学問・資格

2009年9月11日 (金)

第4回新司法試験合格発表

 昨10日(木),第4回の新司法試験の合格発表がありました。

 本年3月の修了生は,能力的には極めて高く,ただ若い人が多くなったので,答案上での表現力をどこまで高められるかが勝負だと見ていました。国際私法組では,おそらく12名が受験し,7名が合格でした。
 他方,昨年3月修了の国際私法組では,(正確な数字は把握していませんが)おそらく6名ほどが受験して,2名が合格でした。
 失敗した人は,できるだけ早く再スタートを切ってください。特に,学部卒業後すぐに入学してきた人は,基本科目の実力をできるだけ高めてください。昨年3月修了の合格者のうちのお一人は,そのような方で,昨年の今頃はいったん完全に進路変更することを考えられたところを,懸命に立て直されたものです。

 あえて,国際私法組のこれまでの結果をまとめておきます。発奮してくれることを祈ります。

 1期(7名) : 06年4名合格,07年3名合格
 2期(9名) : 07年6名合格
 3期(15名) : 08年7名合格,09年2名合格
 4期(13名) : 09年7名合格

 合格者数が昨年よりも若干少ないのには,驚きました。受験者のレベルが下がっていることは聞いていましたから,2200~2300名くらいに抑えられるかもしれないと推測してはいました。しかしながら,それにも満たないまでに抑えられ,しかも何の手当てもなく,というのは,・・・・
 文部科学省と法務省は,きちんと連携して,善後策を考えていただきたいものです。

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2008年11月 1日 (土)

H20新司国私第1問を中心に

 一時金と引き換えに,(用が済んだ)数年後からは恒常的に負担増だなんて,あまりにも感覚がズレすぎていて・・・。 雇用や福祉の構造「改善」といった方向に話が行かないのは,住んでいる世界があまりにも違うからなのですね(この関連で(?)渋谷で不当逮捕があったとかで,ネットではちょっと騒ぎになっているようですが。。。)

 大学祭にかこつけて年休をいただいたのですが,結局お仕事をしているという貧乏性!

 最新のジュリスト1366号(11月1日号)で,「国籍法違憲訴訟最高裁大法廷判決」の特集が組まれていて,興味深く拝読しました。特に,高橋和之=岩沢雄司=早川眞一郎「〔鼎談〕国籍法違憲判決をめぐって」(44頁以下)では,高橋教授による「憲法から見た国籍」(46頁以下)の指摘に(他分野の人間としては)啓発される感じがあり,また早川眞一郎教授による全体にわたる鋭い指摘群に自分の問題意識を再確認させられるところがあります。(早川眞一郎先生が国際私法学会の中心に立っていただけるようになれば,学会が浮上する可能性も出てくるのでしょうが・・・ 統制的な現状では,まだまだ難しいのでしょうか?)
 もしお時間があれば,私の過去ログ(6月13日(金)「日本国籍の希薄化?-国籍法3条1項違憲大法廷判決(その1)」および6月14日(土)「同(その2)」)にもお目通しいただければ幸いです。

 さて,今回は,今年5月に実施された新司法試験の国際関係法(私法系)の第1問について,批判的に若干の検討をさせていただきます。もちろん,私には何の権威もございませんので,批判的に眺めていただければ幸いです(以下,引用は法務省のHPに掲載されている「出題の趣旨」)。

 設問1は,成年被後見人の遺言能力の有無を問うものである。遺言能力の準拠法を定める規定は法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。)第4条,第5条か,第37条か,同条の「遺言の成立当時」とはいかなる時点かを検討して準拠法を決定し,実質法の本件事案へのあてはめの結果を説明することが求められている。

 結論から言うと,この出題(およびその趣旨)は疑問です。まず,4条,5条か,37条かを検討せよとのことですが,『別冊法学セミナー2008』の神前解説(342頁以下)や基本書などを見ていただければ分かるように,遺言能力などの身分的行為能力は各身分関係の準拠法によるというのが圧倒的な通説です。他に書くべきことが多くある中,このような検討をする受験生は,この点を問題視される方の授業を受けたか,逆に勉強が致命的に足りないかのいずれかでしょう。また,単純な知識を問うているだけですので,本番の緊張からど忘れして暫くの間ちょっとしたパニックになった受験生もいるかもしれませんね。
 これと比較すると,離婚の際の親権者の決定の準拠法を問う平成18年の第1問設問3は,基本的知識を問うている点では同じように見えても,連結点の決め方に着眼した議論ができるかを見ることができ,それによって性質決定一般についての応用能力があるかも測ることができますので,問題の質としては段違いです(初歩的な論点すぎますが)。

 設問2は,遺言の方式の有効性を問うものである。まず,遺言は,遺言の方式の準拠法に関する法律(以下「方式法」という。)第2条が掲げるいずれかの法の定める要件に合致しているときは方式上有効とされること,方式法第5条の規定により,遺言の際の証人の立会いや,被後見人が遺言能力を回復している時に遺言がされたことの証明の方式も「遺言の方式」の中に含まれることを指摘し,その上で,本件事案への方式法第2条の適用の結果を丁寧に述べ,本件遺言は日本民法の要求する方式は満たしていないが,甲国民法が要求する方式は満たしていることを説明する必要がある。そして,証人を1名で足りるとしている甲国民法第T条第2項の規定の適用が方式法第8条の「明らかに公の秩序に反するとき」に該当するかどうかを検討することになる。

 こちらは,最後の点を除くと,標準的でしょう。ただ,設問1と併せて,理論的な深みがないうえ準拠実質法の適用にややウエイトがかかっているので,昨年の問題と比較すると(民事法とは区別された選択科目の国際私法としては)物足りない感じですね。また,選択的連結なので甲国法上の方式を充たしている点にのみ触れれば足りるのであって,出題者が「本件遺言は日本民法の要求する方式は満たしていない」ことの説明も要求しているのだとすると,出題者の要領の悪さが目につきます(この点も,その説明を省略する神前・前掲解説342-343頁の方が信頼できます)。いったい,採点基準はどうなっているのでしょう??
 また,方式法8条の公序審査の検討を要求しているのは,あまりにセンスが悪いと思います。というのは,遺言保護のために多数の選択肢を用意した選択的連結が2条で採用されていますし,8条でもそれを受けて「明らかに」とあるわけで,もし裁判所がこの程度の内容の違いで公序審査をするようなら要領が悪すぎますし,この法律の趣旨を理解していないのではないかという疑問さえもってしまいます(ここでも,神前・解答例(367頁)が甲国法上の方式の具備を確認してあっさりと終わっているのを支持します)。この点にも配点されているのであれば,前段とも併せて,少しばかり出題者の適格を疑ってしまいます。

 設問3は,本件遺言による認知の有効性を問うものである。認知の有効性を定める規定は通則法第37条か,第29条か,同条第1項後段及び第2項前段の「認知の当時」とはいかなる時点か,甲国民法第P条が要求する後見人の同意は通則法第29条第1項後段の「第三者の承諾又は同意」に該当するか,準拠実質法上Yが本件遺言を承諾しているかを検討することが求められている。

 この設問は,意表を衝くなかなかの問題だと思います。遺言認知の場合の29条2項の「認知の当時」の意義については,基本書などには当然書かれているもんだと思って確認してみると,意外なことに,平成元年改正前法例につき折茂・各論343頁に記述があるくらいで(神前・前掲解説343頁のとおりで),少々驚きました。これについては,国際私法独自の解釈もありうるとは思いますが,うちの3年生に聞いてみると,その多くは遺言の効力発生時を意味し遺言の準拠法によって決まるという解釈を採っていました(私も最初にこの解釈を思いつきましたし,神前・前掲頁も同様のようです)。
 なお,神前・前掲解説と解答例は,出題の趣旨が検討を求めている最後の点を落としているのではないでしょうか? ただ,この点は,結構難しいのではないかという気もしています。つまり,「認知の当時」のAの本国法である日本法によると,民法782条で「成年の子」については「承諾」が必要ですが,ではYが「成年」か否かについてはどのように判断するのでしょうか?
 この点,山田204頁注1を参照すると,2つの筋が考えられます。1つは,日本民法上の概念ですので日本法でよいという考え方で,これだと「A死亡の時点においてYは20歳」なので「成年」となり,YがAの遺産分割請求をしている点を捉えて,その前提として認知を「承諾」していると認定することになるのでしょう。もう1つは,「成年」か否かは通則法4条1項によりYの本国法である甲国法だとする筋があって,これだと甲国法の関係規定が示されていませんので,場合分けをすべきことになるのでしょうか?(ちょっと,厄介な問題です。)

 以上,第1問を単年度で見れば,まずまずと言えます。ただ,今回は,技術的に過ぎるという感じがします(言い換えると,国際私法の「心」が見えない)。また,3年分をトータルで見ると,第1回に続いて周辺的な領域の問題であり,疑問を覚えます。中心的なところから堂々と,受験生の努力の程度を試してやるぞ,といった出題にしてもらえませんかね。きちんと勉強している学生たちが,気の毒で仕方ありません(レベル的には,十分対応できますが)。

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2008年10月 3日 (金)

新司(真摯)にちょっと驚き

 新司法試験については,サンプル問題,プレテストを含めると,もう問題が5年分たまりました。そこで,国際関係法(私法系)の問題については,第3回のものを中心に,傾向がぶれまくっていることを含め,若干の批評をさせてもらうつもりで,つらつら考えをめぐらせています。もうしばらくして,いろいろなことが落ち着いてきたら,ここに書きます(何かの手違いなのか,今年は法科大学院協会のアンケートが私には回ってきませんで,評価をする機会を逸してもいますので)。

 例えば,今年の第1問は,遺言なんていうやや周辺的な問題を出してあって,おやおやという感じはありますが,単年度で見た場合には,全体としてはまずまずの内容でしょう。
 設問ごとに結論のみ示すと,設問1は疑問(理由は後日),設問2は標準的(但し,「出題の趣旨」が遺言の方式の準拠法に関する法律8条の検討を要求しているのは,あまりにセンスが悪い),設問3は多くの受験者の意表を衝くなかなかの問題,といったところでしょうか。

 ところで,今日,ある事件についてやはり評釈を書いておこうと思って判例タイムズ1100号(「家事関係裁判例と実務245題」という臨時増刊;2002年)を見ましたら,植松真生「渉外遺言の方式」(488頁以下)と同「遺言事項その他の準拠法」(490頁以下)とあるのに気が付きました。ある考査委員のお弟子さんの執筆によるものですが,そう言えば,昨年の第2回の第1問設問2(1)(やや据わりの悪い(二重)反致の問題)についても,おやっ,と感じるところがあります。

 振り返ると,プレテストの第1問の設問1は,上記の考査委員の採る異説の存在を前提として論じないと,ほとんど意味のない設問で,先決問題の設問2と合わせて,ズレてるなあ,と国際私法組の(後の)1期修了生たち(昨年までに全員合格しています)の一部の方と話したりしたものでした。

 考査委員(およびそれに近い人たち)の関心を取り込んだ問題を出すことがよくないとまでは言いませんが,5年もの間で(後日示すように)よく練られ,かつ横綱相撲的な堂々とした問題は未だお出しになっていないのであり,新司法試験に要請される最高度の公平・公正に十分な配慮をしていただけないものかという疑問が拭えません(いずれにしても,5年間というのは,控えめに言っても長すぎるのではないでしょうか?)。

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2008年9月13日 (土)

第3回新司法試験合格発表

 最近は,職業柄(?)エスカレーターや動く歩道に乗るたびにメーカーを確認するようになっていますが,表示のないものが結構増えていますね。通則法17条但書の存在を考えると,<何が被害者保護だ! 詭弁じゃないか!!>と若干の憤りを覚えてしまいます。

 さて,去る11日(木),第3回新司法試験の合格発表がありました。国際私法組は,7名が合格でした(受験者数は,最大でも15)。
 合格者も不合格者も,みな可愛い教え子たちですので,この件については何も書きません。

 出題については,改めて書かせてもらいます。捲土重来!!

