、驚きました。
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 「国際私法」(2011年度前期)  アンケート回収数9

 ・授業の設計・実施(質問4~6:計画の事前説明・一致,休講等) 5.00 (4.45)
 ・教育内容(質問7~9:知的刺激,法適用能力,法曹教育) 5.00 (4.47)
 ・教材等(質問10~12:内容,分量,参考文献等) 5.00 (4.46)
 ・教員の教育技術等(質問13~19:話し方,説明,発問,予復習指導等) 5.00 (4.37)
 ・教員の教育態度(質問20~25:情熱,授業準備,対応,公平,親和的等) 5.00 (4.50)
 ・総合評価(質問26・27) 5.00 (4.52)

 自分のことはさておき、近年は、学生たちの教員に対する信頼が厚くなっているように感じます。教員の方も、厳しいことを仰る方もいないわけではないですが、それでも基本的に学生を信頼し、強く期待しているように思います(今年の3年生は、能力だけでなく、人柄も非常によいという印象を、個人的にはもっています)。
 「国際私法」に戻ると、例年そうなのだと思いますが、受講者は、事前に2時間ほど(?)自主ゼミとでも言うのでしょうか、かなり準備をして授業に臨んでいましたので、得るものも多かったのであろうと推測しています。自主的に書記を担当した受講者は、特に、議論の流れを整理して理解する力がついたように思いました。私も、まだまだ穴が多いことを気付かせてもらって、ありがたく思っています。
 「授業自体に問題はなく、国際私法自体に問題がある。」という自由記載がありまして、これはまさに<我が意を得たり>です。ありがとう!
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 国際私法ネタがないのは淋しいので、1点だけ。
 先日、黄軔霆帝塚山大学准教授から、「中国の新しい国際私法について」帝塚山法学22号(2011年)61頁というご論文の抜刷をお送りいただきました。実は、私は人づきあいが悪く、学会に行っても懇親会に出ることはあまりないので、おそらくお話ししたことはないと思います。それはともかく、自分からはなかなか手の出ないテーマですので、よい機会を頂戴しました。
 拝読して、中国の新法が当事者自治を広く採用した点などには疑問を感じますが、多数の在外中国人の存在や香港・マカオ・台湾との関係で、常居所地法の採用は確かに現実的な知恵のように思われますし、反致の否定(9条)や簡潔な規定振りには好感がもてます。また、消費者契約と労働契約についての42条・43条が、「たとえば通則法11条、12条と比較した場合に、極めて簡潔明瞭である点が特徴的であ」り(同論文77頁)、「各弱者保護の規定は簡潔で弱者にとっても理解しやすいように定められて」(同論文84頁)いる点については、(それらの規定内容に完全に賛成というわけではありませんが)率直に敬意を表します。

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 最近読んだ本で勉強になったものを掲げて終わります。

・東谷暁『間違いだらけのTPP-日本は食い物にされる』(朝日新書,2011年)
・小出裕章『原発のウソ』(扶桑社新書,2011年)
・武田邦彦『エネルギーと原発のウソをすべて話そう』(産経新聞出版,2011年)
・上杉隆=烏賀陽弘道『報道災害【原発編】事実を伝えないメディアの大罪』(幻冬舎新書,2011年)
・中田安彦『日本再占領-「消えた統治能力」と「第三の敗戦」』(成甲書房,2011年)

2011年5月18日 (水)

不可思議なことばかり

 新司法試験、問題が公表されていますね。「国際関係法(私法系)」は、パッと見ですが、今年はちょっとよさそうな問題のようで。。。
 それはともかく、受験生は、しばらくは世の中の動きを凝視されてはいかがでしょう。大事なことが、集中的に見えてくるはずです。
 ちなみに、私は、ほぼ平時の状態に戻ってきています。

 福島の小学校の校庭の表土除去をめぐる一件など見ても、現政権は、安心して安全に子育てできる環境を整えるために全力をあげるというのとは対極にあるようで、少子化「政策」「対策」ではなく)を着々と進めているのだと考えないと、理解不能ではないでしょうか?(正気の沙汰とは思えないのですが・・・) 全く、しみったれた話です。大量に保有している米国債という国家資産は、大震災や福島第一原発の被災者が悲惨な状況にあるというのに、いったいどうなっているのでしょう?(負債ばかり、話題にされますけれども。)
 地域「主権」とか、言葉をきちんと使わない「お題目」がこのような非常事態になっても唱えられ続けていますが、国家レベルの災害が起こっているのに、国の責任を放棄した責任逃れの言葉になってしまっているのではないですか??

