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2009年3月29日 (日)

船舶先取特権の準拠法(追記)

 最近は,学事が一段落すると体調を崩すようになってしまい,年末年始に引き続いてダウンする羽目になり,25日(水)午後の修了祝賀会にも(この時期に風邪をうつしたりしてはいけないので)出席を見合わせるという淋しいことになってしまいました(打ち上げとか祝勝会とか,また呼んでください)。

 昨28日(土)午後には,3月7日(土)「船舶先取特権の準拠法に関する最近の裁判例」でご紹介した論文を書かれた,松井孝之弁護士と黒澤謙一郎弁護士が,わざわざ千葉大まで来てくださいました(活躍されている弁護士さんは,フットワークが軽いので,感心してしまいました)。貴重なお話を伺えて,たいへん勉強になりました。

 まず,船舶先取特権の準拠法につき成立・効力とも法廷地法によった東京地決平成4年12月15日判タ 811号 229頁は,(本来公表されない類の決定であったところ)公表されてそれなりによくできたものであったことから,裁判所には相当の説得力を有していたとのこと。
 ところが,(松井弁護士のご説明を素直に受け取ると)上記の決定に「疑問がある。また,その理由づけには事実に反する点がある。」とした拙稿〔判批〕ジュリスト1051号(1994年)126頁を発見して裁判所に証拠の1つとして提出されたところ,拙稿は,裁判所が上記の決定の事実上の拘束から逃れるのに影響力があったようです(ただ,上記決定の立場=法廷地法説を覆しただけであって森田説が採用されるところまではいっていませんので,そこまでの影響力しかなかった,という言い方もできると思います。この拙稿については,2008年10月24日(金)「判例評釈のツボ(我流です)」もご参照ください)。

 次に,海事の世界は狭いので,松井チームの片手に余る戦果を判例集に掲載して公表する,ということができないのだそうです(NBLのご論文のように抽象化した形で公表するのがギリギリとのことです)。
 ということは,私たちが判例として理解しているものが本当に裁判所において定着した取扱いであるのか,少なくとも船舶先取特権の準拠法については相当に疑問が残る,ということになりますね。
 この問題は他分野にも存在しているはずの大きな問題で,ここで簡単に論じられるようなものではありません。ただ,「判例」について論じる際には,常に頭の片隅に留めておくべきではありますね。

 勉強の種をたくさん頂戴しましたが,何かが生まれてくるでしょうか?

 では,ちょっと頭が痛いので,このへんで。

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