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2008年3月31日 (月)

廣目天

 国際私法学会の次期大会の案内が届きました。最初にハーグ国際扶養条約についての個別報告がなされ,その後は「国際裁判管轄立法に向けて(その1)」と題されたシンポジウムが開かれるとのことです。
 通則法制定(法例廃止)の際とは異なり,法制審議会にかける前に学会で検討するということになったようで,これが正常な手順ではないでしょうか!? しかも,報告者の中に,学問的な意味での中堅・ベテランの実力者が数人入っておられますから,これまた正常な姿だと思われます。今回は,充実した報告が期待できますね。

 さて,昨年秋の学会は奈良でありましたが,よい機会だったので,ついでに(小学校の遠足以来の)お寺巡り(興福寺・東大寺・法隆寺・薬師寺・唐招提寺)をしました。そのときに強く印象に残ったことを少し。

 順序は逆ですが,最後に唐招提寺に参りました。急いで巡って疲れていたのでもう帰ろうかと思ったのですが,引き返さなくてよかったです。この北東の奥にある「鑑真和上御廟」まで足を延ばしますと,木漏れ日が苔に射して辺りがぼんやり鶯色(?)に染まり,それは何とも言えない彩りに包まれました。また奈良に行くことがあれば,ここにはぜひお邪魔して時間を忘れたいと思います。

 それから,最も強く印象に残ったのは,東大寺戒壇院ですね。真横の幼稚園で運動会か何かやっていましたので賑やかでしたが,それがなかったなら,薄暗さに多少怖い感じがしたのかもしれません。多宝塔が中心に置かれ,4つの角に邪鬼を踏みつけた四天王が安置されています。中でも,廣目天は,(武器ではなく)右手に筆,左手に巻物をもち,世の中の悪事を書き留めていくのだとのこと。この廣目天の役割は,極めて重要であると思いました。
 論文は(最近よく目につく教科書のような総花的なものでなく,)「少しを極めてよく書く」(あるテーマを深く論じる)べきものですが,他方,廣目天の役割は現代では多数のブログが果たしているのでしょうか?

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2008年2月 2日 (土)

国際関係法(私法系)採点実感

 法務省のHPを拝見しましたら,以下のものが掲載されていましたので,「国際関係法(私法系)」の部分のみ転載しておきます。

(以下,http://www.moj.go.jp/SHINGI/SHIHOU/071107-18.pdf から一部転載)
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 平成19年新司法試験の採点実感等に関する意見(国際関係法(私法系))

1 出題の趣旨について
 第1問は,法の適用に関する通則法第6条の失踪宣告の国際裁判管轄,準拠法及び失踪宣告の効果についての理解を,第2問は,生産物責任訴訟の国際裁判管轄及び通則法第18条の生産物責任の準拠法の理解を問うものである。いずれも平成19年1月1日に施行された法例を全面改正した法の適用に関する通則法の重要な改正部分であり,受験生の理解が当然に期待される部分である。なお,国際関係法(私法系)においては,本年も,事例式の出題方式ではあるが,長文の契約書や生の事実を分析させる出題方式は採っていない。これは,そのような分析能力はむしろ合格後又は修習後のOJTによって培われるべき能力であり,司法試験の段階ではむしろ基本的な法的知識及び与えられた事例に基づいた基本的な法的当てはめ・法的推論の能力を評価するべきであると考えられるからである。

2 採点実感について
 1に記載したとおり,国際関係法(私法系)においては,受験生にとって出題趣旨は明確であって,出題趣旨に即さない答案はさほど多くなく,答案のレベルについては後述するが,ほとんどの答案が出題趣旨に即したものであった。
 答案の水準について,第1問は期待した水準に達していない答案が多数を占めた。原因は,①設問1の関係で通則法第6条についての理解不足,②設問2(1)の関係で反致制度についての基本的な理解不足ということであろう。①については,まず,通則法第6条が国際裁判管轄について規定していることを理解していない答案が少なからずあった。通則法第6条によって改正された法例第6条においてもその規定の解釈については争いがあったものの,国際裁判管轄が規定されていること自体はどの教科書にも書かれていることであり,この点を理解していない答案が少なからずあったことは驚きであった。また,失踪宣告の効力の及ぶ射程(直接効果か間接効果か)については,法例の下でも争いがあり,通則法の立法においても一定の整理を行ったところであるが,この点の理解を示す答案はごく少数にとどまった。②については,いわゆる「一行問題」に近い問題であり,戸惑った受験生もいたと思われるが,過半数の答案が満足のいく内容ではなかった。反致制度の趣旨・目的や反致制度が機能する場面(準拠法として指定された国の国際私法の内容)については,どの教科書にも書かれている主要論点であり,この点が理解できていない答案が多かったことも驚きである。このような出題形式については異論もあろうが,反致制度の基本的な理解ができていれば十分対応は可能であったはずである。
 第2問は,不法行為訴訟の国際裁判管轄及び生産物責任に関する通則法第18条の解釈を問うものであるが,前者の点は典型論点であり,期待していた水準に達していた答案が多かった。後者の点も第1問の失踪宣告に比較すれば,出題が予想されていたためか,期待していた水準に近い答案が多かった。しかし,条文の規律内容の事案への当てはめが不十分な答案が目に付いた。これは,例えば,国際裁判管轄の基準となる「不法行為地」,生産物責任の連結点である「引渡地」の概念の理解が不十分であるため,与えられた事案から論ずべき点(例えば,生産物が転々流通した場合の「引渡地」は,生産業者が生産物を流通に置いた地なのか被害者が生産物を取得した地なのか等)を十分に把握できていないことが原因であると思われる。
 なお,付言すると,規定や制度の趣旨を十分に理解することなく,条文を設例に当てはめれば何とか解答らしきものが得られると考えているような答案が少なからずみられた。これらの答案は,一行問題すなわち解釈の問題,設例問題すなわち適用(当てはめ)の問題という前提にたっているようにみられる。しかし一行問題では性質上「当てはめ」に関する能力が問い得ず,そのため,設例問題が採用されているにすぎない。解釈に関する能力は旧司法試験と同様に必須であることを何らかの形で知らしめる必要があると思われる。

3 今後について
 1,2で述べたように,国際関係法(私法系)においては,法科大学院における特殊な教育(契約書の分析等)を必要とする出題は行っておらず,国際民事訴訟法,国際私法の体系と基本的な概念の正確な理解に加え,法的な推論能力,論述能力が身に付いていれば,合格水準に容易に達し得る出題を行っている。法科大学院においては,このような「ごく当然のこと」を地道に確実に身に付けさせる指導を求める。
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(以上,http://www.moj.go.jp/SHINGI/SHIHOU/071107-18.pdf から一部転載)

 法科大学院協会のアンケートには,かなり厳しいことを書きました。
 上に引用した意見書に対しても,「反致」については,私の周辺では「二重反致」を聞きたかったのではないかという見方が強く,また,問題文が考査委員の出題趣旨を明確に表現したものとは言い難いのではないかとも思います。もっとも,受験生は,「反致」の根拠に関連づけて解答するのがやっとのところでしょうから,それが書けていれば大丈夫でしょう,と言ってはおりました(特定のロー生向けだったりして。。。)。

 他方,考査委員が一部変わるようですし,「長文の契約書や生の事実を分析させる出題方式は採っていない。これは,そのような分析能力はむしろ合格後又は修習後のOJTによって培われるべき能力であ……ると考えられるからである。」,「国際民事訴訟法,国際私法の体系と基本的な概念の正確な理解に加え,法的な推論能力,論述能力が身に付いていれば,合格水準に容易に達し得る出題を行っている。法科大学院においては,このような『ごく当然のこと』を地道に確実に身に付けさせる指導を求める。」とされる点には,全面的に賛成です。
 昨今は,国際私法の研究者でさえ「基本」がそっちのけで訳の分からない人もおられますから,ロー生だけでなく,教員も一緒になって,「基本」を勉強し直しましょう!!

 ところで,一昨年春から昨春にかけて,通則法の制定に関係する文章をいろいろ書いてきたのはご承知のとおりです。ただ,現状では参照するのに不便なので,面白半分で「ココログ出版」で本にしてしまいました。このブログ,結局は,私的な備忘録にすぎませんので。

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2007年12月17日 (月)

前川清成法務委員質疑転載

 前回の冒頭で触れた、11日(火)の参議院法務委員会の議事録が公表されましたので、関係部分を転載しておきます。

(以下、07年12月11日参議院法務委員会議事録から転載)
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 (前略)

○前川清成君 それでは、先日の司法試験の問題、続けてお聞きをしたいと思うんですが、私はこの間、法務省の対応を見ておりますと、どうも早く臭い物にふたをしたいと、もう今年の試験も終わったことなんだから今また何を言うてんねんというような感じがしてならないわけです。しかし私は、正義とか公平、これが司法において守るべき究極の価値だと考えています。そうであったならば、その法曹を選別する司法試験にあっては、とりわけ正義とか公平、この理念がほかの国家試験にも増して大切なのではないかな、こんなふうに思っているんです。
 これ、大臣としては、やっぱり役人の皆さん同様に早くふたをしようとお考えになっているのか。この前も、必要があれば再調査もしたいと、こういうふうにおっしゃっていただきました。徹底してうみを出そうとお考えがあるのかどうか、まず基本的な方針をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村元考査委員はとんでもないことをしたんだと私は認識をいたしております。もちろん、それに対する様々な調査があって、これは、短答式の十八問というような問題についてまた御質問あろうかと思いますけれども、いろいろ精査して、慶応大学とその他の大学との差はそれほどなかったということで、司法試験の試験結果には影響をさせないと、採点を変えるというんでしょうかね、基準を変えるとか、そういうことはしないという判断は私もおおむね妥当であろうとは思っておりますけれども、要は、最も正義が要求される試験であるという前川委員とは全く同じ考え方です。
 そこで、毫も疑いが持たれるようなことがあってはいかぬということで、専ら再発防止というか、もう厳正な新司法試験になるようにするためにはどうしたらいいかという考え方で、今までこういうやり方はどうだったかと、甘かったんではないかという部分をうみとすれば、そのうみは徹底して出していくと、こう思います。
○前川清成君 私、再発防止、これはもちろん大切だと思っています。ただ、お題目として再発防止を唱えるだけではなくて、実際何が起こってしまったのか、そしてその原因は何だったのか、制度的に間違いがあったのかなかったのか、そこも十分に調べないと、再発防止はただ単なる紙に書いたお題目になってしまうのではないかなと、こう思っています。その点で、法務省の調査には私は大変不満を持っています。
 そこで、ちょっと、どういう調査があったのかを具体的にお尋ねしたいと思うんですが、先日の委員会で、十一月八日の委員会で、その今大臣がおっしゃった短答式十八問、これを植村元考査委員が知っていたかどうかについて、大臣は、同じ公法系ですから知り得た可能性は十分あると、私は、だから知っていた可能性、非常に高いから問題だと申し上げているんですと、こういうふうに御答弁をいただきました。これが十一月八日なんですけれども、その数日後、十一月十一日の朝日新聞に植村教授のインタビューが一問一答で掲載されました。その中では、植村教授は、この短答式十八問について、憲法の出題者から説明がありましたと。要するに、認識の可能性ではなくて、認識していたというふうに述べています。結局、大臣の御答弁と朝日の記者に対する供述、植村さんの供述が矛盾しているわけです。この点で私はまず疑問を持っています。
 私は、八月八日付けの質問主意書を提出させていただきました。その中で、政府の方から、この植村教授に関する問題については、本人及び関係者から法務省の職員が事情聴取や関係資料の収集を行ったと、必要な調査は遂げたというふうにお答えになっています。八月八日の時点で、これ答弁書はもう少し後ですから、八月十五日、八月十五日の時点で既に必要な調査は終わっていますというのが政府の御答弁でした。しかしながら、先ほど御指摘したように、大臣のおっしゃることと朝日新聞の記事とが異なっています。
 ついては、具体的に、この政府の答弁書にあります調査というのは、一体法務省の職員のどのような方がだれに対してどのような方法でなされたのか。その調査の内容というか、調査の方法等を具体的にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 十一月八日のこの参議院法務委員会で、短答式十八問を知っていた可能性が非常に高いというふうに私が答弁をいたしましたが、それはそのときの私自身のまだ調査不足等でありましたので、明確に訂正をいたします。知っていたというふうに私は今は認識いたしております。
 実は、最初に新聞に出たのが六月の何日かなんだそうです。読売新聞で最初の報道がされたようですが、その前から種々情報があって、その前から法務省としては調査を開始しておりました。受験生に送付したメール、これは大量にあるようですが、この提出も受けておりますし、本人からの事情聴取も行っておりますし、答案練習会の内容あるいはなぜ答案練習会をやったか、試験問題の漏えいの認識があるかどうか等について詳しく聴取いたしておりますし、他の考査委員からも問題作成の経過等を聴取するなどして、植村元考査委員の不適正な行為については相当解明してきたんだろうというふうに思っております。
 ついでながら、植村さんのこういう問題が起きたものですから、すべての考査委員に対して、あなたも同様なような例えば疑いを持たれるようなことをしたことがないかなどというような聞き取りもして報告を求めているわけです。特に問題になった者はほかにはなかったというふうに聞いております。
 そこでですが、短答式の十八問については、要するに公法系のワーキンググループという集まりがこれ三回ぐらいは行われているようですが、一月三十日に開催された公法系ワーキンググループの際に、憲法の考査委員が作った短答式の問題、これを口頭ではなくて見たと、見せられたというか見たというふうなことのようでありますので、植村元考査委員はこの短答式の問題を知っていたということになります。
 ついでながら、論文の公法系第一問、これは憲法ですが、彼は行政法ですが、同じ公法系ということで憲法、行政法は一緒にやると。問題の作成はもちろん植村氏がやったものではありませんが、一月三十日と三月十五日に同じようにこのワーキンググループがあって、そのときに憲法の考査委員から口頭で、その段階で公法系一問の問題内容についての概要の説明があったと。その出題されるだろうという作成中の問題が法律と条例の関係を聞いている、あるいは都市計画法が題材となっているということを植村元考査委員は認識しているはずです。論文式の公法系第二問、これ行政法、これは自分でタッチしておりますから完全に知っておると。
 こういう状況で、この間、公法系の短答式十八問について知っていた可能性が高いと申し上げた発言は訂正させていただきます。

