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2010年12月22日 (水)

地域的不統一法国、債権譲渡の対第三者効力の準拠法

 後期に入って、1年ぶりに授業をしてきましたが、ほぼ順調に進み、今年最後の授業を終えました(最後のあたりでは、さすがにいろいろとストレスが蓄積してきて、切れが落ちましたが・・・)。
 ありがたいことに、昨年度より千葉大学にもサバティカルの制度が新設されまして、研究科としては私が第1号の利用者でした。法科大学院が始まってからは「研究は二の次(というより三の次?)」という状況を強いられていましたが、おかげさまで、研究者としては何とか息を吹き返しました(学生への支援はほとんどゼロに近かったので、その点の心苦しさは残りますが・・・)。御用学者でない実力のある研究者には、ぜひ千葉大学も選択肢の1つに加えていただければと思います。

 石黒一憲先生は、御還暦の今年、『国際倒産 vs. 国際課税 -牴触法的考察-』(500頁を超える大著)と『契約の神聖さ -住友信託 vs. UFJ事件-』(100頁ちょっとで新書に近いもの)を公刊されました(いずれも信山社)。
 私の方は、それには遠く及びませんが、(3月に活字になった不法行為の準拠法に関する献呈論文に続き)新たに下記の2本が活字になりました。ご笑覧いただければ幸いです(そのうち(年明けに?)拙稿リストに加えてリンクを張ります)。

 1.「地域的不統一法国の国籍を有する者の本国法の特定と同一本国法」千葉大学法学論集25巻3号1頁
 法適用通則法25条・32条の同一本国法を決定する際、各当事者につきいわゆる本国法の絞込みを先行させるのが法務省見解・通説ですが、2つの観点からそれを(特に、神前説については「理論的な深みがない」、道垣内説については「4つのプロセス論と一貫していない」という点で)批判して反対説(西説・石黒説)を支持したものです。既に、西賢先生からは「わが意を得たり」とのお礼状をいただいています。また、感動し、すっきりした旨の読後感をお知らせくださった新進の方もおられて、短いですがそこそこのレベルのものかと思われますので、ちらっと眺めていただければと思います。

 2.「債権譲渡の対第三者効力の準拠法をめぐる論証と学説理解の難しさ」千葉大学法学論集25巻3号27頁
 前半では、法例12条から通則法23条に至る過程での議論につき、法例の起草者の起草趣旨を確認したうえで、跡部説・石黒説を批判し、譲渡人住所地法への再改正を目論む河野論文をその論旨に密着して徹底的に批判しました(法務省に出向して法例廃止に尽力された大間知麗子弁護士からの理不尽な引用の仕方に基づく拙稿批判に対しても、64-66頁注57でその理不尽さが明白になるように書いてあります)。後半では、一転して、跡部論文に続いて法例12条を批判した久保岩太郞『国際私法論』(三省堂・1935年)における引用を手掛かりに、そこにおける主要な独墺学説についての理解を検証しました。地味ですが、このような作業を行うために研究者が存在するのだと思います。

 今回も、真っ先にお礼状をいただいたのは石黒先生でした。学恩が圧倒的に深いのも石黒先生であり、それ故に後者の拙稿では正面から、先生の『金融取引と国際訴訟』(有斐閣・1983年)のご議論を採り上げて批判しました(きちんと議論されている方がそもそも少ない、ということもありますが)。
 石黒先生は既に達観されていて、今回は畏れ多い評価を賜りましたが、凡庸な私としては少しずつ前進するばかりです。

 世の中は、世襲の弊害に埋め尽くされているのか、<「国民の生活が第一」(一番)後回し>かと思わされるような、現場無視のメチャクチャな状況が続いていて、他方、どこかでは着々と壊滅へのレールが敷かれつつあるような気がしないでもないですが、しぶとく天命に従って研鑚を続けるしかないのでしょう。

 では、皆様、よいお年をお迎えください。

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