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 最近、以前から関心をもっている問題についての論考が公刊されているのに気づきましたので、ちょっと書き留めておきます。

 1.近藤博徳「最高裁2008年6月4日大法廷判決とその後の実務」自由と正義62巻4号(2011年)45頁。

 目を引く記述としては、「例えばフィリピンでは、正確な統計はもちろん存在しないが、数千から1万人以上のJFC (Japanese Filipino Children) が存在する、とも言われている。」(同上46頁)、判決の意義に関して「例えば民法900条4号但書に対する違憲判断は、この『立法事実変遷論』が一つの有効な手法となり得るのではないかと思われる。」(同上47頁)という部分があります。
 前者については、2008年11月26日(水)「『国籍法3条1項等改正法』衆院法務委質疑(その2)」もご参照いただければ、と思います。

 最後の項目である「改正法の運用」の部分(同上48頁以下)には、新たに重要な事実の紹介があります。
 「改正施行規則及び新通達によって、法務局の担当者は、『認知された子が真実その父の子か』という微妙かつ重大な事実認定の職責を負うことになり、現場は大変な混乱を来した。……このような現場の混乱の結果、国籍法3条1項による国籍取得事務は著しく遅滞している。……現在は、このような混乱状態で安定している、という皮肉な状況である。」(同上48-49頁)

 このような通達レベルによる処理で現場に負担がかかるに至ったそもそもの原因は、「立法手続が通常の場合に比して非民主的かつ急いだものであった」(国友明彦「国籍法の改正-国際私法的観点から」ジュリスト1374号(2009年)15頁、19頁)ことにあり、あのような拙速な手続きでなく、やはり法制審議会に部会を設けて国籍法全般にわたる慎重な議論を経るべきだったのではないでしょうか?

 国籍が重要であることは、放射能を浴びて、よく分かりました。多くの外国人は逸早く帰国してしまいましたが、私たちの多くは逃げるところはないのですから。

 この意味では、ハーグ条約への参加に向けて前のめりになっている現状は、確実に禍根を残すことになるでしょう。なぜ、そんなに急いでいるのでしょう?? 日本人を守るのは、日本国しかないのですが・・・ くれぐれも拙速を避けて慎重に、と書いたところで、何の力もありませんね。空しい限りです(若干、後述)。

 2.小田滋「光華寮訴訟(最高裁第3小法廷平成19年3月27日判決)再考」国際商事法務39巻4号(2011年)501頁。

 この論文は、2009年6月20日(土)「国籍法とか、郵政集中審議-6月9日参院総務委質疑とか」で題名のみ引用した、同「光華寮訴訟顛末記-平成19年3月27日の最高裁第3小法廷判決について-」国際法外交雑誌107巻3号(2008年)397頁の続編と言うべきものです。

 経緯や判決の内容等は、同論文やいくつかの評釈をご参照ください。昭和42年9月に訴えを提起した原告である「中華民国」について、最高裁は、それは「中国国家」のことであり、昭和47年の政府承認の切り替えによって、今や原告は「中華人民共和国」だと判断しています。これにより、「京都地裁に差し戻しから4年近くを経ようとしている。差し戻された京都地裁では表面に出ている限り今に至るまで全く審理の進展はない。……原告であるべき北京の政府も今日一片の関心も示していない。」(同上506頁)とのことです。

 最高裁の政治性もさることながら、この判決からは、裁判所は紛争解決機関では必ずしもなくて、紛争を裁判所の視界の外に追いやってしまうこともある(その場合、その視界内では紛争は事実上存在しなくなる)と理解するしかないのですかね??

