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2009年3月

2009年3月29日 (日)

船舶先取特権の準拠法(追記)

 最近は,学事が一段落すると体調を崩すようになってしまい,年末年始に引き続いてダウンする羽目になり,25日(水)午後の修了祝賀会にも(この時期に風邪をうつしたりしてはいけないので)出席を見合わせるという淋しいことになってしまいました(打ち上げとか祝勝会とか,また呼んでください)。

 昨28日(土)午後には,3月7日(土)「船舶先取特権の準拠法に関する最近の裁判例」でご紹介した論文を書かれた,松井孝之弁護士と黒澤謙一郎弁護士が,わざわざ千葉大まで来てくださいました(活躍されている弁護士さんは,フットワークが軽いので,感心してしまいました)。貴重なお話を伺えて,たいへん勉強になりました。

 まず,船舶先取特権の準拠法につき成立・効力とも法廷地法によった東京地決平成4年12月15日判タ 811号 229頁は,(本来公表されない類の決定であったところ)公表されてそれなりによくできたものであったことから,裁判所には相当の説得力を有していたとのこと。
 ところが,(松井弁護士のご説明を素直に受け取ると)上記の決定に「疑問がある。また,その理由づけには事実に反する点がある。」とした拙稿〔判批〕ジュリスト1051号(1994年)126頁を発見して裁判所に証拠の1つとして提出されたところ,拙稿は,裁判所が上記の決定の事実上の拘束から逃れるのに影響力があったようです(ただ,上記決定の立場=法廷地法説を覆しただけであって森田説が採用されるところまではいっていませんので,そこまでの影響力しかなかった,という言い方もできると思います。この拙稿については,2008年10月24日(金)「判例評釈のツボ(我流です)」もご参照ください)。

 次に,海事の世界は狭いので,松井チームの片手に余る戦果を判例集に掲載して公表する,ということができないのだそうです(NBLのご論文のように抽象化した形で公表するのがギリギリとのことです)。
 ということは,私たちが判例として理解しているものが本当に裁判所において定着した取扱いであるのか,少なくとも船舶先取特権の準拠法については相当に疑問が残る,ということになりますね。
 この問題は他分野にも存在しているはずの大きな問題で,ここで簡単に論じられるようなものではありません。ただ,「判例」について論じる際には,常に頭の片隅に留めておくべきではありますね。

 勉強の種をたくさん頂戴しましたが,何かが生まれてくるでしょうか?

 では,ちょっと頭が痛いので,このへんで。

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2009年3月17日 (火)

国際裁判管轄研究会報告書に対する批判論文

 国籍法(旧)3条1項を違憲とする大法廷判決と,それを受けて立案され本年1月1日に施行された国籍法一部改正法について,重要な文献がほぼ出揃った感がありますので,近々書きます。

 本日は,法制審議会で立法作業が進んでいる国際裁判管轄について,その作業のたたき台である「国際裁判管轄研究会報告書」の一部に対する(実質的には全体にも関わる)鋭い批判論文である,藤下健「国際裁判管轄研究会報告に関わる若干の問題点について」判例時報2028号(2009年)3頁を採り上げます。

 私自身,立法作業の前提についてそもそも疑問があり,昨08年8月に以下のように書いておりました。

(以下,08年8月1日(金)「パール判決書はいかが?」から転載)
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経営法友会の協力を得て,同会に所属の企業に国際裁判管轄に関するアンケートを実施した。
 そのアンケートの結果であるが,957社にアンケートを配布したところ,回答を寄せたのは,37社であった。まず,規定の要否については,規定を設けるべき,あるいは設ける方が望ましいとする意見が25社と多く,その理由として,予測可能性,法的安定性の確保を挙げるものが多数である。他方,規定は不要であるとする意見は,1社にとどまった。

(以上,前掲〔上記報告書(1)NBL883号(2008年)〕38頁)

 「回答を寄せた……37社」中「25社」と考えれば,67.6%で3分の2をかろうじて超えていると見えますが,(回答率は 3.9%にすぎず)配布数の「957」を母数とすれば 2.6%しかありません。これは,ほとんど無関心ということではないのでしょうか? これで,予算を使って立法するんでしょうか?(「無駄ゼロ」との関係は,どうなるのでしょう?)
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(以上,08年8月1日(金)「パール判決書はいかが?」から転載)

 ただ,それ以上は,報告書の中身に立ち入っていませんでした。その理由は,以下のとおりです。

 法例改正のたたき台であった,法例研究会『法例の見直しに関する諸問題』(別冊NBL)については,一部に,杜撰な資料が掲げられたり,先行業績に対する正確な理解を欠く恣意的な議論がなされたりしていましたが,それでもまだ(諸外国の立法例だけでなく)従来の裁判例も不十分ながら示されていました(そのようなそれなりに評価できる点があったからこそ,徹底した批判も可能なのでした)。これに対して,上記管轄研報告書は,従来の裁判例を提示して分析するという姿勢がほとんど全く見られず,他に追究すべきことがいろいろとある者にとっては,まともな批判的検討をする気持ちが生じないものであります。

 さて,藤下判事は,まず,国際的訴訟競合について,上記報告書(6・完)の第7の2(NBL888号(2008年)72頁,78頁)が,ヨーロッパ諸国で採用され我が国の通説でもある承認予測説に基づく立法を提案するものと読み込まれます(藤下・前掲3頁。確かに,その点に付されている注2(上記報告書・79頁)には,承認予測説を採用するものと読める「ヘーグ1999年草案」21条1項と,東京地判平成元年5月30日判時1348号91頁しか引用がありません)。
 この立法提案に対して,裁判官としては国際裁判管轄についての「特段の事情」論の枠組みでの処理が「平易かつ自然」であること,我が民訴法の母法であるドイツ法の移送等の規律と我が民訴法のそれとが前提を異にすること,我が国における国際的訴訟競合の解決が最も必要だと考えられる相手国は(承認予測説によるのでなく)柔軟な規律をしている米国であることを指摘されています(藤下・前掲3~4頁)。

 さらに,注12では,「報告書(6)がくだんの箇所で注(10)の⑪判決〔前掲東京地判平成元年5月30日-引用者注〕のみを引用しているのは,控えめに表現しても不正確の誹りを免れないのではなかろうか。」(藤下・前掲6頁)と指摘されています。
 これは全くそのとおりなのですが,もっとハッキリと書いておきます。

