経済・政治・国際

2009年6月20日 (土)

国籍法とか,郵政集中審議-6月9日参院総務委質疑とか

 更新が,2か月以上滞ってしまいました。よく立ち寄ってくださる方々には,あるいはご心配をおかけしているかもしれません。
 実は,懸案になっていた重たい内容の論文を書いていまして,当分の間それに集中しますので,またしばらく更新が開くはずです(重たい内容の論文でなければ,論文を書く意味はない,と考えていますので,寡作になってしまい,それはそれで時世に合わないのですが・・・)。

 この間,千葉の学生たちは,着々と成果を挙げています。構内は,桜やつつじの季節が終わると,緑に覆われ,環境的には非常に恵まれていることを実感するこの頃です。

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 さて,5月10日(日)に国際私法学会がありましたが,若手の報告者のお一人が米国法にかぶれてしまっているようで,この期に及んでまだ米国金融モデルを前提にした法律から影響を受けてしまうのかと,淋しい思いがしました。
 午後の「ウィーン売買条約」のシンポでは,「国際物品売買契約に関する国際連合条約」の批准を推進した方がこれを積極評価していたのは当然ですが,それ以外の報告者および学会の大勢は,余計なことがなされてしまったという受けとめであったように思います。当事者の合意とそれで解決のつかないことは契約準拠法によるという現状に,不確定概念が多く規律対象も限られている上記条約が規範として加わってしまうので,任意規定である上記条約が確実に適用されないようにするためにはどのようにすればよいか,という外国の議論が紹介されたりしていました。
 実務では当面あまり使われないとしても,8月1日に発効する上記条約は,おそらく来年の新司法試験用六法には登載されてしまうでしょうから,仮に実務上は重要だと言えない状況であったとしても,数年に一度は出題されてしまうのでしょう,といった話をローの授業ではしています(出題のあり方として,好ましくないことですが・・・)。

 直後に新司法試験がありましたが,「国際関係法(私法系)」については,法科大学院協会のアンケートに以下のように回答しました。

a. 適切である
理由(理論・実践のバランスがとれ,受験生のレベルもよく考慮されているから)

 理由は簡潔に,ということでしたので,以上のようにしました。いずれ何か書くかもしれませんが,当面は学内でお話しするだけですね。私見によれば,過去4年の出題では,今回が最高で,以下,第1回,第2回と続き,(間がかなり開いて)前回は最悪(!)という評価です。

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 いろいろと面白そうな一般書も読んでいまして,時間があれば何か書きたいと思うかもしれませんが,そうもいきませんので,興味深いものを列挙するだけにします。

 ・日下公人『日本人の「覚悟」-「芯」を抜かれた人は退場せよ!』(祥伝社・2009年)
 ・矢野絢也『黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録』(講談社・2009年)
 ・平野貞夫『平成政治20年史』(幻冬舎新書・2008年)
 ・石塚健司『「特捜」崩壊 墜ちた最強捜査機関』(講談社・2009年)
 ・河井克行『前法務副大臣が明かす司法の崩壊 新任弁護士の大量発生が日本を蝕む』(PHP研究所・2008年)
 ・五十嵐仁『労働再規制-反転の構図を読みとく』(ちくま新書・2008年)
 ・東谷暁『日本経済の突破口 グローバリズムの呪縛から脱却せよ』(PHP研究所・2009年)
 ・西村幸祐責任編集『反日マスコミの真実2009』(オークラ出版・2009年)
 ・日本の前途と歴史教育を考える議員の会監修『南京の実相 国際連盟は「南京2万人虐殺」すら認めなかった』(日新報道・2008年)

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 国籍法についても,触れておきます。

 前述した国際私法学会の会場で,大村芳昭教授から「生後認知による日本国籍の取得について」中央学院大学法学論叢22巻2号(2009年)1頁の抜き刷りを頂戴しました。
 最後(18頁以下)に国籍法改正のあり方について,「(1)子とわが国との密接な結び付き」「(2)親子関係の科学的証明」「(3)国籍取得の遡及効」「(4)法務大臣への届出」に分けて検討されています。国籍取得の遡及効を認めようとされるご見解については,認知の準拠法が日本法になるとは限らないこともあり,私は疑問に思います。しかし,他の3点については,私見(2009年4月15日(水)「国籍法一部改正その後ほか」の後半で簡単に記述)と大きくは違わないようです。

 大法廷判決当時の担当調査官である森英明氏が書かれた「認知と国籍について-国籍法3条1項に関する最高裁大法廷判決に関連して-」家裁月報61巻5号(2009年)1頁は,37-38頁に,「非嫡出子の国籍の取得に関する諸外国の法制」と題した別表を掲げています。欧州の13か国とトルコ,韓国について掲げられていますが,それを見ますと,(なぜ前記の15か国だけなのかという素朴な疑問を感じるのはさておき)オランダ(生後認知の場合には,「その後3年以上の父の監護養育の証明(未成年時)」を要求)や,スウェーデン・デンマーク(「国外で出生した場合は両親の婚姻(18歳未満,未婚時)」を要求)の例もあるのに,と相変わらず思います(2008年6月14日(土)「日本国籍の希薄化?-国籍法3条1項違憲大法廷判決(その2)」第3段落で触れました)。

 それから,Law&Practice 3号(2009年)という早大ローの紀要に,「憲法訴訟を考える-国籍法違憲訴訟を通して」という特集が組まれていて,近藤博徳「基調講演-原告代理人が語る本判決の意義と課題-」同1頁と,近藤博徳=木棚照一=戸松江二「鼎談-国籍法3条1項から見える『日本』-」同21頁を拝読しました。これまで国籍法に強い関心をもってこられた方々の感覚について,関心歴の浅い者として興味深く思いました。
 ところで,後者の56-57頁に,以下のような近藤弁護士の発言があります。

近藤:私は,判決が出た後に,何人かの国会議員や法務省の人とお会いして,どんな法律を作るのですか,改正をする時にはこういうふうにしてくださいと,いろいろなことを提案してきました。

 (中略)

 しかし,結論は,最高裁判決で判断された範囲での改正にとどめるということになりました。そして法改正についてどんな議論をしたかと言うと,実は何の議論もなかったのです。
 僕たちの様々な要望に対して,面会した国会議員の方々は,最高裁判決の限度の改正であれば,皆それほど抵抗なく,「最高裁が言うんだから仕方がないよね」と改正出来るが,判決以上のことを言い出すと,国籍や家族というものに対して特に意見を持つ人々がむくむくっと起きだしてきて,「いやいや,それはおかしい。」という議論が起きて,収拾がつかなくなる,だからそういうものは一切持ち出さずに,最高裁判決で判断された限度で,改正するということでした。
 法務省の担当者と会った時も,そのようなやりとりでした。今,質疑応答前の休み時間に,木棚さん,戸波さんと話しておりましたところ,先生方は,本来は,国籍法をどういうふうにするかについて,国民のコンセンサスがないといけない,ということを強調しておられたのですが,今回は全くそのようなコンセンサスはありません。議論の「ぎ」の字もないです。まさに,日本の政治の縮図というか,国会議員は,国籍によって決められる日本という国の在り方について何の関心もないのだな,ということをつくづくと感じました。

 ああ,やっぱりそうだったんですか,という感じですね。昨年末の改正への賛否はいずれであっても,国民はなめられたもんですねえ,と思います。
 実際に「最高裁判決の限度の改正」であったか,という点にも疑問があることは,2008年11月26日(水)「『国籍法3条1項等改正法』衆院法務委質疑(その2)」2009年4月15日(水)「国籍法一部改正その後ほか」等々に書きました。
 さらに,実は最高裁の政治性にも疑問があり,これについても書きたいところですが,以下の文献のみ引用しておきます。関心のある方は,ぜひお読みください。

 ・小田滋「光華寮訴訟顛末記-平成19年3月27日の最高裁第3小法廷判決について-」国際法外交雑誌107巻3号(2008年)397頁
 ・石黒一憲「『住友信託銀行 vs. UFJ事件』と“Sanctity of Contract”(契約の神聖さ)」財団法人トラスト60『国際商取引に伴う法的諸問題(15)』(2008年)101頁

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 さて,先週,鳩山邦夫総務大臣が辞任してしまいましたが,これで幕引きとなるでしょうか?
 その直前の9日(火),参議院総務委員会で郵政集中審議がありその会議録がネットで読めるようになっていますので,一部転載して今日は終わります。

