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2008年12月28日 (日)

「国籍法3条1項等改正法」法制審総会議事録など

 昨晩も(!),女子フィギュアスケートの浅田真央さんの演技,特に最終盤のステップ,凄かったですね(曲もピッタリで)。対照的に,安藤美姫さんには不運が重なっているようですが,数年前の顔つきとは明らかに変わっていて,芯の強さを感じるようになりました(クラシックを聴き続けている者としては,曲が難し過ぎるような気がするのですが・・・)。

 昨27日(土)に,24日(水)の参議院法務委員会の会議録(第7号)が参議院の会議録情報(30日以内に参議院で行われた会議)のページにアップされたのですが,4日(木)の採決時の会議録(第6号)は未だにアップされていません。国籍法一部改正法が施行されてから公開,ということなのでしょうか? どのようなものになるのか,後学のために興味があるのですが。。。

 さて,国籍法一部改正法(案:当時)については,法制審議会の総会を通っているとのご意見を先日伺ったところですが,その内容を貼り付けておくことにも意味があるかもしれませんので,今さらですが以下に示しておきます。なお,「議題」は直後にあるように2つの諮問についてであり,これらについては部会が設けられ審議が始まっています(国籍法については,「報告」事項とされていて,この時点で相当の問題意識のある方が何人かおられたというわけでもなかったために,そのままになってしまったというところではないでしょうか)。

(以下,08年9月3日法制審議会総会議事録から転載)
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                   法制審議会
                    第157回会議 議事録

第1 日 時  平成20年9月3日(水)    自 午後1時32分
                        至 午後2時27分

第2 場 所  法務省大会議室

第3 議 題
  1 主権免除法制の整備に関する諮問第85号について
  2 国際裁判管轄法制の整備に関する諮問第86号について

第4 議 事 (次のとおり)

                    議        事

 (中略)