 3.前回のブログ(4月12日(火)「外国人父からの人身保護請求ほか」)で引用した拙稿の1の対象である、大阪地決平成22年2月18日家月63巻1号99頁の評釈等として、早川眞一郎・平成22年度重要判例解説(2011年)364頁と、高杉直・戸籍時報667号(2011年)29頁が出ています。
 国際私法の人間としては、外国判決の承認(特に、承認管轄と公序)についてそれらが掘り下げて論じていないことは、不可思議というか、淋しい感じがします。ここをきちんと押さえておかないと、DV等からやっとの思いで逃げ帰った日本人について、不当に不利な前提を置かれることになりかねませんから。

 なお、後者は、人身保護法の解釈に対してハーグ子奪取条約から示唆を得ていますが、私はそれは疑問に思います。ハーグ条約は直ちに子を元の国に戻すという基本思想からなるのに対して、人身保護法は違法な拘束が後になって生じたとしてもそのような状況が生じれば被拘束者を釈放すべきことになるはずだからです(そもそも、法目的が異なる)。無理に示唆を受ける必要はないと考えます(なぜ、そんなに条約に弱いのでしょうか? 批准した後ならまだしも)。

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 最近は、テレビで御用学者を見る機会が減りました。少しでも嫌な気分にならなくてすむことを、ありがたく思っております。

2011年4月12日 (火)

外国人父からの人身保護請求ほか

 大震災による被害が甚大なうえに、まだまだ余震も収まりませんが、命を奪われなかった者は、それに相応しい生き方をせねばと、気持ちを新たにするばかりです(容易なことではありませんが)。

 今年度については大地震の前にまた雑用係を引き受けてしまっていましたので、昨年度末は、度重なる地震の度に中断しながら短いもの(下記の1.)を書いておりました。下記の1.は、ネットで読めるのではないかと思いますので、ご笑覧いただければ幸いです(後者は数か月後?)。

 1.「外国人父を子の単独監護権者とする米国判決の承認と人身保護請求」(大阪高決平成22年2月18日家月63巻1号99頁) TKC速報判例解説・文献番号z18817009-00-160030618(Web版2011年3月23日掲載)。
 これは、最近話題の「DV外国人父から子を連れて逃げ帰った日本人母に対する子の引渡し請求」に関するものです。

 2.「<資料>『国際裁判管轄法制に関する中間試案』に対する意見」千葉大学法学論集25巻4号(2011年)181頁。
 これは、国際裁判管轄立法案(呪われて(?)、店晒し)の立案過程において法務省民事局参事官室に送付した愚見に(法案がなかなか成立しないので)若干の注を付して活字化したものにすぎません。

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 民法(債権法)改正については、加藤雅信教授の一連の論考に考えさせられるところが大きく、前々回の本ブログの記事に引用したものに続く文献のタイトルのみ掲げておきます。「改正」の方向の中身については専門外でも、手続きの部分は他の分野の研究者にも大きく関わる可能性のあるものですので、未読の方にはご一読されたく思います。
 加藤雅信「民法典はどこにいくのか-その3 法務省民事局の法制審・民法部会の立ち上げは、閣議決定違反か」法律時報82巻11号57頁、「同-その4 歴史は繰り返す-連続するデュー・プロセス違反」同82巻12号57頁(以上、2010年)、「同-その5・完-広く会議を興し、万機公論に決すべし」同83巻3号(2011年)60頁。
 ・江頭憲治郎ほか「座談会 債権法改正と日本民法の将来-4月のパブコメ実施を前にして」法律時報83巻4号(2011年)68頁。

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 大地震の直前に、「三陸沖北部地震の30年以内の発生確率は90%、宮城県沖地震に至っては99%と予想されている」(藤井聡『公共事業が日本を救う』(文春新書・2010年)173頁)という記述を読んで驚いていたのですが、公共事業一般にレッテルを貼った人たちは、極悪人ですね。