(以下,09年6月9日参議院総務委員会会議録から一部転載)
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○長谷川憲正君 民主党・新緑風会・国民新・日本の長谷川憲正でございます。
 今日は、会派の皆さんの御理解と御協力をいただきまして、私が会派を代表して質問させていただくということになりました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 今日は、予定表を見ていただきましてもお分かりのように、私、かなり長い時間をちょうだいをしておりまして、かなり掘り下げていろいろお聞きをしたいということがございまして、大臣、そして西川社長はもとよりでございますけれども、日本郵政株式会社の、まあ新聞等でも報道されておりますが、社長の続投問題等につきまして、先般、会社の中の指名委員会が方向を出されたということがございましたので、この指名委員会の委員長であります牛尾治朗さんにおいでをいただきたいということで先週からお願いをしたわけでございますけれども、御都合でおいでになれないと。また、これに代わる方ということで他の社外役員の方、この指名委員会にかかわられたお二人にもお尋ねをしたんですけれども、いずれも都合が付かないということでございました。
 そして、先般、かんぽの宿等の不動産の売却に絡みまして、日本郵政の中につくられましたいわゆる第三者検討委員会というものが報告書を出されましたけれども、この委員長の川端さんも御都合が付かないと。また、これに代わるお二人の委員の方についてもそれぞれ御都合が付かないということで、全員お断りでございまして、かつ、日本郵政の執行役で、今度のかんぽの宿の売却に関しましての一番の実行部隊といいますか、表で活躍しておられました伊藤執行役につきましても出席をお願いしたんですが、こちらは体調を崩したということでございますので、これはもう仕方がないと思いますが、先ほど申し上げました指名委員会の委員の方々、いわゆる第三者検討委員会の委員の方々、おいでをいただけなかったということについては甚だ残念でございます。
 今これだけ大きな話題になっておりますときに私どもの審議に御協力をいただけなかったということは、お忙しい方々ですから、それは事情が全く分からないということを申し上げるつもりはないんでありますけれども、御協力をいただけなかったということを大変に残念に思っておりまして、改めて機会がありましたら是非御出席をいただいて、この総務委員会の場あるいはそれ以外の場も国会の中ございますので、御意見をお聞きをしたいというふうに思っております。冒頭そのことを申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。
 今日は、特に日本郵政の皆さん方にはたくさん参考人として御出席をいただきまして誠に申し訳なく思っております。私が本来考えておりましたのは、西川社長と横山さんと、そして伊藤さん、このお三方ということでありましたけれども、話が多岐にわたる可能性ありということで多くの方々に御出席をいただきましたこと、冒頭におわびを申し上げておきたいと思います。
 今日は郵政問題の集中審議ということになっております。これ、何で今ごろ郵政問題の集中なのかということは分かり切ったことでございまして、昨年の十二月二十六日以来のかんぽの宿の売却の問題、あるいは最近の新聞紙上でいっぱい出ておりますけれども、簡保の保険金の不払の問題、あるいは低料第三種という心身障害者の団体の皆さんが発行される郵便物、安く郵便で扱うわけでございますけれども、この制度を悪用した事件、こういったものがいっぱい出ておりまして、国民の不信が非常に高まっているというふうに思うわけでございますし、加えて、日通のペリカン便とゆうパックとの統合の問題でございますとか、本当にこれから先郵便事業の将来を考えたときに大丈夫なのかなというような問題もありますし、また、先ほど来申し上げました社長の株主総会以降の人事につきましてのいろいろ指摘がある中で、国民の関心が高まっておるわけでございますので、今日はここで各委員からいろんな問題が指摘をされると思いますけれども、公明正大に議論をして問題点を明らかにしていくということがとても大事だというふうに思っているわけでございます。
 そこで、最初に西川社長にお尋ねをしたいと思うのでございますが、この日本郵政の社長という仕事でございますけれども、一部の方々からは、これはもう日本郵政は民間会社になっているんだから大臣といえども口出しをすべきではないんだと、こういう意見があることはあるんですね。大方の方はそうは言っておられませんが、そういうことを言う方もいらっしゃる。西川社長御自身はどのように考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
○参考人(西川善文君) お答え申し上げます。
 日本郵政は、申すまでもないことでございますが、ただいま政府一〇〇%出資の会社、株式会社ではございますが、株主構成はそういうことになっております。したがいまして、通常の民間会社のようなわけにはまいらない、そこのところは私も十分心得ているつもりでございます。
○長谷川憲正君 社長の御認識のとおりだと私も思うわけでありまして、政府が一〇〇%株を持っているそういう特別な会社、いわゆる特殊会社でありますから、民間の方々が株主であって株主の決めたとおりにやっていくという普通の民間会社とは違うわけでありまして、法律に基づいて設立をされた会社でございますし、その行使できる権限等についてはいろいろまた定めがありまして、それに対して、行政庁である総務大臣の監督の義務などもいろいろ記されているわけでありますから、株式会社という形態だけに着目して、これはもう経営者に任せておけばいいんだというような論法は私は成り立たないというふうにもちろん思っているわけでありますけれども、どうもこの民営化法そのものをお作りになった竹中平蔵さんが書いておられるものなんかを見ますと、政府が口出しをすべきでない、そして会社というのは経営者のものなんだということを書いているわけでありますが、私は学者でおられる竹中さんの御意見としてはもう甚だ理解しかねる。会社は株主のものですよね。そして、公的な役割を持ったものであれば、更に加えて従業員のものでもあり、何にも増して会社を利用される一般の利用客の皆さん方のものだというふうに私は思うわけでございますけれども。
 いずれにしても、公的性格の強い会社の人事ということでありますから、今日は指名委員会の皆さん方においでをいただけなかったんですけれども、どういう方が社長にふさわしいのかというようなことについては、それは当然指名委員会の中でもいろいろ御意見はあろうと思いますけれども、どうして株主である政府と事前にきちんと調整をされないのかなと。普通の株式会社であれば、株主からいろいろ意見があれば当然そこと調整をされる、そういったことが一切見えてこないというのは甚だ不思議に思うわけでございます。
 私、前に予算委員会の場でも申し上げたんで、繰り返しになりまして恐縮でございますが、この郵政関連の組織というのはどこの国にもあります。郵便やっていない国というのはないわけでございますから、どこにもあります。その場合に、経営形態は、アメリカのように国営でやる、今後とも国営でやるんだと明確に言っている国もあれば、フランスのように公社という国もありますし、そして日本が今なっているような株式会社という形の国もあります。しかしながら、株式会社になっている国でも国が一〇〇%株を持っているというのが常識でありまして、何のために持っているのかとわざわざ私、何遍か質問したことが外国に対してもあるわけですけれども、みんな同じ答えが返ってくる。それは、会社は、今は時代が変化が激しいですからいろんなことをその時々で考えて動いていかなきゃならぬ、それを法律で一々決めていたら自由な活動ができないから株式会社という形にするんだ、商法にのっとって自由に行動ができるようにするんだ、経営者に任せるんだ、しかしながら、事業そのものの目的は国家、公共のためのものだ、国民の福祉のためのものだという貴い目的があるんだから、国が一〇〇%株を持って、その目的どおりにきちんと経営者が仕事をするかどうかを監督して、駄目だったら首にするんだと。これがもう世界の常識なわけでありまして、そういう意味ではどこの会社でも株主が一番怖いんだと思いますが、こういう公的な組織でも、株主がどういう考えを持っているのかということをそんたくしながら、相談をしながら物事を進めていくというのが基本であります。
 現に、私が議員になります前に大使として駐在をしておりましたフィンランドという国で、国が五一%の株を持っている電話会社がございまして、日本のNTTのようなものでございますけれども、経営陣が新しい方針を出したところが、そんなことおかしいといって新聞等で随分たたかれまして、それを見ましたら、監督官庁であります通信大臣が臨時株主総会を要求いたしまして、自らがおいでになりまして会長、社長以下全員首を切ってしまったということがありまして、ああなるほど、国が一〇〇%株主である、あるいは過半数の株を持っているということは重たいものだなというのを身をもって私は体験をしてきたわけでございますけれども、どうも日本では、今回の日本郵政の社長のいわゆる続投と言われている問題をめぐっていろいろ面白おかしくいろんなところで議論されているわけですが、私は、人事の問題でございますし、これはもう西川社長の名誉にもかかわることでもございますから、本来であるなら、表でこんなごたごた議論をするのではなくて、政府の中できちんと調整をしていただくべき問題だというふうに本当は思っているんです。しかしながら、事ここに至っておりますので、今日はいろいろお尋ねをせざるを得ないというふうに考えております。
 なお、忘れないうちに申し上げておきますけれども、この問題に関しましては圧倒的に鳩山大臣に人気があるようでございます。別にごまをするつもりはございませんが、あるラジオ局の番組がありまして、鳩山総務大臣の言っていることを支持するかしないかというインターネットでアンケートをする番組がありまして、六月四日のことでございますけれども、結果を見ますと、二百七十一票対七十六票で支持するというのが支持しないを上回っていると。獲得率は七八%でございますので、世論の人たちは、そんなふうに世の中の人は見ているのかなというふうに感じているところであります。
 そこで、私、長話をいたしましたけれども、お尋ねをいたします。
 総務省にお尋ねをいたしますが、総務省は四月の三日に例の日本郵政から出されました段ボール箱十七箱の資料を点検をされまして、調査結果を報告をされました。と同時に、改善命令も出されているわけであります。改善命令につきましては今月中に報告を出すようにということになっていたと思いますが、私のお尋ねはそのことではございませんで、調査結果報告、これを読ましていただくと、実に詳細にこのかんぽの宿をめぐっての一連の事実が分析をしてあります。
 これを読みますと、少なくも私は、日本郵政は、言葉は悪いんですけれども、本当にでたらめなことをずっとおやりになったなというふうにしか思えないわけでありますが、この調査結果報告について、日本郵政からしかるべき釈明とか説明とか、その後求めていらっしゃるんでしょうか、あるいは今後求めることがあるんでしょうか。
○政府参考人(吉良裕臣君) この調査結果につきましては、これを改善命令という形で私たちは求めておりまして、それを踏まえて、改善命令に対する報告徴求の中でまたそこは聞くことになろうかというふうに思っております。
○長谷川憲正君 これは西川社長にお尋ねをいたしますが、この改善命令に対しての御報告、いつごろお出しになる御予定でしょうか。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 今月いっぱいということになっておりますが、私どもの方では精力的に準備を進めておりまして、今月中のできるだけ早い時期に御提出申し上げたいと思っております。
○長谷川憲正君 その際に、今総務省の方からもお話がありました十七箱の段ボールに関する調査結果報告、その中身、調査結果報告ということで出ておりますので、当然御覧をいただいていると思いますけれども、私は単なる改善措置、将来に向かって今度はこういうふうにいたしますよということだけではとても済まないというふうに思っておりまして、今までやったことについてこれは良かったのか悪かったのか、なぜそうなったのか、問題点をやっぱり明らかにしてその責任をきちんと出していかないことには前に進めないというふうに思っておるわけですけれども、そういった総括はその中でなさいますでしょうか。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 総務省からの調査結果、さらに私ども社内に設けました第三者検討委員会の結論もございますので、これらをきちんと踏まえて、そして反省すべきは反省するということも当然ながら加えまして、改善の方向についてのお答えを申し上げたいと思っております。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 日本郵政の第三者検討委員会の報告書というのは読ませていただいておりますが、これはしょせん内部の第三者委員会でございますから、当然中身はお手盛りになるわけでございまして、結論としては、いろいろ問題はあるが最終的には問題がないと、こういう書き方なので、これは内部の検討委員会ならばしようがないだろうと、こういうふうに思うわけですが。
 その後、我々が業務改善命令、監督上の命令でございますが、それに対してどう日本郵政あるいは郵政グループが答えるかということで、かなりやり取りが日本郵政と総務省の間であるようでございまして、一部のことについては全く、十六の問題点で指摘しても今のところ答える気配がないと。今までいろいろやり取りしている案を、いただいた案を見ますと、自分たちはこういう間違いを犯した、したがってこういう反省をしているという部分は一行も今のところ見当たりません。
○長谷川憲正君 今の大臣のお話を伺って、ああ、やっぱりそうだったかという実は感じなんですね。私もそのことを一番心配しているんです。
 この改善命令が出たときの総務省の扱いというのは、非常に温情ある扱いといいますか、私たちから見ますと、この中身を読むと、これはもう犯罪を犯したと、とんでもないことだというふうに事実上は書いてあるわけですよね。しかしながら、そのことの責任を問うのではなくて改善命令という形で柔らかく表に出された。そのすき間のところをどうやって実際は埋めていくのか。それは我々の義務でもあるし、恐らく日本郵政と総務省の間でいろいろおやりになっているのかなと。しかし、私たちが聞くところでは何かそういう話が進んでいるようにも思えないものですから、大変に心配をしていたわけですけれども、それは、西川社長に申し上げますけれども、是非おやりをいただかないと、国民の皆さん、これだけたくさん問題が出ている中で納得をされないと思うんですよ。
 私は、いろんな新聞の論調なんかも見させていただいていますけれども、今度の社長人事のことでも、政局がどうだとか政治的にどうだとかというようなことがいろいろ出ていますけれども、そんなことではなくて、これはあくまでも日本郵政という実業をやる会社の社長さんの人事でありますから、もっともっと客観、冷静にやればいいことであって、今までおやりになったことが適正であるということなら、もちろん続投を含めて、ほかにもっといい人がいるのかいないのかということを検討していただければいいわけでありまして、そうでなくて問題があるということであれば、そのことの責任を明らかにしていただくということだと思うんですね。
 もう一度総務大臣にお伺いをいたしますが、是非、総務省としてもリーダーシップを取っていただいて、きちんと両者の間の点検をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) よほど問題が深いと思ったから業務改善命令というものを出したわけで、まあちょっとしたことだというんだったら、ちょっと直せばいいというようなことは業務改善命令にはしないわけで、国民共有の財産ですよ、簡易保険に入った方が少しずつ営々と積んだお金が、施設を造り過ぎたとかなんとかというのはあるけれども、少なくとも簡易保険法において加入者の福祉施設であると。つまり、これは会社が社員寮みたいのを軽井沢とか箱根に造るのと同じ発想ですよね。加入者の福祉施設というのを簡保の保険料で造った、それが七十九施設のうちの大部分ですが、二千四百億円以上した。固定資産税評価でも九百億近くする、実勢価格でも千二百億や千三百億するだろうと。これを減損会計だとかマジックを使ってどんどん減損していって、竹中流に言えばこれは不良債権だと。もうけちゃいけないんですから黒字にはめったにならない。赤字だったら不良債権だと。そういう決め付けで、だから、例えば鳥取ですか、あのかんぽの宿は一万円で売られて半年後に六千万円で転売されると。一体だれが利益を受けたのかという疑問がある。
 ですから、二千四百億がマジック使って百九億円になって、出来レースと思われる不透明な部分がいっぱいあって、それでオリックス不動産に渡そうとしたから私は認可をしなかった。それだけのことがあったから業務改善命令を出したわけでして、だからこれはもう真剣に取り組んでもらわなければならないわけでございます。
 ですから、私は、西川社長に対して悪感情もなければ何の感情もありません。お酒一緒に飲んだら楽しそうな方だなと思いますよ。だけど、しかしこれは公的企業のガバナンスの最高責任者としておられたわけですから、これだけのことが起きたならば、それは責任を痛感をしていただかなければ困るというのが私の立場でございます。
○長谷川憲正君 どうもありがとうございました。
 今日は時間たっぷりいただいたとはいうものの、限られた時間でありますので、この調査結果報告の指摘していることを一々全部議論をするというわけにはいかないんでありますけれども、せっかく出されたもので、もう世の中の人も忘れている人が多いんじゃないかというふうに思いますので、もう一度問題点を整理をしてみたいというふうに思っております。
 幾つか目立ったものを私、拾ってまいりました。お手元にB4の一枚紙の資料をお配りをさせていただいておりまして、左の方に四つほど問題を掲げております。
 上から順に行きたいと思いますけれども、この表に入ります前に一つ提起をしたいのは、これもさんざん言われたことでありますけれども、競争入札という言葉が頻繁に使われたわけですよね。これも指摘をされておりますが、この表には入っておりませんけれども、実際は競争入札ではなかったと。最終的には企画コンペというんでしょうか、非常に分かりにくいんですけど、そういうものであったということがだんだん分かってまいりまして、しかしながら、企画コンペというのは、提案をする人がどういう考えを持っているというのを聞いて、そして自分たちの考えと合致するものを選んでいくということでありましょうから、それは入札とはもう全く違うものですよね。これを、日本郵政会社の定めている契約の規定がありますが、これは総務省に届けてあるものでありますが、それを見させていただいたら、会社の手続というのは一般競争入札と指名競争入札と随意契約だというふうに書いてあるわけでありまして、そうすると、これは一般でも指名でもないんですから、今お取りになった今回の契約の仕方というのは随意契約ということになるわけですよね。
 で、随意契約ということと競争入札ということはもう全く物事が違うわけでありまして、競争入札であれば、例えば非常に安い価格で落札がされたとしても、まあ落札の予定価格を下回れば落とさないということはあるにしても、それは入札の結果決まったことですから、マーケットが決めたことですから、それでよしとせざるを得ないわけですよね。しかし、随意契約ということになればいろいろなものを見ながら物事を決めていかなきゃならないわけでありまして、新聞の社説など当時出たものを見ても、一部の新聞では、一般競争入札で決めたことをがたがた言うなというような趣旨の社説がいっぱいあったんですよね。そういう誤解を招いた。
 これ、もう一度お尋ねをしなければいけないんですが、随意契約の実態なのに競争入札というふうに見せかけた、その理由は何だったんですか。
○参考人(西川善文君) お答えをいたします。
 かんぽの宿の事業全体を譲渡しようということで、事業の譲渡ということでございますが、その事業の譲渡と申しましても、これは従業員の雇用の継続といったこと、あるいは一部負債の承継といったこともその中に入ってまいりますので、ただ資産価額だけで競争というわけにはまいりません。しかしながら、想定純資産価額、事業全体の価値というものを想定いたしまして、その価格を競争していただくと。もちろん、それには前提として従業員の雇用といったようなことも入っておるわけでございますが、その事業価値をどう見るかというところを競争していただくという意味合いはございました。
 ただ、これは、いわゆる会計法に言う一般競争入札ではございませんし、そしてまた指名競争でもございませんし、随意契約というふうに決め付けられるものでもないと思います。その点が、我々の社内でもこれは第三者委員会で指摘をされておるんでございますが、この事業譲渡ということについての社内規定がなかったというところが我々としては一つ問題であったなということでございまして、これは第三者委員会からも厳しく指摘をされているところでございます。
○長谷川憲正君 お聞きしてもちょっとよく意味が分からないんですけれども、会社でお決めになっていることはルールがあるわけですよね。だから、どのルールにのっとっておやりになったのかということによって物の見方というのは変わってくるわけでありまして、随意契約ではないというと、一般競争入札ではもちろんない、指名競争入札でもない、随意契約でもない、会計規定で決めていない新たなものをやったんだということなら、どうして最初からそういうふうに言ってくださらないんですか。それだったら世の中の人も誤解せずに、それならそういうことで、中身がいいのか悪いのかというのを皆見たと思うんですよ。
 それ、どなたがそういう形で、世の中に対しては入札という言葉を使うような決定をなさったのか、教えていただけますか。
○参考人(西川善文君) これは一つ大きな間違いを結果的にしたなというふうに考えておりますのは、ホームページでかんぽの宿の譲渡に関する競争入札という表現をしたわけでございます。この競争入札という言葉を安易に使い過ぎたということでございまして、本来はこれは企画提案のコンペということでございます。そこの使い分けがしっかりと行われなかったというところが混乱を呼んだ一つの大きな原因であろうというふうに思います。
○長谷川憲正君 それはそのとおり混乱を生んだわけでございますが、そのことについては当初から社長は気付いておられたんでしょうか。それとも、気付かないうちにそういうことが行われたんでしょうか。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 大変残念ながら、私はホームページをしばらくたってから見まして、この競争入札という言葉は適切ではないなということを感じたわけでございます。後で気が付いたということでございます。
○長谷川憲正君 社長がそのようにお気付きになったら、それは訂正を当然なさるべきだ。社長が組織のトップですから、適切な指示をして変えられるべきだったと思うんです。そのことがないからその後もずっとおかしなことになりまして、これは十二月の末から総務大臣が出来レースじゃないかということをおっしゃって、問題が指摘をされて話題になった。それでも、大新聞の社説が一般競争入札でやることに大臣が口を挟むのはおかしいとまで論評したわけですよ。
 大臣、そこのところ、いかがお考えですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは先生おっしゃるとおりで、一般競争入札に総務大臣が口を挟むのがおかしいという、そういう論調による私への批判は随分目にしたし耳にしたわけでございまして、しかし実際は一般競争入札ではなかったと、非常に不透明なものだったということが明らかになっているわけでございます。
 そもそもが、メリルリンチをアドバイザリー契約というかアドバイザーとして選ぶそのプロセスにおいて、同じ文書を見て同じ人が点数を変えて、つまりメリルリンチにしなくちゃならないという出来レースだったんでしょうけれども、メリルリンチが一位じゃなくて二位だった。さて困ったというので、二日後か三日後にもう一回開いて、同じ人がですよ、メリルリンチの点数を上げて、トップだったところの点数を下げてメリルリンチを選定するという、こういう大疑惑があるわけですね。そういうところからして、何が入札なのか何が採点なのかよく分からないことが多過ぎるんです。
 これは私は分かりません。民間の会社だったら、純民間の会社だったらそういうことはよくあるのかもしれないと思うのです。例えば、博報堂に民営化していくときの広告宣伝を全部任せると。これはもちろん競争みたいなことをしたんだと思いますが、採点者五人なんですね。採点者のうち五人のうち三人が言わば社長の直系の方ですから、最初から意のままになりますよね。そして、さて民営化されたと。今度はまた訳の分からぬ責任代理店制度というのを採用すると。つまり、郵政子会社四つ、ゆうちょ銀行、かんぽ生命だけじゃなくて特殊会社である事業会社、局会社が広告宣伝しようとしても全部責任代理店である博報堂を通したり相談しなければできない。まあ考えてみればとんでもない仕組みをつくり上げた。
 そのときに、博報堂を選ぶときも五人の人が採点をして、三人が、失礼ながら、社長の息の掛かった三井住友系というんですか、これはもう最初から結果見えていますよね。それで逮捕者が出て捕まった。低料第三種で博報堂の子会社、エルグの役員が捕まったにもかかわらず、私が記者会見で注意するまでは広告関係は全部博報堂だということを貫いたじゃありませんか。
 一般の企業ならいい。しかし、公的な企業がそういうことをやれば、そこに何か巨悪があるんじゃないか、癒着があるんじゃないかと国民が疑うのが当たり前だと。私はそういう体質の問題、これを問題にしておりますので、長谷川先生の御指摘は正しいと思います。
○長谷川憲正君 ちょっと話がいろいろまた拡散しそうなんで戻したいと思いますが、いずれにしても、競争入札と世の中を誤解させてしまった、そのことについての修正の試みが会社側から行われなかった、社長がリーダーシップをお取りにならなかったというのは非常に残念に思います。
 そして、先ほどのこのB4の紙に戻らせていただきますが、私四点指摘しておきました。最初の世田谷のレクセンターの問題であります。
 これは元々かんぽの宿等の施設、事業運営、これを譲渡したいといって提案をされたときにはこの中に入っていたわけですね。かんぽの宿だけではなくて、この世田谷レクセンターという大変な価値のあるものが入っていた。これは昨年の五月時点で会社自身が鑑定評価された額が手元にありますが、百三十九億円、これだけで百三十九億円。ですから、当然買いたいという人たちの提案額が小さければ、これは外そうというふうにお考えになるのは当然だとは思うんですよ、当然だとは思います。たしかオリックスとそれからもう一社、最後に二社が残ってどっちにするかという判断を会社の方でなさったわけでありますけれども、そのときに、この世田谷のレクセンターについては二十三億円というところと三十三億円というような低い評価が出てきたということからこれを外そうとしたというのは分かるんです。
 ところが、総務省が発表されました調査報告を読みますと、今日は病気のためにおいでいただけませんでしたが、伊藤執行役が上司である専務、副社長、そして西川社長に対してこれからの進め方について報告、確認を行ったと、こう書いてあるわけです。そして、この間出されました日本郵政の中にあります第三者検討委員会の報告書でも同様に、専務執行役、副社長及び社長に順次口頭報告をして確認を得たと、ただしこれは文書で記録に残っていないと、こう書いてある。
 残っていないこと自身は大変問題で、このいわゆる第三者検討委員会の報告書は繰り返し文書で残っていないのは問題だということを言っていますが、それは別にして、西川社長が国会の中で御答弁になったことを見てみますと、これは衆議院の総務委員会の松野委員の質問に対してのお答えでありますけれども、この世田谷レクセンターを外すということを聞いたのは最後の段階だったと。自分もいろいろ思うところはあったんだと思いますが、いずれにしても、そういう話を聞いたのはレクセンターを外すということを通告した後の話であって非常に残念であったと、こう御本人が述べていらっしゃいます。これは西川社長、間違いございませんか。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 そのとおりでございます。私も世田谷レクセンターを外すということ自体は、当時もう既にリーマン・ショックの後でございまして、このレクセンターはマンション開発用地として活用されるであろうということが考えられる物件でございますから大幅な値下がりをしておりまして、もうマンション事業者も手を出さないと、あの時期では手を出さないというような状況でございましたから、これは外すこと自体はそれは正解であったと思いますが、聞いたのは最後の段階でございますので、通告をされた後聞いております。
○長谷川憲正君 重ねてお答えをいただきましたので、そのとおりなんだろうと思いますが、そうすると、伊藤さんが総務省に対して述べていること、事前に社長まで報告、確認を行ったということ、あるいは、ついこの間の第三者検討委員会の報告書にある順次口頭報告をして確認を得たというのは、事実が違いますね。いかがでしょうか。
○参考人(西川善文君) これは私の記憶に間違いがなければということでございます。あるいは私の記憶が不正確であったのかもしれませんですが、私の頭の中にはそういうものが残っております。
○長谷川憲正君 そこは大変正直にお答えをいただいて、感謝を申し上げます。そのとおりなんだろうと思います。
 いずれにしても、これは社長がおっしゃっていることとこの二つの報告書に書いてあることは一致しないんですよ。どっちか間違っているんですね。そういうことが非常にこれ、売る方にしても、ましてや買う方にしてみれば、今までこういうものが一括売却の対象の中に入っていた、それが抜けるという非常に大きな話でありますから、こういったことがいい加減に扱われてはならないと思うし、会社にとって貴重な財産ですから、それはもう当然のことながら、経営者の中で意識の統一が図られていなければいけないと思うんですけれども、これで見ますと、社長のおっしゃるとおりだとすると、伊藤執行役がうそを言っているのか間違っているのか、要するに独断でやったのかというような話になるわけですね。
 それと同じことが、その下の社宅(9)の簿価割れと書いておきましたが、これは東京周辺にあります九か所の社宅のことでございます。これも今度の一括売却の中にかんぽの宿と一緒に入っているわけです。世田谷のレクセンターは評価が低過ぎるということで外れましたが、この社宅九か所については簿価割れをしておった提案であったけれども、外れなかったんですね。これ一緒に売るという中に入っていたわけです。これは、調べましたら、五月時点で会社が評価されたときは四十六億円という評価をしておられる。九月の中間決算の簿価では三十二億円と計上してある。それに対してオリックスは九億円という簿価割れの評価をしてきた。
 このことについて、本来ならこれもレクセンターと一緒に外すべきですよ、簿価割れしているんですから。それを外さなかったということについて、どうもきちんと担当の伊藤さん、今日はおいでいただいてないんですけれども、最終的な契約を決定するような会議には報告をしてないということらしいんですね。したがって、社外の役員等も含めてだと思いますが、経営陣が認識できなかったと総務省の報告書にあります。
 第三者検討委員会の報告書を読ましていただきましたらば、この伊藤さんはこのことについても先ほどのレクセンターと一緒に報告をして確認を得たということを言っておられるわけです。この点については、簿価割れの社宅を一緒に売ってしまうということについては、西川社長は御認識はあったんでしょうか。
○委員長(内藤正光君) 社長じゃなくていいですか。
○長谷川憲正君 どうぞ。
○参考人(佐々木英治君) 社宅の関係でございますので私の方から御説明をさせていただきますが、このかんぽの宿に係る社宅と申しますのは、旧簡易保険福祉事業団から承継した社宅でございまして、今回のこのかんぽの宿の施設の譲渡に伴いまして一体不可分の関係で譲渡されるのが、私ども経営側とそれから労働組合の側も同様の認識でございました。そういうことで、社員のモチベーションへの影響が懸念されたということもございまして、今回、簿価といいますか、簿価とそれから事業者の評価額は異なりましたけれども、これはかんぽの宿と一体として売るべきであるというふうに私の方といたしましては判断した次第でございます。
○長谷川憲正君 佐々木さんはそういうふうにおっしゃいますけれども、関係の資料をいろいろ読んでみますと、実際に契約の手続等をやっているメリルリンチからは、これも外すべきだという提案がなされているわけですよね。それを途中で無視して一緒に売ってしまう、しかも経営陣が認識できないような形で会議を開くというようなことは、私はもうこれは非常に意図的であるというふうに思っているわけです。
 この件に関しましても、四月七日の西川社長の答弁では、こういうことも含めて聞いていない、後から聞いたというようなお話であったようでありますけれども、これ、私の言っていることは間違いないと思いますが、吉良さん、いかがでしょうか。
○政府参考人(吉良裕臣君) 私どもは報告徴求の場合にこれ全部文書でいただいておりまして、先生がここに書かれていることはこれは文書で、口頭で言った話じゃございません。このとおり、経営会議資料、ちょっと多めに言いますと、経営会議資料及び取締役会資料には九社宅の簿価及びオリックス不動産による評価額は記載しておらず、また各会議の場において口頭での説明を行っておりませんので、簿価とオリックス不動産との評価額の差にマイナス二十三億円の乖離があったことについて、取締役を含む経営陣は認識していませんというふうな回答をいただいております。
○長谷川憲正君 これも会社にとっては極めて重要なことだと思うんですよ。まさに国民の財産であるべきものが簿価割れをして売られようとしている、そのことが経営陣の判断の材料として提供されない。そういうことが事実としてあったとするならば、それは分かった時点でそれなりの対応をされるべきでありまして、いまだに何かこのことで対応されたというのは私聞いておりませんけれども、これは伊藤さんが、言ってみれば個人の判断でおやりになったことなんでしょうか、それとも社長の意を受けてやっておられるということなんでしょうか。これは西川社長、お願いしたいと思いますが。
○参考人(西川善文君) 本件に関しましては、私は、今佐々木専務がお答えいたしましたように、従業員が現に居住しておると、かんぽの宿の運営をしておる宿泊事業部でございますが、こちらの社員が現に住まいをしておるということでございますので、これは一体として譲渡する対象に含めなければならないなという判断をしておったわけでございます。
○長谷川憲正君 表向きはそれだけ聞いたら、ああ、なるほどというふうに思う人もいるかもしれませんけれども、実際には非常に空き家の多いところでありまして、住んでいる人、そんなにいないわけですよね。しかも、これ買うことになったオリックスとの最終の契約なんかを見ますと、実際社宅として使うのは一年ということですか、後はどうなるか分からないというようなことでありまして、わざわざこれお土産に付けたのかなというふうにしか見えないわけであります。
 次に、三つ目の問題点でございますが、メリルリンチ社からの売却中止の提案というのがあります。
 不動産価格が低迷をしているどころか大変な下落を続けておったという状況の中で、たしか三回にわたって、アドバイザーに選ばれたメリルリンチが全体の売却手続そのものを中止するという選択もあるよということを提案をしているわけですけれども、このことが、一回目のときには伊藤執行役は上層部に対しては報告もしなかったということで、無視をした。次には、十一月に入りまして同じくこういったものが提案をされておりますが、これにつきましては西川社長まで報告をしたかどうか執行役は記憶がないと、こういう極めて大事な判断を報告をしたのかしないのか記憶がないと、非常に無責任極まりないと思うのであります。
 これについては、社長の方も後で聞いたということで、大変聞いたのが遅かったことを悔やんでおると、早く聞いたらもっとほかに判断もしようがあったということをおっしゃっているわけでありまして、この点についても、社長、その後、この伊藤執行役に対して何らか責任を追及するとかなさったんでしょうか。
○参考人(西川善文君) 伊藤執行役に対しましては、ただいまのところ特段の処分等は行っておりませんが、第三者検討委員会の結論も出たところでございますので、今後のけじめを付けるために何らかの処置をする必要があると考えております。
○長谷川憲正君 最後に、四点目のところですけれども、インフォメーションメモランダムというものが二年後から黒字化と書いてあるというのが問題点のところに指摘してあります。短く書いてしまったものですから御理解いただけないかもしれませんが、これは、今回の一括売却に対して関心ありということで集まってきたいろいろな業者の方に、アドバイザーの実際に契約手続を担当するメリルリンチが配った資料があるわけでありまして、その中に、日本郵政とも相談をして作ったという資料ですけれども、かんぽの宿というのは赤字赤字と言われているけれども、二年後からはずっともう後黒字になります、収支見通しとして年間十億円から十七億円の利益が出てくるんだと、こういう資料が現実に配られているわけです。
 このことについては第三者検討委員会では残念ながら言及が全くないんですけれども、このことについては度々西川社長が国会で答弁をしておられまして、例えば一月の段階では、衆議院の予算委員会で、このかんぽの宿の事業というのは不採算事業だから、持てば持つほど負担になるんだ、だから早く売却しなきゃいけないんだということをおっしゃっている。このことが実際いろんな新聞等でも引用されておって、赤字の事業だから早く売るのは当たり前だ、これは不良債権だと、竹中さんまでそう言っているわけでありますが、そういう認識をつくっているわけであります。
 最後に、これ、四月の六日の外山委員の決算委員会での質問に対しての西川社長の御答弁ですけれども、そういう資料があることを知らなかった、最近知ったと、こういうことをおっしゃっているわけでして、これ、実際、本当にこのかんぽの宿の売却という非常に大きな取引について社長がきちんと全体を把握していたのかということを非常に私たち疑問に思うわけであります。
 こういった資料を出すというようなことについて、社長は事前に相談を受けるということは日本郵政の中ではないんでしょうか。
○参考人(西川善文君) 重要な事項につきましては一々相談を受け、あるいは報告を受けるということも当然ございますが、このインフォメーションメモランダムと申しますのは企画コンペへの応募者に対する情報提供ということでございまして、これは、私の記憶に間違いがなければ、ある外資系のコンサルタントに依頼をいたしまして、全施設についての今後の収益改善策等を検討してもらい、それを参考に作成した資料であるということを聞いた覚えがございます。
○長谷川憲正君 ちょっとよく理解できないんですけど。
 そうすると、これに関しては社長は事前には御覧になっていなかったし、そういうものを必ず社長に報告をしなければいけないとか、例えば配られたものと社長の答弁が食い違っているというようなときに、日本郵政の部下の方々、今日もたくさんおいででございますけれども、社長の言っておられることと資料と違うことがありますよというような指摘も全く上がってこないんでしょうか。社長にお伺いいたします。
○参考人(西川善文君) 多分、外部のコンサルタントが作った資料でございますので、応募者に対して御参考までということでお配りをしたのではないかと思います。私は存じませんでした。
○長谷川憲正君 これは、買おうと思っている人からすると極めて重要な資料だと思うんですね。しかも、その資料には、外資系の企業とおっしゃいましたけれども、メリルリンチという会社が、お金を払ってアドバイザーとして雇っている企業ですよ、その企業が日本郵政の宿泊事業部と相談の上に作ったと資料に書いてある。そういうものを出していて、それが中身が違うということを社長が言っておられるのに、周りの方が一切情報提供もしない、社長の誤りも正そうとしないというと、一体どういう社員管理をしておられるのかなと。
 私が残念ながら申し上げたいのはそこのところなんです。世の中ではよくガバナンスという言い方が使われまして、私はそういう片仮名英語は嫌いなんですけれども、しっかりと組織を統率して、部下を統率して、それは社長だって間違うことがある、そうしたらすぐに情報が上がってくる、重要な決定については社長にきちんと相談をする、当たり前のことだろうと思うわけですが、今のお話をずっと聞いていると、肝心なところで一切社長のところには相談が来ないという、そういうことになりますよ。そういうことですか。そういう理解でよろしいですか。
○参考人(西川善文君) そういったことでは決してございませんで、本当に重要事項については間違いなく相談を受けております。ただ、その周辺情報については全部が全部私の耳に入るということではございませんでした。
 私自身も、いろいろなことがございますので、例えばかんぽの宿について全部起きている事柄について毎日毎日聞くという時間的余裕もないという状況でございましたので、多分そこをしんしゃくして取捨選択をしたのであろうというふうに思います。
○長谷川憲正君 仮に、部下の皆さんが、社長は御多忙だから大事なことだけ入れようということで、こういうものは大事でないという整理をしたとすると、私はちょっと、それは経営陣としてふさわしからぬ人たちばかりがそろっているんじゃないのかなというふうに思うんです。それは社長の方からも、新聞にもいろんな書き方が出るわけですし、総務大臣からもいろいろ御指摘もあるわけですから、それを重要でないといって受け流しているというのは、それはもういかにもおかしなことだというふうに思うわけでありまして、そんなことはあり得ないと思うんですよね。
 こういう形でずっと答弁をしておられますから、今更うそを言いましたとか、間違えましたとかいうふうにはおっしゃいにくいんでしょうけれども、西川社長は日本でも屈指の有数な経営者でいらっしゃいますよね。銀行業界ではもう赫々たる成果を上げてこられた方ですよ。そして、私も今回改めて昔のことをいろいろ見てみましたけれども、三井住友銀行で頭取をしておられるときにも、それはもうまさにらつ腕といいますか、言葉が過ぎるかもしれませんけれども、敏腕ということで、会社を一手に担ってやっておられた。
 そういう方が、今回のように、部下が勝手なことをして、報告をしてもしなくてもどうでもいいというようなことをなさるはずがない。だから、それはもう包括的にこういう形でやれということを言われたから報告がなかったんだろうというふうに私は思っているんです。
 このことに関しては、私は総務省の調べた資料を拝見をして申し上げているわけでありまして、実際にもっと事細かに調べられて報告を受けておられる鳩山総務大臣は、このいわゆるガバナンス、西川社長のガバナンスについてどうお受け取りになりましたでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ある方は、西川社長は被害者なのではないかと言った方はいますよね。それは、いいように部下にやられてしまったんではないかということを私におっしゃった方はいますけれども。
 やはり今、長谷川憲正先生がおっしゃったように、最後のバンカーと言われるようならつ腕の方が請われて日本郵政の社長になられた。これは公的な会社でありますから、特殊会社でございますから、国民の利益に直結をする問題で、利益が上がればいいというものではないと。例えば、いわゆるユニバーサルサービスというものが四つの会社とも全部求められていくと。
 そういう中で、今やり取りで聞いておりましたが、そういうことは知らなかった、あるいは聞いていなかったという話が多過ぎるのは、これは私も好きな言葉ではないんですが、ガバナンスができていなかったということになるだろうと。
 今、インフォメーションメモランダムの点で、将来は利益を生むかんぽの宿であるというのがあったわけで、それもお読みでなかったようではありますが、問題は、簡易保険法によって、かんぽの宿は加入者福祉施設であって、もうけてはいけない、ただで泊めても、ただで温泉に入れてもいいんだ、ただし一部の費用は利用者から取ってもいいというそういう福祉施設であるから、当然なかなか黒字にはならないと。赤字という表現が正しいかどうかも分からない。赤字じゃなくて、これは福祉施設なんだから、福利施設です、福利厚生施設ですね、一般的に言うならば。とすれば、赤字が出るのが当たり前だ。片や、赤字が出るということは不良債権だと。千円で売ってもいいんだ、千円で売ったら四千九百万円に化けたと、一万円で売ってもいいんだ、一万円で売ったら六千万円に化けたというような話が多過ぎるわけですね、郵政に関しては。
 ですから、私は簡易保険法によってかんぽの宿が言わばもうけることを禁止されていたということを西川社長がお知りであったのかどうかなということも実は疑問に思っておりまして、やっぱりこうなってくると、好きな言葉ではないが、ガバナンスの問題は問題があり過ぎると、こう考えております。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 私もいろんなことを御指摘をさせていただいたんですけれども、結論的に申し上げたいのはそのことなんですね。私は、個人としてはひそかに心の中では、いや、これは部下任せに社長がなさるはずがないので、包括的にこういうことを了承してやっておられたんだろうというふうに思っているわけですが、仮にそうでないとするならば、これはもう手抜きも甚だしいし、いわゆる丸投げですよ。手抜き、丸投げ、でたらめ経営ということになるわけでありまして、非常に悪い言葉ですけれども、経営者としてはぼんくらということになっちゃうんですが、そんなことはあり得ない。西川さんのような方がそんなことはあり得ないのであって、私は、やっぱりきちんとこれは今後とも解明をしていく必要があるというふうに思っているところであります。こんなことではどんな会社でも株主はどこも了承しないというふうに思っているわけでありまして、日本郵政の場合には国が唯一の株主でございますから、国に対してきちっと説明するのは当然なことであります。
 そこで、もう時間もなくなりましたので最後に一言申し上げますけれども、冒頭から申し上げたように、日本郵政の社長の人事ということについて言えば、今申し上げたようなことも含めて、それ以外にもたくさん問題点の指摘がなされておりますけれども、そういうものに対してやっぱり社長が社長として適切に役割を果たしてこられたのかどうか。これはもう西川社長の個人的な持っておられる資質だとか力量だとか御性格だとか、そういう話ではないんです。そうではなくて、実績として社長として果たすべき役割をきちんと果たしてきたのかどうかというその評価の上に立って指名委員会も株主総会も物事をお考えになるべきだというふうに私はもう単純に思っているわけでございます。
 それで、仮にふさわしくないと。今の御答弁のようなことだとすると、これはもう申し訳ないんですけれども、全くふさわしくないと私は思います。続投に強い意欲をお示しになったというのは、それは経営者の立場におられる方として当然だろうとは思いますけれども、こういうやり方を今後も続けるんだったら、それはだれも納得しませんよ。西川さん御自身はいかがなんですか。今のような仕事のやり方で今後もやっていかれる、そのことが世の中の期待にこたえることだというふうにお思いなんでしょうか。これ最後にお伺いさせていただきます。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 総務大臣からもいろいろな御指摘をちょうだいしております。したがいまして、改善、是正に向けた必要な措置を講じてまいりますとともに、事業の経営改善に向けて真摯に対応したいと考えております。私自身にもいろいろと至らぬ点もございますが、私といたしましては、いったんお引き受けした以上、民営化の土台をしっかりと築くことが私に与えられた責務であり、また果たすべき責任であると考えているところでございます。
 以上です。
○長谷川憲正君 これからはしっかりやりますという御意味かなというふうに理解をしましたが、再三申し上げているように、今までやってきた実績というものを無視するわけにはいかないわけです。
 世の中には立派な経営者がいっぱいおられますから、どういう人が日本郵政の社長にふさわしいのか、それは政府がお考えになるんでしょうけれども、当然その中で西川さんが筆頭におられるということは間違いないと思いますが、しかし西川さんの場合には白紙で議論するというわけにいかないので、今まで社長としてやってこられた実績がある、そのことを私たちは見たときに、今のように部下が勝手なことをやっていても、そのことに対してとがめもしない、多くの方々に間違った情報が流れたままになっている、自分もきちんとした理解をしていないということであるとすると、これはもう本当に経営の体を成さないわけでありまして、鳩山大臣には大変、何か世の中の悪者役を一手に引き受けていただいているようなところがちょっとありましてお気の毒だなと思うんですけれども、しかし、それは監督官庁として言うべきことを言っていただくのは当然でありまして、事業を正しく経営をしていくために言いにくいことはきちんと言っていただかなきゃならないし、ましてやそういうことを無視して社長人事というものが行われるようなことがあってはならないと。
 これは最終的には麻生総理がお決めになることだとは思いますけれども、そういう意味で鳩山大臣に私たちとしては大いにエールを送りたいというふうに思っているところであります。野党からエールを送られて迷惑だよとおっしゃるかもしれませんが、お考えを最後にお聞きをして、終わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私としては、今日のやり取りをいろいろお聞かせいただいておりまして、西川社長に対する私は、先ほどから申し上げましたように、何の感情的なものを持っているわけではありません。ただ、日本郵政という巨大な特殊会社の長として統治能力がどうであったかと。国民の共有の財産がかすめ取られそうになることをお認めになってきた。その責任は、それは私が西川社長をどんなに尊敬していたとしても、その部分は私は監督官庁として認めるわけにはいかないと。
 さっきちょっと申しましたが、六月三日に日本郵政グループの責任代理店である博報堂との契約の関係について報告徴求をしました。これは簡単なことですから翌日返事をしてくれということで、六月三日にお尋ねをして六月四日に報告を受けましたけれども、実は私どもがお尋ねしたことについてはお答えにならなかった。つまり、逮捕者が出たのにまだ博報堂との関係を続けるという指示が回ったじゃありませんか、どういう人がいつどこでというような意味のことを聞いたつもりなんですが、答えがなかった。
 答えがないというのはどういうことかというと、日本郵政株式会社法第二十一条によれば、私の報告徴求に報告をしない、若しくは虚偽の報告をした場合は三十万円以下の罰金と、こういうことになっているわけですから、報告を求めて、しないというのは本来犯罪にもなり得ることだと。何も大げさにしようとは思いませんけれども、それもガバナンスのなさだと思いますよ。報告徴求、私は法律に基づいてしているんですよ。それに答えない。そういう日本郵政株式会社という会社が正しいガバナンスの下で運営されているとは私は思いません。
 そこで、最後のお答えでございますが、私には御承知のように、憲法第九条ではなくて、日本郵政株式会社法第九条によって認可権限が与えられております。この認可権限には財務大臣協議という項目は入っておりません。いろんな権限は財務大臣協議なんですが、この権限は財務大臣協議になっておりませんから、総務大臣の独自判断でやれということであろうと思っておりますので、私はその権限を持っているということを重く受け止めて、私の考え、信念に基づいて権限を行使していきたいと思っております。