○倉吉幹事 それでは,国籍法の改正に関しまして,御報告を申し上げます。
  委員の方々も御承知のとおりと思いますが,本年6月4日,国籍法第3条第1項が違憲であるという最高裁判所大法廷判決が言い渡されました。これは,国籍法第3条第1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合に限り,届出による日本国籍の取得を認めていることにより  ,国籍の取得について,嫡出子と非嫡出子に関する区別を生じさせていることは,憲法第14条第1項に違反するというものでございました。これを受けまして,現在,法改正を行う準備を進めているところでございます。
  国籍法は,言うまでもなく国家の構成員としての資格を規定する重要な基本法でありますので,その改正をするに当たっては,本来であれば,法制審議会で十分に御審議いただき,その御意見を賜るべきところでありますが,今回の改正は,最高裁判所判決で違憲とされた条文を改正するというものですので,法制審議会での御議論を賜ることなく改正法案を国会に提出させていただきたく,この場をお借りいたしまして,改正法案の概要について,御報告させていただきたいと存じます。
  お手元の配付資料3を御覧いただきたいと思いますが,今回の改正法案は大きく分けて3つの柱からなっております。
  まず,1点目は,国籍法第3条第1項が,出生後に日本国民から認知された子が届出によって国籍を取得することができる場合について,父母が婚姻し嫡出子たる身分を取得した場合に限っている点につきまして,「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した」という要件を削除し,出生後に日本国民から認知された子は,父母が婚姻していなくても,他の要件を満たす限り,届出により日本国籍を取得できることとするというものでございます。
  2点目は,国籍法第3条第1項による届出につき,虚偽の届出をした者について,罰則を新設するというものです。これは,認知が届出によって容易にできるものであって,子に日本国籍を取得させる目的で虚偽の認知をするというケースが増加することが懸念されますので,虚偽の届出をした者を罰する規定を新設しようというものであります。
  最後に,必要な経過規定を設けるというものです。具体的には,日本人に認知された方のうち,これまでに届出をしていた訴訟の原告と同じような立場の方が国籍を取得できるようにするというものと,これまでに届出をしていなかった方が20歳を超えてしまった後であっても,一定期間は届出期間の猶予を認めるというものでございます。
  施行期日については,公布の日から20日を経過した日とすることとしております。
  以上が改正法案の骨子になります。
  なお,御承知のとおり早期解散という声も出ておりますが,我々事務当局といたしましては,この改正法案をできるだけこの臨時国会の早い時期に提出させていただきまして,早期の成立を目指して努力したいと考えておりますので,御理解をいただきたく存じます。
  よろしくお願いいたします。
○青山会長 国籍法という日本国民たる資格を定めた大変重大な法律ですけれども,最高裁において違憲とされた部分だけを改正するという内容でございますので,法制審議会に今のような形で御報告をして,御了承を賜って,速やかに法律改正したいというのが法務省のお考えでありますので,今の点について御了解をいただければと思いますが,何か質問はございますでしょうか。
○川端委員 改正法案の骨子の中で,罰則の新設ということが挙げられておりますので,刑事法の観点から意見を述べさせていただきたいと存じます。
  新設する犯罪行為は形式犯ということになろうかと思いますが,実質的には,国籍を違法に取得して不法滞在を行う場合の脱法行為的な要素も入ってくると思われますので,そこの当罰性の内容をどういう場合にお考えか御説明いただいた上で,ほかの刑罰との法定刑との関連でバランスをどうとるのかという点についてお教えいただきたいと存じます。
○倉吉幹事 現行法の刑事罰の枠組みについてでございますが,御承知のとおり,まず認知届を出しますと,認知者である日本人男性の戸籍に,子を認知した旨の記載がされます。実は父親でも何でもないのに認知をしたとの届出をし,これが戸籍に記載されると,公正証書原本不実記載罪に該当し,5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
  それから,今度は外国人の子のお母さんが,虚偽の認知の事実が記載された日本人男性の戸籍謄本を法務局に持って行き,国籍法第3条の国籍取得届を提出いたします。そうすると法務局のほうで,これに基づいて国籍取得証明書という紙を出します。
  その国籍取得証明書を持って,今度はお母さんがまた役場のほうに参ります。そこで,今度はその子供が国籍を取得したとして,戸籍法に基づき届出をし,その子供の戸籍をつくりますが,その役場での虚偽の届出についても,戸籍に虚偽の記載をさせたということで公正証書原本不実記載罪に当たるわけでございます。
  つまり,入口と出口はきちんと公正証書原本不実記載罪で処罰されることになります。そこで川端先生がおっしゃったとおり,真ん中の法務局から国籍取得証明書という紙をとる,嘘をついてとってしまうというところは,言わば形式犯ということになるわけでございますが,しかし,この今申し上げました真ん中の国籍法上の国籍取得届がされますと,それだけでは戸籍への記載はされませんけれども,法務局等の内部での事務の適正や信頼は害されることになります。そういうことから,前後の役場への届出とは別に固有の罰則を設ける必要はあるだろうと思っているわけでございます。
  また,前の認知届を出して,戸籍に認知の記載がされたときに,公正証書原本不実記載罪で処罰されるから新たな罰則は不要ではないかという疑問もあろうかと思います。しかし,認知届の届出人は,これは父親でございます。今申し上げました国籍取得届の届出人というのは,原則として母親であり,子供が15歳以上であれば,子供が1人でやれるということになります。そういう父親と母親又は子供との間の共謀が立証できない場合には,公正証書原本等不実記載罪で母親や子供を処罰することができません。そうすると,後のほうしか手がないということになります。
  それから,認知届について,これもまれなケースかもしれませんが,公訴時効が完成するという場合もございます。そういったことで,公正証書原本不実記載罪での処罰ができない場合というのもあるわけでございます。