○前川清成君 それでしたら、植村さんは最高裁平成十八年三月一日の結論だけが問われる問題が出題されると知っていた。知っていた上で慶応大学の学生らに対して最高裁の十八年三月一日をしっかり勉強しておきなさいとメールを送った。これは私は漏えいそのものだと、そう思うんですが、大臣、どうしてこれが漏えいにならないんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは非常に難しい問題で、(発言する者あり)いやいや、いや、漏えいといえば、それはそのものずばりを示したものが漏えいであって、そのものずばりでなければ漏えいではないというのが多分後ろの方々の見解だと思っております。
 ところが、私は、これは私は漏えいではないけれども非常に漏えいに近いものだと思います。じゃ、なぜ漏えいとまでは言い切れないかということは、メールで送って六つの判例勉強しておけよと、こう言った。まず、問題そのものがこういう問題だよというふうに示したのではないと。それから、非常に重要な判例で、これはだれでも基本的には知っていなくちゃならない、受験生であるならば、という問題であったというようなことですね。事実は超難問だったらしくて、六つの中から選ぶわけですから、ヤマカンでやっても一七%ぐらいは当たるわけですね。それがすごく正答率低いんですね、二十何%というような数字なんで、超難問であって、慶応の方も大して取れていないんですね、これね。そういうことからいうと、そのものずばりを教えたわけではないということで、実際に慶応の生徒も間違った人が非常に多いということを考えると、漏えいという言葉そのものは私も使えない。
 しかしながら、判例をメールで送って、これとこれはやらなくてもいいだろう、これだけ、この六つだけやっておけよといった行為は、それはもう絶対あってはならない行為ですが、漏えいに近いものと私なりに定義しておきます。
○前川清成君 今、委員会室から失笑が出ましたけれども、漏えいと漏えいに近いものというのは、これは余り生産的な議論ではありませんのでやりませんが、大臣、ただ、出ると分かっていてその判決を勉強しておきなさい、これは漏えいという言葉が適切でなかったら、ばらしているということそのものだろうと思います。
 それと、大臣、大臣が本当にそうお考えになっているのか、後ろの方々に知恵を付けられているのか知りませんが、この平成十八年三月一日の判決、これは法律家であればだれもが知っていなきゃならない判決では決してありません。だから正解率が低いんです。これは決してそんなことはありません。
 そこで、ちょっと漏えいと漏えいに近いものとの境界線についてお伺いしておきたいと思うんですが、今回はこの判決を司法試験の考査委員がメールで送ったということになっているんですが、答案練習会をやって。じゃ、答案練習会ではなくて、法科大学院の普通の講義の中で、今年の司法試験の本番にこの問題が出ると、あるいは来年の司法試験の問題にこの問題が出ると認識しながら、ここは大切ですよ、よくよく勉強しなさいねと、それも言わない。言わないけれども、出ると分かっていて何こまも何こまも使って懇切丁寧に説明する、この行為は漏えいになるのかどうか、あるいは法務省が司法試験考査委員に対して禁止している行為に当たるのかどうか、その点お伺いをしておきたいと思うんです。どこまでが漏えいで、どこまでが漏えいでないのか。どこまでが禁止されていて、どこまでが禁止されていないのかということ。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 本来は、この間も申し上げたかもしれませんが、考査委員が、つまり試験の問題を作る人は法科大学院で教えてはならないというのが一番いいんですよ。ただ、実は法曹養成という概念の中で、法科大学院と司法試験の有機的な連携ということが明文化されているものですから、やはり本当の専門家である学者というものに考査委員になってもらうという形になっているんだろうと思います。
 ただ、今回、大幅に減らしますから、考査委員で法科大学院で教えている人が、今、話題になっているときには百人以上いたのが来年は三十八人ぐらいに減らすという、こういう政策は取っているわけです。
 先生御承知のように、三年生や修了生、修了した人には今後は考査委員は教えないようにということではあるが、もう二十年のカリキュラムが組んでしまってある場合は、しようがないからあと一年間はちょっと例外を認めるという形でやっておりますけれども、要は、受験指導というものとか答案練習というのはしてもらってはいけないわけですから、考査委員がこれは重要だとかなんとかと言えば、私はそれは非常に近いものになると思いますね。
○前川清成君 それでしたら、大臣、その司法試験に出題される論点を一生懸命勉強しなさいとか、あるいはそうは言わないまでも、何こまも何こまも使って懇切丁寧に説明した、これはやはり司法試験考査委員の解任事由に当たると、これでよろしいんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) いやそれは、出題の範囲とか出題の問題を暗示するような形になっておれば、私は解任事由になると思います。
○前川清成君 残念ながら、あと時間がわずかになってきましたので、前回もお尋ねした非慶応、慶応正答率比較グラフ、これについてお伺いをしたいと思います。
 これは短答式試験公法系(憲法)ということで第一問から第四十五問までの答え、それぞれ正答率が書かれています。これはどうして、解答の番号で言うと一問から四十五番で終わっているのでしょうか。これ、短答式の解答欄はナンバー八十九まであるんです。本当に短答試験で問題ごとの正答率を知りたければ、一問から八十九問までのグラフを作るべきだと思うんですが、それは大臣のお手元にはあるけれども私にはもらっていないだけなのか、そうじゃなくて、そもそも作っていないのか、いずれでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 短答式は、公法系で全部で四十問なわけですが、憲法二十問、行政法二十問ですが、その一問の中に幾つか問題がありますので、憲法の二十問がここにある四十五問なわけですね。今、前川先生がおっしゃったその続編というのは行政法の分なんだろうと、こういうふうに思いまして、実はその四十六問以降のものは私もまだ見ておりません。
 これを見れば分かりますように、公法系十八問と、さっきからずっと話題にしておりますものはこれでいうと第四十問に当たるわけですね、設問数でずっと数えていきますから。この四十問を見ますと、慶応の正答率が二六・五七%、非慶応が二二・〇五%と、四・五二%の違いがあるんですが、やはり慶応の方が比較的、割合と優秀で、大体平均よりよくできているものですから、この四十問で特に大きな違いが出ているというふうな感じはいたしません。
○前川清成君 いや、大臣、そこをお聞きしているんじゃなくて、大臣もおっしゃったように、この公法系科目は問題でいうと一問から四十問まであります。解答欄は八十九まであるんです。何で、それなのにどうして四十五で終わっているんですか、八十九まで行っていないんですか、植村が行政法の考査委員であったら、むしろ大臣がおっしゃるように後半の方が怪しいと考えるのが普通ではないですかという質問です。
○国務大臣(鳩山邦夫君) やはり問題になったのが短答式の公法系十八問、これでいうと四十問になるんですけれども、だったものですから、憲法だけの資料を用意したということでございます。
○前川清成君 いや、大臣、それ、今のはお答えおかしいですよ。ほかの問題と正答率を比較するということでグラフを作ったんでしょう。そうしたら、どうして四十問が終わったら、一問から四十問まで作りましたと、そこで終わってしまうんですか。最初から最後までグラフを作らないと比較ができないと考えるのが普通の考え方だと私は思いますが、その点いかがかということをお尋ねして、私の質問時間参りましたので、残念ですが、今回はこれで終わらせていただきたいと思います。
○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、ごく簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) その八十九問までのは私も見たいので、資料を作らせて提出いたします。
○前川清成君 ありがとうございました。

 (後略)
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(以上、07年12月11日参議院法務委員会議事録から転載)

 確認された部分については、赤字にしておきました。

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2007年11月17日 (土)

前川・仁比法務委員質疑転載

 前々回にご紹介した、8日(木)の参議院法務委員会の議事録が公表されていますので、前川委員と仁比委員の部分を全文転載しておきます。

(以下、07年11月8日参議院法務委員会議事録から転載)
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 (前略)