 現在の最大の懸案は、福島第一原発から漏れ出す放射性物質の問題ですが、教えられるところが多いのは、以下のものです。

武田邦彦(中部大学)
http://takedanet.com/

小出裕章助教(京大原子炉研究所)
by iwakamiyasumi
http://vimeo.com/21967567

被ばく 放射能について 医学博士 崎山比早子さん
http://www.ustream.tv/recorded/13453891

 私はもともと西の人間で、小さい子は放射性ヨウ素が怖いので(大事をとって)関西方面に移しているのですが、この不自然な状況は長くは続けられないでしょう。貧乏学生だった昔を振り返ると今は本当に恵まれていると思いますが、さすがに困惑しています。

 広瀬隆『原子炉時限爆弾-大地震におびえる日本列島』(ダイヤモンド社・2010年)152-153頁図57を見ると、原発は日本各地にあり、他方、「日本を取り囲むプレートの配置」(同31頁図6)や「3つの巨大活断層と東海地震・南海地震の関係」(同42頁図14)、藤井・前掲171頁における30年以内の地震の発生確率(「『東海』地震87%、『東南海』地震60~70%、『南海』地震60%」)に照らすと、そうそう回避する場所を探すのも難しい気がしてきます。

 米国の支援はこの時期ありがたい反面、これと引き換えにTPPに参加するようなことになれば、戦後の繁栄は完全に終わるでしょう(中野剛志『TPP亡国論』(集英社新書・2011年)参照)。

 責任をとるべき人間が責任をとらない状況が半年以上も続いて、また余震が頻発し始めると、それらには関係があるのだろうと感じてしまう私は全く「まじない師」的なのかもしれませんが、このような状況はこの国にとって最大の不幸だと思います。

2010年12月22日 (水)

地域的不統一法国、債権譲渡の対第三者効力の準拠法

 後期に入って、1年ぶりに授業をしてきましたが、ほぼ順調に進み、今年最後の授業を終えました(最後のあたりでは、さすがにいろいろとストレスが蓄積してきて、切れが落ちましたが・・・)。
 ありがたいことに、昨年度より千葉大学にもサバティカルの制度が新設されまして、研究科としては私が第1号の利用者でした。法科大学院が始まってからは「研究は二の次(というより三の次?)」という状況を強いられていましたが、おかげさまで、研究者としては何とか息を吹き返しました(学生への支援はほとんどゼロに近かったので、その点の心苦しさは残りますが・・・)。御用学者でない実力のある研究者には、ぜひ千葉大学も選択肢の1つに加えていただければと思います。

 石黒一憲先生は、御還暦の今年、『国際倒産 vs. 国際課税 -牴触法的考察-』(500頁を超える大著)と『契約の神聖さ -住友信託 vs. UFJ事件-』(100頁ちょっとで新書に近いもの)を公刊されました(いずれも信山社)。
 私の方は、それには遠く及びませんが、(3月に活字になった不法行為の準拠法に関する献呈論文に続き)新たに下記の2本が活字になりました。ご笑覧いただければ幸いです(そのうち(年明けに?)拙稿リストに加えてリンクを張ります)。

 1.「地域的不統一法国の国籍を有する者の本国法の特定と同一本国法」千葉大学法学論集25巻3号1頁
 法適用通則法25条・32条の同一本国法を決定する際、各当事者につきいわゆる本国法の絞込みを先行させるのが法務省見解・通説ですが、2つの観点からそれを(特に、神前説については「理論的な深みがない」、道垣内説については「4つのプロセス論と一貫していない」という点で)批判して反対説(西説・石黒説)を支持したものです。既に、西賢先生からは「わが意を得たり」とのお礼状をいただいています。また、感動し、すっきりした旨の読後感をお知らせくださった新進の方もおられて、短いですがそこそこのレベルのものかと思われますので、ちらっと眺めていただければと思います。