 国際的訴訟競合に関する事例は藤下・前掲5頁注9に引用されているように他にもあるところ,東京地判平成元年5月30日判時1348号91頁のみが引用されているのは,この判決について「(b-2)〔承認予測説-引用者注〕の立場をとったもの」(道垣内正人「国際訴訟競合」高桑昭=道垣内正人編『新・裁判実務大系第3巻国際民事訴訟法(財産法関係)』(青林書院・2002年)150頁)との評価があるからです。

 しかしながら,同判決は,「先行する外国訴訟について本案判決がされてそれが確定に至ることが相当の確実性をもって予測され,かつ,その判決が我が国において承認される可能性があるときは……後訴を規制することが相当とされることもあり得る」と判示しているのであって,承認が予測されれば必ず規制する,とは言っていないのです。
 しかも,この判決は,上の基準を当該事案について見ると,「しかしながら,……将来において米国訴訟についての本案判決が下され,それが確定するに至るかどうかについては,現段階で相当の確実性をもって予測することはできない。……現段階でいまだ本案審理も開始されていない米国訴訟の判決が同号〔民訴200条(現118条)3号-引用者注〕の要件を具備するものと断定することもまた困難である。」と続いているのです。

 そして,次の指摘によって承認予測説は既に止めを刺されている,と私は理解しています。

具体的な結論としては承認可能性の予測が困難であるとして規制を認めず,かえって同説〔承認予測説-引用者注〕の問題点を浮き彫りにした形になっている

(小林秀之〔判批〕渉外判例百選第3版(有斐閣・1995年)239頁)

 ちなみに,小林秀之教授は,前掲百選の後継である国際私法判例百選においては,執筆者から外れておられます。

 藤下論文に戻りますと,藤下判事は,主として米国との折り合いが付かずに採択されずに終わった「ヘーグ1999年草案」が上記管轄研報告書の各所で引用されていることを批判されています(藤下・前掲6~7頁)。これは,上記報告書が同草案に関わった研究者によって主に作成されたのではないかということを強く示唆するものでもあるでしょう(藤下・前掲7頁の注2から注4を参照)。

 以上,国際裁判管轄の立法作業においても,従来の裁判所の営為が尊重されているのか,疑問です。

 最後に,藤下判事は,以下のように述べておられます。「国際訴訟競合が生じた場合について報告書(6)が提案するような規定を置くことが,我が国裁判所に提起される渉外的要素を有する民事紛争を適切妥当に解決することに資するものではなく,また裁判実務に混乱を招きかねないものである」,「国際裁判管轄に関する規則は,渉外的法律関係に適用される法律に関する規則以上に,我が国に居住する人民及び我が国に本店を置く法人の具体的権利義務に大きな影響を及ぼすものである。現在検討されているといわれる法律案において,適切妥当な解決が図られることを願ってやまない。」(以上,藤下・前掲7頁)
 私たちは,法例廃止の轍を踏んでしまうのでしょうか。国際裁判管轄の規律については裁判官の声が極めて重要なのであって,多忙を極めておられるでしょうが,さらに裁判官のご意見が示されることを期待するものです。

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2009年3月14日 (土)

郵政「私物化(?)」問題-3月5日参院予算委質疑から

 目を逸らされるのは心外ですので,5日(木)の参議院予算委員会の質疑から,関連部分を転載しておきます(この問題を追及されている議員さんが多くおられますので,詳しくはそのような議員さんのHPをお探しください)。

(以下,09年3月5日参議院予算委員会会議録から転載)
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○平田健二君

 (前略)

 皆さんのお手元に一月十九日付けの産経新聞をお配りをしております。竹中元大臣の寄稿です。
 ここで、鳩山大臣のかんぽの宿売却に対する反対は民営化の基本精神に反するものであり、政策決定のプロセスに大きな弊害をもたらすと断じているわけですが、鳩山大臣、この点についてどうお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は郵政民営化に賛成でございますし、民営化するというのは大変な大改革で、それは小泉元総理の偉業だと思います。
 ただ、それを実行していく段階で、民営化の手法が非常に間違った方向に行ってはいけない。私、民営化は賛成ですけれども、その民営化、悪い民営化というのかな、不透明な民営化というのかな、具体的事実として、とすれば国民は全く信頼しなくなるから、郵政民営化という小泉元総理の偉業を残すためにもいい手法で民営化をやってもらいたいと、こう思うわけですが、この竹中さんが書かれておられることは、正直言って怒るというよりも笑っちゃうんですよ。
 基本的な、これだけちょっと皆さんによく知っておいていただきたいんですけれども、かんぽの宿は不良債権だというのは重大な事実誤認があるのです。どういう事実誤認かというと、簡易保険法、旧ですね、百一条三項というんでしょうか、簡易保険法にこう書いてあるんですね。かんぽの宿というか、そういう施設は、加入者の福祉施設である、その費用は公社が持つと。つまり、簡単に言えば、加入者が泊まってもただでいいということですよ。しかし、その一部の費用を宿泊した人から取ってもいいと書いてある。郵政公社の業務方法書にも同様のことが書いてある。つまり、もうけちゃいけない、むしろただで泊めてもいいんだということが簡易保険法に書いてあるわけですよ。だから、もうかるはずがないんだ。
 だから、七〇%の客室稼働率があって赤字だというのは、もちろん能率とか総人件費の問題とか、それはある。それは効率化してもらわなくちゃいけないとは思いますけれども、元々もうけないようにできているものが、もうけていないから不良債権だといって減損処理というのでばんばんばんばん下げてくる。だから、一万円で売ったものが六千万で半年後に売られる、千円で売ったものが四千八百万か四千九百万で売られると。それは、竹中さん書いておられますね、何か別のものにも。とにかく採算の取れない事業だったら一万円で買ってもらっても御の字だということが書いてある。そういう感覚は鳩山邦夫は全く持っていないということを書いていますけれども。
 やっぱりそれはそうじゃなくて、きちんと採算取れるはずのものでございますから、それをそうした形で五年以内に譲渡するのであれば、立派に高い値段で譲渡できるはずだと私は考えております。

 (中略)