○前川清成君 おはようございます。民主党の前川清成でございます。
 今、民主党の副幹事長をさせていただいておりまして、鳩山由紀夫幹事長には大変お世話になっております。ありがとうございます。
 さて、六月に慶応大学の植村教授による司法試験問題の漏えい疑惑が明るみになりまして、一日も早くこの国会で取り上げさせていただきたいと、こういうふうに思っておったんですが、ちょうど通常国会の末と重なりまして、延び延びになっております。
 今日は、本来であれば民主党の特定肝炎緊急対策措置法について厚生労働委員会で答弁をさせていただく側のはずだったんですが、流れまして、松岡理事から特別の御配慮をいただいて、今日、質問させていただくことになりました。ただ、松岡理事から特別の御配慮をいただいたのが昨日の朝でして、昼間は日程がほぼ詰まっていましたので、通告が遅くなりまして御迷惑をお掛けしたと思います。その点、まずおわびを申し上げたいと思います。
 今この司法試験の漏えい問題を今日取り上げたいというふうに申し上げました。これは新制度の立ち上げに当たって極めて制度の根幹にかかわるような問題だと思っているんですが、どういうわけか、すねに傷があるのかないのか分かりませんが、法務省が真相の解明に後ろ向きのように思えてなりません。また、当事者である慶応大学を始めとして、法科大学ももちろんこれを早くやみに葬り去りたい、こういうふうに思っているように思えてなりません。
 鳩山大臣におかれましては、就任後、死刑あるいは法曹人口等で思い切った問題提起をなさっておられまして、やはり実力のある大臣は違うなと、こういうふうに思っております。是非、今日は役所のカンニングペーパーの丸読みではなく、大臣のお考えを率直にお聞かせいただきたい、こういうふうにお願い申し上げたいと思います。
 ただ、一点、先日来の答弁、お聞きしておりますと、良く言えば非常に丁寧に御答弁いただくんですが、悪い言い方をしますと、関係のないことまでいろいろおっしゃいます。今日は片道ではなく往復ですので、是非私の質問にお答えをいただきたいと思います。
 さて、今年の六月二十九日付けで法務省大臣官房人事課から、新司法試験考査委員の解任についてというペーパーが配られました。その中で、植村教授を解任する理由として、一つは、勉強会と称する答案練習会を開催するなど新司法試験の受験指導をしたということ、二つ目には、本番の論文解答を再現したならば採点してあげると、そうメールで送ったこと、この二点が挙げられていますが、このほかに植村教授に関して不公正な行為、司法試験の公正さを害する行為はなかったのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私が承知いたしておりますのは今先生御指摘の事柄でございまして、三年生、慶応義塾大学の三年生ですね、法科大学院の、と修了生、新司法試験の受験者を対象に七回にわたり学内で課外の答案練習会を行ったと。七回というのが恐ろしい多数であるという私は認識をいたしておりますけれども、また、新司法試験受験者に対して本試験の論文の解答を覚えておいて書いて自分に送ってくれれば採点してあげると、こういうことだったと思いますが。あと、私も学生時代に読みましたが、ジュリストという、先生方お読みになるが私余り大学卒業してからは読んでいないジュリストがありますが、ジュリストに最近の重要な判例百選だったか何かまとめたのがあって、その中の幾つかをピックアップして、重要な判例であるからといって受験生に送付したというふうに聞いております。
○前川清成君 今のは、問題の漏えいはなかったというお答えでよろしいんですね。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、問題の漏えいというふうには直ちには考えませんが、しかしこういう試験で毫も疑いを持たれてはいけないと、そう思いますので、事柄は、漏えいという日本語は使いませんが、非常によくないことが起きていると認識いたしております。
○前川清成君 私も今の大臣の御答弁同様に、試験が公正であることは当然であって、更に公正さ、公正らしさ、これが要求されると、こういうふうに思っています。
 そこでお尋ねしたいんですが、公正らしさを担保するためにどのような対策がこれまで講じられていたのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる考査委員ですね、試験の問題を作り採点する、その任命のときに、答案練習の指導、座談会への出席、雑誌への寄稿等による試験科目についての受験指導については差し控えるよう書面で求めていたと、こうあるんですね。それから、任命した直後にも、改めて留意事項として、試験の公平公正の確保という観点から、新司法試験の受験指導やそれに関する事項についての雑誌への寄稿、シンポジウム、座談会での発言は差し控えていただくよう要請していると、こういうことなんですが、原文を見ますと、失礼ながら人事課長名で出ております文書を見ますと、答案練習の指導、座談会への出席、雑誌への寄稿等による試験科目についての受験指導はお差し控えくださいますよう特に御配慮賜りたくお願い申し上げますという、非常にこれ下手なんで、これはこういうものは禁止するという意味のことがはっきり書かれなければ本来いけないと思います。
○前川清成君 それでは、今現在、今大臣御答弁いただいたのは十九年度の考査委員に対する禁止事項ですよね。次年度、二十年の考査委員に対しては受験指導は禁止するというふうにはっきり書かれているんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 詳細は今承知しておりませんが、考査委員が受験生を指導することを全面的にやめてくれという内容ではなかったかというふうに思います。
 本来、私は、この問題が発覚したというか話題になったときに、考査委員に法科大学院の教授はゼロにすればいいじゃないかと率直に私、役所で言ったわけですよ。
 だって、それはそうでしょう。例えば、我々がある大学の入学試験を受けようと思ったときに、どこかの高校の先生がその問題を作ったらその高校のやつが有利になると。有利になるか不利になるかどうかは別にして、試験というのは選抜する方の立場だけでなくて受験する方の立場がとても大事だし、それがやる気だとか取組の意欲にかかわってきますから、そういう意味でいえば、本当に理想を言えば、将来的には法科大学院の教授は問題作成に一切携わるべきでないと、私、そう思っているわけですが、ところが、他面、法曹養成という仕組みを、今までは難しい難しい司法試験、先生が通られた、点というか受験、難しい試験という点であったものをラインで考えて、法科大学院の教育、それから司法試験、司法修習というこの流れの中で有機的に関連付けるという理念もうたわれているものですから、そこまで一刀両断には今すぐはできないのかなというふうに思っているんですが。
○前川清成君 それで、私も大臣同様に、司法試験の考査委員、これがどういうふうに選ばれるのか、特にこの漏えいの疑惑が起こった植村教授についてどういう経緯で選ばれたのかと思いましたので、質問主意書を出させていただきました。
 それに対して、七月六日付けで答弁書をいただきました。これはまだ鳩山大臣が御就任になる前かと思いますが、質問は、政府はどのような経緯、理由で植村教授を司法試験考査委員に任命したのかという問いに対して、政府の答弁書は、司法試験を行うについて必要な学識を有する者として任命したと、こういう木で鼻をくくったような御答弁がございました。
 これは、法務大臣というよりむしろ内閣の一員としての大臣にお尋ねしたいんですが、国会議員からの質問主意書に対して、このような、ばかにしたとまでは言いませんが、木で鼻をくくったような答弁書、こういうことがまかり通るのか、もう少しきっちりと説明責任を果たすべきではないかと私はそのとき強く思ったんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村元考査委員をなぜ任命したかということについて、こういう書きようしかなかったかなと思うのは、やや残念な気持ちが正直言ってあります。
 ただ、先生、これは一緒に考えていただきたい点があるんですが、ちょっとだけ先ほどの先生の御注意に反しますけれども、私は、共通一次試験というのは余りいいものだと思わなかったんですが、ちょうど文部大臣になりましたときに大学入試センター試験とか何か名前が変わって、これは相変わらず偏差値輪切りの原因にはなってるけど、でも案外いい試験だという評価もあるんですが、このセンター試験、これは受験者の数、問題にならないぐらい大きいわけですが、そのセンターをつくって、物すごい厳しい管理しているんです。私、見に行ったんですよ、例えば日本史の部屋とかですね。例えば日本史の部屋で酒飲んだときは絶対酔いがさめるまで出さないとか、妙なそういう規則もあったりして、やっぱり試験問題というのはとにかく厳しい管理をしなくちゃならない。
 だから、考査委員になぜしたかという点については私は十分なお答えができないんですが、考査委員になった人、考査委員にした人に徹底した厳しい遵守事項を定めるというのが正しい姿ではなかったかと。その辺の甘さがこういう疑惑あるいは不適正な行動になっていったんではないかというふうに私は思うんです。
○前川清成君 いや、大臣、私が今お尋ねしたのは、質問主意書に対する御答弁が余りにも不誠実ではないですかという点です。
 大臣、それは答えようがないのかということかもしれませんが、私はもう一度同じ問いを質問主意書で出させていただきました。すると今度は、八月十五日付けの答弁書ですが、今度はちゃんと、植村元考査委員は、大学卒業後、行政法の研究者、教員として大学に長年在籍、研究・教育活動に従事してきたものであり云々と、こういうふうに書かれてあるんです。そうであるならば、最初からこういうふうにお答えいただくのが本来、法務省として、政府として質問主意書に対するあるべき姿ではないか、こういうふうに大臣のお考えをお尋ねしています。
○国務大臣(鳩山邦夫君) それはもう先生全くおっしゃるとおりでございまして、植村教授は、司法試験委員会の推薦に基づき、司法試験を行うについて必要な学識を有する者として、法務大臣により任命されたものであるなんというのは何の答えにもなっていない。これはだれに聞かれても、こう答えれば一応答えにはなってしまう。これは質問主意書への答えとしてはやはり適正を欠くと私は判断しますね。
 それに対して二回目について大分書き方を変えているわけで、本質が違っているかどうかは別にして、質問主意書もできるだけ丁寧にお答えすべきだと思うし、私が指導できる点があれば今後改めていきたいと思います。
○前川清成君 私は、司法試験考査委員が、先ほど大臣が文科大臣当時の御経験でおっしゃったように、司法試験考査委員の選任自体もやはり大切なことではないか、それが情実やコネや、あるいは密室でこそこそと選ばれてしまったならば司法試験自体の公正らしさ、これも害されてしまうのではないか、こんなふうに思っています。
 その点に関連して今の質問主意書を出させていただいたんですが、この八月十五日付けの答弁書で、植村教授について、大学卒業後、今読みましたとおり、行政法の研究者、教員として大学に長年在籍、研究・教育活動に従事してきたと、こうあります。
 そこでお尋ねしたいんですが、考査委員に選ばれるには、例えば何年以上大学に教員として勤務しなければならないというような具体的な基準はあるのでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 基準が特にあるとは聞いておりません。考査委員を百五十人以上様々な分野から選ぶという中で、もちろんそれは学者だけじゃなくて実務家からも選んでいくわけでございますけれども、結構数が多いものですから、厳しい基準を作るとなかなか人が集まらないというふうなこともあって、結局、司法試験委員会に名簿を作ってもらって推薦してもらって、それを採用するというような形になってしまっているという状況だと思います。
○前川清成君 今大臣おっしゃったとおり、別に何年という基準はないと、こういうことですし、現実の問題として、大学教授以外に、例えば裁判官や検事、実務家からも司法試験考査委員が選ばれています。そうなると、実は、大学卒業後研究者として大学に勤務していたというのは司法試験考査委員に選ばれる要件ではない。ということになりますと、実はこの質問主意書、植村教授について、長年大学に在籍していたというくだりはうその説明だったということになりませんでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) うそではないと思いますが。行政法の研究者、教員として大学に長年在籍していたというのはうそではないと思いますが。
○前川清成君 いや、植村教授が長い間大学に勤めておられたと、そのことがうそだったというふうに申し上げているわけでは全くありません。
 私がお尋ねしているのは、質問主意書で、考査委員はどういう基準で選ばれるんですか、植村教授はどのような基準で考査委員に選任されたのですかと、こういうふうにお尋ねしました。それに対する答えが、植村さんは長い間大学に勤務していたからと、こういうお答えが来たんです。しかし、今の大臣の御答弁は、大学に何年勤めているというような基準はありませんよと、現に実務家からも、要するに大学の教員をしたことがない人も考査委員に選ばれている。そういう点を勘案すると、この質問主意書に対する御答弁は間違っていませんかというお尋ねです。
○国務大臣(鳩山邦夫君) おっしゃるとおり、私先ほど質問の趣旨をよく理解しないでお答えして、申し訳ありませんでした。
 長年在籍しておれば考査委員になるのに適性があると、こういう判断をできるものではもちろんないわけでありますから、先生の質問主意書に対する直接の答えには確かになっていない。長年、慶応大学でしょうかね、の教員や研究員として研究教育活動に従事していたというのを一つの要素としているだけだろうと、こう思います。
○前川清成君 もう一点、この答弁書においては、植村教授は考査委員任命当時、法科大学院教授の職にあった、このことも考慮して任命しましたと、こうあります。先ほどの大臣の御答弁の中にありましたし、私もそう思っているんですが、法科大学院の教授であることは司法試験考査委員に本当にふさわしいのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 法科大学院をつくるときに、先ほど申し上げたように、点から線へということを考えて、司法試験という、あの昔三百人とか五百人しか合格しなかった大変難しい試験、一発勝負というか、この受験ということですべて決めるんではなくて、一つの流れの中で、法科大学院教育を受ける、もちろん三年間受ける人もいれば二年間の人もいるがという、そして司法試験。
 したがって、司法試験と法科大学院の間には有機的な関連性がなくちゃいかぬという理念がそうさせているんだろうと私は思うのですが、そこはよく分かるが、私は、だから、この問題を知ったときに、法科大学院経験者ならいいけれども、現職の法科大学院の先生が問題を作るということになれば、彼らは教えているんだから、それは三年生は教えていないとか、つまり受験を控えている人を教えないようにするとかということがあっても、やっぱり何らかの影響が出るのではないかと。試験というのは毫もそういう心配を受験生に与えてはいけないものだと、私はそれを信念に文部大臣をやっておりましたときもいろいろ考えてきた経緯があるものですから、何かいい方法がないかと今も懸命に思案、熟慮しているところでございます。
○前川清成君 私も大臣と同様に考えております。
 先ほど大臣から御答弁ありましたように、司法試験考査委員には受験指導は禁止しているということですが、実は法科大学院、これは従前の、大学の教授が、法科大学院が設置される前に大学の法学部の教授が司法試験委員になったのと随分事情が違うだろうと、そう思います。
 なぜならば、従前において司法試験を受ける学生というのはむしろ少数派だった、決して多数派ではなかったわけです。しかし、法科大学院であればほぼ一〇〇%司法試験、受験するわけです。そうであれば、講義であろうとどんな形であろうと法科大学院において行われるその教授からの情報提供等々はすべて司法試験に直結している、こう言わなければならない。
 その点で、実は、いろんな理念はあるのかもしれませんが、司法試験の公平さについては大変緊張をはらんでいるという問題点があろうかと思いますので、是非この点は法務大臣におかれましても司法試験の公正さを守るという点で御考慮をいただきたいと思います。
 現に、今度、司法試験の考査委員、大学、法科大学院の教授を減らして実務家を増やそうというふうになっていると思います。これだけで改革が止まるのか更に進むのか分かりませんが、この問題については、また引き続きどこかの機会でお尋ねをしたいと思っています。
 それで、ちょっと時間の都合もありますので、次お尋ねしたいのは、司法試験考査委員、これが選任されるのは前年の十一月ごろで間違いはないんでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 十一月ごろと聞いております。