 2.「債権譲渡の対第三者効力の準拠法をめぐる論証と学説理解の難しさ」千葉大学法学論集25巻3号27頁
 前半では、法例12条から通則法23条に至る過程での議論につき、法例の起草者の起草趣旨を確認したうえで、跡部説・石黒説を批判し、譲渡人住所地法への再改正を目論む河野論文をその論旨に密着して徹底的に批判しました(法務省に出向して法例廃止に尽力された大間知麗子弁護士からの理不尽な引用の仕方に基づく拙稿批判に対しても、64-66頁注57でその理不尽さが明白になるように書いてあります)。後半では、一転して、跡部論文に続いて法例12条を批判した久保岩太郞『国際私法論』(三省堂・1935年)における引用を手掛かりに、そこにおける主要な独墺学説についての理解を検証しました。地味ですが、このような作業を行うために研究者が存在するのだと思います。

 今回も、真っ先にお礼状をいただいたのは石黒先生でした。学恩が圧倒的に深いのも石黒先生であり、それ故に後者の拙稿では正面から、先生の『金融取引と国際訴訟』(有斐閣・1983年)のご議論を採り上げて批判しました(きちんと議論されている方がそもそも少ない、ということもありますが)。
 石黒先生は既に達観されていて、今回は畏れ多い評価を賜りましたが、凡庸な私としては少しずつ前進するばかりです。

 世の中は、世襲の弊害に埋め尽くされているのか、<「国民の生活が第一」(一番)後回し>かと思わされるような、現場無視のメチャクチャな状況が続いていて、他方、どこかでは着々と壊滅へのレールが敷かれつつあるような気がしないでもないですが、しぶとく天命に従って研鑚を続けるしかないのでしょう。

 では、皆様、よいお年をお迎えください。

2010年9月11日 (土)

第5回新司法試験合格発表

 ご無沙汰していました。この1年間は授業をしていませんので、授業評価に関する記事は今年はなしです。

 ところで、さる9日(木)、今年で5回目になる新司法試験の合格発表があったことは周知のとおりです。元フジテレビアナウンサーの菊間さんについて報道で大きく採り上げられていましたが、知り合いの先生の授業も受講しておられたそうです。

 毎年、いろいろと複雑な気分になりますので、今年からは情報の更新のみします(解釈は、ご覧になった方それぞれにお任せします)。個別に、合格者とは喜びを分かち合い、失敗した人とは無念さを共有することにします(今年の問題は、またパッとしないものに戻ってしまいましたね)。 

 1期(7名) : 06年4名合格、07年3名合格
 2期(9名) : 07年6名合格
 3期(15名) : 08年7名合格、09年2名合格、10年1名合格
 4期(13名) : 09年7名合格、10年2名合格
 5期(7名) : 10年2名合格

 今、民法(債権法)の改正に向けて法制審議会に部会が設けられていますが、法務省民事局は相変わらずのようですね。この関連で、最新の最重要文献を掲げておきます。ぜひ、お読みになってください。

 加藤雅信「民法典はどこにいくのか-その1 法制審の議論にみる民法典改悪への懸念」、「同-その2 比較法学の憧憬の地、西洋は、日本国民の安住の地か?」法律時報82巻9号86頁、同10号68頁(以上、2010年)。

 ちなみに、主体性の欠如、従来の自国法制度・法文化の継承の拒否といった夥しい問題点を抱える立法は、私の知る限りでも、もう長いこと続いています。3つのみ例示して、参照すべき文献のみ掲げておきます。

 ○平成12年:外国倒産処理手続の承認援助に関する法律
  ・石黒一憲『国際倒産vs.国際課税-牴触法的考察-』(信山社・2010年)
 ○平成17年:会社法
  ・岩原紳作「新会社法の意義と問題点」商事法務1775号(2006年)4頁
 ○平成18年:法の適用に関する通則法
  ・石黒一憲『国際私法の危機』(信山社・2004年)
  ・拙稿「国際私法の現代化における法例10条・12条関連の改正作業の問題点」千葉大学法学論集20巻2号(2005年)93頁
  ・拙稿「法適用通則法17条(不法行為の一般則)における『結果』の解釈」千葉大学法学論集24巻3・4号(2010年)117頁

 司法も巻き込んだ激しい権力闘争の様相ですが、大混乱はまだまだ続きそうですね。

2010年4月26日 (月)

隠れた反致-「判例法としてすでに確立」は本当?