  さらに,これが実質的な理由でございますが,今回の法改正で,両親が婚姻していなくても,届出による国籍取得が可能となったことから,虚偽の認知等に基づく不正な国籍取得の届出がされる危険性は高まるだろうと思われます。
  こういったことに対処するということも含めまして,今,申し上げた,独自にこの真ん中の場面について処罰する必要性があるということと,それから,一般的な抑止的効果の期待から,この新たな罰則を設けるということにいたしました。
  今考えている法定刑の関係ですが,形式犯ということで,まだ最後の詰めを行っているところでございますけれども,1年以下の懲役又は20万円以下の罰金といった程度のものを考えております。
  ちなみに,先ほど申し上げました公正証書原本不実記載の場合には,5年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっております。
  以上でございます。
○青山会長 川端委員,いかがでございますか。
○川端委員 懲役刑も入るとなると,かなり厳しい面もありますので,私はそれで賛成でございます。
○青山会長 ほかに国籍法の一部を改正する法律案に関する先ほどの御報告につきまして,御質問,あるいは御意見はございますでしょうか。
○佐々木委員 ちょっと分からないので教えていただきたいのですけれども,先ほどの御説明ですと,認知届の届出人が父親で,国籍取得届の届出人が母親であるという想定をされていましたが,一般的な想定はそれで問題ないのだと思いますが,文章になるときに,これが母でなくてはいけないというふうに書かれることがあるのでしょうか。
  また,届出人というのは,書類を書く人のことを言うのでしょうか,それとも,実際に届けに行く人のことをいうのでしょうか。さらに,例えば母親が亡くなった場合はどうのようになるのでしょうか。
  なぜ,このような質問をするかと申しますと,法律を変更した場合に,もしかするとこんなに悪いことが起きてしまうかもしれないということが目的で,先ほどの刑罰についても話されましたが,本当に実際正しくやっているのに,届出の何か新しくできた法律に,皆の思い込みで一般論で何か余計に書いてしまうことによって,本来なら届出ができる人なのにもかかわらず,届出ができなくなることを防ぎたいと思ったためなのです。
○倉吉幹事 まず,今改正しようとしている国籍法第3条1項の条文ですが,これはどういうふうに書いているかといいますと,「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のものは,」というふうに,主語が子供になっております。しかし,15歳未満の子の場合には,法定代理人がやるということになります。
  その法定代理人が普通はまだ父親が認知しただけということになれば,産んだお母さんが法定代理人になることが多いわけです。
○佐々木委員 私のポイントは「法定代理人」と書けばいいのではないかと思っているだけなのです。「母親」と書くということが,将来何か制限してしまうことになって,誤解を呼ぶのであれば,「法定代理人が」と書けばよいのに,「母」と書かれると,逆にそれが何か制限をしてしまって,申請がしにくくなるという家庭が生まれはしないかという懸念なのです。
  ですから,法定代理人であることに全然問題ないのですけれども,「母」と書くことが何かの制限になる可能性がないかなという質問です。
○倉吉幹事 一般論として御説明しているところでありまして,法律にはそのようなことは何も書いておりません。法定代理人になると書いてあるだけです。
○青山会長 よろしゅうございますか。
  どうぞ,佐藤委員。
○佐藤委員 ヨーロッパでは結婚しないで子供を産むということがもう割と普通に行われていますけれども,日本の場合は,今そういうことではないですよね。そうなった場合に,ここは本当に差がないというのか,日本において海外のお子さんが,父親が日本人で,母親が外国人の場合,認知するしないで,結婚するしないで対応に差はないのでしょうか。認知したら扶養義務というのは生じるのでしょうか。
○始関関係官 生じます。
○佐藤委員 生じますか。そうしたら,現実的に考えて,たくさんの子を例えば認知するということはできないという理屈にきちんとなっているのでしょうか。
○倉吉幹事 それは理屈の問題ではなくて,事実の問題だろうと思うのです。
  今,おっしゃられたことは,とことん突き詰めていくと,この最高裁判決の判断が本当にこれで日本の社会風土に合っているのかという議論にもなってしまうのかなと思われます。この国籍法の規定というのは昭和59年にできた規定なのです。そもそも昔はお父さんが日本人である場合にのみその子供は日本人だと言っていたのが,お母さんが日本人であってもいいということになり,父母両系血統主義を採用いたしました。そのときに,それでは日本人の父親が認知した子も何とか簡単に国籍を認められるようにしようということで,それまで帰化によるしかなかったところ,届出により国籍を認めることとしたものです。
  しかし,昭和59年当時は,父親が認知をしただけでは日本との結び付きが薄いため届出により国籍を認めるのは相当でないということで,両親が結婚した場合に限りこれを認めるというふうにしたわけであります。
  立法当時はそれについて,余り問題にされることはなかったと思いますが,その後,これが嫡出子と非嫡出子を差別する,つまり憲法14条1項に違反するのではないかという議論が出まして,幾つか訴訟が起こりました。
  その最高裁判決が6月4日に言い渡されたわけですけれども,この事件の原告たちのうち一番早い方は平成15年2月ころに国籍の届出をしていました。最高裁判決は,遅くとも本件の原告が届出をした当時においては,国籍法第3条の規定は  ,憲法違反になっていたと。その根拠は,国民の意識が変わった,それから今先生がおっしゃったように,諸外国でも法制が変わり,最初は結婚を要件にしていたのを外して,認知さえすれば国籍の取得を認める法制をとる国も多数出てきた。そして,嫡出子・非嫡出子をめぐる伝統的な見方というのがだんだん変わってきて,国民の意識も変わってきたではないかと。最高裁判所はそういうことを根拠にいたしまして,この規定は憲法第14条第1項に違反するんだと,こういう結論を導いたわけでございます。
  ですから,最高裁判所でそういう御判断が出た以上はそれに応じて法律の改正をすべきことになりますが,社会学的には非常に面白い問題だろうとは思います。