 (中略)

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 日本郵政の社長人事が国民の注目を集めております。日本共産党は、西川善文氏が日本郵政の社長に就任したときから不適格として反対してまいりました。理由は、かつて三井住友銀行が中小企業に対し金利スワップ商品を押し付け販売して、大きな被害を出したそのときの責任者、頭取が西川氏だったからであります。しかし、当時の竹中大臣が西川氏には知見があるからと社長に就任させました。その結果、日本郵政で何が起きたか。
 今日はパネルにまとめてまいりました。(資料提示)日本郵政西川社長、六つの責任というふうにまとめてまいりました。
 一つは、これはもうよく知られた二千四百億円で造ったかんぽの宿がわずか百億円余りで売り飛ばされようとするなど、国民の財産をたたき売りにした。それから二つ目に、ゆうちょ銀行がクレジットカード事業に参入する際に三井住友カードと提携をした、あるいは、巨額の郵政資金が三井住友系の信託に預託されているなど、西川社長出身の三井住友グループとの癒着が余りにも目に余るということ。そして三つ目に、かんぽ生命の保険金未払が公表されなかった。数十万件から百万件を超える未払があることを把握しながら、国会で私が追及するまで一切明らかにしませんでした。そして四つ目に、今質疑があった障害者団体向け第三種郵便の悪用を見逃し続けてきた。そして五つ目に、簡易郵便局が四百か所全国で閉鎖される、あるいは各種手数料が何倍にも値上げされるなど、国民サービスが低下をした。そして六つ目に、現在郵政グループには二十一万人の非正規労働者の皆さんがいらっしゃいます、働いておられます。日本の最大の非正規労働者を抱える企業グループですが、その非正規の郵政で働く皆さんが月十万円あるかないか、本当にワーキングプアに置かれているし、その上、最近またその待遇が切り下げられようとしてきたなどであります。
 西川社長の下で国民はこんなに被害を被った。私は責任を取ってお辞めになるのが当然ではないかと思うんですが、社長の見解を聞きたいと思います。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 私自身にもいろいろと至らぬ点もあり、今から思えば反省すべき点もあったかと考えますが、私といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、いったん引き受けました以上、民営化の土台をしっかりと築くことが私に与えられた責務であり、また果たすべき責任であると考えておるところでございます。
 以上です。
○山下芳生君 私は、だれに対して何の責任を全うするのかが鋭く問われていると思うんですね。この六つの西川さんがおやりになったことを振り返ってみますと、出身の三井住友グループに更に利益を供与する責任を果たそうとされているのか、あるいはまたオリックス、リクルートなど、規制緩和を推進してきた企業グループに新たな利益を与えるために責任を全うされようとしているのか、そう思いたくなるわけですね。
 国民に被害を与えたという自覚と反省が余りにもなさ過ぎると思います。そういう自覚と反省ありますか。この六つ、どうですか。
○参考人(西川善文君) 六項目一つ一つについてお答えする時間的余裕もないかと存じますが、中でも、ゆうちょ銀行のカード事業など三井住友と癒着という御指摘をいただいておりますが、これは、やはりカード事業につきましては大手数社に企画提案をお願いして、そしてコンペの中でゆうちょ銀行として決めたというふうに私は理解をいたしておりまして、決して私が三井住友カードを強く推薦するとか、あるいは三井住友カードのいいところを主張するとか、そういったことは全くございませんでした。
 以上です。
○山下芳生君 幾ら社長がそうおっしゃっても、客観的にはそう見えるようなことがいっぱい起こっているわけですね。
 現に、日本郵政の中には、先ほど出席された横山専務執行役、妹尾常務執行役、みんな西川さんが三井住友から連れてこられた、いわゆるチーム西川と言われる方々ですね。そういう方が配置されて、こういうカード事業一つ取っても、一つだけじゃないです、不動産売却だって三井住友系のいろいろなところが利益を被るような売却がやられております。
 ですから、責任をどう取るのかというときに、方向が私は間違っていると思う。あなたが見当違いの責任を全うすればするほど国民の被害は拡大する。国民共有の財産が食い物にされて、地域社会を支えてきた郵便局のネットワークがほころんで、職員のモチベーションが下がるという事態になっていると思います。私は、あなたがお辞めになることが国民の立場から郵政事業を再生させる第一歩になるということを指摘しておきたいと思います。
 鳩山総務大臣に伺いますが、日本郵政株式会社法第九条には、「会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の許可を受けなければ、その効力を生じない。」とあります。国民の立場に立つなら、私は、仮に株主総会で西川氏が取締役社長に選任されたとしても総務大臣として断じて認可すべきでないと思いますが、大臣の考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 政治家になって以来、日本共産党と余り意見が合ったことがないんですが、今日は八割方、大体御意見、私すんなり入ってまいります。
 特にカード事業の問題は、三井住友のカードをやっておられる方が日本郵政に入られて、猛烈に運動されて、見事にカードは三井住友になったという話も聞いておりますから、法的に云々ということはありませんが、やっぱり公的な会社ですから、国民から見て、要するに、何度も言っている李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずという部分が全くできていないということがあるわけです。それは、例のJPエクスプレスの件も同じです、これ以上申し上げませんけれども。いいとこ取りをしようとしているというのも見え見えでございます。
 そういう意味で、私は西川社長という方は立派な方だと思いますし、尊敬すべき方だと思いますが、日本郵政グループを率いていく中でこうした問題がいっぱい出てきておりますので、それは私なりに考え方を持っているわけでございます。
 日本郵政株式会社法第九条の規定の重要性は、これは財務大臣協議が入っておりません。ということは、財務大臣が株主総会で判断をすることと総務大臣が取締役について判断する基準は違うということです。財務大臣は何か投資したもの、出資したものの安全が保たれればいい。私はそうではない、郵政すべてがうまくいかなくちゃならぬと、そういう観点でございますから、財務大臣協議でないということは、私が単独で懸命に考えて、信念に基づいて判断をするということでございます。
○山下芳生君 西川社長に伺います。
 大臣の判断には従われますか。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 それは、法律の決めたことでございますから、法に従うまででございます。
○山下芳生君 進退問題について、大臣の判断に従うことを西川社長がお認めになりました。大臣はしっかり判断していただきたいと思います。
 西川社長をかばうわけではございませんけれども、先ほど紹介した六つの責任は決して西川社長個人の問題から生じたものではありません。郵政民営化路線そのものの当然の帰着だと思います。
 元々、郵政民営化の要求は日米の大手金融機関から出てきたものです。三百兆円を超える郵便貯金と簡易保険、国民の金融資産を日米の民間金融機関に明け渡せと迫ったのが郵政民営化の出発点でした。そこから先ほど並べた国民の被害が生まれてきているわけですから、西川社長の辞任は当然ですが、それだけでは問題は解決されないと思います。郵政民営化そのものを根本的に見直すことがどうしても必要だということを指摘して、次のテーマに移りたいと思います。
 郵便事業会社の高齢再雇用制度について質問します。
 まず、厚生労働省に、高年齢者雇用安定法に掲げられた継続雇用制度とは何か、概要と趣旨について説明を求めます。
○政府参考人(岡崎淳一君) 御質問の高齢者雇用安定法第九条で高齢者雇用確保措置が定められております。
 これは、六十五歳未満の定年、今はまだ経過措置期間中でありますから六十三歳でありますが、それ以下の定年を定めている事業主につきまして、六十五歳までといいますか、今は六十三歳までにつきまして、定年を引き上げるか、継続雇用制度を導入するか、あるいは定年を廃止するかということを求めたものでありますが、継続雇用制度というのは、現に雇用している高齢者の方が希望するときには定年後も引き続きその年齢まで継続して雇う制度と、こういうものでございます。
○山下芳生君 郵便事業会社における〇九年度の高齢再雇用社員の受験者数と合格者数、それぞれ何人ですか。
○参考人(團宏明君) お答えいたします。
 郵便事業会社におきましても、高齢再雇用制度をつくっております。
 今御質問の〇九年度の選考試験の受験者が千二百七十四人、合格者は千百五十一人でございます。
○山下芳生君 現に雇用されていた労働者が継続雇用を求めたにもかかわらず、一千二百七十四人中百二十三人、一〇%が不採用になっております。これは高齢者雇用安定法の趣旨に照らして私は大きな問題だと思います。
 この制度は年金支給の開始年齢の引上げに伴う措置ですから、六十五歳に定年延長しない場合の代替措置ですから、これ法律の趣旨からいっても希望者全員が採用されるべきだと思うんですが、どうして一〇%もの労働者が不採用になったんですか。
○参考人(團宏明君) 当社の高齢再雇用社員制度でございますけれども、これは法律に基づきまして高齢再雇用社員の選考基準というものを労働組合との協約及び高齢再雇用社員就業規則によって定めております。その基準にすべて該当する者は高齢再雇用社員として採用することとしてございますけれども、このすべてに該当しないという職員がいたために、残念ながら今議員御指摘の数の方が再雇用にならなかったというものでございます。
○山下芳生君 ちょっと納得できませんね。まあまあ聞きましょう。
 その基準、三つ全部言ってください。
○参考人(團宏明君) 協約等に決めております基準でございますけれども、選考基準としましては、一に、選考における面接試験又は作文試験の評価が著しく低くない場合、それから二番目に、身体検査の結果、就業可能と判断された場合、三番目に、正社員の人事評価に基づき実施した人事評価結果を二百点満点で点数化した直近二年間の人事評価結果が、いずれも八十点以上である者又は八十点未満であっても面接試験の評価が良好と判定された者というものが選考基準になっておりまして、この選考を面接試験等で行っておりますけれども、それに該当しなかった者がいたということでございます。
○山下芳生君 私のところに近畿支社で不採用になられた、Nさんとしておきましょう、という方から手紙が届きました。
 Nさんは、私は人事評価はシートAかBだと。その評価は毎月の手当にも反映されている。平成十九年、二十年の二年間で支店長から三回も表彰状を受けている。イベント小包も、イベント小包というのは母の日、父の日、お中元、クリスマスというときにいろいろ小包を買っていただく方を増やすことですけれども、平成二十年度で五十個を達成した。暑中見舞いはがき二百枚、年賀郵便はがきは八千枚販売してきた。会社の方針に従って必死で努力してきたと、こうありました。Nさんのいた職場では、今年の四月の勤務表にこのNさんの勤務が書き込まれていたんです。周りはみんなNさんは高齢再雇用者に当然採用されるものと思っていたんですね。ところが採用されなかった。
 表彰状も届きましたけれども、こういうものですね。「表彰状 年賀王特別賞」「あなたは「平成二十年用お年玉付年賀葉書におけるインセンティブ施策」において、積極的な予約・販売活動に取り組まれた結果、優秀な販売成績を収められました。 よって、ここにその努力と功績に対し、報労品を贈呈するとともに表彰いたします。 今夏の「かもめーる」予約・販売においても、活躍されることを期待しています。」と。これ支店長名ですよ。
 こういう方、優秀な労働者が不採用になっている。Nさんは、何で不採用になったのかを当然支社に聞くわけですけれども、総合的に判断したという回答しか返ってこなかった。これ納得できるはずないじゃありませんか。
 これ厚労省の指針には、もう時間がありませんから、高齢再雇用の基準は具体性がなければならない、そして評価に客観性がなければならない、そしてだれもが、なぜ不採用になったのか予見できるようなものになっていなければならないと、こうありますけれども、具体性も客観性もなければ予見なんかできない。みんな採用されると思っていた、予見していたのに違う結果になったということですね。
 私は、郵便事業会社は法律の趣旨に反して継続雇用制度を恣意的なものにしていると言わざるを得ません。優秀な労働者を不採用にするのは郵便事業にとっても損失です。
 総務大臣に伺いますけれども、これ必要な資料を後で提供しようと思いますけれども、何でこんなことになったのか調査をして改めさせていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私も昔、労働大臣というのを六十四日間だけやったことがありまして、羽田内閣でございました。
 高齢者雇用安定法というのも大事な法律でございます。特に、郵政関係は専門知識が要りますよ。それから、地域であるならばなじみになっているということがありますから、したがって、高齢者の再雇用というのは私は非常にいい仕組みだと思っております。
 なぜ今具体的に言われた件が不合格であったのかは調べてみます。
○山下芳生君 調べるということでした。
 実は、Nさんだけではないんです。お手元の資料に、郵便事業会社の資料を基に各支社ごとに高齢雇用社員の採用状況を一覧にしてみました。こうやって並べてみますと、やっぱり近畿支社の不採用が人数、率とも飛び抜けて多い。二百三十三人受験して不合格が四十四人ですから、全体は九・七%ですが、ここはもう二割近い人がはじかれております。
 郵産労の調査では、大阪中郵支店は十人受験して四人不採用です。新大阪支店も十人受験して二人不採用です。尼崎支店、四人受験して二人不採用。姫路支店、七人受験して二人不採用。神戸中央支店、十六人受験して五人不採用。向日町支店、二人受験して二人とも不採用。四割、五割の人が不採用となった支店も少なくありません。不採用とされた社員は、現に雇用されて健康上も就業可能であって、直近二年間の人事評価もおおむね八十点以上の方ばっかりなんですね。
 総務大臣、近畿支社の実態は、継続雇用を求める労働者を恣意的に不採用にしているんじゃないかと私は疑いを持ちます。Nさんのケースだけではなくて、近畿支社全体を調査する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) その点も、他との整合性がありませんから、調べてみる必要があると思います。
○山下芳生君 一方で特定の企業グループに莫大な利益を供与してきた民営化された郵政が、労働者をこんなふうに粗末に扱うなんてもってのほかだということを指摘して、質問を終わります。
○又市征治君 社民党の又市です。
 改めて西川社長にお伺いしたいと思いますが、先ほど山下さんは六つの責任というふうにパネルをお出しになりましたが、私はもっと多いんではないのかと。
 一つは、一番冒頭から言われているように、国民共有財産であるかんぽの宿や不動産の疑惑に満ちたたたき売りの問題、二つには簡易生命の未払問題、三つには郵便事業における低料第三種の不正問題、そして四つには、度重なる年賀状などのノルマ販売など職員の酷使の問題、五つ目には、二百億円以上の課税申告漏れと九十二億円の追徴課税、六つには、利益相反、背任と見られる横山専務らの社宅の問題、七つには、カード事業の三井住友との癒着の疑惑問題、そして八つには、先ほども出ましたが、簡易郵便局の閉鎖であるとか、分社化に伴って一番根本であったユニバーサルサービスが低下をしておるという問題、こういう問題などがあると思うんですが、先ほどから西川さんは、いろいろと反省をする点があるとおっしゃるけれども、そのいろいろ、総括的にもう少し国民にこの場を通じて説明をいただきたい。
○参考人(西川善文君) 反省点はいろいろございます。先生がただいま御指摘をいただいた項目それぞれについて、もう一度よく考え直してみる必要のあるところだと存じます。一部に私は認識が違うんではないかと思われるところもありますが、それはともかくといたしまして、総括的に反省をしなければならないということはもちろんそのとおりでございます。
 ただ、公社時代の話も含めまして、民営化の過程でグループ各社において予想外の様々な問題が出てきたことも事実でございます。国民、利用者の皆様に御迷惑をお掛けしたという点については、日本郵政グループを代表しておわびを申し上げたいと存じます。
 以上です。
○又市征治君 私もすべてが西川さんの責任だと申し上げているつもりはありません、それは公社時代の話もあるわけですから。しかし、経営というのは一面では継続をしているわけですから、そういう点での結果責任という問題はこれはどうしてもあるわけですね。そういう意味で西川さんを結果的に我々追及せざるを得ないわけでありまして。
 私は、こういう問題が次々に起こっている背景というか、ここのところは、やはり強引な民営化による利益優先の経営、あるいは三事業を四分社化するなんというこんなばかげたことをやったこと、そうしたことが、全国津々浦々における三事業のサービス低下であるとか、あるいは郵便労働者を結果として酷使をしたりという問題が起こっておるし、そしてまた一連の不祥事であるとかという問題をもたらしている。こういう負の中間総括というものをしっかりとやられるべきで、いろいろと考えてみにゃならぬという話を今されたんでは困るんです、これ。今ここではむしろ総括をきっちり出されにゃいかぬ、国民に対して。株主総会、これだけ大きな問題になっているんですから。
 当分の間、郵政グループは、今申し上げたようなことに対しての是正をする経営方針こそが今求められているんだろうと思いますね。つまり、大臣の言葉を借りて言うと、国有に戻す以外は聖域なき見直しが必要だということをまさに今やらなきゃならぬ、この時点に来ているんだろうと思う。
 これは視点は違うけれども、政府は日本政策投資銀行についてもやみくもに民営化、民営化なんて言っていたけれども、ちょっとこれは方向転換をしたわけだよね。悪性インフルエンザならぬ民営化のはやりというのは、これはやっぱりもう一遍、これだけの時間がたってみたら、大臣の言葉、なかなかうまいことをおっしゃるなと思ったけれども、かさかさした社会つくっていいのかと、潤いのある社会でなきゃならぬと、こうおっしゃった。そういうことが今見直しの時期に来ているんじゃないか、こう思いますが、これは何も郵政の社長にそのことを今お聞きするつもりはないんです。これは私の意見として、今日せっかくの委員会ですから、皆さんにもお訴えしておきたいと思います。
 そこで、少し具体の問題を幾つか聞いておきたいと思うんですが、先ほど同僚議員からも出ましたが、横山専務の疑惑について私は、低料第三種問題にも絡んでいる、こんなふうに思います。
 横山専務が決裁した博報堂の一括契約によって、十九年度の博報堂への支出は何と前年度の十九億円から一挙に七倍の百四十六億円に上がった。また、二十年度、その翌年ということになりますが、二百二十二億円にも増えている。横山氏がこの利権を与えたとも言って過言でないんじゃないかと、こう思うんですが、そこで、先ほど大臣がむしろこのことをおっしゃったが、横山さんは四月十六日、博報堂エルグの社長らが逮捕されても、さらには五月七日の博報堂本社から契約自粛の申入れがあったにもかかわらず、まだ博報堂とずっとやりなさいということを指示をし続けた。これは極めて奇怪な、いや、公的な組織の専務としてあるまじき行為ではないのか。大臣、うなずいているけれども、まさにそうだと。そこで、総務大臣が六月三日に、何だこれはと、こう指摘をなさって、ようやくこれは転換を図る、博報堂との契約はやめると、こうなった。
 なのに、西川さん、そこで私は聞きたいのは、あなた、四月、五月の段階でこうした状況があったにもかかわらず、何ら是正をされない、その指示もなさらなかった、大問題になっているのに。これはなぜだったんですか。
○参考人(西川善文君) 博報堂との契約につきましては、博報堂エルグの役員の逮捕後、グループ各社の契約状況の調査を行うとともに、捜査等の進展に応じて適切に対処することといたしておりました。横山専務の事柄については、誤った情報が伝わっているんじゃないかというふうに私は理解をいたしております。
 その後、同社の役員が起訴されたこと等を踏まえまして、当面、新規の契約は見合わせることとし、博報堂を責任代理店とすることをやめるということとしたものでございます。
○又市征治君 総務省に対する報告徴求に対して答えなさっていることと違うんじゃないですか、これは。私、あなたのお話聞いていて、どうも時々腑に落ちなくなる。意見が違ってもいいんだけれども、しかし腑に落ちない。
 あなたは前に私に対して、いや、横山氏は優秀だと、三井住友はいつでも戻ってこいと、こう言っている、こう開き直られた。今回も彼をかばって、彼のところへまともな情報が上がっていなかったんじゃないかと。私、そんなこと聞いているんじゃなくて、これだけ問題になっているのに、そして総務省からの報告徴求に対しても公式にお答えになっているのに、まだこれをかばっておいでになる。つまり、国民から預かった国民共有財産である郵政会社、これを何だと心得ておいでになるのか。私、この一事をもってしても、あなたね、国一〇〇%出資会社の責任者として、どうもこれは納得できないと、こう言わざるを得ない。
 鳩山大臣、この問題について、ちょっと違うんじゃないですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 又市先生、雄弁に語っておられるとおりなんです。
 四月二十一日に、さっきも言いましたけれども、横山専務の判断として博報堂は切らないと、早急に切る必要はないということが言われているんです。四月二十三日の宣伝会議では、多分、日本郵政から子会社全部集まる会議で、これは責任代理店という制度があるからこういう会議をやるんでしょう、この案件は経営判断であると、新たな方針を示さないということはそのままの方針であると。つまり、博報堂を使い続ける、経営判断として決定したのだから、異議があれば横山専務に申し立ててくれという発言があっているんですね。つまり横山専務が、いろいろあったがこれからも博報堂でいくと、だから文句があったら横山専務に言えと、こういう話になっている。
 その辺が余りに不透明で、まさに何らかの癒着があるんではないかと思うでしょう、常識的に。思うから報告徴求したら、この部分について全く答えなかったんですよ。もう私をこけにした、ばかにしたような報告書、法律上の報告徴求したら何にも書いてこない。そういうガバナンスは問題ですよと私は申し上げている。
○又市征治君 そこで、次の問題に移ります。
 もう一つ、四月に発足した日通との小包合弁企業、JPエクスプレスでは、非正規社員、いわゆるゆうメイトの大量首切りをしようとしている。これを私は三月十九日、この委員会で質問して、あなた方は、非正規社員から正規社員に登用するという雇用政策、さらには一昨年十一月、これもこの委員会で西川さん、答弁をいただきましたが、非正規のウエートが非常に高くなってきたと、これはいろいろとマイナス影響も出ていると、こうおっしゃった。こういう認識と今の対応、全く違うんじゃないのか、おかしいんじゃないのか、こう答えながら。国会をばかにしているのかと、こう言いたくなる。
 具体的に伺いますが、JPエクスプレスへ日通の労働者の皆さんは多くがそのまま継続して雇われるけれども、郵便事業会社由来の期間雇用社員の方は新会社にほとんど異動できない。全国で数千人から一万人が非正規ゆえに職を失うのではないか、こう言われている。
 まず、現在、郵便事業会社の期間雇用社員十五万人余りのうち、ゆうパック事業に携わっている人の数。二つ目に、またそのうちJPエクスプレスに移行できる人数は何人と見ているのか。三つ目に、その差、つまり会社都合によって職を失う人たちの数と、これにどういう一体全体雇用政策を取ろうとしているのか、これについてお答えください。
○参考人(伊東敏朗君) お答えいたします。
 郵便事業会社におきまして現在ゆうパックにかかわっている社員についてのお尋ねでございますが、特に期間雇用社員についてのお尋ねでございますが、トータルとして、期間雇用社員、現在十五万二千人雇用しております。当然のことながら、一人で手紙、はがきの仕事をしたり、ゆうパックの仕事をしている人が多数おりますので、何人がゆうパックを扱っているという数字の把握はしておりません。したがって、ゆうパック業務に携わっている社員数ということでは今データは私ども持っていないものでございます。
 それから、何人JPEXに必要としているのかということでございますが、トータルといたしまして、JPEXが日通のペリカン業務、それから郵便事業会社のゆうパック業務を行うに当たりまして必要な契約社員数というのは八千五百人を予定しております。
 その言ってみれば差引きがどうなるのかという御指摘でございます。これにつきましては、当然のことながら、二つの事業を一緒にすることによって効率的なネットワーク、効率的な会社ということを目指しますので、その間に当然のことながら必要となる人員調整というのは出てくると思っておりますが、可能な限りそれぞれの関係者の希望を踏まえた上で、先生御心配のようなことにならないような対応を今後していく予定でございます。
○又市征治君 伊東さん、あなたいつもそう言われるんだよね、あなた方の答弁というのは。
 既に四月から十五万人全員が六月までの三か月雇用に短縮されている、現場では。明日の我が身も分からないという不安を募らせているわけですよ、この人たちは。そこへ、一人ずつ呼び出されて、あなたがおっしゃったようにみんなの意向を聞いている。意向確認書を書かされて、賃金ダウンや業務替え、遠方への配転を選ばされて、嫌なら自発的に退職せよ、こういう誘導じゃないですか。そして、行くのも残るのも保証はないよと。つまり解雇通告ですよ。
 八月と十月で新会社に完全移行により全国で数千人から一万人が非正規ゆえに職を失うといってみんな不安がっている。新会社への採用数一覧が公表されていますね。例えば、千葉県内の浦安、船橋、千葉の三か所だけで推定二百人がいわゆる雇い止めにされる、こう見られている。
 しかし、これは大変に違法行為ですよ。事業譲渡による解雇というのは平成十五年四月十日の厚生労働省通知で禁止をされています。期間雇用だといっても、実際はそれをどんどん更新をし続けているわけだからこれは適用されないんだ、そういう臨時みたいな格好ではね。だから実質はこれに抵触をする。
 そこで、西川社長、お聞きになっておって、雇用安定、非正規労働者は今切り捨てはいかぬ、派遣切りやめさせろと、こう政府も言っているわけですよ。そのときに、政府一〇〇%の出資会社で、孫会社でこういう不当解雇を制度化をするなんというばかな話、これ許されていいんですか。
○参考人(西川善文君) 先生の御指摘誠にごもっともでございまして、JPEX一社については今伊東常務がお答えしたとおりでございますけれども、グループ全体としてやはり雇用という問題を考えてまいらなきゃならないというふうに私は思っております。
 以上です。
○又市征治君 何か意味がよく分からないですね。もうちょっと責任を持って、何か聞いていると、私も余り人の首切る話を一緒にするのは嫌な方なんだけれども、だんだんだんだん何を言っているんだかという、今具体の話を聞いているときに、まして事前通告してあるわけでしょう。
 そこで、社長、もう時間がなくなってきましたから、今冒頭から申し上げてきた、あるいは今日の委員会が長谷川委員以下ずっと問うてまいりましたかんぽの宿の売却を始めとしてこれまで出されている不祥事やあるいは疑惑、あるいは不適切な経営問題、責任が大きく問われている。これは政争の具なんというたぐいのものじゃないんですね。
 加えて、決算が黒字とはいえ、中期計画を大きく下回っています。六月二十九日の株主総会を控えているわけだけれども、再任はおかしいというのは国民の今や共通の理解になっている。さっき長谷川さんもおっしゃった。先週行われた民放の二つぐらいの調査を見ますと、やはり西川さん、お辞めになるべきだというのは七割、こんな格好だ。鳩山さんが言っていることはよく分かると、こういう格好になっている。仮に西川社長の人事が国会同意人事なら、間違いなく参議院では否決ですよ、これは、今この空気は。そのことをしっかりと受け止められるべきだと私は思う。
 民営化推進のお仲間である指名委員会がどう言われるにせよ、これだけ国民の信頼を失って、責任者が責任を取らないで事業がうまくいくわけがない。経営者、指導者というのは、これは釈迦に説法だけれども、結果責任じゃありませんか。
 そういう意味で、あなたを始めとした、私は人心一新をもって出直しが必要なんではないかと、こう思うけれども、晩節を汚されないように、あなたの決断をここで最後にお伺いしておきたい。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 先生の御意見をよく受け止めまして考えてまいりたいと思います。
○又市征治君 最後に、大臣に伺います。
 あなたの日本郵政の今日のありように対する様々な指摘、これについてはこの委員会全体的には多くの人が支持をしてきた、私もその一人であります。
 しかし、先ほどもちょっと申し上げましたが、残念ながら政治家の中にもこれを政争の具として扱っていろいろとしゃべる人がいる。あるいは、一部のジャーナリズムも事の本質を見失ってそういう報道をされている。ひどい例は、与党のある幹部は、鳩山氏は選挙が強くない、選挙のことを考えて、かんぽの宿問題で人気があったので突っ走るしかないんだろうと。どこかのまた幹部は、鳩山氏も西川氏もどっちもどっちだと。これで一体全体、国民共有財産問題をどうするかという論議をしていることに対して、かつて総理か何か知りませんけれども、こんなことを言っている人がいるのは情けないな、同じ政治家としてと、こう思います。
 私は、冒頭申し上げたように、強引な民営化による利益優先経営と三事業の四分社化、そして三事業のユニバーサルサービスの低下と郵政労働者の酷使、そして一連の不祥事をもたらした、こういうことだと思いますけれども、だからこそ今その是正が日本郵政に求められている、グループ全体に求められている、こんなふうに思うし、そのことに頑張ってもらいたい。こういうことで現場で働く人々には特にそのことを呼びかけたいと思うんですけれども、その観点から、大臣が日本郵政に一連の不祥事や不適切経営の責任を問う権限を行使されるとおっしゃっていることについては支持をしたいと思う。
 と同時に、私は、そのことについての大臣のもう一度改めて決意と、もう一つは、そうは言いながら、総務省はこうした不祥事続きの郵政そのものの監督責任もある。この問題もどうするのかという問題もまた私は問わなきゃならぬのだろう、国民もまたそのことを求めているだろうと思う。
 そういう意味で、あなたがおっしゃる正義の実現のために、この二点について、最後に決意のほどをお伺いしておきたい。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 様々な問題について監督責任があることは間違いがありませんから、低料第三種を悪用した事件とか様々な事柄については、あるいはかんぽ生命の不払の件がずっとほったらかしになって、そのために費用が掛かって、逆にお客さんである保険金を受け取れる人の金額が百億ぐらい減ってしまう、こういうことについては本当に心からおわびをしなければいけないと思うし、もっといい監督、厳しい監督の方法について考えていかなければならないと、こう思っております。
 私は、こんなことが新聞に毎日出ますけれども、非常に残念でございまして、これは政争だとか選挙とか全く関係のないことですよ。国民の常識、それが政界の常識、私の常識でなければいけないと思って、私は常識的に判断をさせていただこうと思っております。