○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
 今日は、参議院で統一会派を組んでおります民主党の皆さんの御理解と御協力を得まして、今日こうして予算委員会で久しぶりに質問をさせていただく機会を与えていただきました。
 私は、かんぽの宿と郵政民営化の問題を取り上げてみたいと思っております。
 本当はもっともっと大きなテーマがいっぱいあると思うんです。そしてまた、今、世の中は本当に不景気でございますので、もっと元気の出るようなことをいっぱい取り上げたいという気持ちは本心あるんですけれども、この問題を見ておりますと、何といいましょうか、体にあちこちに吹き出物ができたようなもので、気になって仕方がない。本気になって前へ国が進んでいけないんじゃないかと思うような、私は小さな問題ではあるけれども見過ごしにできない問題だというふうに思っているわけです。まさに細部に神が宿るという言葉がありますけれども、そういう趣旨で今日はこの問題を徹底的にやらせていただきたいというふうに思います。
 三つに分けて御質問をさせていただきます。
 最初はまさにそのかんぽの宿そのものの売却をめぐる、まあ私は疑惑だと思っておりますが、この問題を取り上げさせていただきたいと思います。二つ目に、なぜそういうことが起きてしまったのか、今起きつつあるのか、その背景を少し掘り下げさせていただきたい。そして最後は、郵政民営化そのものがやはり間違っているのではないか、少なくも直すべきところは多々あるのではないかということについてお尋ねをしたいというふうに思っております。
 まず最初に、このかんぽの宿等の売却問題でございますが、たまたま今日発売の週刊新潮、別に審議時間中に私読んでいたわけじゃありませんで、人が見付けて持ってきてくだすったんですが、この中に、「かんぽの宿「オリックス売却」の立役者は「西川社長の懐刀」」という、何か「特集」と書いた部分がございます。これを読みますと、この中では、今度のかんぽの宿の一括譲渡につきまして、チーム西川というものがあって、その人たちがこれをやったんだと。その筆頭格がこの懐刀と言われている人でありまして、住友銀行から言ってみれば西川さんがお連れになった方。ここでは仮名として坂本隆専務執行役と書いてあるんですが、私の知っている名前で言えば横山さんという方だと思いますが、この方がこの売却の総責任者だといって、いろいろこの方の行状が書いてあります。例えば、料亭で飲んでみんなツケ回しをしているとかですね。しかし、こんなことは私取り上げるつもりはありません。
 問題なのは、その中で、この人は三井住友銀行の社宅に依然として住んでいるということが書いてあるんです。これは事実でしょうか、西川社長。
○参考人(西川善文君) お答え申し上げます。
 横山君はただいま日本郵政の専務執行役を務めておりますが、銀行時代から引き続き銀行の社宅に住まわしていただいております。
○長谷川憲正君 この週刊誌の中には、引き続き三井住友銀行の広報部の弁として、この方は退職しているということになっているけれども実質的には出向扱いだと。これは私はうわさで聞いておるんですが、この方には銀行の方から裏給与が出ているというような話もありますが、この点はいかがでしょうか。
○参考人(西川善文君) 裏給与というものはございません。
○長谷川憲正君 明確に否定をしていただきましたのでそうでないことを祈りますが、これは引き続きまた調査もさせていただきます。
 そして、この週刊誌の中でも取り上げてありますように、日本郵政株式会社法の中に役員の収賄を禁じる規定があるわけです。つまり役員はみなし公務員だということになっておりますので、果たしてこの社宅に住まわせてもらっているということがこういうものに抵触をしないのかどうか、これは総務大臣、しっかり調べていただきたいと思いますが、取りあえず御見解を承りたいと思いますが。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 個別の事実関係で私は全く分かりませんが、調べられるなら調べてみたいと思います。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 このかんぽの宿の売却問題につきましては、昨年の十二月二十六日、臨時国会が終わった翌日でございますけれども、日本郵政が、七十九に上るかんぽの宿プラス宿舎等が入っておりますが、これをオリックスに一括譲渡をするということを発表をされまして、一月六日に鳩山大臣が、これは国民は出来レースと疑うんじゃないかということを言われて、みんなの注目するところとなったわけでありますが、さすがに御炯眼でありまして、当時私も、それはオリックスという名前が出てきましたから、それは何か疑わしいなと思いましたけれども、出来レースと言う度胸は私はなかったわけですが、大臣そうおっしゃいました。
 ところが、実際これはもう出来レースとしか思いようがない。次々に疑わしい事実がたくさん出てまいりまして、これはもう衆議院の予算委員会の方でもいろんな議員がお取り上げをいただいておりますので私ここで一々はやりませんが、ちょっとこのパネル、皆さんのところには資料が配ってありますが、御覧をいただきたいと思います。(資料提示)
 これ、大臣の言葉をいただきまして出来レース疑惑というふうに書かせていただきましたが、会社は当初競争入札であるというようなことをおっしゃいました。しかし、これは調査の結果はっきり分かりましたが、株式を譲渡するという形の契約である。これは契約書そのものも私もいただいております。
 こうなりますと、これ郵政の株式の処分をしばらく凍結した方がいいんじゃないですかということで、私たち野党共同で法案を提出をしまして、参議院では可決をされて、衆議院では否決をされてしまいましたけれども、そのときの審議の中で、これは社長は株式は売りませんということをおっしゃった。こんな不況のときには売りませんと、法律で縛られるまでもなく売りませんとおっしゃったけれども、この株式譲渡というのは、これ株売っていることになるんじゃないですか。これが一点です。
 それから、売却価格が百九億円ということで発表されておりますが、これの取得価格は二千四百億円、税金の対象となる、固定資産の対象となる評価の金額で見ても八百五十六億円、これがどうして百九億円なんですか。これ調べてみたら、減損会計という、減損処理ということをやっておりまして、とにかく低く低く見積もったということだろうと思うんですが、しかし、それでも競争入札に掛けていれば適切な時価になったと思えるんですけど、それをやっていない。
 それから、オリックスに売却ということでございますが、これはもういろんな方が宮内さんについては指摘をしておられますけれども、ここにたまたま市販されている本を持ってまいりましたが、小泉規制改革を利権にした男宮内義彦ということでございますので、こういう人にこういう不透明な手続で物を売る。しかも、調べましたらば、郵政資金でオリックスの株の買い増しもしておりますし、重要なポストにオリックスの関係者の方々が入っておられる。私はもう非常に、ますますもって、これもう灰色どころか黒に近いものではないかと思うわけです。
 そして、一括売却は雇用のためだということを主張しておられます。一件一件売れば地元の地方公共団体にも売ることができる。埼玉県の上田知事なんかも言っていますよ、地元に相談をしてほしかったと。ところが、一括で売らないと雇用が確保できないと言うんですが、実際に保障されているのは一年だけでしょう。これは、私はもう欺瞞としか言いようがないというふうに思っているわけでございます。
 私ばかりがしゃべっておりますが、これ、西川社長は白紙撤回をされたわけでございますけれども、こういう全体の手続を今でも公明正大と思っていらっしゃいますか。