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(以上,08年9月3日法制審議会総会議事録から転載)

 平成元年の法例改正から2年前の法例廃止→法適用通則法制定まで,法務省は国際私法(準拠法選択)の基本を一貫して軽く扱っていますが,今般の国籍法一部改正法でも同様の印象をもっていることは前に書きました。
 なお,「配布資料3」も貼り付けておきます。

(以下,08年9月3日法制審議会総会配布資料3
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     国籍法改正について
                    平成20年9月3日
                      法務省民事局

1 改正の概要
 国籍法第3条第1項が,出生後日本国民である父に認知された子は,父母が婚姻した場合にのみ届出によって日本の国籍を取得することができるとしているのは,憲法第14条に違反するとの最高裁判所判決(平成20年6月4日)があったことにかんがみ,父母が婚姻していない子にも届出による日本の国籍の取得を可能とすることなどを内容とする法改正を行う。
(参考)国籍法
 第3条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
 2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

2 改正法案の骨子
(1)第3条第1項
   父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したこととの要件を削除する。
(2)罰則の新設
   虚偽の届出について罰則を新設する。
(3)経過規定
   必要な経過規定を設ける。
(4)施行期日
   公布の日から20日を経過した日とする。

3 今後のスケジュール
  次期臨時国会に法案提出予定

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(以上,08年9月3日法制審議会総会配布資料3

 法務局もさることながら,在外公館(特に,中国,韓国,ブラジル,フィリピンなど,日本との関係の深い諸国にあるもの)における運用について,万全が期され得るのでしょうか??

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コメント

森田先生

あけましておめでとうございます。
国籍法改正案は施行されましたが、
まだまだ腐らず、頑張ろうと思います。

これからも宜しくお願いします。

投稿: む | 2009年1月 5日 (月) 22時58分

むさん

 コメントありがとうございます。明けましておめでとうございます。
 当面,法務省の関係部局が厳格な仕事をしてくださることを期待します。心ある方も,多くおられるはずですので。

 ただ,それとは別に,さらに勉強を続けましょう。

投稿: 森田博志 | 2009年1月 6日 (火) 23時06分

国籍法が改正された後は、認知裁判などで厳しく親子関係の認定がされるのでしょうか。
これまでは、特別在留許可がおりるかどうかという問題だったので、親子関係の認定もきびしかったのではないですか。
http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2008/12/post-d617.html
ここを読むと、無責任な日本人の父は、DNA鑑定に出てこないので、DNA鑑定を法律に盛り込むことはよろしくない、との考え方のようです。
だけど、それは私の持つ懸念にちっとも答えてくれないのです。
つまり、偽装したい父が無責任な父のふりをしても、見抜けないからです。
それに、渡航歴がないから父親ではありえない、などという判定ができるとは限らない。向こうに渡航歴があればいいのですから・・・
それから国籍法改正に賛成の方々、頭の良い方や地位のある方もたくさんいますが、隣にとんでもない、信用できない、人権無視の国があることを全然考慮してはいません。
逆に、そんなことを考えるのは人種差別だといわんばかりです。私だってそんなことは本当は言いたくないですが、チベットや台湾の例もあるし、国内にも深刻な人権侵害がある。
そして報道規制によって日本国内では最近までそんな情報はほとんど見ることができなかった。
えらい法律家の方々が「いい子」でいたいのはわかるのですが、「いい子」の国でいたばっかりに、酷いことにならないのを祈るばかりです。
乱文失礼しました。

投稿: | 2009年1月 7日 (水) 11時04分

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