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(以上,09年6月9日参議院総務委員会会議録から一部転載)

 では,またしばらく開くと思います。これにて。

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2009年4月12日 (日)

郵政事業に関する参考人質疑-4月7日参院総務委質疑から

 あっと言う間に春休みも終わり,新年度の授業が始まりました。また,今年度は3年生のクラス担任を仰せつかり,早々に懇親の場を設けました。気のいい学生たちで,途中から別のクラスの学生若干名も参加し,久し振りに大笑いの数時間を過ごすことができました。

 さて,目の前の小さな課題に追われて,ちょっと大きな問題をまとめる時間がとれていないのが残念です。

 本日は,先週7日(火)に参議院総務委員会で行われた,郵政事業に関する集中審議の会議録がアップされましたので,その一部を転載します(午前中の参考人質疑における参考人は,石井晴夫東洋大学経営学部教授,吉田和男京都大学大学院経済学研究科教授,ジャーナリストの東谷暁氏の3名でした)。午後の質疑でも極めて重要な指摘がなされていますし,会議録にアクセスいただければ,と思います。

(以下,09年4月7日参議院総務委員会会議録から一部転載)
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 (前略)

○外山斎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の外山斎です。今日は会派を代表して質問をさせていただきます。
 まず、参考人三名の方にお尋ねしますが、二〇〇四年九月に小泉内閣で閣議決定された郵政民営化の基本方針の中で、「明治以来の大改革である郵政民営化は、国民に大きな利益をもたらす。」と述べられているわけでありますが、実際に郵政民営化が始まったら、いろいろな面でサービスのダウンとかそういった声が指摘されているわけで、どちらかというと、国民に大きな利益をもたらすというよりも損を与えている印象の方が強いと思います。
 そういった中で、鳩山総務大臣が郵政民営化を語るときに、郵政民営化には光と影があるという言葉をよく使われているわけでありますが、多くの国民の皆さんは、どちらかというと影の部分しか感じていないのではないかと思いますが、郵政民営化が実施されてどのような光があったのか、またそれと同時に、影が目立ってきているわけですが、今後このままこの郵政民営化を続けていって当初のように大きな利益をもたらすということが本当に郵政事業にあり得るのかどうかというものをお尋ねしたいと思います。
○委員長(内藤正光君) 順次御発言願います。
○参考人(石井晴夫君) それでは、まず郵政民営化の光と影ですけれども、光というのは、私もある雑誌の対談で、何かサービスが上がったところはありますかというふうに聞かれたとき、いろいろ考えたんですけど、郵便局が照明が強くなって明るくなったというところは間違いないんですね。あと、掃除が行き届く。要するに、ふだんでもフロアもできるだけ掃除をするとか、カウンターの上にPR、広報誌だとか何かそういう物が置かれなくなった、張り紙がない、そういう個々の郵便局の創意工夫でいろいろウインドーにいろんな地元の方々が飾るようなそういう物も置かれなくなってしまったとか、これは本社、支社の指示です。
 そういうものについてはありますけど、とにかく郵便局見ても、皆様方も御存じのように、職員の方が立って応対をするというのが郵便事業部門と、それから保険部門ですね。ゆうちょ銀行は、これは間違うといけませんので座って接客をやっております。あとは、できるだけ接客の始めは立って行うというようなことが行われているそうです。
 あと、ほかに考えるとすれば何もないと、光は、というのが現実であるというふうに私は思います。それはなぜかというと、もう悪いところを挙げると切りがないですね。つまり、お客様サービスの面、あるいは内部の問題、外部の問題、両方ですね。
 一番端的な例が、昨日まで隣の人が来ていて、もう家族構成もその人の素性も何も全部分かっているのに、改めて、ある一定の金額以上の出す場合、それから送金の場合も十万円以上の送金です、こういったものについては書類が必要になるとか、本人確認、これはもう大変ですよね。それから、説明責任の名の下において、これは保険の場合は特にそうなんですけど、物すごく時間が掛かる。ですから、簡易生命保険に入ろうと思って行った場合でも、前の人が説明受けているともう十分、二十分たってしまうというのは皆様方も御経験があるんじゃないかと思うんですけど。もう本当に考えられないようなマニュアルどおりの説明を果たさなきゃいけない、これはすべてにわたってがそうなんですね。
 それで、とにかく待ち時間が多くなり、そしてお客様が込んでいるときに、特に、東京都内もそうなんですけど、特定郵便局も東京都内の中心部の特定局は昼休みに集中するんですね。ところが、特定局であればお互いに助け合うというのがこれはできるんですけど、これが普通局に行ってしまうとこれはできない仕組みになっています。つまり、三事業会社それぞれが別々になっていますので、助けていくにいけないということですね。今まではみんな一つのワンカウンターで、お互いに協力し合ってスムーズに接客サービスを行っていたのが、それができないということです。
 それから、様々なところでとにかくお客さんが分からないんですね。会社が分かれていますので、質問しても、いやこれはゆうちょ銀行の話です、これはかんぽ生命の話ですといって、それぞれの対応がみんな会社によって分かれてしまいますので、一つのところでワンストップでサービスができないという状況にあります。ですから、いろんなお客様に対しての説明が、言っている本人も非常にコンヒューズしていますので、今はかなり整理されてきていますけど、それでもお客さんはよく分からないのが実情であるということなんですね。
 ですから、事例を挙げれば切りがないんですけど、一事が万事そういう状況であります。
 以上です。
○参考人(吉田和男君) 民営化がどういうプラスとマイナスを及ぼすか。なかなか、まだ民営化してすぐだから、そう目立ってプラスというのは出てこないかと思うわけですね。NTTでもJRでもJTでも、やっぱり時間を掛けて民間会社としての効率的経営を行うことによってそれが消費者にフィードバックされるということだと思うわけです。
 簡単に申しますと、かつての郵政の状況ですと、コストが上がる、いろんな形でコストが上がる、そうすると郵便料金を上げる、そういう仕組みなわけで、それは別に何の不思議もないことであったわけです。しかし、郵便にしても完全に独占ではありませんから、中の効率化というものを進めて、そして料金を引き上げないで抑えていくことができれば、これが一番大きなメリットではないかなと思うわけです。
 郵便貯金、簡易保険に関しては、これはまだかなり気の長い話で、受信部門はありますが、与信部門が完全ではありませんから、こういうもの、まさに普通の銀行、普通の保険会社として効率的でかつサービスの高い仕事ができていくかどうか、もう少し時間が掛かって目に見えてくると思います。
○参考人(東谷暁君) 私は少し数字的なものをまた挙げたいと思います。
 二〇〇八年五月三十日、日本郵政が発表した同期三月期の決算というのがありまして、このとき多くのマスコミは予測に比べて利益が非常に上がったという報道をいたしました。しかし、これも非常におかしな報道でありまして、実はこういうことだったんです。
 当期純利益が二千七百七十二億円で、政府に提出した承継計画の二千百五十億円を三〇%ぐらい上回ったんだということになっていたわけであります。しかし、これちゃんと調べれば、元々の承継計画というのはこんな少額じゃなかったんです。元々の承継計画では、純利益は二千九百七十億円が予定されていた。それがだんだんそういう目標が達成できないと分かるや、いつの間にか数字がすり替えられていた。それが国会にちゃんと報告されていたかというと、これもおかしいという話がございます、されていなかったのではないか。いったん決めた承継計画を、金額を下げて、それで当初よりずっと低い金額しか純利益は上がらなかったのに大成功だというふうに見せなくてはいけなかった、まずここが不思議なんですね。
 それから、非常に特徴的に現れましたのが、二〇〇八年七月、稼ぎ頭になると言われておりましたゆうパックが赤字だということが発覚いたしました。これはクロネコヤマトをつぶしてしまうんだとか、なかなかすごい言われ方をしていたのですが、ふたを開けてみたら五億千百万円の赤字に転落したということが分かった。私は、これはなぜこんなことが起こったのか調べてみましたら、先ほど石井先生がおっしゃっていたように、余りにも郵便局に余計な負担が掛かるようになってしまって、昔の特定郵便局ですね、郵便局の局長さんたちがほとんど動けなくなってしまった。
 実は、ゆうパックってどういうふうにして支えられていたかというと、暇を見て、これは地方のことですよ、地方のゆうパックは、局長さんたちがコンビニとかスーパーとかそういうところを自分の車で回って歩いて集配していた、それで支えられていたんですね。ところが、そういうものができなくなった。しかも、組織替えがあったわけでありますが、組織替えが行われた結果として多くの局長さんたちが希望を失った。このままじゃもう駄目だろうというので、これはちゃんとした数字でありませんが、いろいろな方たちから伺った話の推測をいたしますと、この二年ぐらいで局長さんで四割ぐらい辞めているんじゃないか。こんな事態が民営化成功などということができるのでしょうか。
 それから、もう一つ付け加えておきます。
 官から民へというのがスローガンでありました。お金も官から民へ流れるのだ。ところが、今ゆうちょが持っている資産で何が一番増えているかというと、国債が増えているわけであります。これ官から民へということになるのでしょうか、私は全く違うと思いますね。
 元々お金がどういうふうに流れるかというのは、既に二〇〇五年五月に、竹中平蔵さんのブレーンだった高橋洋一さんという方がおられますが、この方がシミュレーションを作っておりました。シミュレーションによれば、国内の資産が最終的に流れ込む先というものを計算できるわけであります。
 二〇〇三年末では、中央・地方政府が全体の七二%、企業へ流れ込むお金が一九%、特殊法人が九%でございます。それが高橋さんのシミュレーションでは、二〇一七年には中央・地方政府が七四%増えるんですね、これ。企業が二二%、やや増えます。特殊法人が四%になる。だって、特殊法人は廃止していくわけでありますから減るのは当たり前です。シミュレーションでも全然官から民でないのに、官から民に流れるんだというスローガンを掲げた政権というのはやはり国民を裏切っていたのではないか。これは別に高橋さんがシミュレーションする以前に分かっていたことなんですね。今のような財政構造だったら、官から民へ流すなんということは非常に難しいわけであります。
 というふうに、いろいろな数字をきっちり見ていきますと、どうしても民営化によって何かいいことがあったというふうには私には思えない、少なくとも今の時点ではとても見えないというのが実情ではないかと思います。
 以上です。

 (中略)

○二之湯智君 郵政民営化、一年半たち、そして自民党の方でも、与党の方でも郵政民営化の推進に関する検証あるいは検討というプロジェクトチームが立ち上がりまして、せんだってもいろいろと意見がまとめられたわけでございますけれども、民営化を今更国営化にするとかいうことはちょっと考えられないというか、そこまで踏み込んだことはないんでございますが、いろいろと改善すべき点があるんじゃないかと、こう思うわけでございます。
 私たちも単純に考えて、一つの郵便局で郵便と貯金と簡保が一緒に業務をしてもらったら大変使い勝手としてはいいんじゃないかと、こう思うわけでございますけれども、そのことに関しまして、済みません、東谷参考人から順番にお願いしたいと思います。
○委員長(内藤正光君) 順次三人ですね。
○二之湯智君 はい。
○委員長(内藤正光君) なお、持ち時間は二十五分となっております。申し訳ございません。
○参考人(東谷暁君) 私が取材したところでは、それから私も随分郵便局は使うんですね。それで、行きますと、分社化してからどうなったかといいますと、全部について別に入力しなくちゃいけないんだそうですよ。本当に延々と待たされてしまう。小さな郵便局には昔は必ずお年寄りの方たちがソファーといいますかベンチに腰掛けていたものであります。それが全く姿を消しました。私が行く幾つかの郵便局からは全く姿を消した。その理由を聞くと、やはり先ほど吉田先生がおっしゃったように、煩雑過ぎちゃって嫌なんだ、それから突然身分証明書を出せと言われるようになった。このことによって、高齢者の方たちが今までこれほど親しくしていた郵便局から何か疎外されたような気持ちになったわけでありますね。それでどんどんどんどん離れていった。そういう現象が起こっている。
 こういう現象も、実はアンケートなども取っているわけであります。郵便局等の満足度調査というものが、これは日本郵政株式会社、郵政会社から出てくるんですが、実はそれ以前に郵便局長へのアンケートというものを郵便局長会でやったわけであります。これはかなり悲惨なものでありまして、お客様が民営化の郵便局のサービスをどのようにとらえていると思いますか、もちろんこれは局長さんたちの主観が入りますが、悪くなったと言われるというのが七三・八%、余り変わらない一四・六%、以前と変わらない七・八%。それから、今度は職員ですね、職員のモチベーションがどうなったか。回答、第一位、低下した七二・一%、それから二位、以前と変わらない二五・三%、三位、高まった二・一%。どういうふうに局長さんたちが将来をとらえているかということでございますが、第一位、時々辞めたいと思う五一・五%、第二位、早く辞めたい二四・五%、そうは思わない二三・七%というふうに、非常にもう希望が持てないという状況になっているわけでありまして、こういうところも丁寧にやはり調査をしていかなくてはいけないのではないか、そういうふうに思っております。
○委員長(内藤正光君) 短い中、申し訳ございません。
○参考人(吉田和男君) 郵便に対するサービス、貯金、簡保もそうですけれども、それぞれそのサービス窓口にシナジーがあるということであるのは間違いないわけですから、郵便局の使い方に関してもっと、これは経営上の問題と私は理解するんですね、経営上の問題としてもっと効率的な方法を探る。民営化して何かいろいろマニュアルをいっぱい作ってそのとおりやらないかぬ。それは民営化の趣旨とは大分感じ、違うと思いますよね。むしろ、お互いにちゃんと契約を結んで、その契約に従って融通できるようにしていく、そういう工夫というのは必要だと思います。
○参考人(石井晴夫君) 非常に重要な点を御指摘いただきまして、やはり使い勝手を良くするために民営化、これはもちろんこのままで、民営化のままで三事業一体で行うということは可能だと思います。ですから、金融二社の、特に全く法律の規制に掛からない一般の商法上の金融二社については日本郵政株式会社法の中で持ち株比率を決めるとか、そういう規制というものはできると思います。
 ですから、その辺のいろんな法律の解釈で、そしてまた法律を新たに作るとか改正するとかいろいろありますけれども、その辺は民間企業であれば、社内カンパニー制という、これは東芝なんかはよく使っておりますけど、そういう中で三事業の区分経理というのをしっかりできるとか、いろんなやり方がございます。
 一つだけ最後に、アルフレッド・チャンドラーという経営学者が、組織は戦略に従うというチャンドラーの命題というのを言っているんですね。要するに、組織は、戦略が変われば、事業が変わればどんどん組織変えればいいんだと。ところが、この郵政事業に関しては、戦略は組織に従うなんですね。つまり、先に組織があって、それで事業が決められているからこんなおかしいことになってしまうというふうに思います。
 以上です。

 (中略)

○山下芳生君 ありがとうございました。
 東谷参考人に伺いたいと思います。文芸春秋の論文、興味深く読ませていただきました。この中で、国民共有の財産なのに竹中さんが不良債権と言っているということを批判されておりましたけれども、私も全く同感で、不良債権なんかじゃないと思います。しっかりと国民のために利用、活用すべき財産をそのような位置付けで、二束三文で、しかもこういう規制緩和を推進してきた人たちがえじきにするような在り方というのはまさにとんでもないことだと思っておるんですが、不良債権として扱うことの不当性について、東谷さんのお考えを伺いたいと思います。
○参考人(東谷暁君) よくぞ聞いてくださいましたというところなんですが、四枚目のCというところに書いておいたわけでありますが、「かんぽの宿は不良債権」というテーマで竹中平蔵さんが、かんぽ生命保険の施設である、ここら辺からもう間違っているわけでありますが、かんぽの宿は今でも年間約五十億円の赤字を計上している。民営化に当たってこれを廃止、売却するのは当然のことであると言っているんですが、不良債権というふうに決め付けることによって何が起こるかということを、この方は社会的影響ということを全く考えていないわけですね。つまり、売却価格が下がるということであります。国有財産の毀損ですね。私は、だから、西川社長は逆に竹中平蔵さんに抗議すべきであったと考えています。
 ところが、面白いことに、私がこの原稿を書きまして、まだ雑誌が出る前ですね、朝日新聞で竹中平蔵さんは、鳩山総務大臣は風評を流して、それで日本郵政の資産を下落させているというふうに批判をしているわけですね。私は、批判されるべきはどちらなのかということをよく国民の皆様には考えていただきたいと思うんですね。最初に不良債権だと決め付けたのは竹中平蔵氏でありまして、しかも竹中平蔵氏がつくった枠組みで今みんな苦労しているわけであります。五年だの、そういう売却してしまわなくちゃいけないような仕組みにしていったのはだれかということをやはり考え直さなくてはいけない。
 私は、ここら辺、本当はもっと詳しく詳しく調べたいというふうに思っております。先ほど申しました「正論」の五月号にも会計について書きましたけれども、また機会があればこういうものを取材して書きたいと思っております。
 以上です。

 (中略)

○又市征治君 社民党の又市です。
 大変お忙しい中、わざわざ当委員会のためにお越しいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 かんぽの宿のバルク売却の問題については、この間のこの委員会での論議や、あるいは三日の総務大臣の十六の問題点と改善命令が出されまして、一定の教訓と、あるいは方向性が出たかなと、こう思いますが、さらに、そのことだけで終わらせるのではなくて、今日もお述べになっておりますけれども、やはり郵政民営化そのもの、この問題の見直し、徹底した是正ということにつなげていく契機にしなきゃならぬと、こんなふうに思っておるところであります。
 そこで、順次お聞きをいたしたいと思いますが、その意味で、今最後におっしゃった、山下さんが聞かれた東谷参考人の論文、特に西川さんや竹中さんについての部分、大変参考になりました。つまり、竹中大臣と三井住友銀行がどういう利害で一致をして、西川社長と彼の腹心の部下をどういう格好で招いてきたか、あるいは完全民営化までの間に何をやってしまおうとしているのかということなどについては大変に参考になったところであります。
 東谷さんは、かんぽの宿売却は、純然たる民間企業の不良資産処理ではない。にもかかわらず、民間ですら露骨なこととうわさされるような、あざとい手口だとお書きになって、また、かんぽの宿事件は単発の不祥事ではなく、郵政民営化がもたらした合法と違法の境界破壊のおぞましい結果だと。そして、昨日まで国民の資産だったものが、本日からは切り分けられて合法的に一部の者たちの利権になる、こういうふうに考えておられるわけですが。
 そこで、お伺いするんですけれども、西川さんの昔の功績とされる不良債権処理、この不良債権処理なんてかぎ括弧付く中身だと思うんですが、実はこの言葉を竹中さんが利用して、かんぽの問題について今おっしゃった産経新聞への投稿で竹中さんが使っているわけですけれども、そうすると、東谷さんは、竹中さんが西川さんを社長に指名してきたねらいというのも、むしろこういう不良債権とレッテルを張って強引にもう売らせてしまおうということのねらいとして西川さんを引っ張ってくる、そういうねらいがあった、こんなふうに見ておられるんですか。
○参考人(東谷暁君) 証拠がない限りそういうことは決して言えないわけでありまして、ただ、私が申し上げたいのは、非常に奇妙な逆転現象が起こっているわけであります。
 西川社長という方は、いろいろ調べれば調べるほど、不良債権を高く売ることで名を上げた方であります。ところが、今回に限ってはなるだけ安く売ろうとしているわけであります。不思議なことなんです。住友時代に西川さんがどういう事業で名を上げられたか、一連の事業をずっと見ていきますと、不良債権をうまく使ってゴルフ場を造ってそれで元を取るとか非常にうまいやり方をしていた。プロなんですね。不良債権処理のプロの方がなぜこのような失態を犯すのか、私には全く分かりません。そのことが非常に今回の原稿を書く動機の一つになっております。それだけは申し上げられます。
○又市征治君 それじゃ、東谷さんにもう一問お伺いをしますが、郵貯の資金を使ってアメリカの御機嫌を伺い、また同様に簡保市場も譲渡してしまえば日本郵政はただの抜け殻であり、かんぽの宿などは不良債権としてたたき売ることしか念頭になかった、こんなふうにお書きになっていますね。
 では、竹中さんの簡保以上の更に長期的な目的はどうか。おっしゃっているように、郵貯の資金と簡保の市場をアメリカに開放することだと私もこれはかねてから主張してまいりました。なかなかだけども明確な証拠だとかがつかめない。具体例としてはゴールドマン・サックスの問題をお書きになっていますが、ゴールドマン・サックスのポールソン氏、後のアメリカの財務長官になられた方ですが、彼が竹中氏に三井住友への仲介を求め、二〇〇二年十二月に秘密会談が行われ、三井住友はゴールドマン・サックス社の増資で生き返った。以来、西川、竹中両氏の関係が緊密になった。これは渡邉恒雄氏の発言からも裏付けられるとお書きになっているわけですが、竹中さんがゴールドマンあるいはアメリカの金融界総体のむしろエージェントだと、こういう格好になるわけですが、そこのところをもし補足なさる点があれば、お伺いをしておきたいと思います。
○参考人(東谷暁君) 残念ながら、証拠をもって今そのことを例示するということはできません。なかなか難しいんです。
 ただ、今回、書いていない部分がありまして、これは実は週刊文春ででもやはり同じように報道されておりまして、幾つも幾つも竹中氏はそういう指摘をされている。しかし、一切そのことに対して反対をされていないということなんですね。私は、やはり何らかの形で竹中氏にはそういうことはないのだと明言していただきたい。そうでない限り、状況的にゴールドマン・サックスなど、その他アメリカに対して郵貯の資金を都合を付けたいのではなかったかという疑惑は幾らでも沸き上がってくるわけであります。
 それから、郵政民営化の際に郵政民営化担当大臣をなさっていたわけでありますが、そのときに、年次報告書のことについても質問を受けるたびに回答の趣旨が変わっていったということがございました。やはりこういうところも私は不自然だと思っておりまして、こういう点も何らかの形で竹中氏に明言をしていただきたい。私は、そういう機会があっていいのじゃないかと思っております。
 証拠をもって竹中氏がどういう意図を持っていたかということはなかなかできないのでありますが、竹中氏が例えばアメリカに対して特に便宜を図るということはしていないと明言しておきながら、例えば昨年の四月放映のBS朝日で、突然のように日本の郵貯を使ってアメリカに支援をしようという意味のことを急に言い出すと。これは今までの竹中氏の姿勢からすれば非常におかしな発言だったわけであります。この発言の際にも、いろいろ批判されてもはっきりした明言はしていない。これは先生方のお力で、もう一回そういう明言をしていただくような機会をつくっていただければと私は思っております。
 以上です。
○又市征治君 今の件については、衆議院も参議院もこの場に出ていただくことを要求したんですが、おいでにならないという、こういう状況でございまして、更に国会としては努力しなきゃいかぬのだろうと思います。
 それから最後に、東谷さんにもう一点。合法と違法の境界破壊をさせないために一体何を今すべきだというふうにお考えなのか、端的にお答えいただきたいと思います。
○参考人(東谷暁君) 繰り返すようですが、やはり今の段階で株式の凍結、これが一番必要だと思います。
 経営がどうなっているかというのをまだ国民もよく知らないわけであります。私が本を書いたりレポートしたりすると皆さん驚くんですよ。えっ、本当に郵政というのは民営化してそんなにうまくいっていないのと、そういう話になってしまっているわけであります。全く郵政民営化に関しての情報に非常な乖離が見られるわけであります。実態というものをやはりもっと国民の前に明かしていく。どういう状態になったのかというのを分からなければ国民は判断しようがないわけです。
 ところが、一方では、今度のかんぽの宿の売却問題に関しても、経済誌などが全く経済原理からだけの報道をして、こうやって不良債権を、竹中氏の言う、不良債権を放置していればますます不良債権が安くなってしまうぞと、そういう議論だけをしたがる。だけれども、その前に、それが違法か違法でないか以前に、これが本当に公正なのかどうか、それは非常に大切なことではないかと私は思っております。
 以上です。