○委員長(溝手顕正君) ちょっと、ちょっと待ってください。長谷川さん、御質問を止めるわけではないんですが、委員会に持って入っていいものとよくないものと、入りたいときはどう手続をするか、よくチェックしてやってください。あなたの資料は一切出ていなくて、これは完全にルール違反ですから、気を付けてください。よろしくやってください。
○長谷川憲正君 委員長、どうも恐縮です。(発言する者あり)
○委員長(溝手顕正君) 駄目だと言っているんです。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 今度のかんぽの宿の譲渡に関しましては、会社分割による事業全体の、かんぽの宿事業全体の譲渡というやり方を考えたわけでございまして、個々の物件について個別に譲渡をするということを考えたわけではございません。
 そういうふうに考えましたのは、やはりまとめてやらないことには、三千数百名という正社員、期間雇用社員、この雇用の確保がやりにくいということがございます。雇用については、正社員については期限のない契約でございます。したがいまして、雇用条件については、正社員について、一年間は現在の条件を引き続き適用するということ、そして二年目以降については、もし雇用条件を変更するということであれば労使間で協議をして変えていただくと、こういう契約になっておるわけでございます。
 それから、手続が公明正大であるかということでございますが、これは、先ほども申しましたように、事業譲渡という方式を取っておりますので、その中身は事業の譲受けに関する企画提案を競っていただくというものでございます。その中には、事業評価、事業価値の評価という定量的な面もございますし、雇用の維持でありますとかあるいは事業の継続性といった定性的な部分もございます。これをまとめて競っていただくと、こういう形のものでございまして、これは一般にMアンドAの形としては普通に行われることでございます。そういう意味で、決して競争してないというわけではございません。ホームページにおきましても募集公告におきまして、必ずしも適切ではないかもしれませんが競争入札という表現を使った次第でございます。
 それから、価格の点でございますが、これは百九億円というのは純資産価格ということでございまして、これに対応いたします有形固定資産の価額、これは百二十三億ということでございます。
 この百二十三億がなぜそういうことになってきたかということでございますが、そもそもの取得価額は、御指摘のとおり約二千四百億円でございました。その後、公社化をされまして、その際に企業会計原則を適用するということで、減損会計が強制適用ということになったわけでございます。減損会計で減損されました累計額は、減損損失の累計額が千三百六十三億ございました。それだけ減損で評価が落ちたということでございますし、また一方において通常の減価償却も行われてまいりました。
 したがって、日本郵政が平成十九年十月に継承いたしましたときの価額は百二十六億円ということでございまして、現在は約百二十三億という帳簿価額になっております。
 そういう経過でございます。
○長谷川憲正君 先ほどは失礼をいたしました。
 今の御答弁でございますけれども、これ衆議院でのいろんな今までの質疑の模様を的確に反映してないじゃないですか。いろんなことが分かってきているわけですよ。つまり、企業会計原則を適用するといっても、時価でやることができた。それを評価委員会の中でオリックスに関係のある人が中心となったグループで、これは減損会計を使うべきだということを主張してわざわざこういうことになっている。
 その結果、適正な資産の価格とはとても言えないわけでありまして、例えば十九年三月に、これはもう公社の時代ではありましたが、一括売却になったものが次々に高い価格で転売をされているわけでしょう。これはもういっぱい週刊誌にも出ておりますが、一万円で売られた鳥取や指宿の簡保の施設が六千万円になったと。沖縄では千円で最初買われたレクセンターの土地が四千九百万円で転売されたと。赤坂の社宅が、五億一千三百万円だったものが、これは最終的にはオリックスが今所有しているようですが、五十七億円の担保に入っていると。それから、城東鶴見の宿舎に至っては、十億円で売れたものを、今共同担保ですけれども、二百七十億円の担保が付いていると。こういうのはだれが見てもぼろもうけと言うんですよ。それを今回またやろうとしたのかというのが私たちの怒りの原点なんです。このことにつきまして、担当の監督大臣であります総務大臣の御感想をいただきます。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 長谷川先生と基本認識全く同じでございますから、あえて御答弁申し上げる必要もないかと思いますが、まず、企業会計を適用しなければならないというのは事実だと思います。しかしながら、私は会計全く素人でございますが、その減損処理の在り方がもうめちゃくちゃで疑惑に満ちておるわけでございまして、何でこういう減り方をするのかという問題がございます。
 そして、その減損処理して、二千四百が千八百、千七百というのが減損処理して百二十何億になってしまった。それが仮に簿価として記録されていても、それを営利事業として買い取ろうという人に売る場合には、全く簿価というのは関係がなくなるわけです。それは一般的に言えば、衆議院の委員会でも質問がありましたように、むしろ固定資産税評価額、土地でいえば固定資産税評価額よりも実勢価格の方が二、三割は上でしょうから、九百億とかそういう数字が妥当なんだろうと思います。
 それから、減損処理というのは私本当に分からないんですが、利益を生まないからということになっておりますが、先ほど、午前中に御答弁申し上げましたように、簡易保険法によって、加入者福祉施設は言わばただで使わせてもいいと書いてあるわけですね。ただ、一部利用者から費用を負担してもらってもいい、取ってもいいというわけですから、ただで泊まらせたっておかしくない、法律の条文上は。それがもうけて黒字になるなんということは、黒字化するということ自体が大体法律上おかしいと言われてきているわけですから、政策的に極めて低料金でやってきた。そして、利益を生まないから、利益を生まないものはもう不良債権だという決め付けをして、減損処理して売っ払うと、こういうことでございます。
 それから、先ほど先生が御質問されておられました、西川社長に、公明正大であるかという点でございますけれども、まだ報告徴求によって得た膨大な資料はまだ解析が終わっておりませんけれども、この間、私どものところにも調査チームがありますが、チームの責任者が私の部屋に入ってきて第一声で言った言葉は、今のところまだ途中ですけれども、全くの随意契約としか見えませんねと、競争性はない、これは随意契約としか解釈できない内容でございますと。
 しかも、その最終審査表というのがあるんですね。つまり、これは二社で、最終審査表というのを私もちょっとだけ見ましたが、それには、例えば、オリックス不動産から最終提案が行われています、十月三十一日に。何か経営形態とか何か、経営方針か何かのところに何て堂々と書いてあるかというと、ですから、日本郵政の宿泊事業部長をうちの副社長にいたしますと書いてあるんです。天下りというと、いわゆる一般的に言う天下りと違うけど、天下りを、うちはおたくの宿泊事業部長を副社長にしますと書いてあるんです。それで立派な提案といって丸を付けているんですね、その審査の方で。その副社長になる人が、副社長になってくださいと言われた人が裁定しているわけですから、何人かで。
 だから、そういうことを考えるとちょっと、もう少し精査します。