○前川清成君 それで、十一月ごろに考査委員が選任されて、いつごろから問題の検討が始まって、いつごろ司法試験、その年の本番の問題が確定するんでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 考査委員が任命されるのが大体十一月ごろということで、何日ということではないようですが、試験は五月ですよね、その間半年あるわけで、各考査委員が一つの例えば公法系ということであっても、何人もの方がなさるわけですから、問題案をそれぞれが作成されて、担当科目ごとに集まってお互い見せ合って協議をし、そういう形で出題内容を絞り込んでいって、最終的に出題されるというふうに聞いております。
 私が先ほど申し上げましたのは、大学入試センター試験においても当然同様のことが行われておりますが、一般の人が絶対入れないようなセンターをつくって、厳密にやっている姿を見て大したものだなと思った記憶があります。
○前川清成君 大臣、私がお尋ねしたかったのは、十一月ごろに選ばれる、五月の中旬に試験がある。この半年の間、大臣もおっしゃったように、今年の問題どうしようか、複数の考査委員の間で議論もされるんだろうと思います。
 そこで、いつごろ問題は確定するんですか。五月の中旬に試験ですから、印刷もしなければなりませんし、印刷した答案、厳重に保管もしなければなりません。だから、まさか試験の三日前に問題が決まるというようなことはないだろうと思うんです。どのぐらい前に、一月前なのか、二月前なのか、三か月前なのか。幅はあろうかと思います、その年によって。いつごろ問題は決まるのでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 恐らく、またしつこいようですが、大学入試センター試験みたいなものはもう作業手順がぴしっぴしっと決まっておって、何月何日どうってあるんだろうと思います、大量ですからね。しかし、残念ながらこの新司法試験の問題作成は確定的には申し上げられないので、三月から四月ごろに内容が決まっていくというふうに承知いたしております。
○前川清成君 この点で、是非きっちりと、少なくとも今年の問題がいつ確定したのかはお調べいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 といいますのは、四月十一日、この日に植村教授は慶応大学の受験生たちにメールを送ってます。そのメールの中で、平成十八年度の「重要判例解説」から、この判決は大切ですよ、よく覚えておきなさいというふうに知らせている。そして、その判決を問う問題が本番に出されている。となると、もしかしたら問題を作ったかもしれない、あるいは問題を知っていた植村教授が自分の教え子たちだけに、これ覚えておいたら試験出るよとはっきりは言わないにしても教えた、このおそれは私は否定できないと、こういうふうに思います。大臣、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のは公法系第十八問というやつですね。国民保険料と憲法の関係かな、の問題ですね。これは一応憲法の問題でございますので、植村さんは行政法の作成者だと思いますので、この問題を植村元考査委員が作ったとは認識しておりません。
○前川清成君 それはお調べいただいたんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは調査の結果、この問題は植村元考査委員が作ったものではないという結論に達しております。
○前川清成君 植村教授の弁明もそうなっているんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村教授がどう言っているかというんですか。
○前川清成君 はい。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 当然そのようにおっしゃっているようですが、自分が作ったものではないと。
 ただ、これは私は問題だと思っていますよ。いや、その発言がうそだとか本当だというんじゃなくて、同じ公法系ですからね。
○前川清成君 実は、その点も本当に十分な調査がなされているのか、法務省が十分な調査をしたのか、私は疑問に思っています。
 ただ、一点御指摘をさせていただくと、この問題は憲法の問題であって行政法の問題ではないと、だから植村教授が作ったものではないという御答弁は、七月六日付けの答弁書の答えと矛盾をします。
 どの点が矛盾をするかといいますと、私は、どうして行政法なんかが司法試験の科目に選ばれたのですかという質問主意書を出させていただきました。それに対する政府の答弁書は、受験生の幅広い理解力を判定するため複数の法律分野にまたがる問題の出題も可能とするためだと、こういうふうにお答えになっているんです。憲法、行政法と、そういうカテゴリーを分けてきっちり区別をして問題を出すんじゃありませんよ、行政法や憲法、またがる問題についても出題するんですよ、こういうのが政府の御答弁でした。
 そして、現に今日理事会の御許可を得てお配りさせていただいていますこの十八問、これが純粋に憲法の問題なのかというと、実は地方公共団体の定める条例の保険料率に関することですから行政法にもかかわってくる、そんな問題なんです。また、植村教授は、現に行政法の勉強会と称して行政法の判決を四つ、憲法の判決を一つ紹介しています。その憲法の判決の一つがこの第十八問で問うた最高裁判所の十八年三月一日の判決なんです。
 ですから、植村さんが否定していますと、いやいや、植村さんは行政法だけれどもこれは憲法ですというような御答弁は、法務省の役人にもしかしたら大臣だまされている、そんな可能性があるんじゃないかと私は思います。どうか──後ろでちょろちょろするな──大臣、私の今の発言お聞きいただいていたと思います。その上で、御自身の御判断でお答えいただきたいと思うんです。
 この十八問というのは、ただ法律の理解、考え方を問う問題ではありません。問題を読んでいただいたら分かるとおり、十八年三月一日の最高裁の判決を知っているか知らないか、それだけの問題です。点からプロセスと言っておきながら、実はこれは点からプロセスではなく、点から重箱の隅つついとる、そんな問題なんです。こんな問題を出しておいて、試験の公正さが害されていないというようなへ理屈、私はまかり通らないと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) このジュリストに最近の重要な判例百選とあって、その中から、植村元考査委員が十ぐらいを、あれはメールで送ったのかな、何か文書で送ったかということがあったわけですね。
 この十八問を見ますと、私も疑問に思ったんです、先生と同じに、これ暗記物じゃないのと。法務省のお役人にしたらこんなの暗記物じゃねえかと。そうすると、読んだか読まないか、知っていたか知っていないかが重大な、答えが合うか合わないかの境目になりますね、境になりますね。こういう問題は余り良くないなと、私は単純にそう思ったわけです。
 実は私、恥ずかしながら、司法試験というのを何の勉強もしないで大学の四年のときに九百円の受験料を払って、赤れんがで払って受けに行ったことがあるんですよ。場所どこだったか覚えていません。司法試験って何だろうと思って、問題配られて、見たら、判例を知っていないと答えられないような、短答式ですよね、一次試験だから、それで私は実はその場で退席をしたんです。司法試験っていうのはこういうものかという経験だけして、問題をぱあっと見まして、十分ぐらいで退席をしたという記憶があるんですが。
 だから、これね、相変わらず、こういうのは短答式というか何というか、選択式の問題で、記憶力というか、読んだか読まないかが正誤の、何というか非常に重要な分岐点になるような問題はまあどうなのかなという疑問は持ちます。
○前川清成君 私も問題についてはそう思っているんです。
 ちょっと後ろでちょろちょろするなって、邪魔だから。邪魔だから後ろをちょろちょろするなよ。大臣の気散るやろ。
 大臣、よく聞いておいてください。僕は今二つのことをお尋ねしたんです。ところが、後ろの役人にだまされて、大切な方の問いを聞いていただいていなかったみたいなんです。
 大臣、こういう知識だけを問う問題いかぬと、それはそうなんです。加えて、この根が深いのは、知識だけを問う問題で、四月十一日、先ほどの大臣の御答弁では、もう本番の問題が確定していました。確定した段階で司法試験考査委員が自分の教え子たちだけにリークしているんです。その試験の在り方、そして植村教授の行為がこれは漏えいそのものではないですかというお尋ねなんです。こっちをお答えください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほどの、これは判例を知っているか知っていないかだけで決まってしまうんではないかということで私は問題ありと思っておりますが、これは最高裁の大法廷でしょうか小法廷でしょうか、大法廷、これはまあ有名な事件で新聞等にも出ているんだから知っていなくちゃいかぬと、こういうような言い方もあろうかと思っておりますけれども、これを漏えいという言葉を使うかどうか別にして、李下に冠を正さず、瓜田にくつをいれずということからいえば、李下に冠を正し、瓜田にくつをいれた行為だとは思います。
○前川清成君 この「重要判例解説」、今持ってきたんですが、これ十八年度版でおよそ百の判決が掲載されています。正確に言うと九十三だったかな、の判決が掲載されています。大臣が先ほどおっしゃったとおり、私はこれ自体を暗記する必要なんて全くないと思っています。というのも、例えばこれは四十一年から「重要判例解説」が出ています。今では四十冊。毎年百件ずつだったら四千件。その判決の結論を丸暗記していることが法律家の資質として必要かといえば、絶対に必要でないわけです。
 だから、まず第一に、大臣もおっしゃったとおり、この問題が不適切だと思います。と思うんですけれども、現に出されてしまって、植村教授は自分の教え子たちだけにこの判決は大切ですよ、覚えておきなさいというふうに流しているんです。すると、植村教授のメールを受け取って、植村教授のメールのとおり、考査委員が言っているんですから、ほとんどの人は実際にこの重判の平成十八年三月一日の大法廷判決を読んだと思います。植村教授のメールを受け取った人とそうでない人との間では試験の有利、不利が全然違うんじゃないですかというお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村元考査委員が慶応義塾大学の法科大学院の学生に対して、こういう中から試験問題が出ますよと言ったわけではない。もちろん言ったら更に大問題ですけれども、こういう重要判例がありますよと、十を選んで示したのかな。そうですよね、違いましたかね。百のうち十……
○前川清成君 五つ。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 五つ。で、最終的にはもっと絞って、まあ変な話だけど、これは余り関係ないでしょうみたいなことも言っているわけですから、これは極めて疑いを招きやすい発言やメールだというふうに思っております。
 ただ、さっき数字ありましたよね、今回の試験の結果を調べますと、慶応とそれ以外の受験生の正答率の差は若干にすぎないと。つまり、四・五%ほど慶応の学生が有利であったと。これは無視できない数字かとは思いますが、しかし、実は慶応よりも正答率が高い法科大学院が十二あると。植村元考査委員がこれを勉強しなさいよと言っているのに勉強しなかった慶応の学生もかなりいたということでしょうか。
 そういう意味で、関連性をどう判断するかというのは難しいということですよ。
○前川清成君 大臣、ちょっとそれは国民の皆さんが、とりわけ今年落ちてしまった司法試験の受験生が納得できるような御答弁ではないと思います。
 それで、大臣、大臣が今正答率の比較グラフについて言及されましたので、私も今言いたくないことを一つ申し上げたいと思います。
 今年の六月のこの委員会で私は大和都市管財の判決について質問させていただきたいと事前に通告しました。判決を持ってきてくださいねとお願いして、その日の九時か十時ごろまで会館でお待ちしていました。ところが来ませんでした。いつ持ってくるんですかと聞いたら、その質問の終わった日の九時か十時に持っていきますということだったんで、いつ使うねんというふうに腹を立てたことがあります。それ以来、ちょっと法務省からの資料提供については疑わしいと思っているんですが。
 実は、先ほど申し上げたとおり、昨日の朝に松岡理事から今日質問しろというふうにおっしゃられました。今の国会、いろいろ動いてない時期も多かったので、私はこの司法試験に関する資料を全部奈良に置いていました。仕方ないので法務省にお願いして、もう一度民主党の法務部門会議に提出した資料をいただけませんかとお願いをしました。持ってきていただいたんです。持ってきていただいたんですが、よくよく見ますと、今その大臣が見られた慶応大学の公法系第十八問の正答率が二六・五七%、非慶応が二二・〇五%、このグラフだけが入ってなかったんです。
 意図的なのかどうなのかは知りませんが、数字で明らかに四%以上の差が出ている。動かぬ証拠を今日質問すると分かっている私に見せない。これはやり方が汚いんじゃないかなと私は思っているんですが、大臣、そんな感想はお持ちになられませんか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 事務方は確実にこの資料は入れたと今言っておるんですが。
○前川清成君 入ってない。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私としてはそれ以上のことは言えないので、事務方は確かに先生にお持ちしたと言っておるんですが。
○前川清成君 大臣、こんなことでうそついても仕方ありませんので、私は全部資料を見直した後、このグラフだけは民主党の政策調査会へもらいに行きました。これだけ入っていませんでした。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これですね。
○前川清成君 はい。この折れ線グラフ、これだけ入っていませんでした。ちょっとその点も、大臣、厳しくその体質、法務省の体質を是非見ていただきたいと思うんです。
 時間があれば後でB型肝炎訴訟における訟務検事の対応についても取り上げたいと思うんですが、どうも、正義や公平を守るべき役所でありながら、やることがうさん臭いというふうに思えて私はならないんです。今回の司法試験の問題でもいろいろ弁解するけれども、現に植村教授がこの判決は大事ですよと、百ある重要判例に掲載されている判決の中から行政法四つ、憲法はただ一つ示して、勉強しておきなさいよと言った。たった一つしか示していない憲法の判決がそのまま本番に出る。しかも、基本的な理解があれば自分で考えて解ける問題ではなくて、ただ知っているか知らないか、暗記しているか暗記していないか、読んでいるか読んでないか、明らかに差が出る、そんな問題が出されている。
 これは、大臣、どう考えても怪しい、それが国民の素直な感情だと思うんです。大臣はこれ怪しいと思われませんか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 怪しいと思います。
 つまり、私は前から申し上げておりますように、それは怪しいと言い切ることが場合によっては失礼、非礼に当たっているかもしれませんが、怪しいと私が思うに足る十分な資料、状況があると思います。
 というのは、今、先ほどから先生がるる御説明されたように、百の判例のうち十だか五つだか、今行政法四つ、憲法一とおっしゃいましたが、要するにそれが出たわけですよね。同じ公法系ですから今は、法律、我々のときは憲、民、刑とか分けたけど、何というんでしょうか、法際的というんでしょうかね、憲法と行政法でもその境目がだんだんくっついてくるようなそういう感覚で公法系ということになっているわけですから、公法系同士は当然接触、行き来がございますので、植村元考査委員がその問題を出題する可能性を知り得ることは十分にあり得たと、私は非常によくないことであるという認識を持っております。
○前川清成君 くどいようですが、この公法系短答式の第十八問、これは植村教授が作成した問題ではないのですか、あるいは作成したんですか、それともまだ分からないですか。どちらですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは法務省や我々の調査の結果でございますから、一〇〇%の確度という自信があるかといえばもう一度調査しなくちゃならぬと思いますけれども、私が知り得ている情報ではこの問題を作ったのではない、問題を作成したのは植村元考査委員ではないと。しかし、同じ公法系であれば知り得ている可能性があるから私は大問題だと申し上げており、私の認識はそうです。