 (後略)

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(以上,09年4月7日参議院総務委員会会議録から一部転載)

 郵政問題については,最近のものでは,紺谷典子『平成経済20年史』(幻冬舎新書・2008年)356-387頁,平沼赳夫『7人の政治家の7つの大罪』(講談社・2009年)20-70頁が分かりやすいかと思います。

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2009年3月14日 (土)

郵政「私物化(?)」問題-3月5日参院予算委質疑から

 目を逸らされるのは心外ですので,5日(木)の参議院予算委員会の質疑から,関連部分を転載しておきます(この問題を追及されている議員さんが多くおられますので,詳しくはそのような議員さんのHPをお探しください)。

(以下,09年3月5日参議院予算委員会会議録から転載)
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○平田健二君

 (前略)

 皆さんのお手元に一月十九日付けの産経新聞をお配りをしております。竹中元大臣の寄稿です。
 ここで、鳩山大臣のかんぽの宿売却に対する反対は民営化の基本精神に反するものであり、政策決定のプロセスに大きな弊害をもたらすと断じているわけですが、鳩山大臣、この点についてどうお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は郵政民営化に賛成でございますし、民営化するというのは大変な大改革で、それは小泉元総理の偉業だと思います。
 ただ、それを実行していく段階で、民営化の手法が非常に間違った方向に行ってはいけない。私、民営化は賛成ですけれども、その民営化、悪い民営化というのかな、不透明な民営化というのかな、具体的事実として、とすれば国民は全く信頼しなくなるから、郵政民営化という小泉元総理の偉業を残すためにもいい手法で民営化をやってもらいたいと、こう思うわけですが、この竹中さんが書かれておられることは、正直言って怒るというよりも笑っちゃうんですよ。
 基本的な、これだけちょっと皆さんによく知っておいていただきたいんですけれども、かんぽの宿は不良債権だというのは重大な事実誤認があるのです。どういう事実誤認かというと、簡易保険法、旧ですね、百一条三項というんでしょうか、簡易保険法にこう書いてあるんですね。かんぽの宿というか、そういう施設は、加入者の福祉施設である、その費用は公社が持つと。つまり、簡単に言えば、加入者が泊まってもただでいいということですよ。しかし、その一部の費用を宿泊した人から取ってもいいと書いてある。郵政公社の業務方法書にも同様のことが書いてある。つまり、もうけちゃいけない、むしろただで泊めてもいいんだということが簡易保険法に書いてあるわけですよ。だから、もうかるはずがないんだ。
 だから、七〇%の客室稼働率があって赤字だというのは、もちろん能率とか総人件費の問題とか、それはある。それは効率化してもらわなくちゃいけないとは思いますけれども、元々もうけないようにできているものが、もうけていないから不良債権だといって減損処理というのでばんばんばんばん下げてくる。だから、一万円で売ったものが六千万で半年後に売られる、千円で売ったものが四千八百万か四千九百万で売られると。それは、竹中さん書いておられますね、何か別のものにも。とにかく採算の取れない事業だったら一万円で買ってもらっても御の字だということが書いてある。そういう感覚は鳩山邦夫は全く持っていないということを書いていますけれども。
 やっぱりそれはそうじゃなくて、きちんと採算取れるはずのものでございますから、それをそうした形で五年以内に譲渡するのであれば、立派に高い値段で譲渡できるはずだと私は考えております。

 (中略)

○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
 今日は、参議院で統一会派を組んでおります民主党の皆さんの御理解と御協力を得まして、今日こうして予算委員会で久しぶりに質問をさせていただく機会を与えていただきました。
 私は、かんぽの宿と郵政民営化の問題を取り上げてみたいと思っております。
 本当はもっともっと大きなテーマがいっぱいあると思うんです。そしてまた、今、世の中は本当に不景気でございますので、もっと元気の出るようなことをいっぱい取り上げたいという気持ちは本心あるんですけれども、この問題を見ておりますと、何といいましょうか、体にあちこちに吹き出物ができたようなもので、気になって仕方がない。本気になって前へ国が進んでいけないんじゃないかと思うような、私は小さな問題ではあるけれども見過ごしにできない問題だというふうに思っているわけです。まさに細部に神が宿るという言葉がありますけれども、そういう趣旨で今日はこの問題を徹底的にやらせていただきたいというふうに思います。
 三つに分けて御質問をさせていただきます。
 最初はまさにそのかんぽの宿そのものの売却をめぐる、まあ私は疑惑だと思っておりますが、この問題を取り上げさせていただきたいと思います。二つ目に、なぜそういうことが起きてしまったのか、今起きつつあるのか、その背景を少し掘り下げさせていただきたい。そして最後は、郵政民営化そのものがやはり間違っているのではないか、少なくも直すべきところは多々あるのではないかということについてお尋ねをしたいというふうに思っております。
 まず最初に、このかんぽの宿等の売却問題でございますが、たまたま今日発売の週刊新潮、別に審議時間中に私読んでいたわけじゃありませんで、人が見付けて持ってきてくだすったんですが、この中に、「かんぽの宿「オリックス売却」の立役者は「西川社長の懐刀」」という、何か「特集」と書いた部分がございます。これを読みますと、この中では、今度のかんぽの宿の一括譲渡につきまして、チーム西川というものがあって、その人たちがこれをやったんだと。その筆頭格がこの懐刀と言われている人でありまして、住友銀行から言ってみれば西川さんがお連れになった方。ここでは仮名として坂本隆専務執行役と書いてあるんですが、私の知っている名前で言えば横山さんという方だと思いますが、この方がこの売却の総責任者だといって、いろいろこの方の行状が書いてあります。例えば、料亭で飲んでみんなツケ回しをしているとかですね。しかし、こんなことは私取り上げるつもりはありません。
 問題なのは、その中で、この人は三井住友銀行の社宅に依然として住んでいるということが書いてあるんです。これは事実でしょうか、西川社長。
○参考人(西川善文君) お答え申し上げます。
 横山君はただいま日本郵政の専務執行役を務めておりますが、銀行時代から引き続き銀行の社宅に住まわしていただいております。
○長谷川憲正君 この週刊誌の中には、引き続き三井住友銀行の広報部の弁として、この方は退職しているということになっているけれども実質的には出向扱いだと。これは私はうわさで聞いておるんですが、この方には銀行の方から裏給与が出ているというような話もありますが、この点はいかがでしょうか。
○参考人(西川善文君) 裏給与というものはございません。
○長谷川憲正君 明確に否定をしていただきましたのでそうでないことを祈りますが、これは引き続きまた調査もさせていただきます。
 そして、この週刊誌の中でも取り上げてありますように、日本郵政株式会社法の中に役員の収賄を禁じる規定があるわけです。つまり役員はみなし公務員だということになっておりますので、果たしてこの社宅に住まわせてもらっているということがこういうものに抵触をしないのかどうか、これは総務大臣、しっかり調べていただきたいと思いますが、取りあえず御見解を承りたいと思いますが。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 個別の事実関係で私は全く分かりませんが、調べられるなら調べてみたいと思います。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 このかんぽの宿の売却問題につきましては、昨年の十二月二十六日、臨時国会が終わった翌日でございますけれども、日本郵政が、七十九に上るかんぽの宿プラス宿舎等が入っておりますが、これをオリックスに一括譲渡をするということを発表をされまして、一月六日に鳩山大臣が、これは国民は出来レースと疑うんじゃないかということを言われて、みんなの注目するところとなったわけでありますが、さすがに御炯眼でありまして、当時私も、それはオリックスという名前が出てきましたから、それは何か疑わしいなと思いましたけれども、出来レースと言う度胸は私はなかったわけですが、大臣そうおっしゃいました。
 ところが、実際これはもう出来レースとしか思いようがない。次々に疑わしい事実がたくさん出てまいりまして、これはもう衆議院の予算委員会の方でもいろんな議員がお取り上げをいただいておりますので私ここで一々はやりませんが、ちょっとこのパネル、皆さんのところには資料が配ってありますが、御覧をいただきたいと思います。(資料提示)
 これ、大臣の言葉をいただきまして出来レース疑惑というふうに書かせていただきましたが、会社は当初競争入札であるというようなことをおっしゃいました。しかし、これは調査の結果はっきり分かりましたが、株式を譲渡するという形の契約である。これは契約書そのものも私もいただいております。
 こうなりますと、これ郵政の株式の処分をしばらく凍結した方がいいんじゃないですかということで、私たち野党共同で法案を提出をしまして、参議院では可決をされて、衆議院では否決をされてしまいましたけれども、そのときの審議の中で、これは社長は株式は売りませんということをおっしゃった。こんな不況のときには売りませんと、法律で縛られるまでもなく売りませんとおっしゃったけれども、この株式譲渡というのは、これ株売っていることになるんじゃないですか。これが一点です。
 それから、売却価格が百九億円ということで発表されておりますが、これの取得価格は二千四百億円、税金の対象となる、固定資産の対象となる評価の金額で見ても八百五十六億円、これがどうして百九億円なんですか。これ調べてみたら、減損会計という、減損処理ということをやっておりまして、とにかく低く低く見積もったということだろうと思うんですが、しかし、それでも競争入札に掛けていれば適切な時価になったと思えるんですけど、それをやっていない。
 それから、オリックスに売却ということでございますが、これはもういろんな方が宮内さんについては指摘をしておられますけれども、ここにたまたま市販されている本を持ってまいりましたが、小泉規制改革を利権にした男宮内義彦ということでございますので、こういう人にこういう不透明な手続で物を売る。しかも、調べましたらば、郵政資金でオリックスの株の買い増しもしておりますし、重要なポストにオリックスの関係者の方々が入っておられる。私はもう非常に、ますますもって、これもう灰色どころか黒に近いものではないかと思うわけです。
 そして、一括売却は雇用のためだということを主張しておられます。一件一件売れば地元の地方公共団体にも売ることができる。埼玉県の上田知事なんかも言っていますよ、地元に相談をしてほしかったと。ところが、一括で売らないと雇用が確保できないと言うんですが、実際に保障されているのは一年だけでしょう。これは、私はもう欺瞞としか言いようがないというふうに思っているわけでございます。
 私ばかりがしゃべっておりますが、これ、西川社長は白紙撤回をされたわけでございますけれども、こういう全体の手続を今でも公明正大と思っていらっしゃいますか。
○委員長(溝手顕正君) ちょっと、ちょっと待ってください。長谷川さん、御質問を止めるわけではないんですが、委員会に持って入っていいものとよくないものと、入りたいときはどう手続をするか、よくチェックしてやってください。あなたの資料は一切出ていなくて、これは完全にルール違反ですから、気を付けてください。よろしくやってください。
○長谷川憲正君 委員長、どうも恐縮です。(発言する者あり)
○委員長(溝手顕正君) 駄目だと言っているんです。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 今度のかんぽの宿の譲渡に関しましては、会社分割による事業全体の、かんぽの宿事業全体の譲渡というやり方を考えたわけでございまして、個々の物件について個別に譲渡をするということを考えたわけではございません。
 そういうふうに考えましたのは、やはりまとめてやらないことには、三千数百名という正社員、期間雇用社員、この雇用の確保がやりにくいということがございます。雇用については、正社員については期限のない契約でございます。したがいまして、雇用条件については、正社員について、一年間は現在の条件を引き続き適用するということ、そして二年目以降については、もし雇用条件を変更するということであれば労使間で協議をして変えていただくと、こういう契約になっておるわけでございます。
 それから、手続が公明正大であるかということでございますが、これは、先ほども申しましたように、事業譲渡という方式を取っておりますので、その中身は事業の譲受けに関する企画提案を競っていただくというものでございます。その中には、事業評価、事業価値の評価という定量的な面もございますし、雇用の維持でありますとかあるいは事業の継続性といった定性的な部分もございます。これをまとめて競っていただくと、こういう形のものでございまして、これは一般にMアンドAの形としては普通に行われることでございます。そういう意味で、決して競争してないというわけではございません。ホームページにおきましても募集公告におきまして、必ずしも適切ではないかもしれませんが競争入札という表現を使った次第でございます。
 それから、価格の点でございますが、これは百九億円というのは純資産価格ということでございまして、これに対応いたします有形固定資産の価額、これは百二十三億ということでございます。
 この百二十三億がなぜそういうことになってきたかということでございますが、そもそもの取得価額は、御指摘のとおり約二千四百億円でございました。その後、公社化をされまして、その際に企業会計原則を適用するということで、減損会計が強制適用ということになったわけでございます。減損会計で減損されました累計額は、減損損失の累計額が千三百六十三億ございました。それだけ減損で評価が落ちたということでございますし、また一方において通常の減価償却も行われてまいりました。
 したがって、日本郵政が平成十九年十月に継承いたしましたときの価額は百二十六億円ということでございまして、現在は約百二十三億という帳簿価額になっております。
 そういう経過でございます。
○長谷川憲正君 先ほどは失礼をいたしました。
 今の御答弁でございますけれども、これ衆議院でのいろんな今までの質疑の模様を的確に反映してないじゃないですか。いろんなことが分かってきているわけですよ。つまり、企業会計原則を適用するといっても、時価でやることができた。それを評価委員会の中でオリックスに関係のある人が中心となったグループで、これは減損会計を使うべきだということを主張してわざわざこういうことになっている。
 その結果、適正な資産の価格とはとても言えないわけでありまして、例えば十九年三月に、これはもう公社の時代ではありましたが、一括売却になったものが次々に高い価格で転売をされているわけでしょう。これはもういっぱい週刊誌にも出ておりますが、一万円で売られた鳥取や指宿の簡保の施設が六千万円になったと。沖縄では千円で最初買われたレクセンターの土地が四千九百万円で転売されたと。赤坂の社宅が、五億一千三百万円だったものが、これは最終的にはオリックスが今所有しているようですが、五十七億円の担保に入っていると。それから、城東鶴見の宿舎に至っては、十億円で売れたものを、今共同担保ですけれども、二百七十億円の担保が付いていると。こういうのはだれが見てもぼろもうけと言うんですよ。それを今回またやろうとしたのかというのが私たちの怒りの原点なんです。このことにつきまして、担当の監督大臣であります総務大臣の御感想をいただきます。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 長谷川先生と基本認識全く同じでございますから、あえて御答弁申し上げる必要もないかと思いますが、まず、企業会計を適用しなければならないというのは事実だと思います。しかしながら、私は会計全く素人でございますが、その減損処理の在り方がもうめちゃくちゃで疑惑に満ちておるわけでございまして、何でこういう減り方をするのかという問題がございます。
 そして、その減損処理して、二千四百が千八百、千七百というのが減損処理して百二十何億になってしまった。それが仮に簿価として記録されていても、それを営利事業として買い取ろうという人に売る場合には、全く簿価というのは関係がなくなるわけです。それは一般的に言えば、衆議院の委員会でも質問がありましたように、むしろ固定資産税評価額、土地でいえば固定資産税評価額よりも実勢価格の方が二、三割は上でしょうから、九百億とかそういう数字が妥当なんだろうと思います。
 それから、減損処理というのは私本当に分からないんですが、利益を生まないからということになっておりますが、先ほど、午前中に御答弁申し上げましたように、簡易保険法によって、加入者福祉施設は言わばただで使わせてもいいと書いてあるわけですね。ただ、一部利用者から費用を負担してもらってもいい、取ってもいいというわけですから、ただで泊まらせたっておかしくない、法律の条文上は。それがもうけて黒字になるなんということは、黒字化するということ自体が大体法律上おかしいと言われてきているわけですから、政策的に極めて低料金でやってきた。そして、利益を生まないから、利益を生まないものはもう不良債権だという決め付けをして、減損処理して売っ払うと、こういうことでございます。
 それから、先ほど先生が御質問されておられました、西川社長に、公明正大であるかという点でございますけれども、まだ報告徴求によって得た膨大な資料はまだ解析が終わっておりませんけれども、この間、私どものところにも調査チームがありますが、チームの責任者が私の部屋に入ってきて第一声で言った言葉は、今のところまだ途中ですけれども、全くの随意契約としか見えませんねと、競争性はない、これは随意契約としか解釈できない内容でございますと。
 しかも、その最終審査表というのがあるんですね。つまり、これは二社で、最終審査表というのを私もちょっとだけ見ましたが、それには、例えば、オリックス不動産から最終提案が行われています、十月三十一日に。何か経営形態とか何か、経営方針か何かのところに何て堂々と書いてあるかというと、ですから、日本郵政の宿泊事業部長をうちの副社長にいたしますと書いてあるんです。天下りというと、いわゆる一般的に言う天下りと違うけど、天下りを、うちはおたくの宿泊事業部長を副社長にしますと書いてあるんです。それで立派な提案といって丸を付けているんですね、その審査の方で。その副社長になる人が、副社長になってくださいと言われた人が裁定しているわけですから、何人かで。
 だから、そういうことを考えるとちょっと、もう少し精査します。
○長谷川憲正君 本当にもう鳩山大臣、私の考えていることをずっと代弁をしていただくものですから、御活躍に本当にもう私たち期待をしているわけでございまして、十七箱の資料が提出をされたというふうにお聞きをしておりまして、これもう宝の山ではないか、宝の山という言い方は適切ではないかもしれませんが、私は真相がそこで究明されるのではないかというふうに思っておりまして、これ、いつごろ調査が終わり、報告をいただけますでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 正直言ってそれはまだ分かりませんで、この間、日本郵政からも報告があったのかもしれませんが、日本郵政とオリックス不動産との最終契約書ですね、その問題点については国会の方に提出させていただきました。いわゆる結局はオリックスの独断でかんぽの宿を売却、譲渡できるという、あるいは特定目的会社に譲ることができるという、要するに営業を継続しますというのを全く根本から覆すただし書が付いておりますが、そういうふうに問題点は分かり次第御報告できると思いますが、すべての解析というのはなかなか大変なのかもしれません。
○長谷川憲正君 この関連ではもう一点西川社長にお伺いをいたしますが、衆議院での議論の中で、この十九年三月の百七十八件の一括の売却ですね、転売に次ぐ転売、同僚の下地議員が調べたところでは、調べた中の九割が転売になっていたということのようでございますし、二回、三回、四回の転売があったということでございますが、転売価格、どのくらいの金額に今なっているのかということについて調査をしていただけるという答弁があったというふうに記憶しておりますが、いかがでしょうか。
○参考人(西川善文君) お答え申し上げます。
 公社時代に売却されました物件につきましては、転売禁止事項が付されているわけではございませんので、転売状況の把握はこれまでしてこなかったと聞いております。しかしながら、ただいま長谷川先生からお話がございましたように、二月二十日の衆議院予算委員会で下地先生から御指摘をいただき、また総務大臣からも三月三日に報告の要請をいただいておりますので、十九年三月の一括売却百七十八件も含めまして公社中に売却した約六百二十件すべての物件につきまして、現在、登記事項証明書を法務局で確認いたしますなど可能な限り調査をしているところでございます。
 三月中旬の報告をめどにただいま調査を実施しているところでございまして、でき上がったところで御報告を申し上げたいと存じます。
○長谷川憲正君 このかんぽの宿の話はこのぐらいにしまして、これが、こういうことが行われるようになったその背景の点をちょっと調べてみたいというふうに思います。
 私は、これはもう竹中平蔵さんが全部仕掛けをつくったというふうに思っているわけです。どこまで今のようなことを予想しておやりになったのかというのは必ずしもはっきりいたしませんけれども、仕掛けは全部竹中さんがおつくりになったというふうに思っているわけです。
 これは、先ほど鳩山大臣おっしゃったように、そもそもは簡保の加入者のための施設でありました。それが突然売らなければならないことになったというのは、民営化法を作りましたときの関連法の一つであります日本郵政株式会社法という簡単な法律でございますが、その法律の附則の二条の中に、どう読んでも一度や二度読んでは分からないような書き方で書いてあるというところから問題が始まっているわけであります。
 これは民営化推進室長が既に衆議院でも述べておられますけれども、この附則二条ができた当時の事情について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(振角秀行君) お答えさせていただきたいと思います。
 今御指摘のように衆議院の方でもお答えしておりますけれども、郵政民営化の基本方針に掲げられました旧加入者福祉施設の分社後の在り方につきましては、当時の担当大臣であります竹中郵政民営化担当大臣の下で、準備室、私の推進室の前身でございますが、そこが検討いたしておりました。
 それで、基本的な考え方としては、竹中さんが著書でも書いておりますけれども、郵政民営化に当たっては、その本来の仕事、コア業務に基本的には簡保も含めて特化すべきだということで、このかんぽの宿につきましてはコア業務ではないという判断をされまして、資産を処分して撤退すべきと判断されまして、その下の指示を当時の準備室にされまして、その準備室の下におきまして、法制化に必要な事項として、このかんぽの宿について承継先として当分の間どこで承継するのがいいか、あるいはその資産を譲渡又は廃止するための猶予期間として何年が適当かどうかというのを法制局と詰めていったということでございます。
○長谷川憲正君 今御答弁がありましたように、当時の竹中郵政民営化担当大臣の強いリーダーシップの下にこの附則が入ったということでありますが、ここで処分する年限を五年という制限を付けたのはなぜでしょうか。
○政府参考人(振角秀行君) 引き続きお答えさせていただきたいと思います。
 かんぽの宿等を譲渡する際には、その当該施設が相当数に上ることから、譲受け先の決定や当該譲渡に伴う雇用の配慮のため一定の猶予期間を設けることが合理的と考えられたわけでございますけれども、その際、先生の資料にもありますけど、グリーンピアとかの年金福祉施設等の譲渡が既にその前に法制化されておりまして、そのようなものについても猶予期間が五年間というふうになっておりまして、そういうことを参考にしまして法制局と詰めて五年としたものでございます。
○長谷川憲正君 これ、確かにグリーンピアなどを参考にしたように思われます。
 もう一つ資料を見ていただきたいわけでございますが、(資料提示)これ公的施設の売却の方法ということで、今回のかんぽの宿とグリーンピアを比較したものでございます。
 売却方法で見ますと、グリーンピアの場合は公共性を考慮しまして、道だとか県に譲渡をするというのを原則にした。それが進まない場合に民間へ譲渡するということにした。今回は地元への相談も一切なしと。それから、転売につきましても、十年間の転売禁止というのがグリーンピアには付いている。今回は、基本的には日本郵政が承諾すればいいし、経営不振だったら相談もせずに売ることもできるとなっております。
 結局、五年以内の譲渡、廃止というところだけを持ってきているわけでありまして、あと何にもやってないんですよね。ここが竹中さんの仕掛けの私はおかしなところだというふうに思っているわけです。
 この資産も、日本郵政、分社化をしました。持ち株会社が日本郵政、その下に四つの会社にばらばらになりました。本来ならば、かんぽの宿は簡保の会社のものですよね。これ税金で造ったわけじゃありませんから、簡保の加入者の方々の掛金で造ったものです。郵便貯金の施設は郵便貯金を預けられた方のものです。ゆうちょ銀行のものになるべきです。ところが、そうではなくて、これを親会社の日本郵政のものにした。
 ところが、資産の売却につきましては、重要財産の処分につきましては日本郵政には何の規定もないんですよ、制限がない。その下にあります郵便会社だとか郵便局会社だとかいうものにはもちろん制限がありまして、簿価で十億円以上のものは重要財産だと、これは大臣の認可を得なければいけないというふうに書いてあります。日本郵政には何もないんですよ。
 今回、これ会社分割という方法を取ったから大臣の認可を取らなきゃいけないということで、鳩山大臣がこれはおかしいと気付かれたわけですけれども、そうでなかったら、どんどん西川さんが勝手に売れるんじゃありませんか。これ、西川社長、いかがでしょうか。
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
 このかんぽの宿等の譲渡に関しまして、地元自治体にも相談をしなかったということは私も反省をいたしております。やはり、地元にお世話になったというケースも多分あるだろうと思われますので、まずは地元に打診をしてみるということが必要ではなかったかということでございます。
 これらにつきましては、専門家によります第三者委員会を設けまして、そちらで私どもの不動産売却、処分の在り方についていろいろと御議論いただき、検討をしていただくということにいたしておりまして、既にスタートをいたしております。その結論を得まして、今後はその結論に従って処分等を考えてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上です。
○長谷川憲正君 民営化される前は公社という形であったわけでございますけれども、公社のときは、重要財産については二億円、取得価格で二億円、それを上回るものの処分についてはそれは大臣の認可が要るというふうになっていたんですが、民営化になった途端に郵便局会社やあるいは郵便事業会社、ですから郵便局の、今問題になっている中央郵便局や何かがありますが、全国の駅前の一等地に土地持っているわけです。二兆七千億と簿価で何かなっているというふうに聞いておりますが、実際は十兆円になるんじゃないかというようなことを言われておりますけれども、こういうものも今は簿価で十億円以上でなければ大臣の認可は要らないと。そして、ましてや今度の郵貯の施設や簡保の施設のように持ち株会社が持っているものは大臣の認可は要らないんですよ。これ大臣、変えた方がいいんじゃないんですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) そういう法律になるその全く理由がないわけではないと思いますけれども、私が総務大臣になるはるか以前からある法律でございますので、私がこれをどうこう言うということは余り適当ではないかと思いますが、ただ、私は午前中申し上げましたように、やはり郵政の民営化というのは小泉元総理のすばらしい業績だと思います。ですから、それが本当にいい形で実を結ばなければいけないと思います。これが裏目に出るような、国民の疑惑と不信ばかり招くようなものを結果すれば、せっかくの郵政民営化という大改革に傷が付くわけでございまして、そういう観点から今、長谷川憲正先生御指摘の、前は、公社時代は取得価格で二億円以上のものはすべて認可が必要だった、今度は日本郵政には何もないと。特殊会社である二社、事業会社と局会社は簿価で十億円以上のもののみというのが、それでいいのかどうかというのもそれは今後の検討課題、私は見直しは国有化、国営に戻すということ以外はすべてより良い方向に見直す対象だと申し上げておりますので、見直しの対象にはなると思います。
○長谷川憲正君 こうやってどんどんどんどんその売却の話が進んだというのも、これ五年というその時間の限りをつくった、法律がそういうふうにつくった、竹中さんがそういうふうに期限を決めたというところに非常に大きな問題があると思うんです。
 今こういう経済状況の中ですから、何も安い値段でたたき売る必要はないので、少なくともこの五年については見直しをされるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほどもお話をしました。また、午前中の平田先生の御質問に対しても申し上げました。
 この法律を作るのに大変力のあった有力な方が新聞等で私への批判を含めて、かんぽの宿は不良債権だと、一日も早く処理をしなくちゃならないと。私は、きちっとこれは不良債権でないというふうに反論いたしておりまして、そういう意味では考え直す必要もあるかなというのが私の気持ちの中にはございます。
○長谷川憲正君 今日のこれは日経新聞の朝刊でございますけれども、竹中平蔵さんがまた「郵政見直し、法改正は論外」というふうなことで書いておられるんですが、この中で、かんぽの宿の今度の問題につきまして、「与野党の郵政族が結託しているとしか思えない。」と。
 そんなことないと思いますね。野党はともかくとして、与党の皆さん、結託しているんでしょうか。今度、このことで中心になって発言しておられるのは鳩山大臣だと思いますが、鳩山大臣、郵政族なんでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 全く郵政族であったことはありません。郵政族だったことはありません。
 私は東京が元選挙区でしたから、与謝野財務大臣と同じ東京でいろいろ政治活動をしていく中で、いわゆる全特の方とビールを飲んだとかそういう経験はありますけれども、何ら郵政族としての実績はゼロだと思うし、そういう方向で動いたことはありません。
○長谷川憲正君 私もそのように承知をしておりまして、これ竹中さんは侮辱だと思うんですよ。
 ほかのところでは、二月十一日のこれ朝のテレビですけれども、国会に社長を呼び出すのは業務妨害だと言っているんですね。それは、確かに社長がこっちにいたら仕事が進まないというのはそうかもしれませんが、こんなことが起きていて、これ国が一〇〇%株持っているわけですよね。国会で事情を聴くというのは極めて当たり前のことだというふうに思うんですけど。
 委員長にお願いをいたします。
 この竹中平蔵さんを当委員会に一度参考人として招致をしていただきたいと思います。
○委員長(溝手顕正君) 御提案については、後刻理事会において協議させていただきます。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 株主権について財務大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。
 今国が一〇〇%株を持っておりますが、私は株主として本当にきちんとした監督をしているんだろうかということを疑問に思いますが、財務省が政府を代表して株主総会に出ておられるというふうにお聞きをしておりますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) 理論的には、郵政の財産は国有財産ではない、これらの財産に対する所有権は株というものを通じて間接的に保有しているということでございます。ただし、国が一〇〇%の株主であるということは国民が一〇〇%の株主であるということと同義語でございますから、監督をする鳩山総務大臣は法令に基づいてしっかりやっていただかなければならないと思っております。
○長谷川憲正君 株式会社でございますので、法令による権限にプラスこれは株主権というのを行使しなければいけないんですよ。世界はいっぱい株主になっている国がありますが、おおよそ監督をする大臣が株主総会に出ていくんです。鳩山大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど、実は午前中に与謝野財務・金融・経済財政大臣に御説明はしたんです。つまり、日本郵政の株式というものは行政財産ではなくて普通財産であると。これは国有財産法とかいう法律によって分かれるらしいんですが、行政財産ならば私が何かできるのかどうか分かりませんが、普通財産でございますと、これは財務大臣が権限を持っておられますので、私がこれからいろいろと御相談やお願いを与謝野財務・金融・経済財政大臣にお願いすることがあるかもしれませんということは先ほどお話ししたんです。
○長谷川憲正君 私、議員になる前に、御存じかと思いますが、フィンランドで大使をしておったんです。そのときにこういう事例がありました。
 フィンランドの電話会社、NTTのような会社でございまして、ソネラという会社ですが、五一%は国が株を持っているんです。この会社がストックオプションを導入しようとした。そうしたら新聞が一斉にたたきまして、役員だけがもうけるような制度をやるのか、国家国民のための会社なのにおかしいじゃないかと言ってたたきました。そうしましたら、運輸通信大臣が臨時株主総会を要求いたしまして、そこに大臣自らが出ていって、平取締役一人を残して会長以下全員首を切りましたよ。
 同じようなことをおやりになりませんか。まずは、財務大臣、いかがですか。
○国務大臣(与謝野馨君) 株主というのはそういう権限を持っておりますが、それはあくまでも抽象的な権限で……(発言する者あり)
○委員長(溝手顕正君) 静かにしてください。ちゃんと聞いてください。
○国務大臣(与謝野馨君) その抽象的な権限を実際に行使するときには非常な強権の発動になるわけでございますから、よほどの事情、背景がなければならないと思っております。
○長谷川憲正君 私は、今、具体的に例えば西川社長さんを首にしてくださいとか、そういうことを言っているわけではないんです。株主というのは、国有企業の株主というのはそういう強い権限も持っているし、そういう強い意識で監督をしていただきたいということを申し上げているんです。
 もう一度お願いいたします。
○国務大臣(与謝野馨君) そういうことは論ずるまでもないことでございまして、株主は株主としての権利、行使すべき権限を持っているということでございます。
○長谷川憲正君 是非、厳しい目で国民の期待にこたえてやっていただきたいというふうに思います。私は、本当に今国民の皆さんが苦労しておられる中で、やはりこういう何か国にまつわるような事業体が不正をしているかのように思われること自身が好ましいことだというふうに思っておりませんので、是非お願いをしたいと思います。
 総理に何も質問せずにここまで来ましたが、私は、この問題、そもそもが郵政の民営化という枠の中から始まったというふうに思っております。
 いよいよ第三部ということでございますけれども、私は、別に株式会社になることに私たち元々反対していたわけではない。本当に会社も発展し、そしてこれを使ってくださる国民の皆さんがいいサービスになったなと言って喜んで、そして、働いている人たちも喜べるような状況ができるのだったら形なんか何でもいいわけですよ。民営化で何の問題もない。
 そうならないのじゃないかというふうに思ったので私たちも反対をさせていただきましたが、先般、総理は、小泉総理大臣時代の総務大臣としてのときのことをお話しになりまして、自分は賛成でなかったから民営化担当から外されたというようなお話がありましたけれども、今回の民営化、小泉さん、竹中さんで設計された民営化のことでございますが、どう思っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) これは前々から長い間の論理、議論、討論、いろいろ御意見があって、最終的に民営化ということで決着をしたというのはもう長谷川先生よく御存じのとおりであります。
 決着して、民営化でスタートをさせていただきましたが、その当時、御存じのように、改革というものをやりますと、結果として改良もあれば改悪もあり得ます。常に、何も郵政に限らず、何でもそういうものです。したがって、結果としてそれがいい方に行かなかった場合は改善を心掛けるようにする。当たり前の話であって、これは、民間であれば、特にそういう努力をしないとその会社は倒産をしますので、当然どの会社でも同じような努力をされる、当たり前のことだと存じます。
 そういう意味で、三年の見直し条項が付いているということで、今その状況でいろいろな議論がなされている。そのうちの一つが、このかんぽも一つなんでしょうし、その他我々のところに耳に届いていない部分も含めましていろいろあるんだと思います。
 しかし、基本は二つ、若しくは大きく分けて、大きく言えば三つなんだと思いますが、まずは何といっても、これ国民が利用するわけですから、利用する人の利便性、これはもう絶対に大事なところだと存じます。二つ目は、何といっても、それは経営をやるわけですから、経営が健全化しておくというのが二つ目です。そして、多分三つ目なんだと思いますが、これは勤めておられる従業員という方が、四分社化されておりますので、そこらの会社の方々のいわゆる公平性というのをある程度担保される、確保されるような努力というものをしていかなければならない。これが、大きく分けてこの三つを主眼に置いて今後とも経営をされなければならぬものだと思っております。
○長谷川憲正君 全くおっしゃるとおりだと私も思います。
 問題は、そうなっていない、現実が。民営化してからこの方何も良くなっていない。もうサービスは悪くなった、どんどんどんどん配達する郵便局なんかも減らされる、お客さんからはいっぱい苦情が出る。郵便局の中は何か監視カメラも付いて、みんなひいひい言いながら仕事をしている。そういう状況をどうやって改善をしなきゃいけないのかということがポイントだと思うんです。
 ちょっと資料を見ていただきますが、これは今の民営化と言われているものの中身ですが、実際は株式会社になったというのはそう大したことではないわけでして、ばらばらに会社がなった。そして、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険、これは郵便局会社というのは今は自分で仕事を持っていませんから、仕事を委託されて初めて収入が生じるわけですけれども、これ御覧いただいて分かりますように、全体の八四%は貯金と保険の会社からの委託料で成り立っている。ところが、これ十年たつと完全に株が売却をされまして、郵便局からいつでも出ていける。もう民営化のときに昔の郵便貯金法とか簡易保険法というのは廃止をされまして、今ユニバーサルサービスの義務はない。いつでもこれやめられることができる。ただの普通の銀行だということになっているわけでありまして、私はこの結果、郵便局というのはなくなってしまうと、こんな大きな収入を失って全国の郵便局の維持ができるわけがないと思っているわけでございます。
 これ、是非総理にもう一度その辺の御感想をお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 郵便局につきましては、これはあまねく全国において利用されるということを旨として郵便局を設置する、もう長谷川先生よく御存じのとおりに、これは法律上義務付けをされております。したがいまして、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険につきましては、郵便局のネットワークの活用、これは間違いなく避けて通れないだろうと思います。
 したがいまして、株式の完全処分というのは十年ということになっておりますが、完全処分の後になりましても郵便局との代理店契約みたいなものをきちんとしておかないと、多分これネットワークが使えないということになりますので、ある程度郵便局のネットワークは維持せざるを得ないと、銀行とかんぽ側からいたしますとせざるを得ないことになるんじゃないかなという感じだけは率直なところです。
 これは物すごく大事なところですよ。これがなくなったら終わりですから。そういった意味では、私どもは、いずれにしてもこういったものがスタートしておりますので、いろいろ今後とも改善をしていくべきところは多々あろうかと思いますけれども、必要な改善というものは行ってしかるべきだと思っております。
○長谷川憲正君 もう時間になりましたのでやめますが、実際、日本と同じような仕組みを取ったドイツとニュージーランドが大失敗しまして、郵便局がいっぱいなくなっちゃったわけですよね。七割、八割の郵便局がなくなった。だからそれが問題だということを言っているわけでありまして、最後に、総務大臣、どう担当大臣としてお考えか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) どういう形が一番国民のためになるかということを念頭に、最大の課題として頭に置いて考えていけばいいと思うのです。
 私は、例えば郵便事業会社と局会社は、これはユニバーサルサービスが義務付けられているわけですから、その連携ということも考えなければいけないというふうなことは時々委員会等で答弁をいたしますけれども、この間、新聞を読みましたら、事業会社と局会社がもし一緒になるようなことがあったら、郵政の九割が一緒になった巨大な郵政利権と書いてあったのかな、の誕生だと。私は非常に失礼な文章だと思いました。働いている方は本当に、私は地元の郵便局もよく行きますが、みんな一生懸命働いている、それが何で九割が一緒になると巨大な郵政利権になるのか。私は、そういう世の中の間違った評論には毒されないで、きちんと国民のためを考えて行動したいと思っております。
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(以上,09年3月5日参議院予算委員会会議録から転載)