 地球温暖化どころか、近いうちに氷河期がやってくるのではないかと(冗談で)言っているほど、寒い日がこの冬から春にかけて続いていますが、皆さん元気にしているでしょうか? 雪国に行った修習生は、大丈夫だったでしょうか? 片や、新司受験生には、いよいよ本番、という感じなのでしょうね。

 今月は、私事で若干慌ただしくしているのですが、東洋経済新報社の風間直樹さんが書かれた、(『雇用融解-これが新しい「日本型雇用」なのか』(東洋経済新報社・2007年)に続く新刊である)『融解連鎖-日本の社会システムはどこまで崩れるのか』(東洋経済新報社・2010年)を拝読して、関心をもたれる方には(受験生は受験後に)ぜひお読みいただきたいと思いました。

 第Ⅰ部の「雇用融解第2幕」に書かれている、偽装請負の「告発者」が必ずしも報われておらず裁判所が異様に冷たいことにも憤然としますが、従業員たちが自分たちの利益に反するような労働組合へ解雇をちらつかされて事実上強制的に加入させられる実態など、卑劣な人間たちはこんなことまで平気でするのかと、読んで唖然とします。
 さらに、日本のシステムが壊れていっているのは雇用にとどまるものではもちろんなく、第Ⅱ部で視野を広げて以下の諸点があぶり出されています。
 「まえがき」から、引用します。

前著刊行から3年、そうした働く現場をさらに深堀りすることで見えてきたのが、「働いて生活すること」を支えてきた基盤である、この国の社会システム全体がすさまじい勢いでメルトダウン(融解)を起こしている姿である。
 「派遣切り」で図らずも明らかとなった、非正社員が安定した住まいを確保することが想像以上に難しい「ハウジングプア」問題(第5章)、かつては都市労働者のセーフティネットの役割を果たしていたはずの生まれ故郷の地域社会。その多くは、医師が去り救急の火が消え、第一次産業も自営業も厳しく、八方塞がりの状況にある(第6章、第7章)。さらには財源不足と構造改革のダブルパンチに公共現場からも悲鳴が上がる。その第一線を支えているのが「官製ワーキングプア」という現実(第8章)。果たしてこれが目指すべき日本型社会だったのだろうか-。

(風間・前掲ⅶ頁)

 机上の空論に取り憑かれた者たちによって多くの面で破壊され続ける我が国の姿に、重苦しい気分になります。このような状況に囲まれて、(私を含め)多くの人が鈍感になっていってしまうような気にもなり、麻痺しきらないうちに何とかしないと、と思いますが・・・(事業仕分けとか、外国人参政権とか、選択的夫婦別姓とか、そんなことに重心を置ける状況なんでしょうか??)

 「あとがき」にも極めて重要なことが書かれていますので、引用します。

 議論が持つ力への信頼、という点に関していえば、……公労使が正面から議論を戦わせるという労働政策審議会のあり方そのものについては、高く評価している。その対極に位置するのが、自公政権下で車の両輪となって労働者派遣の完全自由化など規制緩和を主張してきた、経済財政諮問会議と規制改革会議だ。その主張の内容以上に問題なのが、両者に一貫した「異論は排除」の方針だ。本文で触れたとおり、例えば内閣府の規制改革会議は、委員会から会議への格上げ時に労働側の代表を排除し、逆に人材サービス業界のトップを一度に2人加入させている。……

(風間・前掲 275-276頁)

 本当に議論は大事で、現在、法務省から国会に提出されている国際裁判管轄立法に関する民訴法の改正案(衆議院先議)では、法制審議会国際裁判管轄法制部会における議論によって、「国際的訴訟競合」について承認予測説をベースにした「たたき台」の提案が斥けられています。これだけは、本当によかったと思っています(部会の座長さんによると、私のように上記提案に反対するような者は「学者」ではないのだそうですが、私は肩書のみで生きているわけでもありませんので、それでもかまいません)。