○前川清成君 それでしたら、固有名詞を今ここでお答えいただかなくても結構ですけれども、この公法系の十八問、例えば、原案を作ったのは考査委員のだれだれさんで、それをだれだれさんとだれだれさんとが検討して完成させたとか、そういった調査も済ませていただいていて、その検討を加えたグループの中にも植村教授は入っていなかったということでよろしいんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) この問題を最初に、最初にというのか、この問題を出したらどうかと言った方がだれであるとか、そのときに同席したり相談したり、仲間がだれであるかという調査はしたようでございます。この場で言えることではありませんし、もし必要であれば先生の方に資料をお届けすると思いますが。
 それで、そういう中に植村元考査委員は入ってはおりません、作った人にも、その場に居合わせた人間にも。しかし、同じ公法系ですから知り得た可能性は十二分にあると。私は、だから知っていた可能性、非常に高いから問題だと申し上げているんです。
○前川清成君 今大臣の御答弁の中にも、植村教授がもしかしたら知り得る、そういう立場にあったのではないかと。国民の目から見たら同じ司法試験考査委員ですから、かかわったというふうに疑わざるを得ないと思います。
 ついては、是非一度理事会で植村教授をこの参議院法務委員会に参考人としてお招きすることを御協議いただきたいと思います。委員長にお願いいたします。
○委員長(遠山清彦君) ただいまの前川委員の御提案につきましては、後刻理事会で協議をいたしたいと思います。
○前川清成君 それで次に、この植村教授の答案練習会等々に慶応大学が関与していたのかどうか、この点について調査は終わっているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 慶応大学という組織がですか、この事件にですか、それとも調査したかというんですか。
○前川清成君 調査をしましたかと。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 調査は慶応大学もしていると思います。
○前川清成君 それで、例えば不適切な行為だということで、答案練習会をした、あるいは受験指導をしたということが不適切な行為だとして法務省は植村教授を考査委員から解任しているわけですけれども、その答案練習会に慶応大学自体がかかわっているんですか、その点をお調べになったんですかというお尋ねです。
○国務大臣(鳩山邦夫君) その答案練習会が慶応大学の中の施設で行われた事実は認められております。正規の課程外でこういうことが行われているわけでございまして、他の、組織慶応大学法科大学院という形での関与は認められておりません、確認されておりません。
○前川清成君 今のお答えは、慶応大学の場所で、慶応大学という場所を使って答案練習会は行われたけれども、それについて慶応大学はあずかり知らなかったと、かかわっていなかった、そういう御答弁ですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 疑えば切りがないんですが、私どもが知り得ている情報では、単独行為というんでしょうか、植村元考査委員が七回も慶応の、名門慶応義塾大学の構内で施設を使って練習会をやったということですが、慶応義塾大学法科大学院が、あれは名前は違うんですよ、法務研究科というんでしょうか名前は、慶応の、が組織で何かした、関与したというふうにはとらえておりません。
○前川清成君 慶応大学はそうお答えするのかもしれませんが、その答えについて私は一つ疑問に思うのは、大臣今おっしゃったとおり、七回慶応大学の教室が使われているわけです。大学も知らないで植村さんと何百人かの学生が構内の施設を不法占拠するわけにはいかないだろうと。慶応大学も分かっていて教室を使わせた。そういう意味において、慶応大学が主犯とは言わないけれども、慶応大学がこの答案練習会に関与していたこと自体は否定できないのではないか、それが常識的な事実認定ではないかと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) つまり、植村元考査委員が、私も冒頭申し上げたように、七回もやっているわけですね、七回も。そのたびに教室を使うのに何らかの手続をしておるわけですね。だから、それを慶応義塾大学の事務の職員は知り得ているわけですね、こういうことに使うということを、七回も。だから、慶応義塾という組織が植村さんという人がそういうことに使っているということは知り得る立場にあったんでしょう。ただ、ただし、そのことを問題視するという、あるいは大いにそういうのをやって合格率高めようなどというような、そういう組織的な関与は認められないということです。
○前川清成君 司法試験考査委員に対しては受験指導は禁止していると、こういうふうに御答弁いただきました。それは、司法試験考査委員個人に対する法務省からの指示なのか、個人はもちろんだけれども、その考査委員が所属する大学なり法科大学院に対しても同様の指図をしているのか、その点いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) それぞれの考査委員に受験指導をしないようにというふうに今回からしているわけで、厳しくするようになったわけで、先ほどの質問でお答えしましたけど、平成十八年十月四日段階では、組織法科大学院にしているのではなくて、各考査委員に対して答案練習の指導とかそういう疑わしいことをやらぬでくれというふうに、こういうのは何というんでしょうか、指導というんでしょうか指示でしょうか、しているわけで、大学に対してはしていないようですね。
○前川清成君 実は、この植村教授の問題はもしかしたら根が深くて、植村教授に対する解任がトカゲのしっぽ切りではないのかなというふうに思える節もあります。
 というのは、慶応大学の、これは法科大学院ではないんですが、司法研究室という組織がありまして、ここで答案練習会がやはり七回行われました。刑事訴訟法については一回だけ行われました。その一回の刑事訴訟法の言わば模擬試験の問題が今年の本番の問題とぴったり同じでした。で、その出題者は法務省から慶応大学法科大学院に派遣されている検事だということです。
 この事実については既に法務省においてお調べ済みなんでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 派遣検事のことですね、お尋ねは。
 法務省から検事の身分のままで、これは、慶応ですかこれも、慶応義塾大学に法科大学院に二名教授として行っているんでしょうか。で、この人はもちろん考査委員ではないわけですが、ぴったし同じ問題が出たというふうに私は認識しておりませんが、そうですね、正確に申し上げますと、確かに法科大学院に派遣されている検事が、法科大学院での業務とは別に、同大学の司法研究室という法科大学院とは異なる組織からの依頼に応じ、司法研究室が実施した答案練習会において刑事訴訟法の出題をしたという事実が確認されておりまして、これも疑いを招くようなことがあってはいかぬというふうに思っております。
○前川清成君 大臣、よく聞いてくださいね。私は、現職の検事が法科大学院で教鞭を執ってはいけないと、そういうことを言うつもりは全くありません。それこそ実務と試験との橋渡しをするという意味で、裁判官であろうと検事であろうと弁護士であろうと、法科大学院で教鞭を執ることはむしろ望ましいことだと思っています。
 私がお尋ねしたいのは、実にここにあるんですけれども、慶応大学のその刑事訴訟法の答案練習では、まあ事例は示された上ですが、捜査手法として写真撮影が許されるのかどうかということと前科を証拠として提出することができるのか、この二点が問題になりました。今年の本番の問題は、捜査手法としてビデオ撮影が許されるのかどうかということと前科を証拠として提出できるのか、この二点が問題になりました。論点としては全く同じなんです。
 この法務省から派遣されている検事は考査委員ではないということも承知しております。ですから、考査委員が漏えいしたとは申し上げておりません。ただ、一回しかやっていない答案練習で全く同じ問題が出るというのは、これは針の穴に象を通すような難しい作業ではないのかと、こんなことがどうして可能なんですかと、これについて必要な調査はお済ましになっているんですかどうですかというお尋ねです。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のように、この派遣検事は考査委員ではありません。ただ、その司法研究室というところで答案練習会をいたしまして、刑事訴訟法の出題をしたわけですね。その当該派遣検事が出題した問題と司法試験の実際の問題とを比較したところ、共通する論点も含まれてはいましたが、事案自体が相違しており、論ずべき範囲、論点の重点等についても明らかに異なっているものでした。
 そういう意味で、共通する論点についてもあるんですが、近時注目すべき判決が出されるなど、受験生としては勉強しておくべきことが必須の論点である、つまり重要で、これは最近の事柄からも知っておいてほしいということで、この分野からの出題が偶然重なるのは何ら不自然ではないと考えております。済みません、読みました。
 ただですね、ただ、だから、私は、先生おっしゃったように、検事さんが法科大学院に行くのは大いに結構だと思います。もちろん裁判官も行くわけですから、実務家、非常にいいんですけど、常にこの答案練習会というのが問題になるのが私は余り愉快ではありませんね。答案練習というのは、それは模擬試験というか、練習練習と。そうしたら、法科大学院というものは本来点を線にするという考え方なのに、またこの試験一点に絞って練習会だ練習会だというのは、私望ましい現象とは思いません。
○前川清成君 事例が違うのはそのとおりなんです。でも、事例で全く本番と同じような事例を出すようなあほうはいませんよ、ばらすにしても。ただ、論点は全く一緒なんです。すると、この問題を、この答案練習を受けていた受験生とそうでない受験生とでは、それは、勉強しておけと、何でも勉強しておけというたらそのとおりですけど、明らかに有利、不利があるのは否定し難い事実だと私は思います。またこの点についても時間があれば詳しくやりたいと思うんですが。
 実は、この植村教授は行政法の研究者。行政法というのは、大臣おっしゃっていただいた、私たちのころは試験科目にはありませんでした。この新司法試験になって加わりました。
 この行政法がなぜ加わったのかと。私は別に必要がないのではないかなと、そう思っています。なぜならば、平成十八年の全裁判所の新受件数、民事事件が二百六十一万二千九百二十一件、これは最高裁の司法統計年報で見ました。民事事件が二百六十一万二千九百二十一件、これに対して行政事件は八千二百十八件。民事事件のわずか〇・三%しかありません。
 私は、二〇〇四年に送っていただくまでにちょうど十五年弁護士をやりましたけれども、行政事件をやったことは一度もありませんし、相談を受けたこともありません。こんな特殊な知識について、司法試験、しかも足切りをする短答式試験の科目にまでする必要があるのか。例えば、昨日和解勧告がありましたC型肝炎訴訟、あれは行政事件ではありません。不法行為、民法七百九条で争われています。行政事件というのはダムを造るなとか道路を造るなとか、そんな裁判です。
 そんな裁判をするための知識や技術を足切りの短答式試験に出し、あるいは司法試験本番の問題で採用する必要があるのかどうか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生のおっしゃるお話は私も分からないでもないです。それは何たって刑事事件だ、民事事件だ、国賠だという事柄が圧倒的に多いわけですが、ただ世の中が非常に複雑化してきて、行政の役割も、昔の非常にアバウトなものから非常に細かい領域まで細かく行政が決めていくという状況がある。それは、私が大学を卒業したころと現在とは随分違うと思う。つまり、私が国会議員になってつくづく思ったのは、大学で想像した法律と国会で審議される法律が随分違うと、やたら専門的な行政分野の法律が多くなっているなと、そういう印象を持ったのは事実でございますので、これからは、プロフェッショナルスクールである法科大学院において必修科目となったのもそういう理由だろうと思いますし、立法や行政に対する司法のチェック機能を高めるという、そういう期待から行政法が入ってきたのかなというふうに思います。
 確かに、先生おっしゃるとおり、私が行政法は大学で、先生の顔は知りませんが、友達のノートを借りて試験は受けていた記憶があって、随分特殊な領域だなと当時思ったのは事実です。
○前川清成君 私、さっきC型肝炎訴訟、民法七百九条と言ってしまったかもしれませんが、国賠法ですので、ちょっと訂正をさせていただきたいと思います。
 それで、行政法が必要なのかどうかについてこれは例として挙げたわけで、私は先ほどの、判決の結論だけを知っている、そういうのはやめたらどうかと。要は、基本的な知識を、しかも大切な知識を問う、正面から問う。知っているか知っていないか、暗記しているかしていないか、そういう司法試験の問題を出すことは、司法試験の問題に合わせて受験生たち、法科大学院の学生たちは勉強しますので、法曹の、日本の将来を支える裁判官、弁護士、検察官のレベルを引き下げてしまうのではないか。そういう意味で、司法試験にどういう問題が出るのかというのは私は大変大切なことなんではないかなと、こういうふうに思っています。
 その点で一点お尋ねしたいのが、今年のいわゆる二回試験、考試で司法修習生七十一名が不合格になったという話であります。
 私は、昭和六十二年に司法試験に通りました。そのときの合格者が四百八十九人、平成二年に司法研修所を卒業したときの合格留保者はゼロ人でした。翌平成三年の四十三期の方々は五百十二人が合格されて、二回試験の合格留保者はゼロ。四十四期の方は五百六名合格されて、合格留保者は四名ですけれども、追試で全員通られて不合格者はゼロ。平成五年、四十五期の方は四百九十九名通られて、合格留保者が一人、しかし追試で合格されて不合格者はゼロ。合格留保者の割合ですが、二千六人中五名ですから、四年間で〇・二%になります。
 ところが、司法試験の合格者が増え始めたころからこの合格留保者の数がどんどん増えていきました。平成十三年に合格された五十六期は九百九十人ですけれども、研修所卒業時の合格留保者が十一名になりました。最終不合格者はゼロでした。十四年に合格された五十七期は千百八十三人、十六年の研修所卒業時に合格留保者が四十三名、不合格者が三名、追試不合格者が二人出まして、最終的に不合格者が五名。十五年に合格された五十八期は千百七十人、十七年の研修所卒業時の合格留保者は三十人、不合格者は一人、最終不合格者は二人になりました。十六年度に合格された五十九期は千四百八十三人。従前の千人から約千五百人に更に合格者が増えたわけですけれども、十八年度の研修所卒業時の合格留保者は九十七人、不合格者は十人。追試に六名不合格になられて、最終不合格者は十六名。
 四年間で修習終了者四千八百二十六人のうち百八十一人が合格留保、割合にしますと三・七五%になります。平成二年からの四年間で〇・二%ですから、約二十倍合格留保者が増えたことになります。今年、制度が少し変わったということなんですが、最終不合格者が七十一名になりました。
 合格者の増員に質の確保というのが追い付いてないのではないかなという心配を私はしています。弁護士が増えればそれだけで正義の種が増えるわけではないと思っています。合格者を増やした。五百名のころは二年間の司法修習でした。合格者を増やしたんですから、一般的に考えますと合格水準は下がっているはずなんです。ところが、司法修習の期間は二年から一年六か月に短縮されて、千五百人になって更に修習期間は一年六か月から一年に短縮されました。普通は、合格水準が下がったんだったら修習期間は従前より充実させようというのが物事の筋道ではないかなと私は思っています。
○委員長(遠山清彦君) 前川委員の質疑時間、終局しております。おまとめください。
○前川清成君 はい。じゃ、これで終わりますけれども、残念ながら。
 やはり必要なお金も掛けないと正義の種はこの私たちが暮らす日本から減ってしまうんじゃないかな、やみくもに司法試験合格者を増やすだけではかえって私たちが心配する方向に行ってしまうのではないかなと従前から考えておりますので、最後にこの点について大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 司法修習の期間についてのお話等もありまして、それも確かに短縮をしてきておりますから、本当にそれでいいのかということはもう一度考え直すべきだと思うし、法科大学院で多少は実務的なことの初歩もやったんだからもっと短くていいと、こういうようなことがあろうかと思いますが、私が所信表明の中で、法曹人口というか、司法試験合格者の数三千名は平成二十二年に実現をいたしますが、その後ずっと三千名も合格させていいのかということについては多過ぎるのではないかという観点から検討をしたいというようなことを書きましたが、それは先生から御質問のあった事柄と密接に絡んでおると思いますので、先生の問題意識と私の問題意識はそれほど遠くないというふうに思っておりますので、よろしく御指導をお願いいたします。
○前川清成君 終わります。ありがとうございました。