 この問題は,10日(火)の参議院予算委員会でも若干採り上げられていますので,そちらもご参照ください(<追記>11日(水)の同委員会では,さらにメルパルクについても追及されています)。

 末尾になりましたが,前回の船舶先取特権の準拠法の投稿に対して,文中で紹介したご論文の共著者のお一人である松井孝之弁護士からコメントを頂戴しましたので,そちらもお読みいただければ幸いです。

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2009年2月14日 (土)

郵政「改革」利権?

 「甘い」話は抜き,で行きましょう。今日も,参議院本会議会議録からの転載のみです。

(以下,09年2月2日参議院本会議会議録から転載)
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○自見庄三郎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の自見庄三郎であります。
 国民新党の副代表ですが、会派を代表して、麻生総理並びに鳩山総務大臣、中川財務・金融大臣に、かんぽの宿の譲渡問題について質問をいたします。
 郵政民営化見直しを党是として、国民新党は、譲渡のことが表面化した直後の一月七日、一括譲渡に反対することを鳩山総務大臣に申し入れました。小泉政権が強行した理念なき郵政民営化で私たちが最も心配していた、あるいは反対していた、国民の財産を安易に処分し、国民の富が一部の人たちの利益や海外に流出することが表面化したというのが私たちの受け止め方であります。
 生命保険事業は、官民を問わず、国民が健康で寿命が長くなれば利益が大きくなるものであります。これを費差益と申します。そのために生命保険会社は、健康管理や保健施設を造って国民の健康を守ろうとする、施設そのものの採算は必ずしも考慮しない。民営化で郵政公社を分割する際、かんぽの宿の所管がかんぽ生命保険会社でなく親会社の日本郵政会社になったときから、譲渡は筋書だったことが疑われます。
 さらに、私ども国民新党で独自に調査をした結果、オリックスと日本郵政の奇妙な事実が判明いたしました。ここに御報告し、麻生総理及び鳩山総務大臣の御所見をお伺いしたい。
 まず、下がり続ける宮内義彦会長のオリックスの株を大量に買っている人又は会社又はファンドがあります。その人又は会社又はファンドは、オリックスの株は必ず上がることを見越して買っているのではないか。オリックスがかんぽの宿を安く買い、それを運用か売却することによって巨額の利益を上げ、オリックスの業績が向上し、オリックスの株が上がることを事前に知り得た人又は会社又はファンドがあったのではないかという疑問であります。
 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社という会社を介した一連の疑わしい流れがあります。この会社は、りそな銀行、住友信託銀行、中央三井トラスト・ホールディングスが三分の一ずつ株式を持つ資本金五百十億円の信託銀行であります。昨年からオリックスの株式を大量に買い増しし、二〇〇八年の九月には、それまでの外資会社の首位を逆転をして筆頭株主になりました。オリックス株は三万八千円台から下落を続け、現在は四千百円台まで約九分の一に落ち込んでおります。こんなオリックス株を日本トラスティはなぜ大量に買い込んだのか。
 実は日本トラスティ・サービス信託銀行は、二〇〇七年の九月、日本郵政公社の百三十兆にも上る債券の管理業務を引き受けております。これは、現在の日本郵政会社社長の西川善文氏が総裁だった日本郵政公社の外部団体の郵貯・簡保管理機構が国債の形で持っていた国家保証の付いている旧勘定の百三十兆円です。委託は西川氏の指示によるものでした。皆さん、郵貯・簡保の旧勘定百三十兆円を預かっている会社が宮内会長のオリックスの筆頭株主なんですよ。私もこれを知ってびっくりしました。
 日本トラスティは信託銀行であります。お客さんの指示でオリックス株を買ったと思われます。トラスティに指示して買い集め、筆頭及び第三位の株主になれたのは何びとか、この動きを委員会はウオッチしているか、証券取引等監視委員会を所管している中川財務・金融大臣にお尋ねをいたします。
 二千四百億円を掛けて造った施設がたった百九億円のたたき売り、入札の不透明、不明朗さ、五年以内に譲渡の規定にもかかわらず、不動産不況の現在、譲渡を急ぐ理由、地域の事情を無視した一括譲渡がなぜなのか、私がこれまで述べた説明で幾らかでも分かっていただけるのではないでしょうか。
 総理、このような事情を御存じでしたか。百九億円の譲渡が国民の理解を得られる正当な取引とお考えですか。
 鳩山総務大臣、出来レースと大臣は言われましたが、競争入札は価格が最も高いところに落とすのが国民の常識であります。オリックスの百九億円が最も高かったのか、総務大臣にお尋ねをいたします。
 鳩山大臣及び世論の批判で一月二十九日、西川善文日本郵政社長は、譲渡を凍結し、第三者で構成する検討委員会をつくると表明いたしました。しかし、我々はこれには全く賛成できません。当事者である日本郵政会社が社内に設置した第三者調査機関など信用できません。国会が中心となって設置すべきであります。
 ここで、本件を含め、日本郵政会社と宮内会長のオリックスの取引関係、オリックスに対する譲渡をすべて白紙に戻し、全面的に再検討し、オープンにして、国民が納得できる方法で結論を出すべきであります。総務大臣のお考えはいかがですか。
 昨日の新聞報道によると、スイスで開催中の世界経済フォーラム、いわゆるダボス会議に出席していた麻生総理大臣は、一月三十一日、私も驚いたんでございますが、宮内義彦オリックス会長、竹中平蔵慶応大学教授らと会食をしたとあります。
 譲渡問題での渦中の人とスイスのダボスで会い、語り合うとは、いかなる理由があっても、軽率、不謹慎の非難は免れません。いかなる理由によるものか、何を話し合ったのか。李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずとは、かんぽの宿をオリックスに譲渡することについての鳩山総務大臣、あなたの大変見識ある言葉でございますが、麻生総理大臣及び鳩山総務大臣はこの事実をどうお考えでございますか。

 (後略)

○内閣総理大臣(麻生太郎君) 自見議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 かんぽの宿の譲渡についての御質問がありました。
 かんぽの宿の譲渡に関して、御指摘のあった事情に関して詳細を承知しているわけではありません。しかし、国民に疑念を持たれないようにしなければならないのは当然であります。
 また、かんぽの宿の売却期間につきましては、日本郵政株式会社法の規定により、民営化後五年間で譲渡又は廃止することとされております。御存じのとおりです。これは、他の類似の施設につきましても法施行後五年間で譲渡又は廃止することとされたことなどなど、参考にして決められたと承知をしております。これらは総務大臣において適切に処理してもらいたいものと考えております。
 また、ダボス会議の際に宮内オリックス会長、竹中平蔵と会食をしたのかとのお尋ねがありました。
 会食というと数名で会食したようにお考えでしょうが、私は、ダボス会議の機会に世界経済フォーラム主催の昼食会に出席をいたしました。この昼食会では、アメリカ、欧州、アジア、アフリカなど、世界中約八十名のビジネスリーダーの方々間で現下の世界経済や日本経済の課題について、私は講演も一部させられ、その上で率直な意見交換を行いました。この昼食会に宮内オリックス会長、竹中平蔵さんが出席をしておられたと、個別に会談をしたという事実は全くございません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山邦夫君) かんぽの宿の払下げ相手の選定過程が不透明、不明朗であるという御指摘でございますが、日本郵政株式会社の説明によれば、昨年四月一日から募集の公告を行い、参加表明を締め切った後、一次競争入札を経て、最終競争入札において、譲渡先において社員の雇用が確保され、国会附帯決議等の趣旨に沿うものであること、取得目的が単なる投資ではなくて本事業の発展的かつ継続的な経営にあること、そして相応の譲渡対価が得られることという条件でオリックス不動産株式会社に決定したとのことでございます。最終競争入札はなぜか二社のみでございまして、オリックス不動産の方が入札価格が高かったというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、最終競争入札に至るまでの経過について国民に疑念を抱かれることがないようにしなければなりません。日本郵政株式会社から詳細に説明するよう求めておりますが、まだ詳細な説明がありません。したがいまして、日本郵政株式会社法十五条によりまして報告の徴求をすることができます。あるいは立入検査もできますので、そういうことまで視野に入れていきたいと思っております。
 また、資産については、総務省としても独自の評価をしていきたいと考えております。
 それから、調査委員会の設置についてでありますが、日本郵政株式会社が社内に設置予定の検討委員会について、外部の専門家により構成されると聞いております。今回の譲渡が国民から疑念を招くことがないように、公正中立に検討を行っていただくよう期待をいたしております。
 先ほど、こういう状態で譲渡されてしまう心配はないかということでございますが、私は、説明を受けたり独自調査をいたしますが、国民が納得できるような中身でなければ認可いたしませんので、御安心ください。
 ただ、総理大臣から御答弁があったダボス会議における件でございますが、私も新聞を見たときはちょっとぎょっとしましたけれども、実は、これは世界経済フォーラム主催の八十人の昼食会でございまして、先ほど席数を見ましたら、総理大臣はメーンテーブルで、あとの方は末席の方でございましたので、お話しにはなっていないだろうと思います。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
○国務大臣(中川昭一君) 自見庄三郎議員の御質問にお答えいたします。
 日本トラスティに指示しオリックス株を買い集め、筆頭及び第三位の株主になったのはだれか、この動きを証券取引等監視委員会はウオッチしていたのかについてのお尋ねでございます。
 個別事案に関する調査に関しましては、従来よりお答えすることを差し控えさせていただいております。これは、監視委員会の活動を円滑に進めるためのものであることを御理解いただきたいと思います。
 一般論で申し上げますと、監視委員会は、常日ごろから幅広く市場に関する様々な資料、情報を収集、分析しており、そうした中で仮に法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、必要に応じて調査を行うこととなるということでございます。(拍手)
-----------------------
(以上,09年2月2日参議院本会議会議録から転載)

 さて,どこまで真相が解明されていくでしょうか? K氏の横槍が入りましたが,同席していた人たちのことは忘れないようにしましょう。

 ところで,国際法外交雑誌に凄いものを見つけました。そのうち書きます。では。

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2009年2月13日 (金)

郵政民営化,規制改革,・・・

 最近の国会審議が極めて興味深いので,会議録を抜粋して貼り付けるだけはしておきます。時代の大きな節目に差しかかっていることを,強く感じます。

(以下,09年1月30日参議院本会議会議録から転載)
-----------------------
○尾辻秀久君

 (前略)

 次に、最高の自殺対策であり、今日の緊急課題である雇用問題についてお尋ねをいたします。
 私たち参議院は、一緒に頑張りましょうという思いを込めて、雇用と住居など国民生活の安定を確保する緊急決議を行いました。この機会に、全会一致となるべく努力をされた皆さんに敬意を表します。
 今、早急に解決すべきは職を失った派遣社員の支援でありますが、雇用については後でお尋ねすることとして、まず、こういう派遣制度がつくられてきた経緯、背景を検証してみます。
 政府は、規制改革を目指して平成六年十二月に行政改革委員会を発足させております。以来、会議は名称を変えつつ継続され、数度にわたって、派遣対象業務の原則自由化など、段階的に労働者派遣法を変えてきました。
 私は、この間の会議の在り方に強い疑念を持っております。発足当時から委員として会議に参画し、数度の取りまとめに当たったのは、企業の一経営者であります。経営者の視点で規制改革が進められ、その結果、派遣の大量打切りとなり、多くの人を失業に追い込んだのであります。私たちの決議が、政府にだけでなく、企業にも注文を付けているゆえんであります。これほどの厳しい事態を招いたことについて、規制改革会議は少なくとも結果の責任を取らなければなりません。
 さらに、規制改革会議には言っておかねばならないことがあります。それは、会議が自らの主張をするのは自由ですが、その主張が己の利権につながっているという疑惑を持たれてはいけないということです。小泉改革を利権にしたと言われてはいけません。規制改革会議でそのことを主張した人の関係会社が、真っ先に株式会社の病院を造ったと言われています。
 規制改革会議に問いたい。医療を自らのビジネスチャンスにしていませんか。理容、美容や保育にも手を伸ばそうとしていませんか。介護の世界を利益追求の場としてむさぼり、自家用ジェット機を買った会長がいたことを忘れてはいませんか。バス、タクシーの事故が増えたことに対する反省はないのですか。
 今、話題になっておりますかんぽの宿についても同じ疑惑が持たれています。鳩山総務大臣は李下に冠を正さずと言っておられます。ここまで申しましたことに対して、総務大臣の御所見をお聞かせください。

 (中略)

 経済財政諮問会議については、昨年の質問でも国会決議など無視すればいいのだと言い放ったその傲慢さに触れました。経済財政諮問会議は、新自由主義、市場原理主義を唱えてまいりました。平たく言えば、日本をアメリカのような国にすればいいのだと言ってきたのであります。それが間違いであったことは、今回の世界の不況が証明をいたしました。その責任は重く、私は経済財政諮問会議と規制改革会議を廃止すべきと考えますが、総理はどのような総括をしておられるのか、お尋ねをいたします。
 また、このように審議会を隠れみのにするやり方を改めて、政治と政府が前面に出て責任を明確にすべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

