月が変わって気分一新,久々に更新します。
実は,思うところがあり,(デザインなど少し変えたものの)更新は控えておりました。それでも,レポート等の関係で検索してふと立ち寄られる人でもいるためでしょうか,(過疎地である国際私法を中心に雑感を書き留めるだけのブログでもあり)たいして多くないアクセス数ながら,ほぼ安定して落ちないのは意外でした。
前期の授業も好評のうちに(惜しまれつつ??)終わり,今年の新司法試験の第2問の特に設問2は「なんだかなあ~」などといった話をし,今年こそは早々に自分の時間を確保しています。
司法修習も3分の2が過ぎたあたりでしょうか,大地震があったりで,直接連絡をとったりはしないものの,気にはなるもので。。。
まあ,今日は,どなたもあまり関心をおもちではないでしょうが,近況を中心に。。。
極めて軽い話から始めますと・・・
国内でCD化されていなかった,カラヤン指揮BPOによるシューマン「序曲,スケルツォとフィナーレ」が手に入り,しばらく聴いておりました。シューマン特有の暗い情熱と執拗に繰り返されるリズムに,最初は他の曲に増して人を寄せ付けないような壁を感じて何度か途中までいって跳ね返され,そのうちにそこで描かれているものに共振し始め,なぜか胸が詰まってきて・・・(軽くない,か?)
でも,シューマンを聴くなら,名曲がいくらでもあり,そちらの方がずっといいです。
もっと軽い話を・・・
月曜8時のTBSドラマ「あんどーなつ」,いいですねえ。今年は,大河にも関心をもてず(一昨年までのように観なくなり),「ちりとてちん」も3月に終わってしまってからはドラマは観ておりませんでしたが,たまたまこのドラマの宣伝番組(初回の再放送?)を観て面白そうだったので第2回からずっと観ています(和菓子,好きだし)。
基本に忠実に当たり前のことを当たり前に繰り返し繰り返ししつつ高い水準のものを安定して作り続ける<職人の地味な凄み>(とでも言うのでしょうか?),あるいは,師弟間でなかなか伝わらない思い,といったものが,1時間ドラマという制約の中でそれなりに(重くなりすぎないように爽やかに)描かれていると思います。これは,おすすめ!(あまり・・・軽くない,か?)
話を換えて・・・
小林よしのり『パール真論』(小学館・2008年)を読みますと。。。「パール判決書」をめぐって面白い状況が生じているらしいですね。
実は,私は,以前,東京裁判研究会編『共同研究パル判決書(上)』(講談社学術文庫・1984年)を読んで挫折したことがあります。もっとも,ご承知のように(?)「国際私法」は,国家間の関係の規律を中心とする「国際法」とは全く異なるものですし,私は「国際法」は苦手ですので,無理ないと思いますが,215頁まで解説を読まされるのでかえって判決書に素直に入っていけないという面もありました。
しかし,パール判決書は,当時の中立的な位置から書かれた文字どおり第一級の文献ですから,日本人としての自覚のある者は,必ずこれを読むべきですし,(私自身のことを付け足せば)今年を逃すと専門外の高度かつ大部の文献を読む余裕はもうないかもしれないと思われるところから,少しずつ読み始めています(つまり,前掲書の219頁から『同(下)』の745頁まで,ということになります。ちなみに,まだ,第3部を読み終わったところです。時間のとれる日の午前中に,翻訳が分かりにくいところは原文に照らしたりしつつ,です)。
レベルが高いので,法科大学院を修了して試験後の「まな板のコイ(蛇の生殺し?)」状態の方がこの時期じっくり読むのに最適だと思いますが(「国際法」の素養はなくても大丈夫ではないかと思います)。
お気づきのことでしょうが,ブログ・タイトルに付した一文を,佐藤一斎先生のものから,このパール判決書の結語に変えました。今年は,東京裁判終結から60年であるだけでなく,いよいよ米国の覇権が終わりそうでもあり,この語がピッタリだと判断しました。但し,小泉・竹中路線で酷く痛んでしまった我が国の方が,米国発の大波の影響を大本よりも強く受けてしまう危険が高いとの観測もありますので,とにかく首を引っ込めてうまく回避したいものですが・・・