○長谷川憲正君 本当にもう鳩山大臣、私の考えていることをずっと代弁をしていただくものですから、御活躍に本当にもう私たち期待をしているわけでございまして、十七箱の資料が提出をされたというふうにお聞きをしておりまして、これもう宝の山ではないか、宝の山という言い方は適切ではないかもしれませんが、私は真相がそこで究明されるのではないかというふうに思っておりまして、これ、いつごろ調査が終わり、報告をいただけますでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 正直言ってそれはまだ分かりませんで、この間、日本郵政からも報告があったのかもしれませんが、日本郵政とオリックス不動産との最終契約書ですね、その問題点については国会の方に提出させていただきました。いわゆる結局はオリックスの独断でかんぽの宿を売却、譲渡できるという、あるいは特定目的会社に譲ることができるという、要するに営業を継続しますというのを全く根本から覆すただし書が付いておりますが、そういうふうに問題点は分かり次第御報告できると思いますが、すべての解析というのはなかなか大変なのかもしれません。
○長谷川憲正君 この関連ではもう一点西川社長にお伺いをいたしますが、衆議院での議論の中で、この十九年三月の百七十八件の一括の売却ですね、転売に次ぐ転売、同僚の下地議員が調べたところでは、調べた中の九割が転売になっていたということのようでございますし、二回、三回、四回の転売があったということでございますが、転売価格、どのくらいの金額に今なっているのかということについて調査をしていただけるという答弁があったというふうに記憶しておりますが、いかがでしょうか。
○参考人(西川善文君) お答え申し上げます。
 公社時代に売却されました物件につきましては、転売禁止事項が付されているわけではございませんので、転売状況の把握はこれまでしてこなかったと聞いております。しかしながら、ただいま長谷川先生からお話がございましたように、二月二十日の衆議院予算委員会で下地先生から御指摘をいただき、また総務大臣からも三月三日に報告の要請をいただいておりますので、十九年三月の一括売却百七十八件も含めまして公社中に売却した約六百二十件すべての物件につきまして、現在、登記事項証明書を法務局で確認いたしますなど可能な限り調査をしているところでございます。
 三月中旬の報告をめどにただいま調査を実施しているところでございまして、でき上がったところで御報告を申し上げたいと存じます。
○長谷川憲正君 このかんぽの宿の話はこのぐらいにしまして、これが、こういうことが行われるようになったその背景の点をちょっと調べてみたいというふうに思います。
 私は、これはもう竹中平蔵さんが全部仕掛けをつくったというふうに思っているわけです。どこまで今のようなことを予想しておやりになったのかというのは必ずしもはっきりいたしませんけれども、仕掛けは全部竹中さんがおつくりになったというふうに思っているわけです。
 これは、先ほど鳩山大臣おっしゃったように、そもそもは簡保の加入者のための施設でありました。それが突然売らなければならないことになったというのは、民営化法を作りましたときの関連法の一つであります日本郵政株式会社法という簡単な法律でございますが、その法律の附則の二条の中に、どう読んでも一度や二度読んでは分からないような書き方で書いてあるというところから問題が始まっているわけであります。
 これは民営化推進室長が既に衆議院でも述べておられますけれども、この附則二条ができた当時の事情について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(振角秀行君) お答えさせていただきたいと思います。
 今御指摘のように衆議院の方でもお答えしておりますけれども、郵政民営化の基本方針に掲げられました旧加入者福祉施設の分社後の在り方につきましては、当時の担当大臣であります竹中郵政民営化担当大臣の下で、準備室、私の推進室の前身でございますが、そこが検討いたしておりました。
 それで、基本的な考え方としては、竹中さんが著書でも書いておりますけれども、郵政民営化に当たっては、その本来の仕事、コア業務に基本的には簡保も含めて特化すべきだということで、このかんぽの宿につきましてはコア業務ではないという判断をされまして、資産を処分して撤退すべきと判断されまして、その下の指示を当時の準備室にされまして、その準備室の下におきまして、法制化に必要な事項として、このかんぽの宿について承継先として当分の間どこで承継するのがいいか、あるいはその資産を譲渡又は廃止するための猶予期間として何年が適当かどうかというのを法制局と詰めていったということでございます。
○長谷川憲正君 今御答弁がありましたように、当時の竹中郵政民営化担当大臣の強いリーダーシップの下にこの附則が入ったということでありますが、ここで処分する年限を五年という制限を付けたのはなぜでしょうか。
○政府参考人(振角秀行君) 引き続きお答えさせていただきたいと思います。
 かんぽの宿等を譲渡する際には、その当該施設が相当数に上ることから、譲受け先の決定や当該譲渡に伴う雇用の配慮のため一定の猶予期間を設けることが合理的と考えられたわけでございますけれども、その際、先生の資料にもありますけど、グリーンピアとかの年金福祉施設等の譲渡が既にその前に法制化されておりまして、そのようなものについても猶予期間が五年間というふうになっておりまして、そういうことを参考にしまして法制局と詰めて五年としたものでございます。
○長谷川憲正君 これ、確かにグリーンピアなどを参考にしたように思われます。
 もう一つ資料を見ていただきたいわけでございますが、(資料提示)これ公的施設の売却の方法ということで、今回のかんぽの宿とグリーンピアを比較したものでございます。
 売却方法で見ますと、グリーンピアの場合は公共性を考慮しまして、道だとか県に譲渡をするというのを原則にした。それが進まない場合に民間へ譲渡するということにした。今回は地元への相談も一切なしと。それから、転売につきましても、十年間の転売禁止というのがグリーンピアには付いている。今回は、基本的には日本郵政が承諾すればいいし、経営不振だったら相談もせずに売ることもできるとなっております。
 結局、五年以内の譲渡、廃止というところだけを持ってきているわけでありまして、あと何にもやってないんですよね。ここが竹中さんの仕掛けの私はおかしなところだというふうに思っているわけです。
 この資産も、日本郵政、分社化をしました。持ち株会社が日本郵政、その下に四つの会社にばらばらになりました。本来ならば、かんぽの宿は簡保の会社のものですよね。これ税金で造ったわけじゃありませんから、簡保の加入者の方々の掛金で造ったものです。郵便貯金の施設は郵便貯金を預けられた方のものです。ゆうちょ銀行のものになるべきです。ところが、そうではなくて、これを親会社の日本郵政のものにした。
 ところが、資産の売却につきましては、重要財産の処分につきましては日本郵政には何の規定もないんですよ、制限がない。その下にあります郵便会社だとか郵便局会社だとかいうものにはもちろん制限がありまして、簿価で十億円以上のものは重要財産だと、これは大臣の認可を得なければいけないというふうに書いてあります。日本郵政には何もないんですよ。
 今回、これ会社分割という方法を取ったから大臣の認可を取らなきゃいけないということで、鳩山大臣がこれはおかしいと気付かれたわけですけれども、そうでなかったら、どんどん西川さんが勝手に売れるんじゃありませんか。これ、西川社長、いかがでしょうか。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 このかんぽの宿等の譲渡に関しまして、地元自治体にも相談をしなかったということは私も反省をいたしております。やはり、地元にお世話になったというケースも多分あるだろうと思われますので、まずは地元に打診をしてみるということが必要ではなかったかということでございます。
 これらにつきましては、専門家によります第三者委員会を設けまして、そちらで私どもの不動産売却、処分の在り方についていろいろと御議論いただき、検討をしていただくということにいたしておりまして、既にスタートをいたしております。その結論を得まして、今後はその結論に従って処分等を考えてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上です。