 (後略)

○内閣総理大臣(麻生太郎君)

 (前略)

 経済諮問会議及び規制改革会議についてお尋ねがありました。
 経済財政諮問会議及び規制改革会議におきましては、経済財政政策の重要事項や構造改革に必要な規制の在り方について精力的な調査、審議を行い、時々の内閣が抱える課題の解決に向け大きな貢献を果たしてきたものと認識をいたしております。今後とも、これらの会議において現在の我が国経済が直面する課題の克服に向け精力的な調査、審議を行いたいと考えております。
 なお、これらの会議は内閣総理大臣の諮問に応じ、調査、審議を行う組織であります。内閣としての最終的な政策決定は、総理の下に関係閣僚も合意して閣議において行われるところであります。

 (後略)

○国務大臣(鳩山邦夫君) かんぽの宿についてお尋ねがありましたが、基本的に尾辻先生と問題意識を共有していると思います。
 私が申し上げたいのは、このかんぽの宿の問題でオリックス不動産株式会社への譲渡の契約ということですが、問題は、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れず、国民から疑われるようなことがあってはならないということであります。つまり、政治家が例えば法律を作って、その法律の内容を利用して金もうけをたくらんだら、これは大変なことになるわけでありますが、同様に、政府の審議会とか委員会のようなものに深くタッチされた方は、それらに関連する事業からは身を引くべきだと私は考えるわけでございます。
 大新聞は私を批判をして、そんなことをすれば引き受ける財界人がいなくなると私を批判をしています。あるいは、官僚や族議員はねじ曲がっておって財界人はみんな真っすぐだなんというふうな論調で書かれる記事もありますが、それは違う。私は、政治家も真っすぐでなければいけないし、財界人もまさに疑われるような行動はしてほしくない、そう思うわけでございます。
 また、オリックスの総帥の方が郵政民営化にノータッチであるということをよく言われますが、彼が率いておりました規制改革会議の前身である総合規制改革会議では、平成十五年十月七日の会議で、郵政民営化が経済財政諮問会議に一本化されるまでの間では郵政民営化についての議論が彼の総合規制改革会議で盛んになされておりまして、また、彼の率いる規制改革・民間開放推進会議は提言を出して、公的宿泊施設の早期の廃止とか民営化を提言をしているわけですから、自ら公的宿泊施設の民営化を提言した以上は、それらのことには絡むべきでないというのが私の考え方でございます。
 今後、引き続き日本郵政からは説明を求めていくわけでありますが、問題は、日本郵政のトップの方たちは、自分たちの計算した価格は問題ないと。帳簿価格というんでしょうか、それを非常に低く見積もっているわけでございます。かんぽの宿七十施設は、土地代だけが大体三百億、上物二千百億、合わせて二千四百億で建てられた国民共有の財産、これを何で百九億でたたき売らなければならないのか、国民は絶対に理解できないはずでございます。
 ラフレさいたまの件だけで具体例を示しますと、土地六十五・七億、建物二百二十億で、二百八十六億ででき上がったものが、なぜか今は十五・六億という評価になっている。この辺の問題点をただすことによって、今後少しでも高く売却できるように努力するのが私たちの務めだと考えております。(拍手)
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(以上,09年1月30日参議院本会議会議録から転載)

 「経済財政諮問会議と規制改革会議を廃止すべき」という提案に私は賛成ですが,いずれにしても,国民に選ばれた国会議員の方々が答申をしっかり吟味してくださることを切に願います。

 「総合規制改革会議」と言えば,法例廃止の発端となったのは「規制改革推進3か年計画」であり,「規制改革」の問題性が国会で明らかになったのは「法の適用に関する通則法」についての参議院法務委員会での質疑においてでした。
 以下,それぞれについて再掲しておきます。まずは「規制改革」文書から。

(以下,2006年4月19日(水)「『法の適用に関する通則法』参議院法務委員会通過-特に規制改革との関係で-」から転載)
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<参考>本法案に関する「規制改革」関係文書を以下に並べておきます。
1.「規制改革推進3か年計画」平成13年3月30日閣議決定
  Ⅲ分野別措置事項 2金融関係 オその他 ⑦
 「国際的な統一ルールとして譲渡人住所地法による考えが定着しつつあることにもかんが
み、債権流動化の基盤整備を進める観点から、国際的な動向を踏まえつつ、法例第12条の特別規定を設けることについて検討を開始する。」

 (中略)

4.「規制改革・民間開放推進3か年計画」平成16年3月19日閣議決定
 3分野別措置事項 4金融関係 オその他 ①
 「債権流動化の基盤整備を進める観点から、譲渡人住所地法によるルールを含む国際的な動向を踏まえつつ、法例第12条の特別規定を設けることも視野に入れ、
同条を含む法例中の国際私法規定の全般的見直しについて引き続き法制審議会において検討を行い、結論を得る。」

 (後略)
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(以上,2006年4月19日(水)「『法の適用に関する通則法』参議院法務委員会通過-特に規制改革との関係で-」から転載)

 次に,「規制改革」の問題性についての国会質疑。

(以下,2006年4月23日(日)「『法の適用に関する通則法』衆議院へ」から転載)
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(以下、18日(火)の参議院法務委員会議事録から転載)
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○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 私も、まず改正案でいいますと二十三条、債権譲渡の第三者対抗要件規定の経過についてお伺いをしたいと思います。
 振り返りますと、この件については元々二〇〇〇年、平成十二年の十二月に行政改革推進本部の規制改革委員会が見解を出されて、これを受けた形で翌〇一年、平成十三年の三月に規制改革推進三か年計画が閣議決定をされています。
 その中で、いずれも国際的な統一ルールとしての譲渡し人住所地法による考えが定着しつつあるという趣旨の認識に立って、債務者の中に海外居住者が含まれる多数の債権を一束にして国際取引が行われると、そういう売買の流動化のために譲渡し人住居地法に変えるべきだというような趣旨の議論がなされているのだと思うんです。その観点から閣議決定もされていると。これは、改正案の譲渡対象債権の準拠地法という考え方とはこれ違うわけですね。法制審議会の議論を拝見をして、私どうしてこういう結論になったのかというのがようやっと分かったような気がしたわけでございます。

 (中略)

先ほど申し上げた中間試案の補足説明を見ますと、九十六ページのところですけれども、譲渡対象債権の準拠法によるという意見について、これは銀行界等実務家委員を中心とする意見であるという御紹介になっていまして、準拠法が異なる集合債権の譲渡や、準拠法が定まっていない将来債権の譲渡に対する実務上のニーズは現時点においてはほとんど認められないというふうにあるわけでございます。

 (中略)

 そこで聞きたいわけですけれども、国際的な統一ルールという、この規制改革委員会やあるいは閣議決定のこの表現を裏付ける事実があるんだろうかと。私、その補足説明を始めとしてちょっと勉強させてもらったんですけれども、実はその国際的な統一ルールというほどの実情といいますか、これ実はなかったんじゃないのかなという感じがどうしてもぬぐい去れないんですね。
 具体的に、譲渡し人住所地法を採用している国としてはどこがありますでしょうか、御紹介ください。
○政府参考人(寺田逸郎君) 具体的に譲渡し人の常居所地法に合わせるルールは、ベルギーが既に効力を生じている法律としてはございます。また、未発効ではございますけれども、国連の国際債権譲渡条約もそのような考え方を取っているわけでございます。
 若干釈明をさせていただきますと、私ども、この点については非常に趨勢は見極めにくいところではございましたが、この時点ではこの国連の条約の議論もあり、相当にその意見が各国、ヨーロッパの間でも強くなっているなという認識は実は持っておりました。ただ、結果といたしまして、その後、意見の揺り戻しと申しますのも変でございますが、様々な意見が出て、実際に定着している国際私法の実定法のルールとしては対象の債権の準拠法も相当に多いので、どちらが今の時点で国際的な趨勢かと聞かれれば、今の時点では何とも申し上げかねるというようなのが実情でございます。

 (中略)

○仁比聡平君 結局、その譲渡し人所在地法という議論は今おっしゃったような実情にあるわけで、これを国際的な統一ルールとしての考えが定着しつつあるというふうな認識に立って、我が国の今規制緩和政策の中心であります、当時で言えば規制改革委員会、その後総合規制改革会議、規制改革・民間開放推進会議、この一連のオリックスの宮内さんが座っていらっしゃるこの会議の要求になっていて、それが閣議決定にもなっているということなわけですね。
 私は、その政策決定やあるいは規制改革の在り方の問題として、こういうトップダウンの、法案の段階になれば現場の実務家の方々から、いやそういうニーズはありませんというふうに言われるような、こういう提案がなされているというのはやっぱり在り方として問題なんじゃないかと思うんです(後略)
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(以上、18日(火)の参議院法務委員会議事録から転載)
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(以上,2006年4月23日(日)「『法の適用に関する通則法』衆議院へ」から転載)

 さしあたり,貼り付けのみで失礼いたします。

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2009年2月10日 (火)

前事の忘れざるは後事の師なり-郵政民営化に関する特別委員会の質疑抜粋

 郵政民営化の構造的な問題性が,国会その他でようやく表沙汰になってきました。鳩山邦夫総務大臣を始めとする方々の真相解明への尽力に,最大の敬意を表します。

 ところで,郵政民営化関連法の国会審議において,忘れられてはならない質疑があります。十分に「知る人ぞ知る」ものではありますが,ここにも最重要のごく一部を転載しておきます。

(以下,05年6月7日衆議院郵政民営化に関する特別委員会会議録から一部転載)
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城内委員 こういった買収防止策が進んでいると言われているアメリカですら、成功率が三五%、そして失敗率が四〇%という非常に愕然たる数字なんですが、我が国においてはまだまだこういった実例もございませんし、先般のライブドアとニッポン放送、フジテレビをめぐる争いでも、裁判をやると負けてしまう、こういう状況でございますので、私は本当に、外資がどっと入ってきて、さんざん買いたたいて、利益だけ吸い取って後去っていくというようなことが非常に心配なわけでございます。
 それでは、時間も余りありませんので、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
 次の質問は、アメリカ政府の対日イニシアチブ、対日要求についてでありますけれども、私は、ここ数年、我が国の郵政民営化問題について、アメリカが相当高い関心を示しているんだなというふうに思っております。これは非常に日本の国民の関心が低いのに比べて、なぜかアメリカ政府、そしてまた在日米国商工会議所さらには米国生命保険協会が、累次にわたり、いろいろな形で郵政民営化についての要求をしているというふうに伺っております。
 例えば、アメリカ政府は、九四年の日米保険合意で簡易保険商品の拡大についての協議開催を取りつけ、また九五年には簡易保険を廃止してくれというようなことを要求したというふうに伺っております。そしてまた、昨年来、在日米国商工会議所や米国生命保険協会は、我が国の郵政民営化について、節目節目にいろいろな形で、民営化を早くやってくれというふうに言ってきていると承知しております。
 そこで、質問ですけれども、郵政民営化準備室が発足したのが昨年の四月ですから、この昨年の四月から約一年間、現在に至るまで、郵政民営化準備室に対する、米国の官民関係者との間で郵政民営化問題についての会談、協議ないし申し入れ等、こういったものが何回程度行われたのか、教えていただきたいと思います。
竹中国務大臣 昨年の四月二十六日から現在まで、郵政民営化準備室がアメリカの政府、民間関係者と十七回面談を行っているということでございます。
城内委員 十七回ということは、これはもう月に一回はこういう形で、アメリカの方で早く民営化してくれと言ってきているということであって、かなりの頻繁な数ではないかというふうに私は思っております。
 次の質問に移ります。
 それでは、米国生命保険協会がございますけれども、先ほど申しましたように、これまで累次にわたり郵政に関し要望を行っているということでありますけれども、この米国生命保険協会が、昨年から現在まで、郵政民営化に関してどのような内容の声明を出しているのか、そしてそれは大体何回ぐらい出しているのかについて、竹中大臣より御答弁いただきたいというふうに思います。
    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
竹中国務大臣 お尋ねの米国生命保険協会でございますが、昨年来、郵政民営化に関連をいたしまして、完全なイコールフッティングが確立するまでは郵便保険会社は新商品の発売を認められるべきではない等の主張をする声明等を出していると承知をしております。同協会のホームページによれば、昨年三月以降現在まで、九回の声明等を発出したものというふうに承知をしております。
 内容についてということですので、もう少しお話しさせていただきますと、米国生命保険協会は、郵政民営化法案に関し、五月十七日付で、この協会は引き続き日本の郵政民営化法案に懸念と期待を表明すると題する表明を発表したというふうに承知をしております。
 声明でありますけれども、郵便保険会社と民間事業者との公平な競争条件に関しまして、幾つか述べております。郵便保険会社の業務拡大の客観的基準が不透明である、業務拡大のプロセスにおいて利害関係者が意見を述べる機会が保証されるべきである、移行期において郵便保険会社の規制監督に総務省がかかわるべきではない、地域貢献基金がどのように使われるかが明確でない等の懸念を述べるとともに、小泉内閣の取り組みを支持しまして、日本政府とのさらなる対話を期待するというふうに述べていると承知をしております。
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(以上,05年6月7日衆議院郵政民営化に関する特別委員会会議録から一部転載)

 ちょっと長くなりますが,もう1つ。

(以下,05年8月2日参議院郵政民営化に関する特別委員会会議録から一部転載)
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○櫻井充君 じゃ、竹中大臣、大臣は、例えば外国の要人の方から、大臣がよく民営化一生懸命頑張っていると、それから金融改革ですか、銀行とのとか、そういうことに関して評価されているとか、もうそういうことも一切ないんですか。
 つまり、今外国の要人と会ったこともない、何もないというようなお話をされていますが、僕は、そうすると、まあ大臣は大臣になってアメリカに何回行かれたかちょっと分かりませんけど、僕は議運の理事として、どこどこ大臣の方が、大臣がどこどこに出張したいと、そういうふうにおっしゃるから、はい、国益のために行ってきてくださいと、そうやってこちら側はお願いしている立場にございます。
 そうすると、大臣は、アメリカの方とこういう問題について話し合ったことすらないんですか。そして、そういうような例えば、竹中大臣、よく頑張っていらっしゃいますね、我々と一緒にやっていきましょうとか、そういうような、まあ例えばの話ですけど、そういうようなやり取りなんということはないんですか、本当に。 [195:発言番号(以下同じ)]
○国務大臣(竹中平蔵君) 郵政の問題につきまして外国の方から直接要望を受けたことは一度もございません。これ、先方から会いたいとかということはこれは当然来ますけれども、私はそういう立場にありませんので、それはお断りをしております。
 もちろん国際会議等々に出て、日本の経済全体のこと、マクロ経済のこと、そして金融改革のこと、これは小泉改革全体についてお話をします。そういう点に関して評価をいただいておりますし、しっかり頑張ってくれという、こういうことはございます。
 しかし、これは個別のアイテムについて、保険はこうしてくれ、株はこうしてくれと、そのような要望に関して、外国の方から私が具体的な要望をいただいたこと、そのような場を設けたことは一度もございません。 [196]
○櫻井充君 それでは、ここにアメリカの通商代表、代表の、まあこの間まで、前ですね、ゼーリックさんから竹中大臣にあてた手紙がございます。現在は国務副長官でございます。その方から竹中大臣にあてた手紙の写しがございます。
 これ、ちょっと確認していただきたいんですけど、委員長、ちょっと議事止めていただいていいですか。 [197]
○委員長(陣内孝雄君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕 [198]
○委員長(陣内孝雄君) 速記を起こしてください。 [199]
○櫻井充君 ここには、要するにこれはどういう手紙なのかといいますと、これは竹中大臣が郵政担当大臣、経済財政担当大臣に再任されたときのお祝いの手紙でございます。
 そこの中に、そこの中に、貴殿の業務の成功に対する報償がより多くの仕事を得たということを見て喜ばしく思いますと。その後るる書いてありますが、そこのところから後半の方ですが、保険、銀行業務、速配業務で競争の条件を完全に平等することを生み出し実行することは私たちにとって根本的に重要です。郵便保険それから郵便貯金を民間セクターとイコールフッティングにするためにも、私たちは経済財政諮問会議からの連絡を歓迎しております。そしてまた、現在民間企業に適用されている郵便保険と郵便貯金への税制、セーフティーネット上の義務の義務化、それから郵便保険商品に対する政府保証を廃止することを諮問したことに私たちは勇気付けられました。
 私は、また、以下の点で丁重に貴殿を後押しいたしますと。二〇〇七年の民営化開始時から、郵便保険と郵便貯金業務に対する保険業法、銀行法の下での同様の規制、義務、監督、完全な競争、競争条件の平等が実現するまで新商品、商品見直しは郵便保険、郵便貯金に認めてはならず、平等が実現された場合にはバランスある形で商品が導入されること。新しい郵便保険と郵便貯金は相互補助により利益を得てはならないこと。民営化過程においていかなる新たな特典も郵便局に対して与えてはならないこと。民営化の過程は常に透明で、関係団体に自分たちの意見を表明する意義ある機会を与え、決定要素となることとする。今日まで私たちの政府がこの問題について行った対話を高く評価するものですし、貴殿が郵政民営化での野心的で市場志向的な目標を実現しようとしていることに密接な協力を続けていくことを楽しみにしております。貴殿がこの新たな挑戦に取り掛かるときに私が助けになるのであれば、遠慮なくおっしゃってください。
 しかもです、これはタイプで打たれたものですが、ここにです、ここに自筆の文章もございます。自筆の文章です。そこの中で、わざわざここに竹中さんとまで書いてあります、竹中さんと。貴殿は大変すばらしい仕事をされ、数少ない困難な挑戦の中で進歩を実現しました。あなたの新たな責務における達成と幸運をお祝いいたしますと。これは去年の十月四日の時点ですので、貴殿と仕事をすることに楽しみにしておりますという形で手紙も来ております。
 ですから、今までそういうようなことに対しての要望がなかったということでは僕はないんだろうと、そういうふうに思っています。
 ですから、ここは本当に大事なことなんですね。まあ今日はテレビが入っていますから委員会は止めませんけれどね。ですが、ですが大事な点は、総理が先ほどアメリカ、アメリカと言うなとおっしゃっていますが、こういう形で送られてきて、事実を私は申し上げているだけでございます。
 総理、いかがですか。 [200]
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、アメリカのいいところはどんどん吸収していった方がいいと。日本には独自の対応もありますし、先ほどBSEのこともありましたけれども、日本はアメリカに対して、日本の牛肉うまいから、アメリカの肉を買えと言うんだったら日本のも買ってくれと今盛んに言っておりますよ。ちゃんと同等の対応をしろと、言うべきことは言っているんです。
 そして、ゼーリックさんでもだれだろうが、それだけ親愛の情を込めて竹中さんと書いたような手紙をよこすほど外国の要人と交友関係を持っているということはいいことだなと思っております。私もたまには外国から小泉さんと呼ばれることもありますし、小泉と呼び捨てにされることもありますし、いろいろあります。別に竹中さんと呼ばれるというのが特別問題になるとは思っておりません。 [201]
○櫻井充君 要するに、どのぐらい親密なのかということを私は一点申し上げたかったわけです。自筆のサインで、そして、しかも竹中さんというふうに書かれてくることを見てみると、決して一度も会ったことのない方からそういう形の手紙をいただくことはないんじゃないのかなと、そう思います。
 これは、もう一点ここで申し上げておきたいことがあります。
 それは、これはまた決め付けだとかなんとかだという御指摘を受けるかもしれませんが、例えば今、日本は米国債をどのぐらい保有しているのかというと、七十五兆円保有しております。そして、その七十五兆円ですけれども、世界の国々で断トツの一位でございます。次が中国でして、この三分の一ぐらいの量であって、日本は米国債を相当持っております。そして、今度は逆に言うと、郵便貯金は日本国債を百五兆円、これを保有しております。
 ここでもしアメリカが今現在、郵便貯金や簡易保険の完全売却を求めておりまして、それに合った内容の民営化案が出てきております。ここで、株式交換制度などの変更による、外資による完全買収を容易にする会社法が今国会で成立しているわけです。これ、そしてそこの中で、今度はびっくりすることに、シティグループなどが、あっ、あれはゴールドマン・サックスだったかも分かりません、ゴールドマン・サックスがもう一兆円の資金を用意したという話もありましたけれども、いずれにしても、例えばそういうファンドが巨大な金融グループを使って郵貯銀行を買収すると、百兆円規模の日本国債が米国企業の手にゆだねられる可能性がないわけではないということになりました。これは極めて大事なことだと私は思っています。
 そして、若しくは、そういう巨額な資金がなくても、資本を、株式を交換するとかいうことでも、実を言うと、そういう形で買収することもできるということになるわけです。
 例えば、株式交換による買収は世界各国で当たり前のように行われているわけですが、日本の郵便貯金銀行や日本の簡易保険会社の資本金というのは大体どのぐらいを想定しているんでしょうか。 [202]
○国務大臣(竹中平蔵君) 骨格経営試算でお示ししている数字でございますけれども、これは、民営化時点の自己資本の合計は、四社合計七・五兆円を想定をしております。 [203]
○櫻井充君 そうしますと、二〇〇〇年のイギリスで、イギリスのボーダフォンがドイツのマンネスマンというんでしょうか、ここのところは株式会社交換の買収は実は二十兆円の買収を行っています。自己資本ゼロで二十兆円分の買収を実施、これが過去最大の買収なんだそうですけれども、わずかそのぐらいの資本金であるとすると、その買収が絶対に起こらないという保証はないということだけ指摘させていただきたいと、そう思います。
 るるいろいろ申し上げてきましたが、最後にもう一点、ちょっと許し難いことがありましたので、このことについてお話をさせていただきますが、先ほど、午前中、政府の広報のビラの問題がございました。その政府の広報のビラというのは、本来は政府の政策が決定し、ごめんなさい、政府ではなくて、国会で法律が通ってから本当はこういう内容になりますよということをきちんとした形で広報するべきものなんだと思うんです。
 随意契約を結びまして、その随意契約もかなり、契約の日付を変えるなど、ちょっとおかしいんじゃないかという指摘が一杯ありました。そこの随意契約ということは、この会社がいいからこの会社と契約を結んでいるんですが、その会社がこういう戦略を持った方がいいですよということを政府にお示ししたこれは分析図です。(資料提示)
 そうすると、縦軸に何を取っているかというと、IQ軸というのを取っています。このIQ軸ということは知能指数です。知能指数の高い人、低い人、要するに、簡単に言えば、頭のいい人、悪い人ということを縦軸に取っている。まずこういう分析をすること自体が非常識だと思います。これは、本来であれば政治的に関心があるとかないとか、そういう形で取るべきなんだと思うんですね。
 そしてもっとすごいことは、ここの中でBのところ、つまりはIQ軸の低い部分のところに、低い部分のところ、Lowのところに「小泉内閣支持基盤」と書いてあるんですね。しかもそこのところに、失礼なことに主婦アンド子供を中心、それからシルバー層と。具体的なことは分からないが、小泉内閣、小泉総理のキャラクターを支持する層だというような分析をされているわけです。
 こういう会社の分析が本当に適切なんでしょうか。そして、こういう会社となぜ随意契約を結ばなきゃいけないんでしょうか。(後略) [204]

 (中略)

○櫻井充君 今のは、私が分析したのではなくて、政府が依頼した会社が分析したものです。その会社がすばらしい、会社のその分析も含めてプレゼンテーションがすばらしいといって随意契約を結んだところなんですよ。おかしいんじゃないですかと言っているんです。
 それで、ここの広報の中のここを、ここを、上の方を見ていただきたいんですが、「分ければ巻き添えなし」と。(資料提示)ここがポイントになると私は思っていますけれども、この絵は分割したら、分割したら、なぜ分割するんですかというところに、ちょっと済みません、ここですね、なぜ分割するんですかということを説明したものです。
 そのときに、何てかいてあるか。一つ窓か扉が開いていて、みんな、三人が寒いよ寒いよと言っている。だから、分社化してやって三つに分けたら一人だけ寒くて二人が暖かい、分ければ巻き添えなしだ、これこそ切捨てなんですね。
 今までの郵政事業は違いますよ。下げていただいて結構です。要するに、下にある、あっ、ごめんなさい、三本の矢がばらばらだったら、一本一本だったら折れるけど、三本まとまったら強いって毛利元就の教えですよ、これは。オーケーです、オーケーです。
 要するに、三事業一体できちんとやってきたからうまくいっているものに対して、今のように一つ窓が開いたから全員寒い寒い寒いと言っている。そして、なおかつ、それをばらばらにしたら一つのところだけが寒くなって、あと残りの二つは巻き添えを食わないからいいでしょうというのが、これは竹中大臣の僕は基本的な考え方なんだと思う。
 そして、そこの中でもう一つだけ、本の中に竹中大臣何とおっしゃっているかというと、コンビニや物流で、コンビニや物流のところで実はもしかすると赤字になるかもしれないから、だからそういうときには、その危険を回避するために、金融システムを守るためにはそういうことをやらなきゃいけないというふうに本にも書かれています。
 しかし、もう一度考えていただきたいのは、三事業一体でやってきたから今までうまくいってきたということ、そしてもう一つは国民の皆さんはこのことに対して不便を感じていないということ。問題は、問題は郵貯が、郵貯が今持っている巨額のマネーであって、それは私や山崎養世さんが申し上げているとおり、例えば住宅ローンの証券化を行っている、中小企業のところの証券化を行っているところに貸し出す、その際証券化を買うとか、民間にちゃんとお金を流す方法なんて幾らでもあるわけですよ。
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(以上,05年8月2日参議院郵政民営化に関する特別委員会会議録から一部転載)

 以上です。「郵政民営化は,『改革』の本丸です!」 至極名言です。

 最後に,話は換わりますが,法制審議会国際私法(現代化関係)部会で幹事をされていた,全国銀行協会企画部次長の阿部耕一氏が,銀行法務21で連載されていた論考をまとめて『国際私法と銀行取引-「法の適用に関する通則法」と銀行実務-』(経済法令研究会・2009年)として公刊されました。具体例を多く掲げてあり,実務的なレベルで参考になると思われます。