 (中略)

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。私も、今日は司法試験の漏えい問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 前川委員から先ほど詳しくございましたけれども、これは法曹養成、その中核にあるロースクール、そして新司法試験制度、この根幹に対する、公正さ、公正らしさに対する著しい決定的な不信を受験生を始めとして国民の皆さんに今広げているわけです。更に私が問題だと思いますのは、司法試験委員会、その事務局は法務省ということでございますけれども、この植村氏の漏えい問題の発覚の後に行われた一連の措置や対応が更に受験生や国民の皆さんの不信を深めているということなんですね。
 先ほど前川委員が取り上げられました短答式十八問の点について大臣御答弁があったんですが、その四月の十一日に植村さんが出したメールでどんなふうに言っているかと、ちょっとあえて紹介をしたいと思うんですけれども、平成十八年度の重要判例が刊行されたから、その中で重要そうな判例を幾つか選んで判旨ポイントを作りましたと。これは憲法から一件、行政法から五件なんですね、六件。この後にこう言っています。行政一事件は租税法選択者以外は不要と思います、行政法四と五はちょっと個別的な話なので取りあえず今回は後回しの扱いでいいでしょう、行政法九も今の段階ではやや事例判決的なものかと思いますということで、六件の判例が重要だということをあえて選んでポイントを作っておきながら、判旨ポイントを作っておきながら、そのうちの四件は軽いですと言っているわけですよ。残ったのが行政法の一つとそれから憲法の一件、その憲法の一件が正に的中をしたということなのであって、こういったものを示唆というのではないんでしょうか、大臣。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど、前川先生の御質問にもできる限り自分の思いを織り込んで御答弁をいたしたつもりでございますが、このメールを見ると、これは恐ろしいメールだと思いますよ、先生御指摘のとおり。先ほど私も十件とか五つ六つと言っていますけれども、租税法を取らない人は読まなくていいよと言っているんでしょう。四と五も後回しでいいから勉強しなくていいと言っているんでしょう。それはもう絶対、このメールはとんでもないメールで、だからこういうような人たちが二度と考査委員にならないような仕組みをつくりたいと、今はそうしか思えないんですが。
○仁比聡平君 先ほども大臣は、このメールを発した四月十一日の時点で、実際に確定をした短答式の出題についてこの植村氏が知っていた可能性は十分高いというふうにおっしゃったわけですね。だったらば、これは正に漏えいだということが厳しく指摘をされながら、司法試験委員会はこれまでその行為については不適正という表現にとどまってこられたわけです。
 論文試験の問題について私はお尋ねをしたいんですが、公法系というのは第一問、第二問という二問になるわけですけれども、この出題にかかわる素材、この素材について、題材について、この植村氏がこういう題材が出題される可能性がある、出題の案の一つとしてあり得るんだと、挙がっているんだということを認識したのはいつなんでしょうか。
○政府参考人(池上政幸君) お答え申し上げます。
 植村元考査委員が憲法、あっ、失礼、公法系の第一問と第二問について知っていたかという問題につきましては、憲法の論文式試験については、当然のことながら、あっ、失礼、失礼申し上げました、公法系の一問と二問について、出題内容については……
○仁比聡平君 なぜ答えられないんですか、通告しているのに。
○政府参考人(池上政幸君) 失礼申し上げました。(発言する者あり)失礼しました。
 植村元考査委員は、平成十八年十一月一日に公法系の、そして行政法担当の考査委員に任命され……
○仁比聡平君 分かっていますよ。
○政府参考人(池上政幸君) その後、行政法の問題作成に従事しておりましたし、憲法の問題につきましても、公法系ワーキングチームという会合が開かれたような段階で憲法関係の問題も知っていたものと考えております。
○仁比聡平君 それがいつかと聞いているんです。
○政府参考人(池上政幸君) 論文式についてでございますか。
 少なくとも、いずれについても、御指摘のメールが送られた段階においては内容は知っていたものと考えております。
○仁比聡平君 何を的を外れたことをおっしゃっているんですか。今私が紹介したのは四月十一日のメールでしょう。四月十一日の前に知っていたということですか。そしたら、答案練習会の二月五日以降行われた七回、この二月五日の前には知らなかったとでもおっしゃりたいんですか。
○政府参考人(池上政幸君) 四月十一日以前の段階で植村元考査委員が問題を承知していたものと、問題の内容は提示して、知っていたものと考えています。
○仁比聡平君 とんでもない答弁ですよね。
 私は昨日、何時間ですか、二時間ぐらいでしたかね、そちらに担当の方がいらっしゃるけれども、この問題について通告をして、私の問題意識も含めて詳しく申し上げているんですよ。この短い質問時間の間にそういった答弁しかできないということ自体が、皆さんが行ってきた検証や措置そのものが本当に受験生や国民の皆さんの信頼を回復しようという決意に立って行われていないということなんじゃないんですか。
 私が聞いているのは、二月五日以降七回行われた答案練習会があります。ここで、論文試験に出された本題、本試験に出された問題と同じ題材が出題されたじゃないかということが問題として指摘をされているわけでしょう、疑惑として。ですから、二月五日の答案練習会を始める前の段階で植村氏はこれらの出題の素材が案の一つとして上がっていることを知ったのではないのかということです。
○政府参考人(池上政幸君) お尋ねの問題については、その答案練習会を始める前に、素材としてそういうものがあるということは口頭で聞いて知っていたものと考えております。
○仁比聡平君 重大じゃないですか。大臣、そういうことなんですよ。
 短答の十八問もそうです。けれど、公法系の論文の問題というのは二問しか出ないんですよ。この二問を受験生は必死で四時間掛けて解くわけですよ。
 ある受験生は、この試験を受験した受験生は、初見であの問題を制限時間以内に解答するのは厳しいとその現場で痛感をしているわけですね。試験中も、きっとほかの人も難しいと感じているはずだと自分に言い聞かせながら問題に食らい付きました。試験が終了したとき、これは更に一年自分で勉強したとしてもどうにか対策が打てるようにはとてもならないと感じていました。すると、周りの受験生の中から、ロースクールで特に詳しくやったところが出たな、あれじゃ差が付かないよというような話し声が聞こえてきて、完全にへこんでしまいましたとおっしゃっているんです。
 短答式と論文式というのは連続して行われるようになって、公法系というのはその初日にあるんですよ、論文の。その翌日は休みですけれども、中日ですけれども、その次に更に困難な試験が続くんですよね。その初日の段階でこういった形で公平ではない事態が起こったのではないかという目に遭った受験生がどれほどの心境になるのか、これは大臣でもお分かりだと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 過去にこういう事件が起きてしまったわけでありますから、私も本当に怒りを禁じ得ないという思いですよ。
 先ほどから申し上げておりますように、それは司法試験というのは法曹資格のある人を選ぶ試験かもしれないけれども、受験する立場の身になって考えて、受験をする側がこの試験は何か有利になる変なからくりがありはしないかと思ったら、やる気しませんよ。それに、非常に不愉快な気持ちでしか試験を受けることができない。絶対そういうことがあってはいけない。
 先ほどいろいろお話合いを前川先生ともさせていただいたけれども、十一月に任命されて、いつ試験問題を作るのかと、完成はいつかと。短答式も論文式もあるんだろうけれども、それは公法系なら公法系で何度となく集まるんでしょうよ。どこかでできてくるんでしょうよ。その間に答案練習会をやるだとかメールで漏らすなんというのはもう言語道断の事柄なんですよ。
 だから、私は、こういうようなことの反省とか調査というのはまたいろいろやりますけれども、二度と起こらないようにするためには、とにかくロースクールで教える人間が問題を作らないということが大事だと、こう思っているんですけれどもね。
○仁比聡平君 調査はこれからもいろいろやると今大臣おっしゃった、それが本当に大切なことだと思うんですよ。
 その答案練習会が行われた時期というのは、司法試験の受験生、ロースクールの三年生にとってみたら、試験が目の前にあって本当にせっぱ詰まった時期なんですね。そのときに考査委員がこの出題をするということが本番の出題について大変に参考になるだろうというふうに思うのは当然のことでございまして、そういった時期に答練を主催をしたこの植村氏は、これ、読売新聞のインタビューに答えてこうおっしゃっています。試験直前に知識を詰め込む方が勝つのが新司法試験の現実、慶大が多くの合格者数を出すことに喜びを感じるし、自分も貢献したかった、こんなふうに動機を語っていらっしゃるわけでしょう。
 こういった事態が司法試験委員会と法務省の行われた調査とその公表の中には全く反映をされていない。この事実を徹底して解明をして、既に調査されている分もあるのだろうと思います、それを国民の前に明らかにするということが再発を防止をする上で絶対に不可欠だと思うんですね。
 その点と、そして先ほど、今後の問題について遵守事項を九月の十三日に発しているというお話がありました。これ今後あってはならないという趣旨を大臣繰り返しておっしゃっているんですが、ここに示した遵守事項が禁止規範なのか、つまりこれに違反をすれば制裁を受けるのかどうか。行政との関係でいえば、国公法に基づく懲戒という処分があります。職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合には、免職、停職、減給又は戒告の処分を受けるんですよね。この遵守事項に違反すれば少なくともそのような処分は受けるという理解でいいのか。その二点を大臣にお尋ねします。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょっとお尋ねしますが、先ほどの植村元考査委員が冒険してみたかった云々というのはいつごろの発言ですか。
○仁比聡平君 六月二十三日付けの読売新聞の記事です。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私、実はそれ不敏にして見ておりませんで、とんでもない発言と言わざるを得ませんね。
 したがって、今後の調査、一層調査という形でやっていかなけりゃならぬと思いますし、この再発防止のためにこれから考査委員に守っていただくという事柄をどういうふうに位置付けるかは役所の中で検討をしたいと思っておりますし、今後の大問題として、来年には間に合うとか間に合わないという議論があるんですが、要するに法科大学院と司法試験の有機的な連携ということは、これは私も十二分に頭に入れなくちゃいけないとは思いますが、とにかく実際に三年生や修了生を教えている人間が問題を作るなんということはもう制度的にこういう疑惑を生むことだと思いますから、一日も早くそういう形がなくなるように努力をしたいと思います。
○仁比聡平君 遵守事項はどうですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) だから、遵守事項についてこれがどういう性質のものであるのか、ちょっと勉強させてください。
○委員長(遠山清彦君) 仁比聡平君、質疑時間は終局しております。おまとめください。
○仁比聡平君 時間がなくなりましたからあとは次回に譲らざるを得ませんけれど、今大臣がこれを禁止規範かどうかをはっきり言えないんだということでは、今回のような事件が不適正ではあっても起こるかもしれないということになっちゃうじゃないですか。そんな司法試験制度の根幹を揺るがすようなことは絶対に許されないということを申し上げて、次回の大臣の答弁期待して、終わります。