○長谷川憲正君 民営化される前は公社という形であったわけでございますけれども、公社のときは、重要財産については二億円、取得価格で二億円、それを上回るものの処分についてはそれは大臣の認可が要るというふうになっていたんですが、民営化になった途端に郵便局会社やあるいは郵便事業会社、ですから郵便局の、今問題になっている中央郵便局や何かがありますが、全国の駅前の一等地に土地持っているわけです。二兆七千億と簿価で何かなっているというふうに聞いておりますが、実際は十兆円になるんじゃないかというようなことを言われておりますけれども、こういうものも今は簿価で十億円以上でなければ大臣の認可は要らないと。そして、ましてや今度の郵貯の施設や簡保の施設のように持ち株会社が持っているものは大臣の認可は要らないんですよ。これ大臣、変えた方がいいんじゃないんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) そういう法律になるその全く理由がないわけではないと思いますけれども、私が総務大臣になるはるか以前からある法律でございますので、私がこれをどうこう言うということは余り適当ではないかと思いますが、ただ、私は午前中申し上げましたように、やはり郵政の民営化というのは小泉元総理のすばらしい業績だと思います。ですから、それが本当にいい形で実を結ばなければいけないと思います。これが裏目に出るような、国民の疑惑と不信ばかり招くようなものを結果すれば、せっかくの郵政民営化という大改革に傷が付くわけでございまして、そういう観点から今、長谷川憲正先生御指摘の、前は、公社時代は取得価格で二億円以上のものはすべて認可が必要だった、今度は日本郵政には何もないと。特殊会社である二社、事業会社と局会社は簿価で十億円以上のもののみというのが、それでいいのかどうかというのもそれは今後の検討課題、私は見直しは国有化、国営に戻すということ以外はすべてより良い方向に見直す対象だと申し上げておりますので、見直しの対象にはなると思います。
○長谷川憲正君 こうやってどんどんどんどんその売却の話が進んだというのも、これ五年というその時間の限りをつくった、法律がそういうふうにつくった、竹中さんがそういうふうに期限を決めたというところに非常に大きな問題があると思うんです。
 今こういう経済状況の中ですから、何も安い値段でたたき売る必要はないので、少なくともこの五年については見直しをされるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほどもお話をしました。また、午前中の平田先生の御質問に対しても申し上げました。
 この法律を作るのに大変力のあった有力な方が新聞等で私への批判を含めて、かんぽの宿は不良債権だと、一日も早く処理をしなくちゃならないと。私は、きちっとこれは不良債権でないというふうに反論いたしておりまして、そういう意味では考え直す必要もあるかなというのが私の気持ちの中にはございます。
○長谷川憲正君 今日のこれは日経新聞の朝刊でございますけれども、竹中平蔵さんがまた「郵政見直し、法改正は論外」というふうなことで書いておられるんですが、この中で、かんぽの宿の今度の問題につきまして、「与野党の郵政族が結託しているとしか思えない。」と。
 そんなことないと思いますね。野党はともかくとして、与党の皆さん、結託しているんでしょうか。今度、このことで中心になって発言しておられるのは鳩山大臣だと思いますが、鳩山大臣、郵政族なんでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 全く郵政族であったことはありません。郵政族だったことはありません。
 私は東京が元選挙区でしたから、与謝野財務大臣と同じ東京でいろいろ政治活動をしていく中で、いわゆる全特の方とビールを飲んだとかそういう経験はありますけれども、何ら郵政族としての実績はゼロだと思うし、そういう方向で動いたことはありません。
○長谷川憲正君 私もそのように承知をしておりまして、これ竹中さんは侮辱だと思うんですよ。
 ほかのところでは、二月十一日のこれ朝のテレビですけれども、国会に社長を呼び出すのは業務妨害だと言っているんですね。それは、確かに社長がこっちにいたら仕事が進まないというのはそうかもしれませんが、こんなことが起きていて、これ国が一〇〇%株持っているわけですよね。国会で事情を聴くというのは極めて当たり前のことだというふうに思うんですけど。
 委員長にお願いをいたします。
 この竹中平蔵さんを当委員会に一度参考人として招致をしていただきたいと思います。
○委員長(溝手顕正君) 御提案については、後刻理事会において協議させていただきます。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 株主権について財務大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。
 今国が一〇〇%株を持っておりますが、私は株主として本当にきちんとした監督をしているんだろうかということを疑問に思いますが、財務省が政府を代表して株主総会に出ておられるというふうにお聞きをしておりますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) 理論的には、郵政の財産は国有財産ではない、これらの財産に対する所有権は株というものを通じて間接的に保有しているということでございます。ただし、国が一〇〇%の株主であるということは国民が一〇〇%の株主であるということと同義語でございますから、監督をする鳩山総務大臣は法令に基づいてしっかりやっていただかなければならないと思っております。
○長谷川憲正君 株式会社でございますので、法令による権限にプラスこれは株主権というのを行使しなければいけないんですよ。世界はいっぱい株主になっている国がありますが、おおよそ監督をする大臣が株主総会に出ていくんです。鳩山大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど、実は午前中に与謝野財務・金融・経済財政大臣に御説明はしたんです。つまり、日本郵政の株式というものは行政財産ではなくて普通財産であると。これは国有財産法とかいう法律によって分かれるらしいんですが、行政財産ならば私が何かできるのかどうか分かりませんが、普通財産でございますと、これは財務大臣が権限を持っておられますので、私がこれからいろいろと御相談やお願いを与謝野財務・金融・経済財政大臣にお願いすることがあるかもしれませんということは先ほどお話ししたんです。
○長谷川憲正君 私、議員になる前に、御存じかと思いますが、フィンランドで大使をしておったんです。そのときにこういう事例がありました。
 フィンランドの電話会社、NTTのような会社でございまして、ソネラという会社ですが、五一%は国が株を持っているんです。この会社がストックオプションを導入しようとした。そうしたら新聞が一斉にたたきまして、役員だけがもうけるような制度をやるのか、国家国民のための会社なのにおかしいじゃないかと言ってたたきました。そうしましたら、運輸通信大臣が臨時株主総会を要求いたしまして、そこに大臣自らが出ていって、平取締役一人を残して会長以下全員首を切りましたよ。
 同じようなことをおやりになりませんか。まずは、財務大臣、いかがですか。
○国務大臣(与謝野馨君) 株主というのはそういう権限を持っておりますが、それはあくまでも抽象的な権限で……(発言する者あり)
○委員長(溝手顕正君) 静かにしてください。ちゃんと聞いてください。
○国務大臣(与謝野馨君) その抽象的な権限を実際に行使するときには非常な強権の発動になるわけでございますから、よほどの事情、背景がなければならないと思っております。