 では,これにて。明11日(水)は,建国記念の日(紀元節)。

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2008年11月11日 (火)

椎名麻紗枝=今西憲之『無法回収』

 一時金給付につき高額所得者には辞退を求める,ということになるようですが,「嘘つきが得をする」ということで,昨今の規制の緩い市場競争において「嘘つき」の跋扈を許してきた構造を温存する(Not CHANGE)という発想なのですね!? 呆れました(居酒屋の件も,ですが)。

 ところで,最近,椎名麻紗枝=今西憲之『無法回収 「不良債権ビジネス」の底知れぬ深き闇』(講談社・2008年)という近刊を読みました。これは,(ある角度から書かれた)久々の超重要書籍だと判断しますので,金融法制度の検討の素材の1つとされることをお薦めします。

 まず,章立てから。

序章 「債権回収」の無間地獄
第1章 骨までしゃぶる「回収の闇紳士」
第2章 RCCの罪と罰
第3章 回収の手先と化した裁判所
第4章 京都の名刹をめぐる「謀略」
第5章 RCC歴代社長のスキャンダル
第6章 棄民国家・ニッポン
終章 「ハゲタカ」から国民を守る方法

 貸金業法の改正による「サラ金崩壊」以後,債権回収業務に活路が見出されているようで,「第二のサラ金地獄」の様相を呈してきているようです。国を挙げての(国策としての?)恐ろしい現実が書かれてあります(今や,最後の頼みの綱である裁判所さえも,信用できなくなりつつあるような・・・)。引用したいところがたくさんありますが,控えます。ぜひお読みください(金欠の学生さんは,図書館に購入申請するといった方法もありますね。マスコミがこぞって持ち上げる人物には,後々のために,少し警戒する癖をつけた方がいいですよ(教訓))。

 2カ所,引用させていただきます。

バブル崩壊後,不良債権に苦しんでいた金融機関は,サービサー(債権回収業者-引用者注)を歓迎した。
 (中略)
あまりに不良債権が膨大だったため,国は金融サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法-引用者注)を整備し,公的資金を金融機関に注入せざるをえなかった。それは要するに,「税金」という形で国民にツケをまわしただけの話だ。
 その結果,得をしたのはだれか。金融機関の弱みにつけ込み,ごくごく安価で債権を仕入れ,たいへんな高値で転売して暴利を貪った者たちだ。そこに利益が生まれても,支払った税金を使われた国民には,1円たりとも還元していない。
 そればかりか,それまでになかった「回収のスペシャリスト」が数多く誕生した。中には救われた人もいるのかもしれないが,圧倒的に多くの人々が不幸な結末を余儀なくされた。

 (中略)

 『Q&Aサービサー法』(法務省債権回収監督室編,商事法務研究会)の監修者となっている自民党の杉浦正健衆議院議員は,弁護士資格を持ち,自民党ワーキングチームの座長を務めた,いわば金融サービサー法の生みの親の一人である。
 (中略)そこ(同法-引用者注)に決定的に欠けているのが,取り立てられる側,「債務者の視点」だ。

(以上,椎名=今西・前掲 44-45頁)

不可解なのは,港債権回収は,三井住友銀行からは4000万円程度で買い取っているらしいのに,港債権回収の代理人の弁護士によれば,W・ケイマンカンパニーはその翌日に,港債権回収から9000万円を超える高額で買い取っているらしいことだ。
 (中略)考えられることは,港債権回収は,投資家から高い評価を得るために,高い回収実績を出す必要があったのではないか,ということだ。事実,港債権回収は,スタンダード&プアーズから,商業用ローン・スペシャル・金融サービサーの評価として,日本初の最上級評価「能力が極めて高い」を付与されている。

(椎名=今西・前掲 60-61頁)

 「らしい」「らしい」とあるように,債権が実際にいくらで売買されているかを確認することは,なかなか難しいようです。
 それはともかく,2つの部分(およびそれらの前後)を眺めると,個別に疑問を感じてきたことが繋がってくるように思われます。

 法例廃止の発端は,平成13年3月30日に閣議決定された「規制改革推進3か年計画」において,債権譲渡の対第三者効力につき債務者の住所地法を準拠法としていた法例12条に(それがバルク・セールの障害になるという-筆者注)クレームがついたことにありました(2006年4月19日(水)「『法の適用に関する通則法』参議院法務委員会通過-特に規制改革との関係で-」を参照)。
 そして,それが通則法23条に「改正」される過程では,債権者の常居所地法を準拠法とすべきだとする「たたき台」までが現れる始末でしたが,幸いなことに,それは斥けられました(この「たたき台」によれば,ケイマン法人による債権譲渡の対第三者効力については,ケイマン法が現実に準拠法とされる事態が生じていたことになりますね)。しかし,この「たたき台」だけでなく,通則法23条にも,「債務者の視点」は欠けています(例えば,拙稿「国際私法の現代化における法例10条・12条関連の改正作業の問題点」千葉大学法学論集20巻2号(2005年)93頁,特に, 111-118頁, 125-129頁参照)。

 通則法が成立した当時の法務大臣は,偶然なのか(必然なのか?),杉浦正健衆議院議員で,杉浦大臣(当時)には,日本国憲法の原文が英文であることが何かよいことのように答弁されたことに驚いたことがありました(2006年4月24日(月)「『法の適用に関する通則法』名称ほか」の後半参照)。
 しかしながら,これには米国製の制度に対する抵抗感のなさが表れており,それが債権者の債権回収のための制度改正に突っ走った司法エリートたちの根底に流れているものと共通するものでもあるのだろうと推測します(その根底に流れているものの原因として推測される点については,2008年3月15日(土)「日本のエリートの致命的弱点」参照)。
 そして,ここに,「信用」崩壊の一因でもあるのではないかと疑われる「格付け会社」がからんでくるとなると,一貫した構造の存在が疑われることにもなりますね(この関連では,2008年4月1日(火)「格付け制度の破綻?」参照)。

 いろいろと思索する契機として貴重な書籍ですので,ご紹介しました。

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2008年8月 1日 (金)

パール判決書はいかが?

 月が変わって気分一新,久々に更新します。

 実は,思うところがあり,(デザインなど少し変えたものの)更新は控えておりました。それでも,レポート等の関係で検索してふと立ち寄られる人でもいるためでしょうか,(過疎地である国際私法を中心に雑感を書き留めるだけのブログでもあり)たいして多くないアクセス数ながら,ほぼ安定して落ちないのは意外でした。

 前期の授業も好評のうちに(惜しまれつつ??)終わり,今年の新司法試験の第2問の特に設問2は「なんだかなあ~」などといった話をし,今年こそは早々に自分の時間を確保しています。
 司法修習も3分の2が過ぎたあたりでしょうか,大地震があったりで,直接連絡をとったりはしないものの,気にはなるもので。。。

 まあ,今日は,どなたもあまり関心をおもちではないでしょうが,近況を中心に。。。

 極めて軽い話から始めますと・・・
 国内でCD化されていなかった,カラヤン指揮BPOによるシューマン「序曲,スケルツォとフィナーレ」が手に入り,しばらく聴いておりました。シューマン特有の暗い情熱と執拗に繰り返されるリズムに,最初は他の曲に増して人を寄せ付けないような壁を感じて何度か途中までいって跳ね返され,そのうちにそこで描かれているものに共振し始め,なぜか胸が詰まってきて・・・(軽くない,か?)
 でも,シューマンを聴くなら,名曲がいくらでもあり,そちらの方がずっといいです。

 もっと軽い話を・・・
 月曜8時のTBSドラマ「あんどーなつ」,いいですねえ。今年は,大河にも関心をもてず(一昨年までのように観なくなり),「ちりとてちん」も3月に終わってしまってからはドラマは観ておりませんでしたが,たまたまこのドラマの宣伝番組(初回の再放送?)を観て面白そうだったので第2回からずっと観ています(和菓子,好きだし)。
 基本に忠実に当たり前のことを当たり前に繰り返し繰り返ししつつ高い水準のものを安定して作り続ける<職人の地味な凄み>(とでも言うのでしょうか?),あるいは,師弟間でなかなか伝わらない思い,といったものが,1時間ドラマという制約の中でそれなりに(重くなりすぎないように爽やかに)描かれていると思います。これは,おすすめ!(あまり・・・軽くない,か?)

 話を換えて・・・
 小林よしのり『パール真論』(小学館・2008年)を読みますと。。。「パール判決書」をめぐって面白い状況が生じているらしいですね。
 実は,私は,以前,東京裁判研究会編『共同研究パル判決書(上)』(講談社学術文庫・1984年)を読んで挫折したことがあります。もっとも,ご承知のように(?)「国際私法」は,国家間の関係の規律を中心とする「国際法」とは全く異なるものですし,私は「国際法」は苦手ですので,無理ないと思いますが,215頁まで解説を読まされるのでかえって判決書に素直に入っていけないという面もありました。
 しかし,パール判決書は,当時の中立的な位置から書かれた文字どおり第一級の文献ですから,日本人としての自覚のある者は,必ずこれを読むべきですし,(私自身のことを付け足せば)今年を逃すと専門外の高度かつ大部の文献を読む余裕はもうないかもしれないと思われるところから,少しずつ読み始めています(つまり,前掲書の219頁から『同(下)』の745頁まで,ということになります。ちなみに,まだ,第3部を読み終わったところです。時間のとれる日の午前中に,翻訳が分かりにくいところは原文に照らしたりしつつ,です)。
 レベルが高いので,法科大学院を修了して試験後の「まな板のコイ(蛇の生殺し?)」状態の方がこの時期じっくり読むのに最適だと思いますが(「国際法」の素養はなくても大丈夫ではないかと思います)。

 お気づきのことでしょうが,ブログ・タイトルに付した一文を,佐藤一斎先生のものから,このパール判決書の結語に変えました。今年は,東京裁判終結から60年であるだけでなく,いよいよ米国の覇権が終わりそうでもあり,この語がピッタリだと判断しました。但し,小泉・竹中路線で酷く痛んでしまった我が国の方が,米国発の大波の影響を大本よりも強く受けてしまう危険が高いとの観測もありますので,とにかく首を引っ込めてうまく回避したいものですが・・・

 構造改革路線は全く評価しませんが,1点だけよい結果につながったことは,おかげで,もう6~7年前になりますか,戦前・戦中・戦後占領期の歴史に興味をもって勉強して,高等教育までに刷り込まれていた自虐史観が解けたことです。
 その頃,学科で基礎ゼミをもたされて,最終回に以下のような推薦文献リストを配付しました。当時は危ないことをしているような気もしていましたが,別に読むことを強制したわけでもないし,今となってはそう悪くなかったのではないかという気がします。もっとも,誰も読んでくれなかったでしょうけど・・・(以下,書名のみ挙げておきます。ご参考まで。)

○「民主主義」・「人権」に関するもの
 ①長谷川三千子『民主主義とは何なのか』(文春新書・2001年)

○グローバリズムに関するもの
 ②ジョゼフ・E・スティグリッツ(2001年ノーベル経済学賞受賞)
  『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(徳間書店・2002年)

○東京裁判に関するもの
 ③田中正明『パール判事の日本無罪論』(小学館文庫・2001年)
 ④清瀬一郎『秘録東京裁判』(中公文庫・1986年)
 ⑤児島襄『東京裁判(上)(下)』(中公文庫・1982年)

○台湾に関するもの
 ⑥蔡焜燦『台湾人と日本精神』(小学館文庫・2001年)
 ⑦黄文雄『台湾は日本人がつくった』(徳間書店・2001年)

○その他
 ⑧古森義久=井沢元彦=稲垣武『朝日新聞の大研究』(扶桑社・2002年)

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 そう言えば,忘れていましたが,もう1点書いておきます。

 国際裁判管轄の立法をするのだということで,(法例廃止の際と同様にまたまた)法務省の委託により商事法務研究会に「国際裁判管轄研究会」なるものができ,その報告書がNBLに連載され始めました。5月の国際私法学会では,(事前にメーリングリストで配付されたものの)ほとんど触れられず,でしたので,今度の学会ではこれを検討の中心に据えるのでないと怠慢だということになると私は思いますが,大半の方が逃げてしまうのでしょうねえ。。。

 中身はじっくり検討させてもらうこととして,今回は瑣末な点を1点だけ採り上げます。
 同誌883号(2008年)36頁に,編集部「『国際裁判管轄研究会報告書』のとりまとめについて」というのがあり,その中に以下のような記述があります。

企業等に対するアンケート調査や,各種団体に対するヒアリングも行っている。

(中略)

研究会におけるアンケート結果においても,予測可能性および法的安定性の確保のため,国際裁判管轄に関する規定を設けることが望ましいとの意見が多数であった。

(以上,前掲頁)
 今回は,実務のニーズをきちんと調査しているようで。。。と思って,報告書(1)を見てみると,

経営法友会の協力を得て,同会に所属の企業に国際裁判管轄に関するアンケートを実施した。
 そのアンケートの結果であるが,957社にアンケートを配布したところ,回答を寄せたのは,37社であった。まず,規定の要否については,規定を設けるべき,あるいは設ける方が望ましいとする意見が25社と多く,その理由として,予測可能性,法的安定性の確保を挙げるものが多数である。他方,規定は不要であるとする意見は,1社にとどまった。

(以上,前掲38頁)
 「回答を寄せた……37社」中「25社」と考えれば,67.6%で3分の2をかろうじて超えていると見えますが,(回答率は 3.9%にすぎず)配布数の「957」を母数とすれば 2.6%しかありません。これは,ほとんど無関心ということではないのでしょうか? これで,予算を使って立法するんでしょうか?(「無駄ゼロ」との関係は,どうなるのでしょう?)
 アンケートの項目と具体的な選択肢,選択肢ごとの回答数を公表すべきではないのでしょうか? 各法科大学院が細かい数値を公表させられているのと比べると,あまりにも貧弱ではないでしょうか?

 まあ,暑いので,このへんにしておきます。

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2008年5月30日 (金)

米国の悲惨への「加速化」?

 昨年4月に,「医療」・「食品」・「教育」といった領域にまで危機が迫っていることを警告する,関岡英之=和田秀樹『「改革」にダマされるな!-私たちの医療、安全、教育はこうなる』(PHP研究所・2007年)をご紹介しました(2007年4月16日(月)「『改革』にダマされるな!」)。
 その後,7月の学部の授業の最終回で「代理出産の最高裁決定」を採り上げたところ卒業生が聴講に来てくれたのですが,昼食の際に,「格差社会」というのは,そうでなければ人が来ない職域向けの人的資源が確保されるための社会であるという側面があるという話をした記憶があります(もっと砕けた話し方だったのですが,こんな文章にしておきます)。

 そうしたところ,「加速化」という日本語らしくない(翻訳語調の!)言葉を,頻繁に目や耳にするようになりました。その「加速化」の先がどうなっているのかについて,ショッキングかつあまりに悲惨な状況が既に活字で紹介され評判になっているようです。今さらの感もなくはありませんが,これは多くの方がお読みになって,現実にこのようになってはならない日本の近未来の姿をしっかりと認識しておくべきであると思います。

 堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書・2008年)という書籍です。目次のみ,示しておきます。
第1章 貧困が生み出す肥満国民
第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民
第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々
第4章 出口をふさがれる若者たち
第5章 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」

 このような悲惨な状況にならないためには,各人が自分の持ち場で,できることから少しずつでもやる,というしかないと思います。
 その成功例としては,「貸金業法の改正」があります。金利がダメならATMの利用料という形で,というように,まだまだ油断できない状況のようですが,その点も含めて,次の書籍が重要です。

 横田一『クレジット・サラ金列島で闘う人びと』(岩波書店・2008年)。その「あとがき」から引用します。

 「小さな政府」「官から民へ」をキャッチフレーズにした小泉政権の構造改革・規制緩和路線は,実は,アメリカ型弱肉強食社会を目指すものであった。これは大多数の国民にとっては恩恵をもたらすどころか,富める者と貧しい者の格差拡大を招き,六本木ヒルズに象徴される都市の栄華と,財政破綻した夕張市に代表される地方の疲弊も生むことにもなった。
 (中略)
 しかし小泉構造改革を引き継いだ安倍政権は参院選で惨敗し,その後の首相辞任で誕生した福田政権は路線変更を迫られる形となった。
 (中略)
 こうした政治の流れと並べ合わせると,2006年の上限金利引下げを含む歴史的法改正(金利規制強化)は,アメリカ型弱肉強食社会を目指す「構造改革・規制緩和路線」への反転攻勢であったことに気づく。そして医療や教育や労働などの現場でアメリカ型弱肉強食社会への移行が進みつつある現在,今回の金利引下げ運動はそのような他分野での参考になるとも思えるのだ。

 (中略)

クレジット・サラ金列島で闘った人びとの歴史的成果が,そして,今も闘い続けている人びとの積み重ねが,「アメリカ型弱肉強食社会」から「独仏型弱者配慮社会」への転換,さらに言えば弱者が力をつけて強者とも対等に闘えるようになる社会への転換に何らかの形で役立てば,望外の幸せである。

(以上,横田・前掲 160-162頁)

 関係者のご尽力が功を奏した結果,消費者金融のCMも,だいぶ控えめになりました。これに対して,外資系の損保会社のCMは,相変わらず目につきます。
 なぜこのような現在に至ったかの原点に関しては,今こそ,石黒一憲『日本経済再生への法的警鐘-損保危機・行革・金融ビッグバン-』(木鐸社・1998年)が読まれるに相応しいように思います。保険制度の本質や,米国内でも効率一辺倒ではなく州ごとに規制にバラツキがあることなど,重要な指摘が続きます。息が長く,対象密着型の(ある意味,本来はそうあるべき)方法が採られていますので,そのような文章を読み慣れている方でないと,それなりに厳しいかもしれませんが。以下,少しだけ引用しておきます。

 自動車の安全基準の場合を例としよう。「整備不良車や欠陥車を運転する者の自己責任」と言うのならまだ分かる。だが,「それによって事故に巻き込まれる者」はどうなるのか(むしろ後者が「国民の危機管理」の問題の焦点であることに注意せよ)。後者の者は製造物責任訴訟等を起こせばよい,と言うにしても(だが,その消費者が事故で死んでしまったら,一体どうなるのか),一々弁護士を雇って裁判所で争うしか「自分の身」を守れないことになる

 (中略)

 「整備不良車や欠陥車を運転する者の自己責任」を認めて(事前規制としての)「安全」規制を「緩和」することは,その意味において,それまで国家(政府)と企業(メーカー)との緊張関係において処理(”管理”)されていた「”安全”という国民の利益」への侵害(中略)を意味する。つまり,その意味での「危機」は,もはや「企業(メーカー) and/or 整備不良車や欠陥車を運転する者」と「事故の被害者」との関係で「個別管理」されることになる。いわば「危機管理の”民営化”」,ないしは「危機の”分散処理”」の構図である。

(以上,石黒・前掲32頁)
 保険に踏み込む前の問題として,このような当たり前のことが,当時からずいぶんの間,口に出すのも憚られるこわばった空気がありました(あるいは,現在でも?)。「司法制度改革」との連続性も,意識されるべきところでしょう。

 「年令」によるリスク区分をわずか3区分までとし,社会全体として若年層の高リスクを,但し損保制度内在的に処理しようとして来た我が国の自動車保険(任意保険)制度は,それなりに賢明な一つの行き方を示していたと思われる。当該損保制度の全利用者の間での,この穏やかなクロス・サブは,いわば制度利用者全体としての”自己責任”を,”相互扶助の精神”の下に具体化するものであったと言えよう。”利用者負担原則の枠内”でのかかる処理を捨て,直ちに”外部補助”に頼り,国家が(即ち全社会構成員が)直接補助金を高リスク者(車)に交付する,等のことは,徒に一般財政を圧迫するものであり,(中略)まずもって当該制度内在的な処理を行なうべきところと,私は考える

(石黒・前掲 128-129頁)
 直前の部分は,その前後が本書の1つの核に当たるところです。
 「相互扶助の精神」は,マスコミ情報ではどんどんなくなっていっているようですが,例えば千葉ローには色濃く見られるところが救いです。

 最後に,外国の制度を無批判に導入することへの基本的かつ素朴な疑問が鋭く描かれている部分を,引用しておきます。

 規制する側もされる側も,本当の意味で相手を凝視してはいない。日本とて同じことではあろうが,そうであっても何となく社会はまとまる。今はそれが悪いという風潮が日本を支配しているが,果してそうなのであろうか。案外このあたりに,”無限要素の構造物としての社会”を全体として把握する際の,日米の社会構造の差が暗示されているのかも知れない。赤ん坊を俯せに寝かせるアメリカの習わしが戦後の日本で流行し,少なからぬ赤ちゃんが窒息死した。これは,故田中英夫教授の英米法第Ⅱ部の講義で,比較法学の真髄を示すものとして,私を含めた学生達に語られた悲しい逸話である。アメリカは固いベッド,日本は柔らかい蒲団。だから窒息死するのである。そこにおける蒲団とベッドが,(法)制度の受け皿となるそれぞれの現実の社会である。本論文を書き進めつつ,この比喩は”規制緩和論”にもあてはまるな,との思いが,次第に強くなってゆくのである。

(石黒・前掲 151頁)

 ここまで来て,改めて心に留めておくべき西郷さんの至言を引用しておきたくなりましたので,それをもって今回は終わりにします。

廣く各國の制度を採り開明に進まんとならば、先づ我國の本體を居(す)ゑ風教を張り、然して後徐(しづ)かに彼の長所を斟酌するものぞ。否らずして猥りに彼れに倣ひなば、國體は衰頽し、風教は萎靡(ゐび)して匡救す可からず、終に彼の制を受くるに至らんとす。

(山田済斎編『西郷南洲遺訓』(岩波新書・1939年)7-8頁)

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2008年4月 1日 (火)

格付け制度の破綻?

 もう6年前になりましたか,日本の国債の格付けがボツワナ以下に下げられたと言ってちょっとした騒ぎになったことがあり,いわゆる格付け機関とはいったい何様なのかと疑問に思っておりました。そうしたところ,本山美彦『格付け洗脳とアメリカ支配の終わり』(ビジネス社・2008年)という新刊においてそのあたりのことが鋭く抉られています。章立てと,「あとがき」から引用しておきます。ぜひとも,同書をお読みいただきたく存じます。

序章 「巨大貧困層」誕生の裏側
第1章 サブプライム問題と米国金融支配の崩壊
第2章 深すぎるマネーゲームの闇
第3章 国家や企業を左右する「新しい支配者」
第4章 米国の巨大金融権力と「人脈」
第5章 二大格付け会社「独占」の構図
第6章 世界を破綻させるリスク・ビジネス

(以下,本山・前掲 222-224頁から引用)
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 格付け会社は,現代社会の帝王である。群雄割拠状態ではなく,2,3人の帝王が共存しながら,現代社会の共同統治を行っている。帝王はあの世ではなく,現世の閻魔大王だ。
 (中略)
 多くの企業は,金融に関して一種の自転車操業をしている。過去の借入金を新たな借金で返済するのが,普通の姿である。低い格付けをくらうと借り換えができずに,その企業はあっという間に破綻してしまう。

 (中略)1990年以前なら,企業の資金調達の多くは銀行を経由するものだった。(中略)
 昔の銀行には,顧客である企業を育てようという「心意気」があった。銀行員は,担当企業と末永く付き合うため,徹底した業界研究を行っていた。銀行は,貸し出しに当たって,顧客の信用や経営能力を徹底的に調べ上げていた。
 国家もまた,業種に応じた種類の異なる金融機関を用意していた。
 素材産業や重厚長大型産業は,一般的にはそのもうけは大きくない。自分の製品の販売先が,市民のようなアマチュアではなく,企業という名のプロフェッショナルだからである。
 (中略)
 このような,もうからないけれども国家にとって大事な基幹産業に育てるべく設立されたのが,長期信用銀行系統の金融機関だった。もうからない産業に融資するのだから,長期信用銀行系統の金融機関も,そんなにもうかるはずがない。
 しかし,もうからない金融機関は市場から撤退しろというのが,米国流の考え方である。
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(以上,本山・前掲 222-224頁から引用)

 長銀といえば,浜田和幸『ハゲタカが嗤った日 リップルウッド=新生銀行「隠された真実」』(集英社インターナショナル・2004年)が衝撃的な内容でしたが・・・

(以下,本山・前掲 225-228頁から引用)
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無知な消費者相手の産業はもうかる。こういう産業には,都市銀行を張り付ける。
 (中略)
 ところが,古い体質の銀行は護送船団方式にどっぷりと浸かり,時代の変化についていけないから,即刻解体すべきだという批判が,米国,および日本国内の「米国礼賛者」たちから主張され始めた。全国規模で運営されていた日本の都市銀行は,あっという間に片手で数えられるほどにまで減少した。
 では聞こう。
 少数になった銀行,直接金融として称揚された証券会社が,いまの時代の変化についていけたのか。ついていけたのなら,どうしてサブプライム・ローンという初歩的な詐欺に引っ掛かってしまったのか。
 我々は,こうした金融の根幹にかかわる「問い」を,常に立てるべきである。

 (中略)

高い格付けを得ようとすれば,企業は,米国の新古典派経済学者や,ワシントン・コンセンサスを信奉する政治家・企業家の考え方通りに,自己を変えるしかない。米国流のワシントン・コンセンサスという文明をソフト面で作り上げ,普及させるのが,格付け会社ではないのか。閻魔大王が与える評価は,単なる一企業の一意見では断じてないのである。
 その面では,米国の大手会計事務所も同じような役割を演じてきた。この業界もまた,とんでもない寡占状態にある。さらに金融コングロマリット(各種金融業務を傘下に収めている金融機関)も,証券,銀行,保険分野で,寡占に近い状態を生み出している。
 (中略)
 こうして,企業も人々も格付けに「洗脳」されていくのだ。
 洗脳されるだけではない。帝王が作り出す人脈と接触しなければ,商売一つできなくなってしまった。今日の経済市場は,公明正大な競争社会ではなく,クローニー・キャピタリズム(縁故による資本主義)なのである。
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(以上,本山・前掲 225-228頁から引用)

 以上の問題意識は,3月15日(土)「日本のエリートの致命的弱点」と共通してもいると思います。併せてお考えいただければ幸いです。
 それにしても,仮にですが,格付け機関の評価が必要になるとすると,それを評価する機関の評価も必要になったりして・・・。評価の連鎖?? 悪夢以外の何物でもありませんね。

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