 (後略)
-------------------------
(以上、07年11月8日参議院法務委員会議事録から転載)

 以上です。
 細かい点で言いたいことがないわけではありませんが、まずはこの流れが重要だと思いますので、さしあたりこの問題についてはノーコメントで行きます(ここでは第一に受験生ということになるでしょうが、もっと視野を広げて、本当に国民のことを考えているのは誰か、口先だけなのは誰か、じーっと目を逸らさずに!)。
 <議事録からは、重大明白な不正があったように読み取れます。もしそれが事実であれば、そのような「絶対」的な意味での不正は、徹底的に糾明されなければ、受験生間を始め様々な意味での「公平・公正」が回復されないままとなってしまうでしょう。これは、我が国の重大な危機の一環をなす構造的な問題であるはずです。(追記)>

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2007年11月12日 (月)

新司試問題漏洩疑惑-参院法務委質疑

 去る8日(木)、参議院法務委員会において、前川きよしげ委員(民主党)により、新司法試験問題漏洩疑惑が追及されたとのことで、下のリンクからご参照ください。

http://www.maekawa-kiyoshige.net/active.htm

 ビデオを観ましたが、前川委員の質問はたいへん鋭く、これに対する鳩山邦夫法務大臣の答弁も極めて率直で、少しでも制度が「改善」されることを願うものです。

<仁比聡平委員(共産党)によって、さらに鋭く追及されていることに気が付きました。下のリンクからご参照ください。
http://jcp-nihi.web.infoseek.co.jp/
 仁比委員は、通則法制定(法例廃止)の発端ともなった「規制改革」の問題性も鋭く指摘していましたが、この問題もさらに追及を続けていただくことを願って止みません。
(11月15日(木)追記)>

 「司法制度改革」に巻き込まれてしまっていて、このままでは法律関係において取り返しのつかない事態が生じかねないことを危惧している者としては、自分が教育に関わった学生だけでも世の中の役に立てるような水準に到達したことを確認して送り出すことだけは実行しているつもりですが、もっと大きな視点に立てば、「司法制度改革」の理念からそれを実現するための諸制度に至るまで、落ち着いて見直すべき時期が来つつあるように思います(落ち着いて自分の特定の専門領域に集中できた昔が懐かしい・・・懐かし過ぎる!!)。

 それにしても、法科大学院の立ち上げ時期の2003年には法学科の予算委員長とLS設立準備委員会の入試委員兼書記、04年にも入試委員、06年から学務委員を2年と(さらに書けないお役目がありますが)、どうしてこんなに負担が偏っているのか、ここで愚痴るしかないのが、悲しくはありますね。最近、心身ともに故障が出始めていますので、基本を伝授し終えた3年生については、いっそう自己研鑚に励んでいただくことをお願いしたい気分です(と言うまでもなく、よく勉強していることは承知しているのですが)。

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2007年9月15日 (土)

第2回新司法試験合格発表

 13日(木)に第2回新司法試験の合格発表があったことは、周知のとおりです。うちの学生も、予想以上の(!)大健闘でした。と言っても、全員が合格というわけではもちろんありませんので、昨年同様、手放しで喜ぶまでは行きません(どちらかと言えば、淡々としています)。

 嬉しかったこととして、まずは、国際私法組で昨年度に不合格となった3名がそろって合格したことを挙げます。昨年、合格発表後しばらくしてお目にかかると(ほぼ2人に1人は受かった試験でしたからなおさら)憔悴していて、本当に痛々しい状態でした。とにかく腹を括って頑張るしかないと言って突き放したのですが、よく立て直して実力を発揮することができたと感心しています。この1年のことが将来必ず活きてくるはずです。
 次に、今年の3月に修了した国際私法組の9名中6名が合格でした。こちらは、ほぼ粒ぞろいでした。第1期の方々同様まとまりもよく、しかし試験ですから明暗が分かれてしまいました。颯爽と駆け抜けていかれた方々には、これからがまたたいへんですから、さらに順調に進んでいかれることを期待したいと思います。他方、まとめ役だったと思われる方を含め、今回は無念な思いをした方々には、冷たいようですが、上記の3名という逆境を乗り越えたお手本が身近にあることですし、何とか早く「戦闘再開」に漕ぎ着けていただきたいと切に思います。

 以上、合格者も、今回は不運なことに不合格だった方も、国際私法については、3年後期の仕上げの時期以後、自分たちで頑張ったのでして、私は基本的にほったらかしにしていました。いつまでも教員を頼りにするような依存心の強い人でなく、自立心の旺盛な方に法曹になってもらうのでなければ困る、と個人的には思いますが、こんなことを書くと顰蹙を買うのでしょうね。でも、こちらにも人生の目的があるのでして、これ以上は御免です(いろんな意味で悪化しているのですから)。但し、不運にも不合格だった方には、そのうちご連絡します(これも、昨年と同じ)。私は、現状維持の安定志向なのです(ホント?)。

 それにしても、今回の試験については、トカゲのしっぽ切りで終わるのですね。釈然としない気持ちは、受験生ならずとも、残り続けます。そんなこともあったのに、しぶとく頑張った方々には、心から敬意を表します。

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