○長谷川憲正君 私は、今、具体的に例えば西川社長さんを首にしてくださいとか、そういうことを言っているわけではないんです。株主というのは、国有企業の株主というのはそういう強い権限も持っているし、そういう強い意識で監督をしていただきたいということを申し上げているんです。
 もう一度お願いいたします。
○国務大臣(与謝野馨君) そういうことは論ずるまでもないことでございまして、株主は株主としての権利、行使すべき権限を持っているということでございます。
○長谷川憲正君 是非、厳しい目で国民の期待にこたえてやっていただきたいというふうに思います。私は、本当に今国民の皆さんが苦労しておられる中で、やはりこういう何か国にまつわるような事業体が不正をしているかのように思われること自身が好ましいことだというふうに思っておりませんので、是非お願いをしたいと思います。
 総理に何も質問せずにここまで来ましたが、私は、この問題、そもそもが郵政の民営化という枠の中から始まったというふうに思っております。
 いよいよ第三部ということでございますけれども、私は、別に株式会社になることに私たち元々反対していたわけではない。本当に会社も発展し、そしてこれを使ってくださる国民の皆さんがいいサービスになったなと言って喜んで、そして、働いている人たちも喜べるような状況ができるのだったら形なんか何でもいいわけですよ。民営化で何の問題もない。
 そうならないのじゃないかというふうに思ったので私たちも反対をさせていただきましたが、先般、総理は、小泉総理大臣時代の総務大臣としてのときのことをお話しになりまして、自分は賛成でなかったから民営化担当から外されたというようなお話がありましたけれども、今回の民営化、小泉さん、竹中さんで設計された民営化のことでございますが、どう思っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) これは前々から長い間の論理、議論、討論、いろいろ御意見があって、最終的に民営化ということで決着をしたというのはもう長谷川先生よく御存じのとおりであります。
 決着して、民営化でスタートをさせていただきましたが、その当時、御存じのように、改革というものをやりますと、結果として改良もあれば改悪もあり得ます。常に、何も郵政に限らず、何でもそういうものです。したがって、結果としてそれがいい方に行かなかった場合は改善を心掛けるようにする。当たり前の話であって、これは、民間であれば、特にそういう努力をしないとその会社は倒産をしますので、当然どの会社でも同じような努力をされる、当たり前のことだと存じます。
 そういう意味で、三年の見直し条項が付いているということで、今その状況でいろいろな議論がなされている。そのうちの一つが、このかんぽも一つなんでしょうし、その他我々のところに耳に届いていない部分も含めましていろいろあるんだと思います。
 しかし、基本は二つ、若しくは大きく分けて、大きく言えば三つなんだと思いますが、まずは何といっても、これ国民が利用するわけですから、利用する人の利便性、これはもう絶対に大事なところだと存じます。二つ目は、何といっても、それは経営をやるわけですから、経営が健全化しておくというのが二つ目です。そして、多分三つ目なんだと思いますが、これは勤めておられる従業員という方が、四分社化されておりますので、そこらの会社の方々のいわゆる公平性というのをある程度担保される、確保されるような努力というものをしていかなければならない。これが、大きく分けてこの三つを主眼に置いて今後とも経営をされなければならぬものだと思っております。
○長谷川憲正君 全くおっしゃるとおりだと私も思います。
 問題は、そうなっていない、現実が。民営化してからこの方何も良くなっていない。もうサービスは悪くなった、どんどんどんどん配達する郵便局なんかも減らされる、お客さんからはいっぱい苦情が出る。郵便局の中は何か監視カメラも付いて、みんなひいひい言いながら仕事をしている。そういう状況をどうやって改善をしなきゃいけないのかということがポイントだと思うんです。
 ちょっと資料を見ていただきますが、これは今の民営化と言われているものの中身ですが、実際は株式会社になったというのはそう大したことではないわけでして、ばらばらに会社がなった。そして、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険、これは郵便局会社というのは今は自分で仕事を持っていませんから、仕事を委託されて初めて収入が生じるわけですけれども、これ御覧いただいて分かりますように、全体の八四%は貯金と保険の会社からの委託料で成り立っている。ところが、これ十年たつと完全に株が売却をされまして、郵便局からいつでも出ていける。もう民営化のときに昔の郵便貯金法とか簡易保険法というのは廃止をされまして、今ユニバーサルサービスの義務はない。いつでもこれやめられることができる。ただの普通の銀行だということになっているわけでありまして、私はこの結果、郵便局というのはなくなってしまうと、こんな大きな収入を失って全国の郵便局の維持ができるわけがないと思っているわけでございます。
 これ、是非総理にもう一度その辺の御感想をお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 郵便局につきましては、これはあまねく全国において利用されるということを旨として郵便局を設置する、もう長谷川先生よく御存じのとおりに、これは法律上義務付けをされております。したがいまして、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険につきましては、郵便局のネットワークの活用、これは間違いなく避けて通れないだろうと思います。
 したがいまして、株式の完全処分というのは十年ということになっておりますが、完全処分の後になりましても郵便局との代理店契約みたいなものをきちんとしておかないと、多分これネットワークが使えないということになりますので、ある程度郵便局のネットワークは維持せざるを得ないと、銀行とかんぽ側からいたしますとせざるを得ないことになるんじゃないかなという感じだけは率直なところです。
 これは物すごく大事なところですよ。これがなくなったら終わりですから。そういった意味では、私どもは、いずれにしてもこういったものがスタートしておりますので、いろいろ今後とも改善をしていくべきところは多々あろうかと思いますけれども、必要な改善というものは行ってしかるべきだと思っております。
○長谷川憲正君 もう時間になりましたのでやめますが、実際、日本と同じような仕組みを取ったドイツとニュージーランドが大失敗しまして、郵便局がいっぱいなくなっちゃったわけですよね。七割、八割の郵便局がなくなった。だからそれが問題だということを言っているわけでありまして、最後に、総務大臣、どう担当大臣としてお考えか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) どういう形が一番国民のためになるかということを念頭に、最大の課題として頭に置いて考えていけばいいと思うのです。
 私は、例えば郵便事業会社と局会社は、これはユニバーサルサービスが義務付けられているわけですから、その連携ということも考えなければいけないというふうなことは時々委員会等で答弁をいたしますけれども、この間、新聞を読みましたら、事業会社と局会社がもし一緒になるようなことがあったら、郵政の九割が一緒になった巨大な郵政利権と書いてあったのかな、の誕生だと。私は非常に失礼な文章だと思いました。働いている方は本当に、私は地元の郵便局もよく行きますが、みんな一生懸命働いている、それが何で九割が一緒になると巨大な郵政利権になるのか。私は、そういう世の中の間違った評論には毒されないで、きちんと国民のためを考えて行動したいと思っております。
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(以上,09年3月5日参議院予算委員会会議録から転載)