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 さて、今月初旬に刊行された『平成21年度重要判例解説』(ジュリスト臨時増刊1398号)で、「米国人夫婦を養親とする養子縁組といわゆる隠れた反致」(青森家十和田支審平成20年3月28日の解説)という拙稿が活字になっています(同書 327頁)。判例解説として書くべきことは全てそこに書いてありますが、そこで書くほどではないがそこそこ重要だと思えることがありますので、ここに書いておきます(有斐閣はさすが老舗という感じの手堅い仕事ぶりで、スピード重視のTKCとは好対照ですね)。

 「隠れた反致」については、これを認めた公表事例が、米国人に関するもので20件近くあります。したがって、「これを認めた裁判例は『多い』」という程度の記述であれば、事実ですので、特に問題はありません。
 しかし、「判例法としてすでに確立しているといえなくもない」(山田鐐一『国際私法(第3版)』(有斐閣・2004年)73頁)とまで書かれると、さすがに筆が走りすぎだと思われます。

 実は、判例体系の冊子体のものにおける「隠れた反致」の項目に整理されているもの以外にも、理論的にはそれが問題になるはずなのにそれに触れずに端的に米国の州法を適用しているものも結構あります。そして、重要判例解説で引用した、司法研修所編『渉外養子縁組に関する研究』(法曹会・1999年) 135頁は、(平成3年から平成7年までの5年間に申し立てられ審判に至った-4月30日追記)未公表事例も含めた分析から、山田・前掲とは逆の意味の記述をしています。

 どうしてこのようなことが起こるかといいますと、(5年ほど前まで数年間『判例体系国際私法編』の財産法の方の要旨作成などをしていた経験からの単なる推測にとどまりますが、ご参考のために書きますと)「隠れた反致」という項目に整理される公表事例は、それを肯定したものは当然として、その他には、(基本的に)その問題があることを指摘しつつ反致を否定したものに限られていると思われるからです。逆に言うと、「隠れた反致」に触れずに端的に州法を適用している事例については、(理論的にはこれを否定していることになるのですが)審判文にはこの問題が明示されていないために、「隠れた反致」の項目に入れないということがあり得るためです。
 それぞれの裁判例の要旨を、多数ある項目のうちの(事例によっては複数の)どの項目を睨んで作成するかというのは、結構微妙な場合もあり、時間的に全体を通して見ると、なかなか悩ましいところがあります(一緒に作業していた方々には申し訳ないとも思いますが、早々にこの作業から解放されて、よかったとも思っています)。

 では、もう一踏ん張りですよ。体調を崩さないように。

2010年3月23日 (火)

国際不法行為に関する2拙稿

 不法行為の準拠法の決定に関する拙稿が2本、続けて公表されました。もし関心のある方がおられましたら、ぜひご笑覧いただきたく思います。

 1.「外国取材旅行先での日本人間の同乗事故と賠償請求の準拠法・公序」(福岡高判平成21年2月10日判時2043号89頁) 速報判例解説・文献番号z18817009-00-160010435(Web版2010年3月8日掲載)
 アルゼンチン法を準拠法としつつ損害賠償の範囲につきその適用を公序違反とした本判決に対して、そもそも日本法を準拠法とすべきであったと主張したもの(最近、牴触法の議論のレベルが下がってしまって、公序則が安易に発動される傾向が見られるのは、由々しきことです。それにしても、TKCの作業が早いのには驚きました)。

 2.「法適用通則法17条(不法行為の一般則)における『結果』の解釈」千葉大学法学論集24巻3・4号 117頁
 これについては、前回の投稿に骨子を書きました。スイスやドイツについては、短くまとめ過ぎたかもしれません。もっとも、私は輸入業者ではありませんので、それらを必要以上に紹介することには関心をもてないのです。

 話は換わりますが、強い印象を残すものは他分野のもので、例えば、宇沢弘文=内橋克人『始まっている未来 新しい経済学は可能か』(岩波書店・2009年)には卑劣な人間の話がいろいろと出てきますし、堤未果『ルポ貧困大国アメリカⅡ』(岩波新書・2010年)には教育・社会保障・医療などで破滅的な米国の惨状が詳細に紹介されています。

 やはり、当分は、混乱が続くのでしょうね。

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