構造改革路線は全く評価しませんが,1点だけよい結果につながったことは,おかげで,もう6~7年前になりますか,戦前・戦中・戦後占領期の歴史に興味をもって勉強して,高等教育までに刷り込まれていた自虐史観が解けたことです。
その頃,学科で基礎ゼミをもたされて,最終回に以下のような推薦文献リストを配付しました。当時は危ないことをしているような気もしていましたが,別に読むことを強制したわけでもないし,今となってはそう悪くなかったのではないかという気がします。もっとも,誰も読んでくれなかったでしょうけど・・・(以下,書名のみ挙げておきます。ご参考まで。)
○「民主主義」・「人権」に関するもの
①長谷川三千子『民主主義とは何なのか』(文春新書・2001年)
○グローバリズムに関するもの
②ジョゼフ・E・スティグリッツ(2001年ノーベル経済学賞受賞)
『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(徳間書店・2002年)
○東京裁判に関するもの
③田中正明『パール判事の日本無罪論』(小学館文庫・2001年)
④清瀬一郎『秘録東京裁判』(中公文庫・1986年)
⑤児島襄『東京裁判(上)(下)』(中公文庫・1982年)
○台湾に関するもの
⑥蔡焜燦『台湾人と日本精神』(小学館文庫・2001年)
⑦黄文雄『台湾は日本人がつくった』(徳間書店・2001年)
○その他
⑧古森義久=井沢元彦=稲垣武『朝日新聞の大研究』(扶桑社・2002年)
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そう言えば,忘れていましたが,もう1点書いておきます。
国際裁判管轄の立法をするのだということで,(法例廃止の際と同様にまたまた)法務省の委託により商事法務研究会に「国際裁判管轄研究会」なるものができ,その報告書がNBLに連載され始めました。5月の国際私法学会では,(事前にメーリングリストで配付されたものの)ほとんど触れられず,でしたので,今度の学会ではこれを検討の中心に据えるのでないと怠慢だということになると私は思いますが,大半の方が逃げてしまうのでしょうねえ。。。
中身はじっくり検討させてもらうこととして,今回は瑣末な点を1点だけ採り上げます。
同誌883号(2008年)36頁に,編集部「『国際裁判管轄研究会報告書』のとりまとめについて」というのがあり,その中に以下のような記述があります。
企業等に対するアンケート調査や,各種団体に対するヒアリングも行っている。
(中略)
研究会におけるアンケート結果においても,予測可能性および法的安定性の確保のため,国際裁判管轄に関する規定を設けることが望ましいとの意見が多数であった。
(以上,前掲頁)
今回は,実務のニーズをきちんと調査しているようで。。。と思って,報告書(1)を見てみると,
経営法友会の協力を得て,同会に所属の企業に国際裁判管轄に関するアンケートを実施した。
そのアンケートの結果であるが,957社にアンケートを配布したところ,回答を寄せたのは,37社であった。まず,規定の要否については,規定を設けるべき,あるいは設ける方が望ましいとする意見が25社と多く,その理由として,予測可能性,法的安定性の確保を挙げるものが多数である。他方,規定は不要であるとする意見は,1社にとどまった。
(以上,前掲38頁)
「回答を寄せた……37社」中「25社」と考えれば,67.6%で3分の2をかろうじて超えていると見えますが,(回答率は 3.9%にすぎず)配布数の「957」を母数とすれば 2.6%しかありません。これは,ほとんど無関心ということではないのでしょうか? これで,予算を使って立法するんでしょうか?(「無駄ゼロ」との関係は,どうなるのでしょう?)
アンケートの項目と具体的な選択肢,選択肢ごとの回答数を公表すべきではないのでしょうか? 各法科大学院が細かい数値を公表させられているのと比べると,あまりにも貧弱ではないでしょうか?
まあ,暑いので,このへんにしておきます。
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