 この問題は,10日(火)の参議院予算委員会でも若干採り上げられていますので,そちらもご参照ください(<追記>11日(水)の同委員会では,さらにメルパルクについても追及されています)。

 末尾になりましたが,前回の船舶先取特権の準拠法の投稿に対して,文中で紹介したご論文の共著者のお一人である松井孝之弁護士からコメントを頂戴しましたので,そちらもお読みいただければ幸いです。

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2009年3月 7日 (土)

船舶先取特権の準拠法に関する最近の裁判例

 国民の資産を食い物にしている疑いの濃厚な郵政民営化にまつわる問題は,本当に根が深いようですね。テレビではあまり採り上げられませんが,国会の予算委員会や総務委員会では精力的に解明が進んでいるようです(審議の日から相当に間が開いたりしますが,アップされてくる会議録をご参照ください)。騒がれている問題に,あまり目を奪われない方がよいのではないでしょうか?

 書きたいことがいろいろと溜まっていて,ぼちぼち書けるかと思っていましたら,昨6日(金)に船舶先取特権の準拠法に関する実務家による貴重な論文を見つけましたので,今回はそれについて書くことにいたします。

 船舶先取特権の準拠法について,従来の通説・裁判例は,その成立につき被担保債権の準拠法と旗国法とを累積適用し,その効力につき旗国法によるとしてきました(この立場の最も新しい公表事例は,広島高決昭和62年3月9日判時1233号83頁(評釈は6本ありますが,知られていない拙稿のみ掲げます。東京大学商法研究会編『商事判例研究(38)昭和62年度』(有斐閣・1997年)157頁))。
 さらに学説は多様に分かれていたところ,4年開いて,船舶先取特権に基づく保険金債権への物上代位の事例である,東京地決平成3年8月19日判時1402号91頁,東京地決平成4年12月15日判タ 811号 229頁の2件が,相次いで法廷地法を準拠法としました。

 その後なぜか裁判例の公表がなく,実務では法廷地法説が定着したような感じがしないでもないわけですが,他方,上の2つの事例における差押えの対象は(船舶でなく)保険金債権であって事案が異なるうえに,東京地裁の理由づけが事実に反するものであったりした(拙稿・ジュリスト1051号(1994年) 126頁,127頁)ために,どれほど確立したものか,大きな疑問も残っていたところです(私は,再三書いていますが,裁判例の公表を強く期待しています)。

 そうしたところ,松井孝之=黒澤謙一郎「法の適用に関する通則法施行後の船舶先取特権の準拠法をめぐる最近の議論および裁判例について-近時の定期傭船者倒産事例の紹介」NBL 899号(2009年)28頁において,ご本人の手掛けられた最近の5件の裁判例が紹介されています(34-37頁。ちなみに,32頁の本文中に出てくる「森田教授」とは私のことですが,助手の頃に書いた前掲・拙稿からの一部引用ですので,何か気恥ずかしい感じもいたします。とにかく,思い切って書いておいてよかったと思います。いずれにしても,採り上げていただいて感謝申し上げます)。

 で,事案が必ずしも詳細でないので残念ですが,そこに出てくる5件に共通しているのは,被担保債権の準拠法によって船舶先取特権の不成立が導かれているところです(但し,うち2件は法廷地法との累積,1件は旗国法との累積,1件は現実所在地法との累積が説かれてもいます)。
 (船舶抵当権と処理を分ける理由がないと考えますので)累積には全く賛成できないのですが,全体を通じて見ると,被担保債権の準拠法をベースにしたというようにも理解できますので,事案によっては結論には賛成できるものかもしれません。ただ,被担保債権が関係するのは35頁の図の「船舶燃料供給会社Y(香港法人)」と「定期傭船者Z(香港法人)」であって,燃料代金債権の準拠法は確かにこの両者の規律には適切ですが,これが「船主X」との関係まで規律することには疑問が残ります。「船主X」の事情についても情報が記載されていると,なおよかったと思うのですが・・・

 28頁冒頭の要旨に「船会社の代理人として」とあり,34頁の右の段の6行目に「筆者が代理する船主」とありますので,船舶先取特権の不成立を導き出す香港法(=被担保債権の準拠法)が船主にとって有利であったために,松井孝之弁護士はその適用を主張された,とも受け取れます。この点,問題は,Yと,(Zではなく)Xとの間に存在しているのではないかと私には見えますので,そうであれば,むしろ,燃料供給時の船舶の現実所在地法が準拠法とされるのが適切であったようにも思われます。

 いずれにしても,船舶先取特権の準拠法についてはまだまだ検討が十分でなく,従来の議論を検討されたうえで裁判実務が必ずしも法廷地法の適用で固まっているわけではないことを紹介されるこの論文が非常に貴重なものであることは,間違いありません。いずれご教示いただく機会がありましたら,たいへんありがたく存じます。

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